平成19年度も年度末が近づきました。先日、ある竣工(しゅん
こう)式でお会いした県議会議員のお話では、最近こういう式典に
出席することが少ないなあと嘆いていらっしゃいました。同感です。
最近の予算は、福祉・民生関係の費用が大きくなって、公共事業な
ど、投資に回す予算が少なく、確かに竣工式に出席させていただく
ことは、以前に比べてあまり多くないと感じています。
そうは言っても、必要な事業は厳しい予算の中で、何とかやり繰
りをして頑張っているというのが実情ですが、今回はそんな中で、
本年度末で竣工した事業について報告します。以下は、この年度末
に完成した、あるいは完成予定のものです。
(1)北長野駅前A-2地区再開発事業
市街地再開発組合の皆さんの施行により長野電鉄の信濃吉田駅の
そばに、立派なビルができました。上層階は分譲マンション、下層
階は店舗と高齢者を対象とした賃貸住宅とデイサービスセンターを
併設した現在の社会ニーズに合った建物です。駅前広場も整備され、
新しい顔ができたと大変喜んでいます。
建設のために行われた埋蔵文化財の調査では、約2千年前の弥生
時代の集落跡が発見されました。長い歴史に新たな繁栄の歴史を刻
むことになり、感慨深いものがありました。
(2)豊野駅橋上駅舎
この事業は、旧豊野町との合併建設計画事業として位置付けられ
た豊野駅北ロータリー整備事業の一部です。既存の自由通路に接続
する新たな橋上駅舎および北ロータリーを整備することで、豊野駅
へ南北双方からのアクセスが容易になり、利用する皆さんの利便性
は格段に高まるものと思います。新年度には、旧駅舎の取り壊しと
ロータリーの整備を行っていきます。
開業式では、豊野中学校の吹奏楽団、豊野の保育園の皆さんが、
寒い中熱演・熱唱してくださいました。
(3)長野市立高等学校校舎
素晴らしい校舎が完成しました。まだ体育館などは新年度以降の
整備となりますが、新しい校舎で新しい気持ちで、生徒の皆さんに
は自己実現に向けてスタートしてほしいと思います。
(4)東部保育園
昭和45年度の建設から36年が経過し、建物の老朽化が進んで
いました。
加えて、白アリの被害で安全面から限界に近い状態だったが故に、
まだ建て替えの順番ではなかったのですが、昨年急きょ建て替えを
決めた事業です。安全については何より優先せざるを得ません。
(5)市民病院増床事業
慢性的な病床不足の解消と救急医療の充実のため平成15年度に
スタートしたこの事業は、この年度末にすべて完了します。100
床の増床で体制が充実、救急患者の受け入れについては長野市医師
会の応援をいただいて、新年度から新しい体制で取り組みます。
(6)大岡小水力発電所
合併前の平成16年度旧大岡村で行われた新エネルギー財団によ
る「ハイドロバレー計画策定調査」を長野市として引き継ぎ、平成
18年度に「実現可能」の結果を得て、平成19年度予算で発電所
を建設、昨日の竣工式から通常運転を開始し、大岡小・中学校へ電
力供給をしています。子どもたちも事前の見学や学習から感銘を受
けている様子が、式典で発表してくれた作文からよく分りました。
大岡地区の区長会長のお話によると、小水力発電所をつくった大
岡地区浅刈という場所は、昭和34年の伊勢湾台風で数軒の家屋が
流されるという大被害のあった地区で、その後昭和60年代に県で
えん堤の工事をした際、通常より大きな砂防ダムに、そして、途中
に農業用に三本の放水管を開けておいたとのことです。今回はその
放水管を利用し発電用に取水をしており、今日発電に利用すること
を見抜いているかのような先見性、適応力に感心しました。
長野市初の小水力発電です。環境問題の先駆的事業として、今後
さらに取り組んでいきたいと考えています。
(7)もんぜんぷら座の改修
昨年末、5階と8階の改修が終わって、NTTコールセンターが
仮オープンしましたが、3月末までに6階、7階の改修が終了、少
し時間はかかるようですが、街中に約500人を雇用する、企業が
進出します。
(8)高田若槻線
