市長退任後、約9カ月(ブログ執筆時)。私の所属する長野東ロータリークラブで、「市長退任後について」というテーマで卓話をさせて頂きました。卓話は通常30分間ですから、市長在任中は、話題はいくらでもあって、市政の話を少しお話して理解してもらうだけで・・・、あまり気を使うようなことはなかったのですが・・・。今回は、久しぶりに結構緊張しました・・・。市長を止めたら、だらしない男になったと思われるのが嫌で、俺はまだまだ頑張っているんだぞと感じてもらえるかどうか、社会復帰が順調に進んでいるかどうか・・・、今回はその時喋ったことを中心に、このメルマガを書いています。
話はデカンショ節からはじめました。私たちの高校時代、“デカンショ・デカンショで半年暮らし、後の半年は寝てくらす、ヨーイ・ヨーイ・デッカンショ・それデッカンショ”とコンパ(今なら居酒屋での飲み会みたいなものでしょう)等で、みんなで放吟したこと、懐かしい思い出です。そして私は今でも感心するのは、当時未成年ですから当然ですが、席上アルコールが無かったことです。古い高校の体育館で、車座になって、何をしていたかは覚えがないのですが、歌を唄ったり、弁論彷彿だったような気がしますが、“酒”と“タバコ”は無かったことは事実です。我ながら真面目だったんだなあ・・・今になって感心しています。
デカンショの意味は、デカルト、カント、ショーペン・ハウエルという三人の高名な哲学者で、先の二名については、誰でも知っている有名な哲学者ですが、三人目のショーペン・ハウエルという人については、恥ずかしながら私は知りませんでした、”デカンショ“という調子の良さに釣られて、大きな声を出して唄っていたに過ぎません。
(今回のメルマガのきっかけは、著名な評論家の池上彰さんの評論に刺激されて、あわてて文庫本を買いました)
これにはびっくり、私の知識なんて、本やラジオ・テレビ、他人の話し、今ならばパソコン・スマホから得ている知識も沢山ありますが、自分で考えたことは何だと言われると、お恥ずかしい限り・・・、ショーペン・ハウエルさんに言わせるなら、そんなのは何にもならない、全て他人の意見の受け売りに過ぎないということでしょう。
その後、私は自分の意見を大切にしよう、自分のアイデイアを大切にしよう、それが出来なければ黙っていよう・・・そんな心境です・・・。でも多分出来っこないですから、三日坊主で終わるのでしょうが・・・。
私の市長現役時代12年間、何をやったか、自分でも考えてみますが・・・正直よくわかりません。いろいろやったようにも思いますし、何もやらなかったようにも思います。
唯一、これは俺がやったと感じていることは、週一回発信の「舵取り通信」を約12年間、一回もサボることなく書き続け、市政報告会で、毎年本を作って出版したことでしょう。
(ただこれとて、経験したことを書いただけともいえるわけで、自分の考えたことなど、ほんのわずかだと思います。)
最初のうち、ゴースト・ライターは誰だ?と言われたり、いつまでやるつもりだ?なんてことも言われました。もともと、当時の小泉純一郎首相がメルマガをはじめて大変な評判になっている、それを読んだ長野市の広報の連中が、あれは難しいですよね、無理ですよね・・・。と言ったものですから、私はその言葉を、挑戦と感じ、「あの程度のこと、俺だってやってみせる」と受けてしまったことが、苦労の始まりでした。
正直最初は簡単でしたが・・・、段々苦痛を伴うようになったことは事実です。毎週月曜日の朝までに広報課に原稿を渡すということでスタートしたのですから、前週の土曜日あたり、「まだ原稿が来ていませんが・・・。」と催促したそうな秘書課や広報課の職員の顔を想像しながら・・・ようし、夜中かけてもちゃんと書いて、原稿を送ってやる・・・といつも思っていました。
数を勘定してみたら、
1年365日ですから、約52周・・・週1回発信ですから年間52回。
任期4年間ですから、一期で208回。三期務めましたので、624回・・・、まあ臨時・号外もありましたし、公職選挙法上の自主規制分もありましたから・・・回数は、嘘800として・・・ぐらいにしておきますか・・・。でも印刷は、後援会名義で、年度ごとに作っていただき、12冊になりました。
メルマガと選挙絡みのことで、困ったことがありました。選挙戦術のこともプロにはかなわないなあと感じたこともありました。
①
選挙運動は、告示から投票日前日まで、HPは動かしてはいけない(変えてはいけない)。
②
候補者の写真、主張は選挙管理委員会が作成するチラシのみ・・・。
まあそのほかいろいろあるようですが、私は良く知りませんが、私がびっくりして選挙プロの手口を書かして頂きますと
①
候補者のHPは、確かに一つですが、他人が作るHPは無制限なのです(これは、私の私的意見です)。候補者名を入れても構わないようですから、「この人に投票して下さい」とさえ書かなければ良いそうです。
候補者のホームページに関する規制なんて、有名無実ですよね。
②
動画もOKらしいです。
③
一番びっくりしたのは、告示になって、選管の管理のもとで街に張り出すポスターのことですが・・・
3名の立候補者がいる場合、告示日の朝、代理人が来てくじを引いて、順番を決め、上が1番、その下に2番、次の上に3番となります。当然1番が一番目につく位置ですし、それが駄目でも3番が上にきますから、出来れば低い場所の2番はひきたくない・・・。
びっくりしたのは、告示の朝の抽選に(多分わざと)遅れてくる候補がいたことです。わざと遅れて3番になる戦術です。そうすれば上になりますよね。
考えてみたら、昔から、告示日に抽選で何番を引くか、選挙事務所では重大関心事でした。少しでも早く順番を知って、ポスターを張りだしたい、選挙運動を開始したい・・・ワザと遅刻して順番を下げるなんて、素人には思いつかない戦術でした。
でも、これもアイデイアかもしれませんね。
知らないということは困ったもので、もうひとつ私はあとになって知ったことですが、公共放送であるNHKは、選挙に出る噂の人の映像を、告示前3カ月から映像を出さない、という規制があったようです。
私は3回、選挙をやりましたから、1回目はそんなことは関係なかったのですが、2回目、3回目は、現職ですから、この規制にひっかかると思い、ホームページではない私のメルマガも、市役所のサーバーから発信することは遠慮すべきと考え、従来のメルマガは休止し、別に契約したサーバーから、計6カ月(二回の選挙分)、選挙に関係ない内容のメルマガを書き続けました。でも考えてみたら、あれはNHKの自主規制に過ぎない、公職選挙法には何の関係もないはず・・・、ですから選挙に関係ない従来から書いているメルマガは、そのままでも良かったはずなのです。選挙管理委員会に問い合わせればよかった、余計な気を使わずに済んだのに・・・、後の祭りでした。
IT時代の選挙戦略、規制することは多分出来ない・・・全てフリーにするのがよいのでしょう・・
市の職員から良く言われたことは、「市長さんは、タフですね・・・何時書いて、おられるのですか・・・?」「一番多いのは日曜日の夜中だなあ!」