先週は、エムウェーブの経常利益が黒字になり、累積赤字が解消
されるまでの取り組みについて書かせていただきました。
今週号では、オリンピック資産の活用とウインタースポーツの振
興について私の考えを書いてみたいと思います。
まず、エムウェーブに対する私達の期待、それは善光寺や松代と
並んで長野市を代表する観光施設として、存在感を大きくすること
でしょう。それと同時にオリンピックを開催し世界に誇れる施設を
もった都市として、スケートを盛んにしていくこと、即ち長野がス
ケートのメッカになる、そんな夢があるわけですが、その先兵にな
って欲しいということです。
観光施設としてのエムウェーブは長野オリンピック後、急速に見
学者が減ってしまい、オリンピック記念館やメモリアルグッズの売
り上げは残念ながら、あまり良くありません。旅行会社の人にお聞
きしても、記念館はリピーターのお客様を呼ぶだけの魅力は薄いよ
うです。全国的に見てもテーマパークは、東京ディズニーランド以
外はほとんどが苦戦していることからも、一工夫も二工夫も必要な
部分でしょう。
そのような中で、長野をスケートのメッカにしたいという期待に
ついては、少しずつ良い方向に向かっていると思います。設備の素
晴らしさは皆さんご存知のとおりですが、ソフト面も徐々に充実し
てきています。信州大学に結城教授という、あの清水宏保選手を育
てた日本人屈指のスケートコーチが赴任され、信大教育学部の学生
の指導は勿論、長野市スケート協会のメンバーとして、長野スピー
ドスケートクラブの子供達の指導にも当たっていただいております。
オリンピックの翌年、エムウェーブで開催された長野県中学校ス
ケート大会に、長野市の参加選手が一人もいなかったという事実を
知ったとき、私は愕然としてしまいました。これではエムウェーブ
は生き残れない。なんとかして、この環境を生かす方法を考えよう
ということで、長野市スケート協会の方々と努力してきたつもりで
すし、その成果として、翌年から中学生で長野県代表になる選手が
出現しました。
さらに、昨年の12月7・8日に開催されたISUスピードスケート
ワールドカップでは、結城教授の愛弟子である新谷志保美選手が
優勝するという快挙もありました。長野市生まれでエムウェーブ
育ちのオリンピック選手の出現には、もう少し時間がかかりそうで
すが、でも近いうちに必ず出現すると信じていますし、期待したい
ものです。
また、現在、国(文部科学省)のスポーツ振興基本計画の中に国
内トップレベルの競技者の育成や強化を図る目的で、国際的規模
の競技施設を「ナショナルトレーニングセンター」と位置づけて、ス
ポーツ医科学を活用した高度なトレーニングを行う計画があります。
皆さんもご存じのとおりエムウェーブは、世界に誇れる400m
ダブルトラックを有しておりますので、将来そういうことになれば
日本の一流選手の練習が間近で見られたり、自分たちもやってみよ
うという熱気が沸いてくると思います。
他のスポーツ団体の方には申し訳ないのですが『オリンピック選
手になりたかったら、長野でスピードスケートをやるのが一番早道
だよ』と自慢できる施設にしたいものです。ただ、長野がスケート
のメッカになるためには、スケートを職業にして生活できるように
することが必要だと思います。企業の皆さんに、いろいろお願いし
ているところです。
今年は、1998年に開催された長野オリンピックから5周年目
を迎えることを記念して、エムウェーブでは2月2日(日)にスケ
ートリンクを無料開放して、オリンピック選手によるスケート教室
を開くほか、2月9日(日)~11日(火)には、冬の信州の祭典
として氷の彫刻展、2月22日(土)・23日(日)には、全国規模
の第1回エムウェーブスピードスケート競技会が開催されますので、
多くの皆さんにご来場いただきたいと思っています。
エムウェーブ以外にも、長野には他にない素晴らしい施設が揃っ
ています。ビッグハットでのアイスホッケーチームの育成やスパイ
ラルでのリュージュやスケルトンの選手の中から、世界に通用する
選手を一人でも多く出していきたい。そのためには、レジャー、ス
ポーツ、そして競技として、ウインタースポーツに親しむ人と、
それを支えるシステムをつくっていきたいと考えています。
大会スケート競技で、8年ぶりに県勢が、男女総合優勝を果たすと
いう、うれしいニュースが飛び込んできました。長野市出身の選手が
いたかどうかは分かりませんが、長野市・長野県出身選手のさらなる
活躍を期待しています。
2003年1月30日木曜日
エムウェーブについて(その2)
2003年1月23日木曜日
エムウェーブについて(その1)
昨年の12月26日、(株)エムウェーブの第6期決算・株主総
会が開催され、平成14年9月末で三期連続の黒字決算(今期分約
1200万円の経常利益)となりました。今回の黒字決算により累