この道路は、長野市都市計画マスタープランの道路・交通整備の
方針により、円滑で活発な都市内交流を支える道路軸をなす路線で
す。また、都市化の進む北部地域から中心市街地へのアプローチ道
路として中心市街地活性化に寄与する幹線道路を整備しました。
(9)五明方田線
篠ノ井西部と篠ノ井市街地を結ぶ幹線道路で、一部は瀬原田の区
画整理事業で整備し、残りを街路事業で整備しました。
(10)古牧朝陽線
昭和通りを真っすぐ東へ進んで、突き当たったところから始まる
道路で県道三才大豆島中御所線につながる、これも大切な道路です。
将来は国が直接施工している国道18号の長野東バイパスにもつな
がる予定です。
以上、主なものを書いてみました。いずれも必要かつ市民の要望
が高いもので、無駄な公共事業は一つも無いことを、ぜひご理解い
ただきたいと思っています。
そのほか、建物としては城東小学校の建て替えが少し遅れていま
すが鋭意工事中です。
道路では、先日鬼無里へ行く途中、県管轄ですが、国道406号
の茂菅トンネルとその先の橋の工事がだいぶ進んでいる状態も見ま
した。完成すると、西山方面への交通は、格段に良くなる・・・楽
しみです。
2008年3月27日木曜日
年度末、完成した公共事業
2008年3月19日水曜日
ガソリン税等についての暫定税率
昨年の参議院議員選挙によって発生した衆議院と参議院のねじれ
現象は、衆議院(自民党)と参議院(民主党)が、話し合いによっ
て政策を決定していく条件が整ったということで、基本的には好ま
しい状況ができたのではないか・・・と私は考えていました。
ただ、現状は必ずしもそうではなく、党利党略と言っては申し訳
ありませんが、本質的な議論がされているとは思えないと私には感
じられます。
その中で、地方自治体が特に困っている問題は、租税特別措置法
などのいわゆる日切れ法案が3月末に期限が来て、失効になると、
ガソリン税等に掛かっていた暫定税率が廃止されるというものです。
結果としてガソリンの価格がリッター当たり25円程度安くなると
いうことです。
国民から見れば、税金が下がってガソリンの価格が安くなること
は歓迎でしょう。一方地方自治体にとっては、その税金が重要な財
源になっており、無くなったら困るというのが、本音です。しかも
地方団体は、暫定税率を前提とした譲与税を含む国から来る交付金
などを既に折り込んで、新年度予算案を組み、3月市議会定例会で
審議いただき、順調にいけば3月中には予算案は議決されるはずで
すから、今ごろになってそれは駄目ですと言われても、対応が難し
いのです。
仮定の話で恐縮ですが、もしそうなった場合、長野市にどんな影
響が出るか試算してみますと、直接的な金額だけで、現在組んでい
る予算の上では、年間15億円前後、歳入不足になりそうです。
その場合、どうするかですが・・・次の6月市議会で減額修正予
算を組むか(当然予定した仕事・サービスを止めることになります)、
あるいは借金をして収入不足の穴埋めをするか(借金ですからいず
れ返さなくてはなりません、想定外の借金は財政の悪化につながり
ます)、基金を取り崩すか・・・いずれにしろ困った話です。
この問題については、地方団体が困るというだけでなく、さまざ
まな意見があることは承知しています。
一つ目は暫定税率の“暫定”という言葉です。この方式は田中角
栄元首相のころから始まったようですが、本来暫定なら長くて「数
年間」というのが常識でしょう。私もそう思います。ただ自民党の
安定政権が続く中で、きちんとした議論もなされずに放置され、実
質的には、恒久的な税金として不思議に思われなかった、みんな当
てにしていたというのが、実態でしょう。
二つ目は、この税金の使い道は道路特定財源として、道路建設に
使うことを目的にしていることです。公共事業悪玉論のような話が
表面化し、「道路はもう要らない」、「無駄な道路建設反対」と言
った声が大きくなっています。そこで道路特定財源をやめて、福祉
や教育など何にでも使えるように「一般財源化せよ」という主張が
