私のメールマガジン「かじとり通信」は、平成14年4月にスタ
ートしてから今回まで3年余り、継続して毎週書いてまいりました。
1回も休まず、場合によっては号外まで出してきました。お読みい
ただいている皆さんには、下手な文章にお付き合いいただき、心か
ら感謝しています。
小泉首相のメールマガジンに刺激され、広報広聴課の若手職員の
誘いに乗って始めましたが、自分なりに次のような意図をもって、
始めた仕事です。
1 行政にとって大切なことは、透明性を高めることであり、その
ためには広報・広聴を充実させることが大切だと言われています。
しかし、行政の話はどうしても総花的で、専門用語が多く、市民
の皆さんにはわかりにくいことが多い。素人の言葉で率直に語る
方が、理解していただけるのではないか。
2 行政の意図、言い換えると市長の意図を、きちんとわかりやす
く、自分の言葉で語ろう。文章で残すことは危険、という意見も
いただきましたが、私はあえてその危険を冒すことによって、本
音を知っていただこうと考えました。
3 市長が知ったこと、経験したことは、なるべくお知らせしよう。
市長として出張させていただいているのだから、海外も含めてい
ろいろ見聞きしたことを、なるべく皆さんにお知らせして、知識
を共有してもらおう。
4 長野市は広い。市民の皆さんだって全部は知らないだろう。市
長は役目柄あちこちへ行くことが多く、知る機会が多いので、市
民の皆さんに紹介しよう。
5 私の個人的なことも、多少書かしていただいて、市民に私の考
えを知っていただこう。
テーマに迷ったり、出張が多くて書く時間がなかったり・・・今
週は休刊かなあ・・・なんて考えた時もありましたが、なんとか続
いて今回で169号(号外は別)になりました。継続は力なり、自
分でもよく続いてきたものだと感じています。
さて先日、6月市議会定例会において次期市長選への対応につい
て質問があり、出馬の意思を表明させていただきました。今後も任
期満了まで市長としての公務が続くのですが、選挙が近づくにつれ
立候補予定者としての側面が注目されることになると思います。
「公職選挙法においては政治活動と選挙運動を理論的に区分して
いるが、どこまでが政治活動で、どこからが選挙運動となるのか境
目が難しい。市長が単に市政の報告をしているつもりでも、第三者
に選挙運動になっているのではないかとの疑念を抱かせる場合も予
想されるので、今後は注意が必要」との話も聞いております。思い
入れが深く、私の率直な思いをお届けすることに意義があると考え
ているメールマガジン「かじとり通信」ですが、以上のことから28日
より休止させていただきます。
その他のコーナー「お知らせ&イベント情報」と「新着情報」は
続けて配信してまいります。なお、10月30日の選挙の結果に関
係なく私の任期は11月10日までです。11月4日は市長でおり
ますので、メールマガジンを配信させていただきたいと考えていま
す。
2005年7月21日木曜日
「かじとり通信」をしばらく休止します
2005年7月14日木曜日
移動市長室で戸隠を訪問しました
6月30日(木)、戸隠地区での「みどりの移動市長室」で、N
PO法人「べとの会」と「戸隠塾」の皆さんを訪問しました。6月
市議会定例会で、戸隠地区選出の小林議員さんから、「べとの会」
についての質問をいただき、庁内議論で、基本的には地域活動とし
て有意義であると認識していましたので、一度視察して直接お話を
お聞きしたいと考えていました。この時期に懇談する機会が得られ
たのは、グッドタイミングでした。
最初に「べとの会」を訪問し、堆肥を作っているサイロを見せて
いただきながらお話を伺いました。現地にはサイロが6つ出来てお
り、その建設費等は約900万円で、700万円を借り入れたとの
こと。運営は順調に推移し、計画どおりにいけば借入金の返済は出
来る予定だったそうです。
ところが今年1月、長野市との合併の結果、長野市が生ごみを事
業系一般廃棄物として安く受け入れているため、生ごみ処理を「べ
