5月末、長野市の「エムウェーブ」と「スパイラル」が、文部科
学省から、ナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化
拠点として国からの認定を受けました。
また、「長野市中心市街地活性化基本計画」が総理大臣の認定を
受けました。これについては次週報告させていただくとして、今週
はナショナルトレーニングセンターについて報告をさせていただき
ます。
エムウェーブは言うまでもなく、長野オリンピック最大の資産で
あり、国内唯一のスピードスケート室内ダブルトラック・リンクで
す。設置者は長野市で、オリンピック終了後に、第三セクターの
「株式会社エムウェーブ」を設立し、指定管理者として管理・運営
を委託しています。スパイラルは国内、いや東洋唯一の国際的なそ
り競技施設で、長野市が、今日まで運営をしてきました。
しかしオリンピックの招致段階から、施設はたくさんできるので、
一つぐらいは国の施設(すなわちNTC)にしてもらいたい、とい
う思いは関係者の胸に常にあったわけです。
NTCになれば何が違うかですが、それは長野市の自由裁量の余
地は減るでしょうが、国の大きな予算の中で運営されるわけですか
ら、市が単独で行うよりはるかに大きなお金を掛けてもらえる、そ
れによる活性化は著しいものになるであろうということです。
1964年の東京オリンピックの時、東京には国立競技場をはじ
めたくさんの施設ができましたが、すべて「国立」です。以来今日
まで、運営はすべて文部科学省の外郭団体が、国の予算で運営して
います。1972年の札幌オリンピックの競技施設は北海道と札幌
市の予算で運営されています。
東京、札幌の両オリンピックは日本の国威発揚期のイベントで、
何が何でも成功させなければという国家プロジェクトであったが故
に、国が大きく関与したわけです。
しかしながら、長野オリンピックの場合は、長野がIOC(国際
オリンピック委員会)に1998年冬季オリンピックの開催地とし
て立候補した際の閣議了解によって、施設整備費は国が二分の一、
県が四分の一、長野市が四分の一を負担すること、施設運営費につ
いては基本的に長野市営(すなわち長野市負担)と定められた経緯
があります。
今は国威発揚の時期ではない、地方の責任でやりなさい、国は応
援はするよ、ということかと思います。
第三セクターの(株)エムウェーブの経営は、社長以下懸命の努
力をしていますが、市からの補助金が無くてはまだまだ無理な話で
すし、スパイラルは市から離れたらそれこそ成り立たないことは明
らかです。特にスパイラルは、市の財政構造改革懇話会から、長野
オリンピック記念基金(長野オリンピック終了時の剰余金)からの
補助が無くなったら(二年後ぐらいの予定)、廃止も視野に検討す
べきであるとの意見を頂いており、かなり苦しい状況でした。
そこへ、今回、文部科学省から両施設をNTCに認定するという
朗報を頂いたわけですから、大変ありがたいと思っています。文部
科学省、JOC(日本オリンピック委員会)、各競技連盟のご協力、
そして小坂前文部科学大臣のご理解に心から、感謝しております。
ただ、まだ詳細が決まったわけではなく、文部科学省と長野市教
育委員会の話し合いが重要になりますが・・・持続的な運営に向け
て一つのハードルを越えたことは事実です。
NTCとして、どんな高機能な設備を備えるのか、どのような選
手育成条件を満たしてオリンピック選手を輩出していくのか、どの
時期から氷を張るのか、地域の応援体制をどのように整備するのか、
市民・子どもたちのスケート会場としての機能は・・・などなど、
まさにこれからが、正念場です。スケートを選手も含めて職とする
人、企業も集まってほしいものと感じています。
全国中学生スケート大会が今後10年間、毎年エムウェーブで開
催されることも決定しました。また、本年度の冬季国体の開催も決
定しています。スケートのメッカとして、オリンピックを開催した
都市として、立派なNTCにしていきたいと考えています。
話は変わりますが、6月13日、本年度市県民税の納税通知書を
発送させていただきました。毎年のことですが、なぜ本年だけ、特
に私がメルマガで取り上げさせていただいたかですが、二点につい
て理解していただきたいと感じたからです。
(1)地方自治体をはじめ、前から望んでいたことですが、国から
地方へ税源移譲が行われました。すなわち、国税である所得税が
減り、その分が市県民税で増えました。権限委譲をするには税源
移譲が伴わなくては意味がないと地方が主張してきたことを、国
は認めたということで、真の地方分権への一歩であると感じてい
ます。
このことは、制度設計の上では、増税と減税が同じ金額になる
ようになっていますので、市県民税が増額になった分は所得税が
減額になっており、しかも所得税の減額は本年1月分から既に始
まっています。個人ベースで考えると、増税ではないことをご理
解願います。
(2)バブル崩壊で景気が悪かった時期、何とか景気を良くしよう
ということで、国は一時的な減税を行いました。定率減税という
ことで、ここ数年間皆さんの可処分所得は間違いなく増えていた
はずです。国は景気は良くなったと判断し、その減税分を昨年
(18年度)半分廃止し、本年(19年度)残りの半分を廃止し
ました。暫定的な減税分の恩恵が無くなったということです。こ
のこともご理解いただきたいことです。
6月13日に納税通知書が発送されてから、市の窓口には市民の
皆さんから、問い合わせが増えることが予想されましたので、財政
部職員を中心に、臨時に経験のある職員等を動員して、市民の皆さ
んへの説明に努めています。
事前に、市報でのお知らせ、市ホームページなどでもご理解いた
だく努力をしてまいりましたし、私もいろいろな会合に出席させて
いただいた折のあいさつでもPRさせていただいていましたが、ぜ
ひスムーズな納税をお願いします。