2009年10月9日金曜日

行政改革について



市町村の行政改革は、時代の大きな要請です。
「小さな市役所であるべき」ということと、「充実した市民サービ
ス」をすべしということ。これは一見、矛盾したテーマに見えます
が、やらなくてはならないことと認識しています。言い換えれば
「行政コストを減らし、費用対効果を上げる」ということです。

全くの私見ですが、私の考えていることを、二つの面からお話しま
す。
まず、組織や人について、どのように考えるべきか、ということで
す。
問題点と思われることをアトランダムに羅列してみますと、職員数、
人件費、定年制、正規職員と非正規職員、成果主義と年功序列主義、
人間の能力・人間性・思想、職種の違い、職制、タテ割り組織・・
・もっとありそうですが、考えるべきことはこのようにたくさんあ
ります。

もう一つは、行政が行う事務事業についてどう考えるかということ
です。基本は「無駄を排する」ということでしょう。
しかし、事業の妥当性、費用対効果、理想論と現実の狭間、市民の
要望、国・県との法律を含んだ関係、自治体の可能性と限界・・・
さまざまな視点があります。地方分権がどこまで進むか、というこ
とも大事な要素ですが、これは、国の政策に大きく左右されそうで
す。

いずれも難しい、考えれば考えるほど迷い道であり、矛盾をはらん
だような話です。だからこそ、考え続けなければならない課題であ
るとも言えます。

私は、行政改革は日常的に取り組むべきテーマだと捉えています。
組織は常に肥大化する癖がありますし、無駄を廃止していくことも
当たり前です。でも、何が無駄なのでしょうか。それを判断するに
は、定期的に仕事を精査して何が必要かを見極めなければいけませ
んし、組織はこのままで良いのか、という視点で見直すことも重要
になります。

具体的には、現在実施している仕事を評価して、
・拡大すべきか
・そのまま続けるべきか
・改善すべきか
・縮小すべきか
・やめるべきか
ということを判断していかなければなりません。

さらに、これから手をつけようとしている新規事業についても、
・目的・趣旨は時代の流れにあっているか
・どのくらい費用がかかるか、それに耐えうる手立ては大丈夫か
・市民の目線に立って考えているか
・本当に必要なことか
・もっと良い事業のやり方がないか
・事業を進めるための組織をどうするか
といったことを事前に判断し、実施することになります。

行政改革の代表的な問題として、ここでは、職員給料について考え
ていることをお話しします。
一般職公務員は、労働三権のうち、スト権を停止されています。そ
の代償として、人事院勧告が行われることになっているのです。

長野市も基本的には、人事院勧告を尊重しています。ただ、考え方
が変わり、国の人事院勧告はあくまで国家公務員に関するもので、
地方公務員の給料の決定は自治事務とされ、地方独自に決められる
ということです。
しかし、地方で決めるには、県や市町村がそれぞれ人事委員会を設
置して、その地域の賃金水準を細かく調べて勧告してもらうことが
必要になります。でも、これでは、大変なコストがかかりますので、
国の人事院勧告や県の人事委員会勧告を準用しているというのが実
態です。

従業員(市職員も同じ)の立場になれば、誰でも給料は高いほうが
良い、と考えていると思います。これは当たり前です。
ただ、企業には、経営不振による株価の暴落や倒産がありますから、
一蓮托生の労働組合側にもおのずと自制力が働きます。
しかし、公務員の場合はその感覚が薄い。だから、暴走させないた
めに、人事院勧告で大枠を抑えているということでしょう。

長野市では、手当に関して一つ問題があります。国(人事院勧告で)
が地域手当という考えを示したことです。地域によって賃金水準に
格差があるから、それを補うために、賃金や物価などが高い地域で
は地域手当を支給しようということで、長野県内の4都市(長野市・
松本市・諏訪市・塩尻市)が3%の地域に指定されました。

これは妙な政策だと感じています。長野市の職員は、隣の飯綱町の
職員より3%高い給与を得るということは、どうも違和感がありま
す。実際には給料表のあり方などで、すでに差があるのでしょうか
ら、さらにそれを助長するような政策は疑問です。一般的に言って
長野市職員の給与が、民間と比較して低いという話も私には聞こえ
てきません。

長野県人事委員会では、県職員の在勤地の割合を調べた結果、本庁
などの3%地域に勤務する職員と、加算の無い地域に勤務する職員
は、ほぼ同数であると考え、全職員に1.5%の地域手当を支給す
べきと決めたとのことです。

長野市でも、消防職員が周辺市町村にある消防署に勤務することが
ありますし、広域連合などでは、逆に長野市に勤務する周辺市町村
の職員もいるわけです。こう考えますと、この3%は慎重に判断し
なければなりません。
長野市では、県が県内全域を一律に1.5%としていることや、今
後の広域行政の展開を考え、現時点では1.5%が適正であると判
断しています。

人件費の話はこのくらいにしますが、行政改革と言ってもいろいろ
な問題を含んでいるということを市民の皆さんにも理解していただ
きたいという思いから、このブログを書かせていただきました。

2009年10月9日