積赤字が全て解消され、通算での利益を計上することが出来ました
ので、すでに始まっている第6期では、更に前進することを期待し
たいと考えているところです。
(株)エムウェーブは、長野冬季オリンピックの時のアイスアリ
ーナ“エムウェーブ”を民間活力の導入で経営・管理しようという
ことで、オリンピック終了後の1998年6月に資本金3億円で設
立された株式会社で、株主は長野市が50%、長野県が10%、あ
とは民間(前川製作所、長野都市経営研究所(NPO法人NUPRI)、
鹿島建物、八十二銀行、長野信金、JA、東京ガス)が出資した第
三セクターです(地方自治法の規定で、行政財産の管理を委託する
には、純粋な民間会社には委託できないのだそうです)。
第三セクターが全国的に赤字決算となっている状況の中で、黒字
を計上していることは、大変ありがたいことでして、大規模施設の
運営に工夫をこらして頑張っていただいている関係者の努力、そし
てエムウェーブに足を運んでいただいている市民の皆さん、ボラン
ティアのエムウェーブ友の会の皆さん、長野市スケート協会の皆さ
んに心から感謝したいと思います。
昨年、日韓共催でサッカーのワールドカップが開催され、日韓両
国のチームの健闘と、世界のスタープレーヤーの活躍により、日本
中が湧き上がりました。そして、この大会の実施に当たって、日本
中に大きなスタジアムがたくさん建設されました。しかし、あの大
スタジアムを造った自治体にとっては、これから大変な時期を迎え
るのではないかと余計な心配をしています。大スタジアムを満杯に
するイベントを開催することは、なかなか大変ですし、おそらく運
営経費の捻出に苦労されるのではないでしょうか。
私は、株式会社設立に際し、当時の塚田市長さんに依頼され、N
UPRIの代表として代表取締役副会長に就任し経営に携わってき
たのですが、最初の二期(約16か月)は、大変な赤字決算となり
ました。その背景には、長野のスケート人口の少なさ、オリンピッ
ク後の急激な景気低迷があり、夏季のイベント誘致も施設が大きす
ぎるが故になかなか難しいなど、当初の見込みが大きく狂ったから
です。
三期目も赤字になる可能性があるということが分かった時点で、
根本からやり直すことを決意し、大掛かりなリストラに取り組みま
した。関係者の皆さんには大変申し訳なく思っていますが、問題の
先送りをして赤字の垂れ流しをしていれば、いずれもっと大変なこ
とになることは必定でしたから、それこそ心を鬼にして取り組み、
ご協力をいただく中で何とか黒字に転換することが出来たのです。
正直に言って売上が増えて黒字になったわけではありません。リ
ストラによって経費を極端に削減したことで黒字になったのです
(これは、今苦しんでいる“しなの鉄道”と同じ境遇だと思います)。
ですから将来の明るい展望を見出しているわけではなく、まだまだ
厳しい状況は続いているのです。
ただ今回、(株)エムウェーブの社長に土橋専務が昇格しました。
彼は長野オリンピック当時のJTB長野支店長で、顧客のニーズを
つかむプロです。また、長野のことをよく理解していて人脈もあり
ますし、なによりも(株)エムウェーブ創立以来、営業担当として
苦労してこられた人です。私は最適の人事ということで、大いに期
待しています。
次週は、エムウェーブ活用の可能性や期待、そして、ウインター
スポーツの発信基地としての長野について書いてみたいと思います。
2003年1月16日木曜日
成人式について
「成人の日」の1月13日、市内2会場で成人式が開催されました。
長野市民会館で開催された、城山、芹田、小田切など市立10公民
館合同の成人式には、晴れ着やスーツ姿の新成人、約1,300人が
参加し、晴れて新成人として一歩を踏み出しました。
私からは、新成人の門出に際し、期待と激励の意味を込め、次の
とおり申し上げさせていただきました。
(新成人の皆様へ)
成人式を迎えられた皆さん、おめでとうございます。
成人となられた皆さんには、一人の社会人として多くの権利が与
えられますが、同時に様々な社会的義務も負うことになります。
今後は、それぞれの立場で責任を果たされ、地域社会、国、そして
国際社会の発展のためにご貢献いただけるものと大きな期待をいた
しております。
ただ、残念ながら、あるいは、時代の潮流の中でお気の毒という
ことかもしれませんが、皆さんがこれから船出する現在の社会は、
混迷と閉塞感が支配している、といっても言い過ぎではなく、社会
が皆さんの期待に全て報いてくれるかというと、大変厳しいものが
あるようにも思います。
しかし、こんな時こそ本当は凄いチャンスなのです。安定した社
会にはないチャンスがゴロゴロ転がっていると考えましょう。ピン
チの時こそチャンスという言葉があります。そのチャンスを引き寄
せられるかどうか、それは皆さんの努力次第だろうと考えます。
21世紀を迎え、世の中は改革の波が押し寄せています。これま
