長野県市長会長に就任したことは、既に第264号のメルマガで
報告させていただきました。
ただ、この市長会長については、大変多くの当て職があり、正直
まだ整理がついていない状態ですが、責任を果たすために一生懸命
手探りで取り組んでいるというのが、実感です。
まず、後期高齢者医療広域連合ですが、この広域連合の連合長に
就任したことについてはすでにご報告いたしましたが、後期高齢者
医療制度の財政運営は、国の方針により長野県内81市町村で構成
した広域連合で行うことになっており、平成20年4月にスタート
するための準備を進めています。年金に関する社会保険庁の実態を
見ていますので、慎重に、そして誤りがないように、県派遣の事務
局長を中心に、市町村から職員を派遣していただいて、来年へ向け
て一歩一歩進んでいます。現段階で行うべき準備は確実に進んでい
ますので、事務的にはご安心いただけると思っています。
次に、市長会長の当て職の一つである長野県市町村振興協会の理
事長職ですが、先日、本年度の理事会が開催され、正式に私が理事
長に就任し、昨年度の事業報告・決算、本年度計画などが承認され、
スタートしました。
理事会メンバーは、県の総務部長・市町村課長、市長会・町村会
の正副会長、市議会議長会・町村議会議長会の会長、それと市長会
・町村会の事務局長、都合10人で、監事は市町村の収入役2人
(本年の場合、塩尻市と長和町)が就任しておられます。
この協会の主な仕事は、「県を通じて協会に配分されてくる宝く
じの収益金を、どのように使うか」を決めることといっても言い過
ぎではないと思います。そこで主な事業概要を報告させていただき
ます。
一つには、市町村職員の研修費、市町村団体(市長会、町村会、
議長会、監査委員会など)への補助。あわせて廃棄物や県と市町村
のあり方検討会等、県全体で話し合いをする会合への助成、市町村
行政情報ネットワーク事業や自治会館管理運営費への助成、市町村
ハンドブック等印刷物の作成経費・・・これらは合計約9千万円
(平成19年度予算では約1億円)ほどの事業ですが、各団体にと
って、無くてはならない原資になっています。
二つには(これが大きな事業ですが)宝くじの販売促進事業を行
って、その収益金をもって、基金を設置し、市町村に対する災害時
の融資、緊急を要する施設等の整備事業のため、基金の運用を行っ
ており、以下のような事業を実施しています。
(1)基金を長・短期の貸付金として、必要な市町村に貸し付けを
行っています。この分野は、平成18年度末の段階で貸付残高
135億円余り、現金約70億円余り、合計205億円の資金を
保有して、運営しています。
長野市もこの基金から約10億円を借りています。岡谷市も昨
年の災害時、緊急資金を借り入れています。緊急災害時に備える
など、一定の資金確保は今後も必要なことと感じています。
(2)コミュニティー助成事業への交付金は、基金収益などを利用
して、地域における芸術・文化の振興に係る市町村等が行うコミ
ュニティー活動に助成するものです。長野市でも、地域のおみこ
し・子ども用神楽、太鼓に助成を受けています。
(3)市町村交付金(オータムジャンボ宝くじ)。これは目的を特
には制限せず、市町村へ交付するもので、81市町村に均等割
25%、人口割75%で、分配しています。平成18年度の場合、
約4億円弱の金額を分配し、長野市は約5400万円余りの配分
を受けています。
(4)基金交付金(サマージャンボ宝くじ)。この交付金は、緊急
時のための必要な基金残額が確保されたことから、本年度から市
町村に交付することにしています。本年度は、全体で6億円の分
配となりましたので、長野市では8千万円余りの配分を受けてい
ます。
いずれにしろ、この宝くじの収益金である交付金は、税収不足に
悩む市町村にとって大変重要になってきていると思います。本年以
降、毎年確実にとは言えませんが、サマージャンボ分を追加配分す
ることにしましたので、市町村にとっては、地域の元気を出すため
に大いに活用していきたいものです。
それには宝くじを大いに宣伝して、より多くの配分金をいただく
必要があることは当然です(この配分は県単位に、売り上げに比例
して分配されます)。県内の配分率については、前述のとおりであ
り、長野市とすれば均等割において若干不満がありますが・・・ま
あ仕方ないとしておきましょう。
以上、市町村振興協会についての報告です。長野市とすればこの
資金の使い方も今後重要になるように思います。
次は、北信農業共済組合と長野地区農業共済事務組合(以下「長
野地区」)の統合に関する話題です。長野市は、須坂市など周辺8
市町村とともに「長野地区」に入っています。北信組合は、中野市、
飯山市など6市町村で構成されています。
この両組合を統合しようということで、北信地域農業共済組合等
再編整備協議会が動き始めました。市長就任以来の課題が一歩前進
したということです。
農業共済組合という組織は、県内に5つあります。南信、中信、
東信、そして長野地区と北信です。そして長野地区だけが一部事務
組合(特別地方公共団体)、その他はすべて組合営(民営)です。
そして県内の5農業共済組合を指導・統轄する組織として、長野県
農業共済組合連合会があります。
市長就任当時、いろいろ勉強する中で、なぜこうなっているのか
どうしても理解できませんでした。NOSAI(農済)というのは、
農家の皆さんを対象にした、農作物や園芸施設などの共済事業を行
っているいわゆる保険屋さんで、農家が自然災害を受けたとき、そ
の損害を補償するため国が法律で定めた保険制度です。農家が掛金
を払い(国も一部負担しています)、被害があったとき、組合が損
害を補償するシステムで、農家にとってはなくてはならない保険で
す。
保険が主要業務である以上、母集団が大きくなくては・・・すな
わち加入農家数が多ければ多いほど、効率がよくなり、財政的に有
利になるということは、どなたにもご理解いただけると思います。
しかも運営費についても基本的に国から補助を受けており、細かく
規定されていますから、組合独自の運営範囲は限られるというのが
実態ですし、国からの補助も将来的にはかなり厳しいといわれてい
ます。
私は、この組織を早く統一して、県内を一つにしたいと考えまし
たが、どうも一気には難しいということで、まず北信組合と長野地
区を統合しよう、そして組合営とするため、長野地区が解散して北
信組合の区域を拡大する、という手法を考えました。若干ご不満の
向きもあるかと思いますが、実質は何も変わらない、行政の合理化
であり、サービスはもっと良くなる可能性がありますので、ご理解
をお願いします。
長野地区の一部事務組合が何で不都合かと言いますと、(1)農
家の建物・農機具共済については一部事務組合では扱えないので、
わざわざ任意共済推進協議会という組織をつくって行っていること。
(2)一番大切な仕事は、農家の皆さんと親しくなって、保険に加
入いただくことなのですが(もちろん損害に対する共済金の算定や
支払いもあります)、一部事務組合の職員は、構成市町村からの派
遣職員ですから、2~3年で転勤してしまう、そのためせっかく仕
事に慣れた職員が居なくなって新人になってしまい、農家の皆さん
との間に築いた信頼関係が途切れてしまうのです。組合営になれば
こうしたことも解消されます。
このようなことから、一日も早い統合、それも組合営に移行する
必要があると考えました。
以上、少しくどかったかもしれませんが、農業共済の統合の必要
性について、述べさせていただきました。実際の統合は平成21年
4月を目指していますので、ご理解いただきたくお願いします。