2003年4月24日木曜日

2つの助成制度について


 昨年から長野市は、雨水貯留施設の設置について助成制度を設け、
市民の皆さんにも治水対策の一部にお手伝いをいただいています。

 近年、都市化の進展とともに、降った雨がすぐに下流に流れ出る
ため、水害が起きやすくなっています。雨が降ったとき、洪水を起
こさないための一つの手段として、水を一時貯留することが大切で
す。都市化されていない場所、すなわち緑の多い山地や野原、ある
いは昔のように、水田がたくさんある地域では、水を一時的に貯留
し、流出を抑制してきましたが、建物が密集した市街地ではそれは
望めない。どうしても一時的にどこかへ貯めて、徐々に下流に流す
ことが必要となります。

 ご家庭の屋根に降った雨は、雨樋から側溝を伝わって川に流れ出
ます。途中、コンクリートなど浸透性のない構造物で造られている
都市部では、川まで流出する時間が短い。個々のご家庭の屋根の雨
量はたいしたことはないとお感じでしょうが、トータルすると大きな
水量となります。
 そこで、この雨水貯留施設を設置していただくと、川の負担がその
分軽減され、貯留タンクの雨水は、庭木の水やり、散水などの雑用水
として使えるほか、災害時の一時しのぎ的な(水洗トイレ、手洗い)
水利用もでき、一挙両得なのです。タンクの容量やデザイン、そして
価格もいろいろあるようですが、ぜひ検討して設置していただくよう
にお願いします。

 もう一つの助成制度として実施している「生ごみのコンポスト化」
(注)も、ごみ減量という環境問題に大きな力を発揮するものと期待
をしています。ごみの減量は持続可能な社会の建設という観点から、
また、処理コストからみても大変重要な問題です。特に現在、長野
市の家庭から出る可燃ごみの40%は生ごみなのです。生ごみを減
らすことがすなわちごみ減量の切り札なのです。大規模な生ごみ処
理施設を造ることも、もちろん研究していますが、一番の難問は、
「におい」の問題があって、迷惑施設として受け入れていただく場所
が見つからないということです。そこで、個々の家庭にお願いして
自家処理することによって、生ごみの全体量を減らそうということ
です。

 コンポスト・ぼかし容器では、においが気になる、置き場所がない
という方にも電動の生ごみ処理機ならば設置が可能です。
 最近はいろいろなメーカーが、いろいろなタイプの電動生ごみ処
理機を作って売り出しています。家の中に設置しても、においが全く
苦にならないタイプもあるようです。また、生ごみ処理機で処理した
ものは、畑や園芸などで有機肥料として利用できます。

 こちらも助成制度があり平成15年4月1日以降の購入者からは
補助金の上限が2万円から3万円に改正されましたので、ご協力を
いただきますようお願いします。

 この2つの助成制度は、市民と行政がパートナーシップでやって
いこう、という政策の典型的な形と考えています。一つひとつは小
さい量ですが「塵(ちり)も積もれば山となる」の例えどおり、防災
や環境問題に大きな役割を果たすものと感じています。


(注)コンポスト=都市ごみや汚泥などから作った堆(たい)肥

2003年4月17日木曜日

もんぜんぷら座と楽茶れんが館


 4月4日(金)、もんぜんぷら座の1階に「TOMATO食品館」
が正式オープンし、併せて、同じ日に大門町の旧長野市物産館が
「楽茶れんが館」としてオープンしました。善光寺の御開帳に
ぎりぎり間に合ったことで、滑り出しは極めて順調に推移している
ようです。

 この両館は、どちらも建物の所有は長野市ですが、行政で直接
何かをやるというのは、どうも好ましくない。旧長野市物産館は
やり方も悪かったのでしょうが、毎年1000万円以上の経費を
かけ運営していました。建物は中心市街地の賑わいのためにはどう
しても必要な地点なのですが、民間会社はこの不況下では、なかなか
積極的には進出しないということで、長野TMOに依頼し、商工
会議所や周辺商店街の皆さんの協力を得て、「楽茶れんが館」とし
て生まれ変わり、新しい出発にこぎつけたものです。

 TMOとは、平成10年に出来た法律(略称 中心市街地活性化法)
に基づいて、地方自治体が中心市街地の活性化に取り組む組織を
市が認定するものです。全国的には珍しいそうですが、長野市では
長野地区・篠ノ井地区・松代地区の3か所を中心市街地に指定し、
それぞれの地域が行政と一体となり活性化の計画を作り、その中の
計画を実現するため、昨年3月に長野商工会議所を長野地区のTMO
として認定したものです。ただこれは当面の処置でして、将来国の
有利な補助金を大きくお願いする場合には、行政も出資する必要が
あるようですし、その時は第3セクターに組み替える場合もあるの
でしょう。

