長野市では、平成18年3月に策定した『1200万人観光交流
推進プラン』に基づき、地域資源を生かした体験型観光やグリーン
ツーリズムといった新たな視点から交流人口の増大を図り、「地域
ブランド化」を推進することで「多軸型観光都市」の形成を目指し
ています。
その一環として、年度ごと地域ごとに集中的な観光キャンペーン
を展開してきているところですが、本年度は「篠ノ井」「信州新町」
の2地区で実施させていただきます。
4月2日、「2011信州新町イヤー」と「ろうかく梅園花まつ
り」の開会式が、大勢の皆さんのご参加の下、盛大に開催されまし
た。
地区の皆さんは、昨年から精力的に観光キャンペーンの事業計画
を検討されてこの日を迎えたわけです。2011信州新町イヤー実
行委員会の中村一雄委員長さん、ろうかく梅園花まつり実行委員会
の桐山紘一委員長さんをはじめ、信州新町の皆さんのご尽力に深く
感謝しているところです。
東日本大震災があったため、この花まつりを中止しようかと悩ん
だこともあったようですが、「信州新町から日本中に元気を送ろう
!」と開催を決断されたそうです。
ろうかく梅園は、信州新町の中心街から犀川を隔てた南側の川岸
にあって、このイヤーと花まつりに備えて、区民総出で周辺整備や
草取り、そして梅の木の植樹を大々的に行ってきました。その中心
的役割を果たしておられる桐山さんのあいさつをお聞きすると、
「このイベントをきっかけに、将来“梅”を町の一大産業に育てた
い。梅を加工する工場も造りたい・・・。」そんな構想を持ってお
られるとのことでした。
当日は前日までの寒さがうそのように暖かくなり、梅の花もチラ
ホラ咲き始めており、絶好の日和になりました。大勢の地域の皆さ
んが見守る中、私も梅の木の植樹をさせていただき、帰りには、
『梅のある里』という地元の方々が制作された本を頂きました。
信州新町の皆さんは、長野市に合併する前の“町”時代から、積
極的に観光振興に取り組んできています。その成果として琅鶴(ろ
うかく)湖畔に映える竹房(たけぶさ)地区の梅園、町のシンボル
信州新町美術館、町の名物ジンギスカンなど、観光客を引き付ける
魅力的な観光資源を生み出してきました。「アート&グルメ」をキ
ャッチフレーズに精力的に取り組みをされてきたわけです。
「こころ・はずむ こころ・やすらぐ こころ・つなぐ 信州新
町」のコンセプトのとおり、信州新町スタイルのおもてなしで温か
く観光客をお迎えし、「新町ファン」を増やすことで、観光と交流
を軸とした地域の活性化につなげていただきたいと思っています。
以前から何度も訪れている土地ですが、今回あらためて、琅鶴湖
の水と周りの山々の織りなす景色、古くから文人墨客が愛した場所
として名高いということを、実感いたしました。
また、ろうかく梅園花まつりの前に、酒蔵を活用した街角アート
ギャラリー、「ミュゼ蔵」を視察しました。1階では、小泉癸巳男
(きしお)画伯の「聖峰富士三十六景展」が開かれ、また、2階で
は、この信州新町イヤーに合わせて、JIDA(社団法人日本イン
ダストリアルデザイナー協会)が主催する「JIDAデザインミュ
ージアムセレクションVol.12」が開かれていて、家電を中心
に斬新なデザインの各種製品が展示されていました。こちらもまち
の宝の一つです。
翌日4月3日には、「2011篠ノ井イヤー」のオープニングセ
レモニーが、篠ノ井市民会館で、こちらも盛大に開催されました。
篠ノ井地区でも、昨年度地域の皆さんが準備委員会を立ち上げ、
事業計画の検討、セレモニー準備など、多くの皆さんがこの日のた
めに取り組んでこられました。
篠ノ井地区には、南長野運動公園や茶臼山動物園などの大型集客
施設のほか、天才書家 川村驥山(きざん)先生の作品を常設展示
する驥山館など、文化・レクリエーションをはじめ、トレッキング
コースや地域に根差した祭りなどの観光資源が豊富にあります。
篠ノ井イヤーのコンセプトは、「信州しののい 人・モノ・交流
文化のまち」ということですが、地区の潜在的な魅力を掘り起こし、
磨き上げ、全国に発信することで交流文化のまちとして交流人口の
増大を図り、再び篠ノ井に活気を取り戻すことができればと思いま
す。
セレモニーでは、かつて地域で親しまれた「篠ノ井音頭」に合わ
せて、着物姿の大勢の皆さんが会場いっぱいに踊り、当時を懐かし
む方もいれば、私もそうでしたが初めて見る方もいたりで、会場は
華やかなムードに包まれました。
また、イヤーに合わせ、「かわいらしい女の子」と茶臼山動物園
の「レッサーパンダ」をモチーフにした2つのイメージキャラクタ
ーが決定しており、その作者の表彰を行いました。このイメージキ
ャラクターは、昨年の暮れから今年の正月にかけて広く公募したと
ころ、市内外の18の個人・団体から応募があり、選考の結果、
「篠ノ井の応援団『篠』~しなやか」という団体から応募があった
作品に決定したそうです。
女の子は「おしのちゃん」と命名されましたが、レッサーパンダ
の方は、まだ名前がありません。かわいらしい、親しみやすい名前
を募集中とのことですので、ぜひご応募ください。ちなみに、生息
地の一つ中国ではレッサーパンダを「小熊猫」と書くそうです。
また、現在整備中の篠ノ井中央公園は、長野市の緑育(*)の拠
点とする計画が進んでいます。また、JFLに昇格した「AC長野
パルセイロ」のホームグラウンドは南長野運動公園総合球技場です
ので、多くの市民にパルセイロの応援にお越しいただき、篠ノ井、
そして長野市全体が元気になってほしいと思っています。
このたびの大震災は、各地に甚大な被害をもたらし、国を挙げて
の被災者救援が実施されています。オープニングセレモニーにお集
まりの皆さんも心を痛めておられましたが、このような中で実施す
る「2011篠ノ井イヤー」「2011信州新町イヤー」だからこ
そ、地域の素晴らしさと住民の皆さんがつくるまちの元気パワーを
日本中に発信していただきたいと願っています。
いずれにしても、この1年間のキャンペーンを通して、独自の観
光資源のブランド化とホスピタリティーあふれる地域づくりが一層
進み、お客さまに「来て良かった」「また来たい」、そして「住ん
でみたい」という気持ちを抱いていただけるような篠ノ井地区、そ
して信州新町地区になっていくことを期待しています。
*「緑を育てる」という共通の取り組みを通じて、市民相互のつな
がりが生まれ、花や緑を大切にする文化や人間性が育まれていくこ
と。