2008年2月21日木曜日

長野市農業公社について


 2月12日(火)に理事会、そして15日(金)に総会が開催さ
れました。
 昨年7月に設立した、社団法人長野市農業公社。まだ一年足らず
ですが、農業委員会、グリーン長野・ながの両農協の協力もいただ
いて、体制は整ってきました。今後、商工会議所・商工会などの経
済団体やさまざまな業種の個々の企業からの協力を得ながら、大い
に発展させていきたいと考えています。まだまだこれからです。

 今後の農業公社の展開を整理しますと、重点課題として次の6項
目に集約されます。
(1)農作業支援
(2)担い手育成
(3)農地流動化(農地の貸借・売買)
(4)消費者との交流
(5)マーケティングの拡大
(6)生産者の法人化の推進

 項目を読んでいただけば、大略はご理解いただけると思いますが、
幾つかの点について説明させていただきます。
 まず(1)の「農作業支援」についてですが、農村の高齢化が進
展して農作業を行うには、どうしても人手不足になっています。一
方、団塊世代の方々を中心に、定年退職されてきて、その中には、
農業をやりたいという方々がいらっしゃる、農業公社が両者のコー
ディネート役として「農家」と「農作業のお手伝いさん」を結びつ
けようという仕事です。必ずしも定年退職した方とは限りませんが、
基本的には農作業従事者として、昨年は時給740円で1日6時間
の労働を基本にお願いしてきました。1日で、約4,500円とい
うところでしょうか。実を言いますと、昨年は農家の需要が多く、
お手伝いさんが足りなくて、農家の皆さんからは随分おしかりを受
けました。今年はお手伝いさんの大募集をかけて、農家の皆さんの
満足をいただくように頑張ります。
 加えて、この活動を強化し、農業・農村の活性化に寄与するため
に、学生の皆さんとのコラボレーションも試みたいと思っており、
信州大学を手始めに、各大学に声を掛けていこうと思っています。
また通常のボランティアとは違いますので、日当について手直しし
たり、雇用契約をきちんと整理して問題が出ないようにしていきま
す。

 次に(5)のマーケティングの拡大については、私が日ごろ申し
上げていますが、農業に一番不足しているのは、この分野です。い
かに素晴らしい生産物ができても、売り先が無くては、また、必要
な需要を見極めなくては、単なる“宝の持ち腐れ”となってしまい
ます。時代は「地産地消」といわれ、外国産農作物の安全性につい
て極端に不信感が募っている現在、販路拡張のチャンスと考え、
“地消”だけでなく、外へ向かって販路拡張に乗り出すため、専門
家にお願いして、いろいろな販売チャンネルの開発や計画的な出荷
をしていくことも考えていきたいと思います。

 次に(6)の生産者の法人化の推進です。
 農業は従来、基本的には農家の個人経営という観念があり、「株
式会社なんてごめんだ」という固定観念が長く農業界を支配してき
たと思います。

 でもこれからは変わるべきです。志が高くても、お友達感覚のグ
ループではどうしても長続きしません。外に向かって責任感が生ま
れませんし、産業化にはとてもならないと感じています。法人化
(株式会社など)すること・・・すなわち「株」の原点は、ファン
ドも同様ですが、小さなものを集め、大きな単位とすることで、ま
とまった一つの方向性を志向しようというものです。それによって、
経理が明らかになり、自分の取り分がしっかり分かります。組織内
で役割分担を明確化し、将来計画もつくるなどして、もうかること
が分かれば後継者も生まれてくるでしょう。

 調べてみましたら、農産物加工を中心に地域で頑張ろうとしてい
る住民グループは、現段階、農業公社が把握しているだけでも37
もあるのです。中には“(有)たんぽぽ”のように、立派な会社組
織にして経営努力により採算がとれており、地域の雇用にも力を入
れていただいているグループもありますが、大部分は、法人化の域
には達していないようです。これではせっかくできてきたグループ
もいずれ消滅してしまうのではないかということも心配されますし、
発展していく可能性もはっきりしないと私は思います。

 そこで、私はこれらのグループが発展していくために、法人化を
キーワードに支援していきたいと思います。形態は株式会社、NP
O、LLP(有限責任事業組合)、組合・・・いろいろあると思い
ます。
 その意志のあるグループに、個別に経営分析や生産指導を担う経
営コンサルタント的な仕事を農業公社で行い、企業経営のプロ、農
業のプロを派遣していくことが第一段階でしょう。
 農業は、従来補助金政策により行政への依存が強すぎた、それが
農業衰退の遠因ではなかったかとの思いを私は持っています。今後
は、補助金に頼らず、法人化を促し、次に必要に応じて資本注入と
いう手法によって、農業再生に力を尽くしたいと考えています。

 中山間地域の活性化は重要な課題です。各地域における住民グル
ープの活動が小さくても、農業公社が主体になって、ビジネスとし
て成り立つような仕組み作りや地域ブランド化などを進めていく計
画をしています。

 以下に農業公社が把握している各地の特産品づくり、地域おこし
団体・グループ名を記してみます。
 戸隠おろし振興会、戸隠そば再興大作戦会議、鬼無里酒米生産組
合、鬼無里農林産物直売所ちょっくら、鬼無里手づくり味噌の会、
大岡農村女性ネットワーク、安心で美味しい米づくり研究グループ
(大岡)、大岡グリーンツーリズム倶楽部、にんにく栽培組合(大
岡)、豊野温泉りんごの湯農産物直売所、とよの農産物加工グルー
プ、中曽根地場産品直売部会「いきいき飯綱」、飯綱ふれあいファ
ーム、二十一世紀の生活を考える会(浅川)、浅川坂中地区直接支
払事業グループ、大根クラブ(芋井)、武井学術振興会(芋井)、
NPO法人飯綱高原よっこらしょ、大安寺百匠倶楽部(七二会)、
岩草区活性化生産組合(七二会)、(有)信州七二会おやき、(有)
たんぽぽ(信里)、信更いっぽ、灰原クーヘン会(信更)、遊休農
地を活かす会(信更)、信更農家直売所、エコピカクラブ山新田
(若穂)、保科るねっさんす倶楽部、松代農産加工所あんず村、
(株)おやきや総本家松代店、清野の明日を考える会(松代)、
(有)さんやそう(大門)、(有)柴田興業ヤーコン部(信更)、
(有)ふるさと鬼無里、山布施地域はたらく女性の会(信里)、
さといもつくり隊(豊野)、長野ファーマーズパーク(更北)。

 いずれにしても、農業公社として、来年度はマーケティングの拡
大、生産者の法人化の推進を進めるための組織体制を整えて、支援
していきたいと思います。