 さて、「楽茶れんが館」ですが、あの建物は明治時代の末期、
馬車引き会社の建物として建てられたもので、当時流行の煉瓦造り
で、大変由緒あるものだそうです。もうお亡くなりになりましたが、
建築家としても有名だった北野幾造さんが、「あの建物は長野とし
て絶対に残さなくてはいけない」、とおっしゃっていたことを思い
出します。

 TMOのタウンマネージャーに、「運営費の補助はしないけれど、
お任せするからなんとか賑わいのある施設として、公的施設の利用
として批判されないような形でやって欲しい」とお願いしました。
当然のことながら儲けながらやることは必要です。そうでなくては
長続きしないでしょうし、古い建物ですから使い勝手はよくないか
も知れませんが、歴史のある建物として生かしてもらい、質の高い
観光の拠点として活用して欲しい。そして、経営が軌道にのり一定
の利益が出るようになったら、長野市に家賃を払ってくださいと伝
えてあります。

 もんぜんぷら座については、大型店の撤退、倒産で生じた中心街
の空洞を何とかしよう、ということで、昨年の6月市議会定例会で
議決を受けて買収が決まってから、改修計画と同時に利用方法の検
討をしてきました。今年の御開帳までには間に合わせたい、何とか
賑わいをつくろうということで、準備に全力をあげてきました。

 1階部分については、中心市街地の大型店の撤退や閉店で、生活
用品、なかでも食品を買う場所がない、特に近所のお年寄りが困っ
ているということでしたので、TMOに出店していただきたい
とお願いしました。地元商店街や経済界の協力を得て、株式会社
「まちづくり長野」(資本金5000万円)が設立され、4月に
「TOMATO食品館」が開店されました。

 正直言って、御開帳前には間に合わないと思っていましたが、タ
ウンマネージャーの服部さんの過去の経験や人脈が生かされ、何と
か4月1日のソフトオープンにこぎつけました。オープン以降、
間違いなく人の流れが出てきています。6月になると、地下から
3階まで食品館以外は公益的な利用(2階は子供のスペース、
3階は市民活動のスペース、地下は演劇の練習場など)を中心と
してオープンしますし、4階以上についても何とか利用したいと
考えて検討中です。

2003年4月10日木曜日

元気なシーズンが始まりました


 4月6日(日)から5月31日(土)まで、7年に一度の善光寺
御開帳が始まりました。
 長野市は、1300年余の歴史を刻む善光寺を中心に門前町とし
て発展してきた歴史があります。多くの善男善女をお迎えして、善
光寺御開帳が盛大に行われることは長野の活性化にとっても大いに
資することになると思います。

 御開帳に先立って、3月30日(日)には、恒例の御開帳回向(えこう)
柱が、古式豊かに松代町善光寺回向柱寄進建立会の皆さんの手に
よって奉納されました。
 真田十万石の14代当主真田幸俊氏が馬上豊かに先導され、松代
の皆さんの槍振り隊や大名行列、裃(かみしも)姿の町の役員方、
そして善男善女と牛に引かれた回向柱の賑やかな行列が、中央通り
を練り歩きました。
 末広町の交差点から善光寺までの中央通りの人並みは、観光客の
皆さんも相当に多かったように思いますが、市民の皆さんも大勢見
物に集まっていただき、この御開帳に思いを寄せておられる姿を感
じました。
 回向柱は、善光寺本堂前に建立され、御開帳期間中は、本堂の前
立本尊中央の阿弥陀如来の右手と「善の綱」で結ばれ、多くの方と
縁を結ばれるとお聞きしています。

 4月5日(土)に善光寺の御宝庫に安置されている前立本尊が善
光寺本堂に御遷座(ごせんざ)され、6日(日)には開闢(かいびゃく)
大法要が営まれ、御開帳が始まりました。
 長野新幹線が開業して初めての御開帳ですから、56日間で約
600万人以上の参詣客がお越しになるのではないかと期待してい
ます。

 この時期の長野は、周囲の山々の雪が消えて、春らしい陽気とな
る季節であります。今年は特に色々なイベントが行われ、大変賑わ
います。
 まず4月中旬は、桜の花が満開になってお花見のシーズンです。
城山公園は勿論ですが、篠ノ井の茶臼山、地附山公園、松代城跡、
そして長い目でみると千曲川の堤防等々、桜を楽しむ人で賑わいま
す。将来は桜の街になるかも知れません。

 前後しましたが、大門町の「楽茶れんが館」、そして、もんぜん
ぷら座の「TOMATO食品館」のオープンは、街に活気を生んで
くれると思いますし、そうなるように期待しています。

 4月20日(日)には第5回長野マラソンが開催されます。春の
信濃路を一流選手と全国から集まった市民ランナーが一緒に走ると
いう長野マラソン独特の形式が、沿道を沸かせてくれることでしょ
う。

