2009年10月6日火曜日

文化・芸術、そしてスポーツで誇れるまちを



長野市には、善光寺御開帳はじめ、善光寺門前の各町が誇る絢爛豪
華な屋台巡行や大岡の道祖神祭りなど、数多くの伝統行事がありま
す。真田十万石の城下町・松代には、八橋流筝曲や大門踊りなどの
伝統文化が、あるいは飯綱・戸隠には飯綱大権現、戸隠神社群を中
心とする地域独自の文化が継承されています。
こうした伝統行事・文化が着実に継承され、一層花開いていくこと
は、長野市の存在感を高める上で重要なことだと思います。また、
どんど焼きなど、地域のコミュニティが中心になって行われるお祭
りや行事も、大切な伝統文化だと言えるでしょう。

芸術という面では長野市は昭和48年から、これまでの35年間、
「豊かな自然の中で 文化の香り高い 彫刻に出会うまち ながの」
をコンセプトに野外彫刻の整備を進めてきました。
才能あふれる多くの芸術家たちの137点もの作品が、街の風景に
溶け込み、間違いなく都市の品格を高めています。街のたたずまい
に彩りを添えているこれらの作品群に、私たちはもっと誇りをもっ
ていいと感じています。

市民の皆さんが趣味として親しむ芸術活動も大変盛んです。毎年、
音楽や絵画、伝統芸能の大会・発表会が数多く開催され、私が招待
状をいただくものだけでもかなりの数で、さまざまな芸術分野で多
くの方々がご活躍されていることを実感しています。

スポーツに目を向けますと、地域密着型のスポーツチームの代表的
なチームとして、サッカーのAC長野パルセイロ、野球の長野県民
球団信濃グランセローズが活躍しています。
こうしたチームの活躍は、私たちの胸を躍らせてくれますし、多く
の子どもたちに夢を与えてくれるとともに、長野のシンボルとして、
知名度やイメージアップにつながります。

スポーツは、することで心と身体の健康を養い、見ることで私たち
に感動を与え、そして支えることで地域の一体感や活力が生まれま
す。スポーツ交流による経済効果など地域活性化も期待され、市民
の気持ちを明るくし元気度を大きくしてくれます。

1998年の長野冬季オリンピックは、アスリートが輝くだけの舞
台ではありませんでした。同時に行われた文化プログラムで「アス
ペン音楽祭」やオペラ「信濃の国・善光寺物語」、開会式の「芦ノ
尻の道祖神」といった長野ゆかりの演目が披露されただけでなく、
世界中の芸術家、子供たちが展覧会等に参加してくれました。

そして、スポーツには、長野パラリンピック大会やスペシャルオリ
ンピックス長野大会での日本選手団の活躍でも明らかなように、障
がい者の自立や社会参加を支援する力があり、結果として障がい者
と健常者とが共に生きるノーマライゼーション社会を構築していく
役割も持っています。

長野は、オリンピック、パラリンピック、スペシャルオリンピック
スの3つのオリンピックの開催都市として、これらの分野を引き続
き世界に発信していく義務があると感じています。そして、そのこ
とは、長野の元気に大きく貢献するものと信じています。

長野市としては、これまでにも増して文化芸術及びスポーツで誇れ
るまちづくりを進めたいと願い、その基本条例となる「長野市文化
芸術及びスポーツの振興による文化力あふれるまちづくり条例」を
制定しました。行政としての基本姿勢を明確にお示しし、行動計画
で具体的な事項を示していきます。

例えば、文化・芸術分野では、市民の文化活動の意欲、楽しみをよ
り磨いていくことを、奨励しようということですが、市内のカルチ
ャーセンターや習い事の教室は、とても盛況だとお聞きしています
し、その集大成とも言える長野市文化芸術祭は毎年華やかに行われ
ています。もちろん各教室や絵画の発表会も盛んで、プロとして飛
躍していく方々も現れているようですから、多いに元気付けていき
たいと思っています。