強くなっています。
この意見については、私も一部同意できる部分がありますが、
「道路は要らない」という声は、地方の実情を十分理解していない
意見だと思います。また、道路特定財源といっても、現実には解釈
によってかなり広範囲に使われているのが実態のようです。
現在、社会的な格差是正が叫ばれていますが、行政が一番是正す
べき格差は、「中央と地方の格差」であり、なかんずく道路整備が
重要であると私は思っています。毎年、市民会議などで出てくる話
題の中で一番多いのは、地域の生活道路であり、社会インフラが整
った地域からすれば、信じられないような話が出てきます。
少し前ですが、道路建設にも下水道整備と同じように終期設定を
したいと考え、現在のペースで道路整備をしていくとして、完了ま
でに何年かかるか概略の計算をしてみたのですが、市道だけで
100年以上かかることが分かりました。無駄な道路というものは
ありません。また、高速道路は、通っていない地域にとって悲願で
しょうし、これから治山事業に力を入れていこうとしているのに、
林道に接続する道路が無ければそれもできません。地方にとっては、
道路はまだまだ力を入れていく必要があるテーマなのです。
ガソリン税ということで、車関係の事業者も道路が良くなるから
高い税金を我慢している、一般財源化するなら少なくても暫定税率
だけでも廃止すべきだという意見もありますが、これは国全体の税
収をどこから頂くかという極めて政治的な問題であり、現にこれだ
けの車社会になっている以上、難しいのではないでしょうか。
三つ目は、地球環境を考えた場合、今税金を廃止して、ガソリン
を安くするのは時代に逆行するという意見です。この意見には、私
も賛成です。外国ではガソリン税を上げる方向の国があるとの話も
ありますし、なにより現在の車社会に少しブレーキをかけ、公共交
通機関を再生しよう、排気ガスを少しでも減らそうという地方の立
場からしても、ガソリン値下げは最善策ではあり得ません。少しで
も化石燃料を減らす方向は、重要なテーマであり、二酸化炭素削減
に向けて、大きな効果があるのではないでしょうか。
以上三つの意見に対し、私見を交えて述べさせていただきました
が、ではどうすればよいかですが、
(1)新年度予算および予算関連法案については、このまま政府予
算案を通す。
(2)そのあと、国会で十分議論して、道路特定財源にかかわらず、
一般財源化をどうするかについて結論を出し、平成21年度予算
に向けて実行できるようにする。
この2点を、ぜひ決めていただき、地方が安心できるようにして
いただきたい、心から願っています。
実はここまでは、3月以前に考えていたことをまとめたものです
が・・・2月末、自民党が衆議院で新年度予算案と予算関連法案を
強硬採決したことで、状況は少し変わってきたようです。
憲法の規定により、予算案は衆議院の議決から30日たつと自動
的に成立するということですから、3月末には予算成立ということ
です。それはそれで良いのですが、予算関連法案は、民主党など野
党が参議院で審議・議決しないときは、多分60日たたなければ、
成立しないということでしょう。暫定税率の継続も、1月末のドタ
バタの結果、衆参両院議長斡旋(あっせん)で、3月末までに一定
の結論を得るということになっているわけですが、民主党の主張で
は、自民党の強硬採決によって環境が変わったということで、宙に
浮いているような感じです。
地方自治体の立場から申し上げれば、予算案本体は成立する見込
みとなったわけですが、新年度の歳入不足という最悪の事態が回避
されたわけではないのです。国から地方への支出は予算化されても、
予算関連法案が成立しないと国の収入に穴が開くことになるわけで
すから・・・しかし、国も地方に対する責任もあると考えると、な
んらかの手はうってくるであろう・・・歳入に不足が生じないとな
ると、暫定税率継続で結束していた地方団体も意見がばらつく可能
性も出てくるような気がします。
加えて、暫定税率やその他関連法案が4月末にならないと成立し