 4月26日(土)からのゴールデンウィーク中には、善光寺花回
廊の様々な行事が行われ、商店街やボランティアの方々の努力で街
中が花で一杯になると思いますし、その中で昨年好評だった「イン
フィオラータ・in・NAGANO」も29日(火)・30日(水)
の2日間に開催されます。

 5月の最大のイベントはなんと言っても御開帳に合わせて25日
(日)に行われる屋台巡行でしょう。町々の屋台が、善光寺三門前、
表参道(中央通り)、権堂通りなどの中心街ほか各町内を練り歩き
ます。前回の御開帳時には、期間中最高の人出だったと記録されて
います。年番町はじめ加盟町の皆さんのご尽力で、今回もきっと素
晴らしい屋台が繰り出されると思います。

 御開帳のハイライトは、総勢800名ほどがまるで王朝絵巻を見
ているような華麗な行列が進み、回向柱の前で厳粛かつ華麗な
法要が行われる中日庭儀大法要です。
 御開帳のポスターや写真でよくお目にかかるあの絢爛豪華な行事
ですが、大勧進(天台宗)、大本願(浄土宗)が日にちを変え1回
ずつ行われるもので、それぞれ4月26日(土)、5月10日(土)
に開催されます。

 昔から善光寺御開帳は、景気が悪い時期に門前の商店が善光寺さ
んに御開帳の開催をお願いしたという歴史があります。今でも長野
商工会議所が、「御開帳の開催をお願いします」と善光寺さんに請
願し、それを受けて寺側は開催するという形態をとっています。

 景気が悪い時期、こんな時こそみんなで元気を出したい、賑やか
さを取り戻したい、善光寺さんにあやかりたい。そんな切なる願い
を込めて、このシーズンを盛り上げていきたいものです。

2003年4月3日木曜日

若穂にグライダー練習場がオープンしました


 3月8日(土)に若穂多目的広場が完成し、開所式が挙行されました。

 屋島橋上流の若穂地区側の河川敷に造られたもので、主たる施設
は、関係者の皆さんの待望久しかったグライダー練習場です。滑走路
は総延長850m、幅員30mを備えた本格的なものです。これから
大いに活用される施設として期待しています。

 当初、社団法人長野県航空協会の皆さんから、ぜひグライダーの
滑走路を造って欲しいという陳情がありました。私はあらかじめ陳情の
内容について報告を受けていたのですが、長野市民の登録協会員は
60~70名ということで、比較的小規模なスポーツ団体の設備に
市費を投入することは、市民の合意が得られないのではないかと
考えていました。

 ただ、陳情に来られた皆さんが大変熱心であり、千曲川に沿って
安定した穏やかな北風が吹いているあの場所は、グライダーを飛ばす
には日本一といっても過言ではないほどの立地条件であり、こんなに
気流の良い場所に滑走路が完成すれば、会員がすぐ倍増するだけで
なく、グライダー仲間が日本中から集まってくるという話をお聞きしまし
た。

 その後、担当課との協議やいろいろな方々からの話ですと、長野市
周辺の気流がグライダーにはとても良いということは事実のよう
なのです。日本海から吹いてくる風が北アルプスにぶつかり、さらに
それが飯綱山等の北信五岳にぶつかることにより上昇気流となる
ことが、グライダーを飛ばすためには絶好の条件なのだそうです
(開所式の時、主任指導員の万場さんから聞いた話ですが、この風
を上手く利用すれば高度7000mまでは上昇できるとのことです)。

 私は、ここで飛びたくて日本中からグライダー仲間がやってくる、
あるいはグライダーを楽しみたいが故に、この地に根をおろしたい
という人もいるでしょうという話もお聞きしました。長野市の魅力
をどうすれば増すことが出来るか、いろいろあるとは思いますが、
独自性を出すということが、すごく大切であることは事実でしょう。
私はグライダーがいずれ長野の名物の一つになると信じて、担当者
と十分協議した上で、施設整備に踏み切りました。

 滑走路の近くの堤防脇には格納庫や研修施設もあって、グライダー
が何機も駐機しています。エンジンの付いたもの、二人乗り、
一人乗り・・・・、素人が見ても楽しくなります。多くの人が空に
魅せられるのが分かるような気がしますし、信大生の中にも結構
魅せられている人がいるようです。

 会員以外の方が行っても体験飛行で乗せていただけるということで、
私も誘われましたが「暖かくなったらよろしく」ということでその時は
遠慮させていただきました。しかし、確かに気持ちよさそうです。

 なお、この広場は、グライダー練習以外にも地区花火大会、凧揚げ
大会、防災訓練、防災ヘリの緊急離着陸場所等としても使われますが、
施設の管理運営は専門知識が必要なため、(社)長野県航空協会に
委託しました。

 ぜひ、長野の澄みきった大空に全国からグライダーの愛好家が
集まり、「飛びたいのなら長野に行こう」と言われるようにしたい
ものです。