8月27日(金)夕方、信州大学・長野市連携協定調印式が行わ
れ、信州大学側からは小宮山学長、藤沢副学長、白井理事、赤羽教
育学部長、野村工学部長、事務局の方々が出席、長野市側からは市
長、両助役、教育長・両教育次長、企画政策部長、そして事務局が
出席しました。
この連携協定は、信州大学と長野市が包括的な連携のもと、文化、
産業、医療、教育、学術等の分野で相互に協力し、地域の発展と人
材の育成に寄与することを目的とするものです。
式では、この協定調印に至るまでの経過について長野市側から説
明をした後、学長と市長が協定書にサインし、固い握手を交わしま
した。
小宮山学長さんからは、「国立大学は独立行政法人になって生ま
れ変わりました。大学は地域との連携、密着を大切にし、協力関係
を構築していくことが重要であると考えています。信州大学の持つ
ノウ・ハウを地域行政に役立てていきたい」といった趣旨の挨拶が
ありました。
私からは、「現在も信州大学とは文化、教育、学術、街づくり等
の各分野にわたり協力関係を保っているが、今回の包括的な協定締
結によって、さらに魅力と活力のある都市づくりを進める上で、学
生の教育のみならず、情報や研究開発能力など、蓄積されている信
州大学の多様な英知が、今後の施策全般に大きな可能性をもたらし、
まちの活性化に大きく寄与していただけるものと非常に期待してい
る」と申し上げました。
具体的には、中心市街地の活性化に向けての事業協力や、公開講
座の開催等の生涯学習の推進、NPO等市民公益活動団体への支援
・協力・・・合併で大きくなる新市の経営に関するアドバイス等が
期待されると考えております。
従来からの信州大学と長野市との関わりについて主なものを記し
てみますと、
1.産学行連携支援施設建設事業―――現在工学部内に建設中。平
成17年4月オープン予定。企業の研究開発活動を推進し、新
技術、新製品の開発拠点となる先端テクノロジー分野に対応す
る施設。
2.ナノサイエンス産業都市構想―――中心市街地の遊休施設を大
学機関が利用して、まちの活性化を図る。ナノサイエンスビジ
ネスの地域産業を育てる等、非常に大きな将来構想プロジェク
ト。
3.教育学部との連絡協議会の設置―――長野市の教育の発展と教
育水準の向上及び教員養成の充実等を目的として、平成14年
4月に設置。
そのほか、長野市の附属機関(審議会・委員会等)への参画、市
民公開講座、コミュニティカレッジ(専門職従事者の再教育)構想、
出前講座、教員志望者の教育実践、環境学習会、歴史的遺構確認調
査など、いろいろなところで協力関係が築かれています。
調印式終了後に1時間程度の懇談が行われ、大学側からは松本市
で行われている熟年体育大学の話、長野市側からは、スポーツを軸
としたまちづくりということで地域スポーツクラブの育成、市立高
校との連携、合併に伴う長期計画策定への参画の可能性や増加する
宿泊施設のセミナー・合宿等への利用を打診しました。研究の余地
がありそうです。
また、本年度開催されるスペシャルオリンピックス(SO)への
ボランティア参加をお願いし、快諾していただくなど、いろいろな
話題で懇談させていただき、大変有意義な会合だったと思います。
長野市とすれば、大学の知的資源を行政のあらゆる場面で利用さ
せていただきたい。特に長野市が独自のシンクタンクを作るという
のは財政が厳しい折、困難ですが、大学の協力をいただければ、行
政の行う施策に大きな効果を期待できそうです。
大学としても少子化の時代の厳しさは勿論ですが、経営的にも国
の組織から独立行政法人に変わって、可能性は広がったとはいうも
のの、独自経営の責任も出てくるわけで、実績をあげる必要性、特
色ある経営の必要性、そして地域と密着した経営の必要性、を強く
意識しておられるようです。
信州大学は、キャンパスが県内に分散していることから、過去
「たこ足大学」と言われたこともありましたが、現在は逆に分散し
ている強みが出てきているのではないでしょうか。長野市には教育
学部と工学部があることは、皆さんご存知ですが、今度の包括協定
を結ぶことで、長野市とすれば頼もしいパートナーができたと思っ
ています。
さらに長野市には、私立の清泉女学院大、国立長野高専もありま
すし、短大もあります。長野市は大学が足りないので、若者が少な
いと言われてきました。確かにそのことは否定できません。しかし
現段階、インターネット大学院の計画も含め、高等教育機関が少し
ずつではありますが、充実してきているという実感があります。
今後は、豊かな自然と近代的な都市部が調和する長野で学ぼうと
いう学生さんが増えていくのではないでしょうか。