との会」に依頼していた飲食業や旅館などの事業者の方々が安い価
格で収集している運搬事業者に出すようになって、「べとの会」に
生ごみが集まりにくくなってしまった、そのために経営が成り立た
なくなりそうだというお話でした。処理費が安く済むとすれば、事
業者の方々にすれば当然の行為でしょうが、「べとの会」にすれば
合併の余波で倒産する可能性があるということです。
一般論とすれば、合併によって出る余波を行政に持ち込まれても
困るし、経営責任ということから言えば、経営者自身で考えてくだ
さいということです。しかし、この事業は、行政としても清掃セン
ターの負荷を減らすことが出来るものであり、地球環境を守るとい
う立場からも、地域内循環で処理できている大切な事業であるとい
う認識があります。
長野市としては、生ごみの堆肥化はリサイクルの面から大切なこ
と、この地で堆肥化することは、市の清掃センターの負担が減るこ
とになるし、輸送費用も少なくて済むこと、この種の施設はどうし
ても臭いが出るということで、なかなか適地がないことから、地域
の支持を受けているとすれば貴重な存在であること、合併によって
経営が成り立たなくなるのは残念・・・等々の視点から市の環境部
と十分相談してほしいとお伝えしました。
堆肥を作る材料としては、飲食業や旅館などから出る生ごみとそ
ばがら(戸隠名物「そば」粉を作る時の副産物でそばの実の表皮)
を主原料として使用します。信州大学の酒井教授の指導で生ごみの
中にZ菌を入れて、サイロの中へ幾層にも重ねて積み上げ、サイロ
の底へ太いパイプを入れて通気性を保ちながら、6つのサイロを順
繰りに使い、時間を十分かけて完熟堆肥を作っているとのことでし
た。「そばがら」は通気性を保つための必需品で、近くのそば工場
から有価で供給を受け、「生ごみ」は飲食業や旅館などから処理料
を取って受け入れてきたということです。
私が一番心配していたのは、出来た製品の売れ行きだったのです
が、完熟堆肥ということで、周辺農家に契約販売しており、地区内
に販路があり心配はしていないとのことでした。
視察を終えて、そば博物館「とんくるりん」へ移動。背後の高台
のあずまやで、「戸隠塾」の皆さんと懇談を行いました。戸隠塾の
名簿を拝見しますと、山口塾長さん以下47名で、戸隠の中社、宝
光社、越水等で、多分商売をやっておられる方々や商工会職員の若
手行動派の方々とお見受けしました。旧市内でいえば、青年会議所
や長野都市経営研究所のような存在なのでしょう。
塾長さんのお話や総会資料を見せていただき、わかったことは「
自分たちも楽しみながら」をモットーに、まちの景観形成・地域活
性化・史跡などを守る等を目的に結成された会であるということで
す。地域にあまり知られていない史跡・伝説・自然について知識を
広げ、わかりやすい看板を作って、統一感のある景観をつくり、ま
ちづくりに対する住民意識の向上を図る・・・といったことを目標
に掲げ、行動しておられるようです。「べとの会」に所属する方も
かなりいらっしゃって、共に行動しているというお話でした。
この組織も、先日訪問した大岡地区の「すわろびくすサークル」
と同様、長野市が行っている平成17年度「ながのまちづくり活動
支援事業補助金」に応募し、見事100万円の補助を獲得されたそ
うです。
時間があまりなかったのですが、懇談の席で皆さんの関心は指定
管理者制度とのからみで、スキー場の将来についてでありました。
私からは、県内スキー場の現状や戸隠スキー場の数字的な実情をお
話しした後、次のように申し上げました。
1 戸隠スキー場のもつ雇用創出力や場内レストランなどへの商品
納入事業者、地元の宿坊・民宿など、地域経済に与える影響を考
えると、当面廃止という選択肢はない。
2 現在累積赤字があるけれど、長野市の財政力からすれば、大変
厳しいものの、補填が不可能という金額ではない。
3 しかし、このまま赤字の累積だけは、避けたい。
4 指定管理者制度導入については、地方自治法の改正によって可
能になったことであり、民営化も含め、まだどうするかは未定で