音楽関係の皆さんからは、発表の場だけではなく、練習する場がほ
しいとの要望をいただいています。数年前、もんぜんぷら座の地下
に練習室を設置しましたが、予約満杯でまだ足りないそうです。
(仮称)東部文化ホールがようやく竣工しますので、少しは解消に
つながるはずです。

スポーツの面でも、小・中学校やクラブチームの全国大会出場等の
報告は、毎年多くなってきていますし、高校生や社会人のクラブも
力を上げてきているように思います。
いずれにしても指導者の力の大きさ、そして継続の大切さをいつも
痛感しています。

そのほかの市民スポーツも盛んになっています。バレーボールや早
起き野球などの大会には、お招きを受けて参加させていただいてい
ますが、皆さん元気ですし、市民の健康増進には多いに貢献してい
ると思います。スポーツによる交流の増加は、コミュニティの再生
にも効果がありそうです。

プロスポーツの分野でも頑張りがはじまっています。サッカー、野
球など、関係者は新しいビジネス・モデルとしてぜひ長野に定着さ
せたいと意気込んでいます。プロスポーツの魅力は、市民の気持ち
を一つにして盛り上げる力があることで、野球、サッカー、そして、
スケートなどが候補でしょうが、多いに頑張って、盛り上がってほ
しいものです。

プロとアマチュアの区別は、一般的には技術の高低でイメージされ
るのでしょうが(「あの人はプロ並みだ」という表現がなされるよ
うに)、最近ではアマチュアでも非常にレベルが高くなってきてお
り、そうした分け方が難しくなっています。観戦料を頂くのがプロ、
無料で見ていただくのがアマチュアということぐらいかなと感じて
いますが、そのくらい市民スポーツの全体的な力が上がっていて、
差が小さくなっている。でも、両方とも大切だなあと感じています。
専門的にやっておられる方が、その道で生活できるような収入をあ
げられるかも、一つの区別でしょうね。

話は変わりますが、善光寺・松代・戸隠などの伝統文化の持つ魅力、
これは長野市独自のものです。善光寺のもつ発信力は、春の御開帳
で十分堪能させていただきました。松代もハード整備が進んでいく
に従って、エコール・ド・まつしろをきっかけに、松代の文化面の
魅力が増進されてきていますし、戸隠神社の伝統の力も大いに感じ
ています。

そういえば、以前、善光寺の本堂でクラシック音楽の演奏会やコン
サートが行われるなど、ユニークな試みが評判になりました。過去
にも、太鼓の演奏や声明(しょうみょう)もありましたし、境内を
利用した映画上映が行われたこともあります。ハードを活かすソフ
トの重要性を認識させていただきました。
もう一つ、文化芸術とは違いますが、長野がもつ自然の雄大さ、私
は、これが何にも優る長野の財産だと思っています。この自然を市
民みんなが大切にしながら活用することが重要です。この自然こそ
が、短歌や俳句、絵画、音楽の題材となるなど、長野の文化芸術の
重要な基盤の一つとなっているのでしょう。

一昨年、市政施行110年の記念事業として、各地のお宝を集めた
こと、ご記憶にあると思います。各地域の文化・歴史を示すお宝が
ずらりと並びました。これを今後にどう生かすか、これも考えるべ
きテーマだと思っています。

民謡・舞踊・童謡、書道、絵画、俳句、短歌といった文化芸能、ま
た、マジックや大道芸もその一種でしょう。秋祭りなどに神社に奉
納される神楽、神輿、さらに、このところ各地で盛んになっている
太鼓も素晴しい文化です。あらゆる分野で、長野の文化を高めてい
ただいていると感じています。

市内には、このブログでは書ききれないほど、たくさんの文化があ
ります。全て、長野の文化力につながるすばらしいものばかりだと
感じています。
なお、思いつくままに、アトランダムに書いてきましたので、書き
漏らしてしまったこともあるかと思います。何卒お許しください。

いずれにしても、これらの分野については、市民の皆さんの元気、
長野の元気を表現する場として、多くの皆さんが楽しまれ、また活
躍をしており、行政としてもできる限り応援していきたいと考えて
います。

2009年10月6日