長野にはいろいろな祭りがあります。分類してみると(分類する
ことに意味があるかどうかは別ですが)
・びんずるやえびす講煙火大会等、大勢の人が参加する、いわゆる
観光・市民祭。
・秋祭り等の神社・お寺の地域の伝統的な祭り。
・地域の皆さんが、皆で楽しむ手づくりの祭り。
・健康祭り・スポーツ大会のような運動中心の祭り。
・豊作を祝ったり、農作物の直売を行う農業祭。
別の要素からみると、古くからある伝統の祭り、現在の皆さんが
つくり出した新しい祭りという分け方もあるかもしれません。いず
れにしろ、長野にはたくさんの祭りがあります。合併した4町村に
も、素晴らしい地域の祭りがありますし、長野オリンピックを記念
した灯明まつりも年とともににぎやかになっています。
夏祭りのシーズンを迎え、7月15日に御祭礼屋台巡行が行われ
ました。この祭りは、弥栄神社の祭りとして、大変歴史の古いもの
で、弥栄神社の齋藤宮司の「弥栄神社と御祭礼」に詳しく書かれて
いますので、詳細はそちらをお読みください。
私の経験した屋台巡行は、昭和30年代、年番を担当する御祭礼
加盟町の力が衰えはじめ、毎年の屋台巡行が難しくなりはじめた時
期、例えば私の生まれた西之門町の区長さんの話によりますと、昭
和38年に「今年が最後、今後は屋台巡行はしない」と宣言して、
最後の巡行を行い、その後屋台は町倉に入ったままとのことですし、
西町の屋台は長野市立博物館に飾られていて、立派ではありますが、
多分巡行することは難しいでしょう。
また、屋台会館を作ろうという議論は昭和40年代からあったよ
うに思いますが、いまだ実現していません。場所が無い、お金が掛
かりすぎるというのが大きな理由でしょうが・・・財政が大変な時
期は、どうしても後回しになってしまうのは、仕方がないことかも
しれません。
私の知っている範囲ですが、過去いろいろな屋台の展示館を見て
きました。高山市、長浜市、小布施町・・・一番近い所では合併し
た鬼無里には素晴らしい会館があり、屋台4台、神楽2台が飾って
あります。
屋台は組み立てたり、保管のために解体したりするのが大変で、
屋台会館で組み立てたまま保存できれば、毎年の負担はかなり減少
するということです。ただ毎年、ある程度補修をする必要があると
いう意見もお聞きしています。私の見た長浜市の曳山博物館には、
常時補修できる工房があったように、記憶しています。
歴史の資産は一度無くなってしまうと、回復は困難です。何とか
残したい・・・歴史と伝統を残していくためには、大きな負担が必
要です。
それでも、幾つかの町は頑張って、毎年は無理でも、例えば善光
寺御開帳の折等には、屋台巡行を行い、伝統の灯を守っていただい
ています。今年は、善光寺の本堂再建300年のお祝いということ
で、4年ぶりに権堂町、西後町、大門町、元善町の4つの屋台が巡
行しました。
当日は、勢力の強い台風4号が九州から四国、紀伊半島と進んで、
西日本で雨の被害が出ている中、偶然ですが梅雨の間の晴れ間とい
うのでしょうか、何とか雨も降らず、久しぶりの屋台巡行は無事奉
納され、市民の皆さんの目を楽しませてくれました。
私も、もんぜんぷら座前から善光寺まで、神の代理として選ばれ
た少年が乗る白馬と一緒に歩かせていただきました。これは「御先
乗り」と称し、純真な稚児に神が乗り移り、夏の疫病を祓(はら)
うという信仰だそうで、長野を彩る夏の風物詩でした(白馬は飯綱
高原乗馬倶楽部のスノーフレーク、私も時々お世話になる、大変お
となしい馬でした)。
行列は、中央通りから権堂アーケードに入って、秋葉神社で休憩。
そして再び中央通りに戻って、大本願、大勧進に寄ってご挨拶をし
てから善光寺三門前(三門は今年一杯工事中です)へ。三門の前に
着席、大勧進のご貫主様、大本願のお上人様等々と一緒に、屋台奉
納を受けて答礼する立場で着席させていただきました。
屋台奉納が始まり、午前中は権堂の暴れ獅子〔勢獅子(きおいじ
し)〕付きの屋台、次は西後町の屋台、午後は大門町、元善町の屋
台奉納が行われました。いずれも各町の意気と典雅さ、そして立派
な屋台を誇りとしている姿が感じられました。
以上、今年は4つの屋台の巡行でしたが、久しぶりの屋台、良か
ったです。天気がもってくれたことが何よりですが、元善町の屋台
は、故笠原市議会議員と元善町の区長の決断で、伊勢町の屋台を譲
ってもらったものだそうで、近隣の町も共同で運行しているとのこ
とでした。また大門の屋台は現在修復中の屋台を引き出したとのこ
とですが、なかなか素晴らしい屋台でした。西後町の屋台は、信州
大学の学生たちがボランティアで屋台の組み立てを手伝ってくださ
ったそうで、新しい動きがいろいろ出てきているようです。
日本三大祇園祭とまでいわれた長野の御祭礼が、毎年できなくな
った理由を考えてみますと、何といってもまず大変お金が掛かるた
め、町や商店街にそれを負担する力がなくなってきた、中心市街地
の町の人口が減り、人手が足りなくなってしまった、交通事情も車
の往来が激しくなって、屋台運行がしづらくなった(当時は歩行者
天国という発想はなかった)、というようなことだったと思います。
最近は行政も補助金を出したり、歩行者天国も比較的楽にできるよ
うになりましたし、ボランティアの手伝いもあるようですが・・・
それでも運行する町の負担は大きいとのことです。屋台の車輪は木
製で、重さに耐えることはかなり大変のようですし、その屋台の補
修をする職人さんも少なくなってきているそうです。
何とか伝統を残したいと思っていますが・・・最近中心市街地に
マンションが林立してきて、人口が増える傾向にあるようです。そ
こに住む新しい住民の方々が、意気に感じて、屋台運行に取り組ん
でいただければ・・・なんて勝手に思っているのですが。
御祭礼が毎年できないなら、何とかほかの形式で祭りをやろうと
いうことで、長野商工会議所や長野青年会議所が熱心に取り組んで
きました。
昭和30年代の長野広告祭り、昭和40年代前半の城山公園の噴
水の周りでの「火と水と音楽と若者たち」、そして昭和46年から
始まった「長野びんずる」です。そしてびんずるは創設以来、今年
で37回目になります。私の個人的な感想ですが、長野びんずるの
前の「火と水と音楽と若者たち」なんてお祭り、もう一度復活して
も良いような感じがしています。
そのほか、夏祭りはいろいろありますので、既に本年終了したも
のもありますが日程と祭りの名前だけ報告しておきます。
7月15日 御祭礼、7月27日~8月7日 権堂町の七夕まつ
り、7月28日 篠ノ井合戦まつり 若穂ふれあい踊り 大豆島甚
句まつり、8月4日 長野びんずる、8月4・5日 戸隠ミセスウ
ェストン祭、8月5日 豊野ヨイショコまつり、8月10日 飯綱
火まつり、8月14日 大岡ひじり三千石祭り、8月14・15日
善光寺お盆縁日、8月15日 鬼無里ふるさと夏まつり、9月
1日 川中島古戦場まつり
今年はあちこちで盆踊りが復活しているようです。皆さん浴衣掛
けで、ぜひ参加しましょう。