2002年11月21日木曜日

市長就任一年を迎えて(その3)


 行政の説明責任(アカウンタビリティ)や民意の行政への反映と
いうことが重要視されています。今週号ではこれらの点について取
り組んできた行政施策や今後の考え方という点について書かせてい
ただきます。

(広報広聴制度の充実)
 みどりのテーブルとして実施している広聴事業のうち、従来の地
区行政懇談会を今年度から「元気なまちづくり市民会議」と名称を
改め、開催時間帯を過去の慣例にとらわれず、なるべく多くの皆さ
んが出席できるように、休日や夜間も含めて地域の皆さんの都合の
良い時間にお願いしたり、課題についても、地域の皆さんが事前に
話し合って決めた地区としての提案だけでなく、当日参加された市
民の皆さんが発言できる自由討議をできるだけ取り入れていただき
たいと申し入れました。
 その他、地域横断的なテーマや、女性・子ども達・ボランティア
団体あるいは外国人の皆さんとの懇談や、私が各種グループの活動
の拠点に出向いて実施する「みどりの移動市長室」も積極的に開催
しました。
 特に「元気なまちづくり市民会議」では、区長さんにお願いして、
市側も従来のやり方を変え、プロジェクターを使い、図やグラフな
どをスクリーンに映し出すなど、分かりやすい説明とともに、出来
るだけ率直に話すなどを心掛けたつもりです。まだ初年度ですから
十分ではないと思いますが、少しずつはご理解いただけたのではな
いかと感じています。さらに、市役所の若手職員との朝食をとりな
がらの「市長と語る元気なまちづくり懇談会」を週1回実施してい
ます。この目的は、理念の共有と資質の向上ですが、大変有意義な
形で現在進行中です。それ以外にも、メールマガジンの発行も私の
考えを知っていただくという意味で有意義な事業と捉えています。
 
 これらの会議などで感じたことが、いくつかあります。

1.全体的にもう少し自由に発言できる雰囲気が出れば良いなぁ、
  ということ。

2.あらかじめ分かっている質問に対する答えは、当日、担当部
  長がいますので何とかお答えしますが、自由討議では、どん
  な意見や要望が出てくるか分かりません。そのため、担当職
  員がいないと正確にお答えできないことが多いということに
  ついては、大変に申し訳ないと思うのですが、市役所の縦割
  り組織のもとではどうしても仕方のないことでした。

3.市長の立場は大変微妙でして、その権限の大きさ故かも知れ
  ませんが、直接的なお答えをすると、それが事実になって一
  人歩きしてしまう。ある意味で決定になってしまうというこ
  となのです。私はすべての施策は、行政の中で十分に話し合
  ってから、決定すべきというのが信念で、市長が勝手に決め
  るものではないと常に考えています(ただし、これはすべて
  を人に決めてもらうということではありません。自分の意見
  をきちんと伝え、組織の中の議論を経て、発表するべきであ
  るということです。そして根幹のところでは、市長は絶対に
  ブレ無い、説得責任を果たすことが大切なのでしょう)。そ
  のため、その場で「やる」ということは一切言わないように
  してきました。でも長野市の実情とか近い将来の構想につい
  ては一生懸命お話したつもりですし、出席していただいた皆
  さんからは、お世辞もあるとは思いますが「よく分かった」
  という好意的な評価をいただいたように思います。

4.若手職員との「市長と語る元気なまちづくり懇談会」は、1
  回12人づつ4回を1サイクルとして開催していますが、年
  内に約100人と話をすることになります。職員の勉強、そ
  して私との理念の共有を目指したのですが、最近は私の勉強
  会みたいになって、教えられることが多い。個々の職員の能
  力はかなり高いなぁ、与えられた職務に対しては相当の困難
  があっても、職責を遂行できる人材ということを感じていま
  す。しかし、市とか県とか国家全体との関連において考える
  訓練はされていないことや、まったく新しいアイデアを具体
  的に提案する人は少ないという印象を受けました。即ち政策
  マンはあまり多くないし、市長の政策に根本的な所で文句を
  つける職員もあまりいない(市長に反抗しろというのではな
  く、内部で気軽に提案をする、そして議論する、非公式の話
  だから外部には出ないし、人事査定には関係ない、だから言
  いたいことを言う。そんな中から新しいアイデアが出てくる、
  そんな風潮をつくりたい)と感じました。縦割り組織という
  のは、個々の政策について責任体制がはっきりするという意
  味では良いのですが、これからは総合的に考えていくことが
  大切で、それに対応できる職員の養成が重要と考えています。

(今後への考え方)
 本年度は第三次長野市総合計画後期基本計画、行政改革大綱改
正、行政評価の施策への反映、NPO助成要綱、男女共同参画の
条例等々、近い将来の長野の骨格を決める話し合いや議論は一応
終止符を打てると思っています。即ち、年度内に方向性を決め、
条例を制定すべきものは制定し、平成15年度からは、その実行
に全力を挙げる、ということです。議論は終った、具体論で市政
を進めたいと考えています。