(はじめに)
昨年の11月11日に市長に就任して以来、一年が経過しました。
私としては、全く違う世界に飛び込んで一生懸命頑張ったつもりで
すが、行政の勉強に費やした一年であったと思います。そして、よ
うやく年間のローテーションが分かってきたという段階です。
「行政に民間の感覚を入れる」ということを唯一の公約として市
長に就任したのですが、市長の仕事は自分の知っている世界とあま
りにも違っていたが故に、慣れるまで我慢ということで、人の話を
聞くことを中心にやってきたつもりです。「嘘言え!」という外野
席の声も聞こえそうですが、自分の意見を出す場合にも、なるべく
決定的な話ではなく、様子見的な発言、「こんなことを考えていま
す」というような言い回しに終始したように思います。これには訳
がありまして、市長の立場は大変微妙でして、その権限の大きさ故
かも知れませんが、直接的な結論をその場で回答すると、それが事
実となって一人歩きしてしまう。私は、全ての施策は行政の中で十
分に話し合い、様々な側面から検討する必要があると考えているか
らです。そうは言いましても、2年目を迎え、行政の状況が分かっ
てまいりましたので、施策の方向性などについては、もう少し自分
の考えを前に出そう。そうでないと、「行政に民間の感覚を入れる」
という公約に反することになると考えています。
今回のメールマガジンでは、この一年を振り返っての私の思いと、
これから目指すべき長野市のあり方について配信していきたいと思
いますが、若干話が長くなってしまいますので、3回に分けてお話
しさせていただきたいと思います。
今週のメールマガジンでは、この一年を通じて強く感じたことや
良かったことを私なりにまとめてみました。
(強く感じたこと)
市行政のレベルでは手の打ちようがないのかも知れませんが、今
一番行政が考えなくてはならないことは「現在の景気の悪さ、そこ
からくるのであろう閉塞感・活気の無さ」これを何とかしたい。も
う一つは、長野市も高齢化率約20%という高齢社会が間近に迫り、
さらに、今後は人口減少の時代を迎えようとしている中で、これか
らどんな社会になるのか分からない。この二つのことに対し、行政
は何をすべきか、現状では、なかなか打つ手、それも有効な手段が
見つからないことです。何とか明るい話題を提供したい、閉塞感を
脱却したい、高齢者が活躍する場と若者の主体的社会参加の場を作
りたい、それは政治を行う上で、最も大切なことだとは思いますが、
精神論や理念は別にして、なかなか具体論が、それも効果的な提案
が出せない、そのもどかしさを感じています。結局は王道はない、
一歩一歩確実に取り組むことが大切だと思っているのですが・・・。
民営化の推進とNPOの活動が、もしかすれば活路を開いてくれる
かも知れない、との予感はありますが・・・。
(私自身が良かったと思うこと)
昨年の市長選挙では、私自身が政治、行政の仕組みや組織、そし
て細かいことを知らなかったが故に、諸々の政党やグループと選挙
のための政策協定・約束をしないことを原則にしてきました。唯一
の公約は「民間感覚を行政に入れ、市民とのパートナーシップで元
気なまちづくり」ということだけでした。ある意味では行政を行う
上でいろいろな勢力に気を遣わず、長野市のためにどうするのが良
いか、ということだけ考えていれば良い、というフリーハンドをお
許しいただいた、言葉を変えればしがらみに囚われないで行政を担
当させていただけるということであったと思っています。
60歳を超えて、本来ならそろそろ引退を考える時期。全く新し
い挑戦のチャンスをいただいたということは、本当に幸せ者だと思
います。それ以来、このチャンスを無駄にしては申し訳ない、何が
何でも長野市の将来にプラスになることをやろう、それが私の決心
でした。このまちを継いでいく子ども達のために・・・。
さて、そうなると今度は自分の行動は、自分で責任を持たなくて
はならないことは当然であり、そのためには、自分をいかに「無」
にすることが出来るか。初心を忘れず、「無」をどう具現化するか
ということが生意気なようですが、私のテーマだと考えるようにな
りました。「無」なんて格好をつけて言う話ではないかも知れませ
んが、要は「長野市をどうするか、私心を無くして考え・行動する」
ことに専念する、ということでしょうか。幸せなことに、応援して
くれた昔からの仲間も、特に何かを要求することも無く、長野市の
ために良かれということを推進する私の立場を理解し、支援をして
いただいたように思います。
次週は、市長に就任してからの主な出来事を振り返ってみたいと
思います。