ある。
5 いずれにしろ、これは戸隠スキー場に関係する中社・越水・宝
光社の方々を中心に、戸隠地区全体、場合によっては飯綱地区の
方々も加わって、十分協議するテーマではないでしょうか?皆さ
んがバラバラでは行政も手の打ちようがないと思います。
と、申し上げました。
以上、戸隠塾の皆さんもまだ意見がいろいろあったようですが、
時間の都合もあって終了させていただきました。
スキー場経営については、行政側でのもう少し突っ込んだ研究が
必要なこと、そして戸隠塾の方々だけでなく、もっと範囲を広げて
話し合いをする必要性を強く感じました。
2005年7月7日木曜日
市内商工団体の統合が進み始めました
6月3日(金)に市内9商工会が、また、7月1日(金)には市
内3商工会議所が、それぞれ統合することに同意し、統合に係る基
本協定書の調印式が行われ、1行政1商工団体に向けての動きが本
格化してきました。
経済団体というと、商工会議所、商工会、経営者協会、中小企業
団体中央会、経済同友会、長野青年会議所・・・等々たくさんあり、
それぞれの団体は目的も違い、独自の活動をしているのですが、そ
の中で商工会議所、商工会は、それぞれ法律に基づいて設けられて
いる団体で、地域の中小企業の育成を主たる目的としています。そ
して、それぞれの法律で1行政1商工団体と決められているのです
が、合併によって一つになった行政団体の場合は、当面の間は、並
存してもよいことになっています。
長野市の場合、昭和41年に大合併したわけですが、合併前の旧
市町村には、それぞれ当時から商工団体がありました。本来なら行
政が合併したのですから、商工団体も合併へと進むところであった
のでしょうが、それぞれに事情があり、また前述のように、法律が
特例を認めていることもあって、3商工会議所(長野・篠ノ井・松
代)、5商工会(若穂・川中島・更北・七二会・信更)の体制が今
日まで続いてきました。
この間、何度か統合の話があり、いろいろな努力をされた時期も
あったのですが、それぞれ独自の活動に取り組んでいて、地域中小
企業の経営指導だけでなく、地域の祭りやイベント等に取り組み、
地域活性化の中心になってきました。本来、行政がやらなくてはな
らない分野まで、商工団体に頼ってきた・・・ともいえるわけで、
統合することで、地域が活力を失うおそれもあって、統合に踏み切
れなかったということだと思います。
そして今回の周辺4町村との行政合併により、さらに4商工会
(豊野・戸隠・鬼無里・大岡)が増えて、3商工会議所、9商工会
になったわけです。このような状況については、全国的にも例はた
くさんあるようで、長野だけの状況ではないようですが、景気の低
迷もあって、組織率が低下、財政的にもかなり厳しさが増してきて
いるという状況にあります。
商工団体を維持するためには、構成員に会費をいただいたり、保
険関係の事業を行って手数料を得たり、事業を行うため構成企業か
ら寄付金を募ったりしていますが、主体である経営指導員の人件費
等は、行政の補助金が中心になっていることもあり、長野県が1行
政1商工団体の原則のもとに(若干の時間的余裕はあるのですが)、
補助金の大幅な削減方針を示したがゆえに、急速に統合の動きが始
まった・・・という状況があります。昔は国が補助金として県を通
して、経営指導員の人件費を負担していたのですが、ある時期から
補助金を止めて、県の交付税に算入されました。すなわち商工団体
への補助は、県の事業ということになり、県の裁量に任された・・・
ということですから、結局、県の方針で補助金の額は決められるこ
とになったということです。
もちろん、基本的には長野市も補助をしておりますが、現在のと
ころ県の補助金は市の3倍ぐらいの金額がでているようで、比較に
なりません。その県の補助金が一挙に2分の1以下ぐらいになると
いう話ですから、商工団体としては、自立しようとしても非常に厳
しい状況にあります。そのようなことから、統合という合理化を受
け入れ、財政基盤を強化する手段を取ったということです(長野市