ないとなると・・・複雑な状況になってきてしまいます。
問題は、暫定税率が1カ月だけ無くなるということで、その間だ
けガソリンの価格が下がるのでしょうか?小売価格に跳ね返るのは
いつなのでしょうか、石油元売り各社もどう対処するか、迷うでし
ょう。消費者も多分混乱するのではないでしょうか。
2008年3月13日木曜日
「おいでよ長野」にお出掛けください
ずいぶんと日も長くなり、春めいてきましたが、この陽気に誘わ
れて出掛けたいと思われている人も多くいらっしゃると思います。
「おいでよ長野」という誘客キャンペーンを開催しますので、今
回は観光交流について書かせていただきます。
地域の活性化に向けて、これまでもさまざまな事業を行ってきま
した。その中でも、経済波及効果の即効性が期待できるのは、やは
り観光です。
平成26年度に迫った新幹線の金沢までの延伸や、体験型・参加
型観光へのニーズの高まりなど、観光をめぐる環境の変化に迅速に
対応し、滞在型観光地としての魅力も備えた「観光立市ながの」の
確立が、長野市にとっても課題です。
新年度は、「1200万人観光交流推進プラン」の3年目に突入
します。そこで、飯綱高原と善光寺界隈(かいわい)の集中的なキ
ャンペーンを展開していきます。飯綱高原では、「オトナリ飯綱高
原」と銘打ち、自然・芸術・スポーツ・食をテーマに、近隣エリア
からの交流人口の拡大を図ります。
また、善光寺界隈では、平成21年春に開催される「善光寺御開
帳」を軸に、「再游 善光寺」と銘打ったキャンペーンを2年間に
わたって展開していきます。この「再游 善光寺」というキャッチ
フレーズは、江戸時代の僧侶「良寛さん」が、42歳のころ20年
ぶりに善光寺を参詣した折に、したためた漢詩からとったもので、
仁王門脇に石碑が建立されています。キャンペーン序盤での大イベ
ントとして、平成の大修理が終わった善光寺三門(山門)の落慶記
念事業として数十年ぶりに登楼ができるとのことで、山門の中にあ
る文殊菩薩像や修復された内壁画の観覧や、何より楼上からの眺め
を大いに期待しています。
今年度は、NHK大河ドラマ風林火山を最大限に生かした「川中
島の戦いゆかりの地」や、「戸隠イヤー」には多くの皆さんにお出
でいただきました。ただ、このにぎわいを一過性のものにしないよ
う、継続的な誘客活動に取り組み、地域ブランドを確立していくこ
とは大切なことです。
また、広域連携による誘客活動も大切な視点です。集客プロモー
ションパートナー都市協定を締結している、金沢・上越・甲府の3
市との交流事業や、「信州北回廊プロジェクト」の充実を図ってい
きたいと考えています。
そして、3月20日(木)から23日(日)の間、誘客キャンペ
ーン「おいでよ長野」を横浜市のランドマークプラザで開催します。
市制110周年記念事業として、首都圏の皆さんに長野市の観光・
物産などを積極的にPRし、交流人口の拡大につなげることを目的
にしています。
共催は、長野市農業公社、ながの観光コンベンションビューロー。
後援として、横浜市経済観光局、横浜商工会議所、横浜観光コンベ
ンション・ビューローの皆さんにもご協力いただいています。
30~40歳代のファミリー層および50~60歳代のシニア層
をターゲットに、一つは、合併後の“新しい長野市”の観光・物産
PRをして、長野市を訪れる楽しみを醸成したい。そのために、長
野市の豊富な自然を満喫する提案や、自然・名所・旧跡などの周辺
観光を提案していきます。もう一つは、長野市での生活情報「ふる
さと情報」を提供し、「こんな街に住めたらいいな」という気持ち
を醸成し、長野市に住む魅力を発信します。
具体的に言えば、この「おいでよ長野」は、豊かな自然・名所旧
跡の魅力、味、のんびり感、まち並み、温かみなどをイメージした
イベントスペース(ランドマークプラザ3階)、ガーデンスクエア
(同1階)、フェスティバルスクエア(同1階)の3会場で、「長
野市の風景を体感できるイベント」です。
イベントスペースは、「長野市ってどんなところ?」として、一
