急速な少子化、核家族化の進行やその背景にあるライフスタイル
や価値観の変化など、子どもたちや家族を取り巻く環境は大きく変
化してきていることから、本市では、今後の少子化対策、子育ち・
子育て支援施策を総合的に推進するための指針「ながの子ども未来
プラン」を昨年4月に策定しています。このプランに沿って、将来
を担う子どもたちが、健やかに生まれ育つことができる社会の実現
を目指して、さまざまな施策や事業を積極的に進めているところで
す。
これにより保育園については、安心・安全な保育環境づくり、さ
らなる保育サービスの向上と充実を図るとともに、市立保育園の民
営化や、保育需要に応じた規模と配置の適正化を進めてきたところ
であり、こうした取り組みの結果、今月3つの保育園が新たにスタ
ートしました。
まず、保育園の民営化として、4月1日から「市立城東保育園」
を、隣接する「済生会(さいせいかい)長野保育園」へ移管・統合
しました。
城東保育園は、昭和28年に市立横山保育園として開園し、昭和
31年に地域のご要望により城東保育園と改称しました。以来地域
の保育需要に応えてきましたが、58年の歴史に幕を閉じ、3月
31日に閉園式を行いました。
半世紀を超える長い間、園の運営にご理解、ご協力を頂いた多く
の皆さんに心から感謝申し上げます。
城東保育園と済生会長野保育園では、統合前の1年間交流保育を
行い、園児が自然と新しい環境になじむようにしてきました。当初
は、緊張気味で自分の園の保育士から離れない園児もいたとのこと
ですが、1年間の交流を経て、園児同士や、両保育園の保育士の名
前を覚えるようになり、今ではお互いの園児が一体感を持って過ご
すことができていると聞いています。
これまで城東保育園に通園し、4月から済生会長野保育園に通い
始めた園児の保護者の中には、しばらく戸惑う方もいらっしゃるか
もしれませんが、ぜひ済生会長野保育園の園長さん、そして保育士
・職員の皆さんとの信頼関係の下、園児たちを温かく見守っていた
だきたいと思います。
城東保育園は閉園しましたが、公立、私立の区別なく保育実施の
責務は長野市にありますので、しっかり対応したいと思います。
なお、済生会長野保育園では、園児たちの保育環境の向上を図る
ために、本年度園舎の改築工事を予定しています。市としても事業
費の一部を補助し支援することにしています。
二つ目として、信更地区の「信田保育園」と「更府保育園」を統
合し、新たに「信更保育園」がスタートしました。
4月2日には、年度初めの大変お忙しい中ではありましたが、地
元の区長さん、民生・児童委員さん、保育園統合に当たって大変お
世話になった「信更地区保育園問題検討委員会」の皆さんをはじめ、
大勢の皆さんにお集まりいただき、開所式を行いました。
これまで信田保育園と更府保育園の2園については、園児数の減
少や園舎の老朽化などから、集団活動の維持と園の運営が課題とな
っていました。
こうした背景の中、平成18年から保護者の皆さんをはじめ、地
域の皆さんと一緒に、2園の統合について検討を行ってきた結果、
関係者のご理解とご協力により2園を統合し、信田保育園の園舎を
統合園として利用することを決定したものです。
この決定を受け、平成21年度からは園舎の耐震補強と改修工事
を行い、この日を迎えたわけです。
なお、この統合により更府保育園に通園していた園児や保護者の
皆さんには、園が遠くなるなどご不便をお掛けすることになります
が、通園バスを運行するなど、統合による影響を最小限にとどめた
いと考えていますので、ご理解をお願いしたいと思います。
三つ目は、「戸隠中央保育園」、「東ノ原保育園」および「宝光
社保育園」の3園を統合して旧長野吉田高校戸隠分校跡地に新たに
「とがくし保育園」を建設・開園し、しゅん工式を信更保育園の開
所式と同じ2日に行いました。私は他の公務がありましたので酒井
副市長に出席してもらいましたが、市議会議員さんはじめ、建設検
討委員会の皆さん、地元の区長さん、民生・児童委員さんなど、大
勢の皆さんにお集まりいただいたと報告を受けています。
戸隠中央保育園と東ノ原保育園は昭和43年度に、宝光社保育園
は昭和45年度にそれぞれ建設されたものですが、こちらも信更地
区の2園と同様に、園舎が老朽化するとともに、園児数も減少し子
どもたちの良好な集団活動が難しくなってきたことから、3園を統
合したものです。
平成20年度に戸隠地区保育園統合検討委員会において、建設場
所を旧長野吉田高校戸隠分校跡地に決定し、平成21年度に地盤調
査、詳細設計、旧戸隠分校校舎の解体工事などを実施し、平成22
年度に新園舎の建設工事を行い、先月完成しました。
施設は、敷地を有効活用した「L字型」の園舎で、できる限り自
然光を取り入れるなど、園児たちが安全で快適に、そして楽しく過
ごせるようにしました。特に、保育室や遊戯室、廊下などの腰板に
は、長野県産のカラマツ材を使い、木のぬくもりを感じられる優し
い空間に仕上げています。
また、太陽光発電システムを取り入れることで、温室効果ガスの
排出削減を図るとともに、園児たちの環境学習にも活用できるよう
にしています。
冬期の雪対策としては、屋根に強固な部材を使用することで雪を
屋根にとどめ、園児出入り口のある園庭側に雪を落とさない構造と
しました。これにより、除雪にかかる労力の省力化、落雪による事
故の防止などの効果が期待できます。
安全面、そして環境面に配慮した素晴らしい保育園ができたなあ
と思っています。
なお、こちらも統合による影響を最小限にとどめるため、これま
で東ノ原保育園で運行していた通園バスに加え、宝光社方面用の通
園バスを導入しました。
また、新たな保育サービスの充実として、新園舎の整備に併せて
0歳児の受け入れが可能となりました。地域に住む子育て世代の負
担軽減につながるものと考えています。
この春、新たにスタートした3園が、多くの皆さんに愛される保
育園になることを期待しています。