の補助金は、将来のことは言えませんが、今のところ、減額予定は
ありません)。
なお、念のため若干の説明をさせていただきますと、商工会議所・
商工会の役員(正副会頭、委員長、常議員、議員等)は全て無報酬、
逆に役員の会費負担は一般会員に比べて、非常に多額です。加えて、
いろいろな催事を行うにあたって、寄付を求められることも多く、
ある程度所属する企業に負担能力がないと、役員就任は難しい面が
あります。一般的に、経済団体は、企業のボランティア精神、ある
いは地域を思う気持ちによって運営されているものです。
商工会議所の調印式の内容ですが、統合に関しいろいろ準備して
きた「商工会議所合併準備委員会」の座長・長野商工会議所の青木
副会頭が経過説明をされ、3商工会議所の会頭(仁科長野商工会議
所会頭、渡邉篠ノ井商工会議所会頭、市川松代商工会議所会頭)と
立会人として私が、基本協定書に署名しました。その後、私が挨拶
させていただきました。その全文を以下に掲載させていただきます。
「商工団体の統合は、昭和41年の長野市大合併以来の懸案でご
ざいましたが、本日ここに、市内3商工会議所の統合に係る基本協
定書の調印が行われ、将来に向かって大きな一歩を踏み出したわけ
でございます。ここに至るまでの間、役員の皆様方には条件整備等
に多大なご努力をいただきましたことに対し、敬意を表するもので
ございます。
商工団体の統合につきましては、長野市商工団体連絡協議会にお
いて、市内12商工団体が一本化することで合意が得られ、まず、
9商工会が平成18年4月、また、3商工会議所が平成18年10月
に統合し、その後、平成21年4月を目途に両団体の一本化を図る
ことで、協議が進められているところでございます。
去る、6月3日には9商工会においても、合併に関する合意書並
びに基本協定書の調印が行われ、現在、合併協議会が設立されまし
て具体的な協議が進められているとお聞きしています。
地域経済をめぐる環境が大きく変化し、地域住民の生活行動や経
済活動が多様化・広域化する中で、商工団体が一本化することで事
業の効率化や合理化が図られ、安定した財政基盤のもとで、会員へ
の多種にわたる高度なサービスの提供が可能になるものと考えてお
ります。
今後は、合併協議会において、組織、財政、事業等の本格的な協
議を行うわけでありますが、統合により財政基盤や組織を強化し、
事業活動の充実を図りながら、各地域の独自性と伝統、文化を生かし、
地域の活性化につなげていただくことを期待するものであります。
都市間競争の激化や企業活動の広域化等への対応に対しても、商
工団体が一つになって、地域の会員に強力な指導と支援を行える体
制を整備することは、行政にとっても非常に重要であると考えてお
ります。それと同時に、「いかにこれまでの地域活動を継承してい
くことができる支部体制を構築していくか」ということが地域の活
性化にとっても大変重要なことであると考えております。
統合に向けての懸案事項もたくさんあると思いますが、市として
も積極的に支援を行ってまいりたいと考えておりますので、皆様方
のさらなるご努力によりまして、合併協議会による統合準備がスム
ーズに進められることを期待するとともに、その後の商工会との一
本化に向けまして、取り組みを進められることをお願いするところ
でございます。
最後になりましたが、地域を支える経済団体として3商工会議所
がますますご発展するとともに、皆様方がそれぞれにご健勝でご活
躍されますことをご祈念申し上げまして、お祝いのご挨拶といたし
ます。」
以上です。
その後、長野地方事務所長の祝辞、そして3商工会議所の会頭が
それぞれ挨拶をされました。各会頭の話は、いずれも先輩会議所役
員の方々の長い努力への敬意、統合に到るまでの会員の思い等を語
りながら、将来に向けての抱負・展望を力強く述べておられました。
この調印式で、商工会議所と商工会のそれぞれの統合が現実のも
のとなってきました。財政基盤を確立し、支部制度を充実され、さ
らに発展していただくことを期待しています。