目で分かる長野市展示ゾーン。ガーデンスクエアは、長野市の春を
先取りした「花いっぱいミニ長野市」。フェスティバルスクエアは、
長野市の味・物産、観光情報、ふるさと情報が手に入る、展示・P
Rゾーンという構成です。
イベントとしては、会場内スタンプラリー、リンゴの数当てクイ
ズのほか、22日(土)には、いい街「長野」トークセッションの
ゲストとして「ふるさとNAGANO応援団」のメンバーでもある
北村晴男弁護士をお迎えします。
このようにいろいろな企画が用意されています。首都圏の皆さん
にはぜひ足を運んでいただき、また長野にお住まいの方は知人にぜ
ひPRしていただきたいと思います。
そして、長野をもっと身近に感じていただけたら、実際に春の長
野を楽しみに訪れていただきたいと思います。
最後に、この「おいでよ長野」の開催場所である横浜市と長野市
の縁について、お話しします。
横浜が国際港都市として、現在の繁栄をつくり上げた原点の一つ
として、長野市松代出身の佐久間象山先生の業績があります。
象山先生は、早くから開国と通商貿易の必要性を主張し、多くの
門下生を育てましたが、その中には、勝海舟、吉田松陰、坂本龍馬、
橋本左内、小林虎三郎らがいました。いずれの方も皆さんご存じの
明治維新の立役者です。
天保13年(1842年)に松代藩の八代藩主真田幸貫が幕府の
海防掛老中になると、顧問として海外事情の研究を命ぜられ、「海
防八策」を提出しました。また、西洋砲術を学び、各藩からの依頼
で大砲の鋳造や演習なども行っています。
嘉永6年(1853年)、ペリー艦隊が浦賀沖に来航した際には、
松代藩軍議役として横浜に滞在して浦賀警護の任に当たるとともに、
幕府老中に建言書を提出しています。
特に、安政元年(1854年)に、江戸から離れた下田を開港し
ようとした幕府に反対し、横浜開港を強く主張したことは、象山先
生の先見性を表していると言っても良いでしょう。
その功を顕彰するため、昭和29年(1954年)に、開国
100年を記念して、当時の横浜市長平沼亮三氏の筆になる立派な
碑が、野毛山公園に建てられています。
そして、来年2009年は横浜港開港150周年に当たるそうで
す。
横浜市と長野市、松代藩の縁は、佐久間象山先生を通じて、今日
に続いていると言っても良いでしょう。
※次回のメールマガジンは、3月19日水曜日に配信予定です。
2008年3月6日木曜日
合併協議の申し入れと公共交通機関の再生
2月20日(水)、信州新町・中条村の両町村長が、副町村長、
町村議会正副議長、帯同で、長野市へ来られ、長野市との合併協議
をしたい旨の申し入れがありました。
長野市からは、市長、副市長、市議会正副議長がそろってお会い
し、申し入れ書をお受けしました。
長野市としては、今後の対応について、市議会と十分な意見交換
をしていきたいと考えています。
従来長野市としては、周辺町村との合併について「それぞれの自
治体が住民総意の下で合併協議の申し入れをいただけば、真摯(し
んし)に受け止めてまいります」と申し上げてきました。その結果、
平成17年1月1日、豊野町・戸隠村・鬼無里村・大岡村との合併
が成立したものですが、今回、再び新たな合併の申し入れを受けた
ものです。
この申し入れに先立ち、両町村ではかなり長い時間をかけて、各
地区での住民懇談会の開催や、住民意向調査を実施されてきました。
特に本年に入って1月の住民意向調査では、中条村では90%以上、
信州新町では70%以上が長野市との合併に賛成という結果であっ
たということは1月30日に既に報告を受けていました。
この合併賛成に対する比率の高さは、前回の4町村との合併時の
数字よりはるかに高いものであり、びっくりしたと言うのが、正直
なところですが、住民総意の下での申し入れという長野市側の条件
は、十分クリアされたものであると思っています。
合併については、双方の住民の気持ち、歴史、文化、経済、住民
サービス、財政問題・・・あらゆることでいろいろな検討をして、
重要な決断をしなくてはならない問題ですが、実は行政組織にとっ
て、事務的には大変な作業があるのです。三年前の4町村との合併
時には、市町村が行う約2,500項目の事務事業について、すり
合わせが行われていたようで、今回二つの町村であっても、大きな
違いはないということです。
長野市とすれば、今後対応を慎重に検討しますが、合併について
は、三年前既に経験済みですので、その経験を生かして進めていけ
ば、事務的な検討については比較的スムーズにできるであろうと思
っています。
合併に関しては、市議会と市の理事者が十分話し合うことは当然
ですが、市民の皆さんのご意見もいろいろな機会を通じてお聞きし
ていくことが大切です。前回は合併に関する市民会議を、市内11
カ所で開催した記憶があります。
私の個人的な意見を申し上げれば、今日長野市が38万人余の人
口を有する中核市に成長し得たのは、何度かの合併、そして周辺の
町村の人たちが長野市に移り住んできていただいたことも一因であ
り、それ故に周辺自治体が人口減になり、厳しい状況だとすれば、
「共にやっていきましょう」というのは当然のことと感じています。
加えて、前回の4町村との合併は、現段階での評価を申し上げれ
ば、成功だったと思っています。
現在、3月市議会定例会が開催中です。この問題については、初
日の施政方針演説、および議会全員協議会にご報告しました。3市
町村による合併についての事務的な合同研究会を立ち上げることに
ついてご理解いただきました。今後いろいろな検討をしていくこと
になります。
3月市議会定例会では、新年度予算についてが主要な話題である
ことは当然ですが、「合併について」、「公共交通機関の再生につ
いて」も議論になるかもしれません。
少し長くなって恐縮ですが、ここで公共交通機関の再生について
も、施政方針演説のその部分を引用して、報告させていただきます。
私は公共交通、中でもバス交通を都市のインフラと位置付け、就
任以来地域循環コミュニティバスや、空白地域における乗合タクシ
ー、中山間地域における地域参画型の乗合タクシーの導入などさま
ざまな形態による生活移動手段の確保・充実に努めてまいりました。
また、合併4地区で運行されている市営バスについては、利用し
やすく持続的な運行となるよう平成21年度の再編を目指し、地域
の皆さんとの協議を進めているところであります。
こうした中で、昨年末に発表された松本電鉄などアルピコグルー
プの金融機関に対する再生支援要請、そして、信南交通の地域路線
バスからの撤退というニュースは、非常に衝撃的なものでありまし
た。とりわけ、市内の7割以上の路線を運行しております「川中島
バス」もアルピコグループの傘下であり、その動向が非常に気にな
るところであります。
市内の路線バスの利用者は、20年前と比較いたしますと約半分
となっており、多くの路線が赤字路線となっています。
このため、事業者は不採算路線の整理や縮小などにより経費の節
減を図り、それらが招くサービスの低下などにより「バス離れ」が
進行するという負のスパイラルに陥っている現状にあり、今後もこ
うした厳しい状況が続くことが懸念されます。
地域の公共交通は、活力あるまちづくり、環境負荷の軽減、高齢
化社会における生活環境づくりには欠かすことのできない都市のイ
ンフラであり、何としても守っていかなければなりません。
こうした事態に危機感が募りますが、市といたしましては、地域
の公共交通の在り方を見直す一つの良い機会としてとらえ、アルピ
コグループの動向を見極めつつ、また、長野電鉄など市内交通事業
者のご意見もお聞きしながら、持続可能な公共交通システムの再構
築に向けて調査・研究を進めてまいりたいと考えております。
また、市民の皆さまには、公共交通の維持・存続を図るため、そ
して環境対策のためにも、公共交通機関の積極的な利用を強く願う
ものであります。
以上、今回のメルマガでは、今後大きな話題になっていくと思わ
れる合併と公共交通に関し、報告させていただきました。