での制度や組織の改革はもとより、私達一人ひとりがこれまでの価
値観や生活習慣を見つめ直し、新たな方向性を見出す時期にさしか
かっております。そのような改革を推進するためには、皆さんの若
く柔軟な感性で物事を捉え判断する力と、若さ溢れるエネルギーが
必要であり、皆さんの熱意と行動力に大いに期待しております。
私達の世代の常識と皆さんの世代の常識は、生きてきた時代や経
験などから、必ずしも同じではないでしょう。そのため、皆さんが
主体性を発揮し改革に取り組もうとすれば、多分私達とぶつかるし、
意見の違いは当然表面化することは明らかでしょう。そういう意味
では、皆さん方から見れば、私達世代は抵抗勢力なのだろうと思っ
ています。しかし、私達は、皆さんの意見に耳を傾ける度量はもっ
ているつもりです。皆さんの行動を理解しようとする気持ちはもっ
ています。一緒に改革しようという気概はもっているつもりです。
気概をもって、一緒に社会の変革に取り組んでください。期待して
います。
私から、一つアドバイスをするとすれば、自分の信念をもって何
事にも対処して欲しい。それは、なんでも良いのです。
「嘘は言わない」、「人に迷惑はかけない」、「友達を大切にす
る」、「お父さんお母さんや家族を大切にする」・・・といった生
活上の信条でも良いと思いますし、「環境問題をテーマに、地球環
境を研究したい」、「医療・福祉の世界で一生の仕事を見つけよう」、
「海外に雄飛して世界の場で活躍しよう」、「企業を興して、会社
の社長になろう」、「政治の世界に進出して、首相になって日本を
動かそう」、「教師や学者になって、日本の未来を背負う子供達を
育てたい」・・・といった将来への夢でも良いと思います。
ただ、信念を実現するためには、不断の努力、何事にも負けない
パワーが必要だということだけは、憶えておいていただきたい。途
中挫折しても良いのです。その時はまたやり直せば良いのです。現
在の社会は、皆さんがたとえ失敗をしても、再起を受け入れる寛容
さが、少しずつ育まれていると私は思います。
皆さんの熱意と行動力に大いに期待をしております。
前途洋々たる皆さんの未来に向けての活躍を祈念して、お祝いの
言葉といたします。
以上が10公民館合同成人式において私が申し上げたことの概要
であります。
全国的に荒れる成人式が話題になっている中で、長野市において
も、例年、式典が始まっても着席せず、大変騒がしいなどの問題が
主催者を悩ませており、実行委員会としてもいろいろと改善が試み
られてきました。
このような中で、実行委員会では、今年の成人式の運営に当たり
新成人から意見を聞いたところ、「久しぶりに会う仲間とゆっくり
話がしたい」との意見が多かったため、これを受け、今年はアトラ
クションをやめ、式典の前に中学校時代の恩師を招き、出身中学ご
とに「恩師を囲むおしゃべり会」を設定したものです。
ひとしきり恩師や仲間との会話を終えた後であり、また、式典の
方も可能な限り短時間に設定したことで、ここ数年の中では初めて
というほどの和やかな雰囲気の中での成人式となりました。
社会人として第一歩を踏み出す記念すべき成人式の式典が、実行
委員会をはじめ関係の皆様のご尽力により、このように立派に開催
ができましたことに心より敬意を申し上げたいと思います。
2003年1月9日木曜日
新年のごあいさつ
新年明けましておめでとうございます。
皆様には、お健やかに新たな年をお迎えのこととお慶び申し上げ
ます。
一昨年11月に市政をお預かりして一年余りが経過いたしました
が、「市政に民間感覚を取り入れ、市民の皆様とのパートナーシッ
プにより元気なまちをみんなでつくろう」を政治理念として、一日
一日を大切に全力で市政に当たってまいりました。できる限り市内
各地域を回り、市民の皆様と直接お話させていただき、「市民の皆
様が行政に何を望んでおられるのか」傾聴し、私の糧にさせていた
だきました。
そんな中で、市政のことを市民の皆様に知っていただこうという
ことで、昨年の4月からメールマガジンを毎週配信してまいりまし
た。おかげさまで、この8ヶ月間に増刊号を含め43回配信するこ
とができ、配信登録の数も、市内外を合わせ1600件を超えまし
た。
このメールマガジンでは、普段はなかなかお話のできない出来事
や私の思いなどを、できるだけ素直な気持ちでお伝えしてきたつも
りですし、これからも内容を充実させ、その時折の出来事や話題を
できるだけ早くお伝えしてまいりたいと思います。また、皆様から
も、こんなテーマでメールマガジンを配信して欲しいというリクエ
ストや、内容についてのご意見をお寄せいただければ幸いです。
さて、本市の財政状況は、長引く景気低迷を背景に市税の大幅な
減収と国や県の財政改革も相当影響することが予想され、極めて厳
しい状況になる見通しです。
新年度の予算編成は「入りを量りて、出ずるを為す」を基本理念
とし、限りある財源を最大限有効に使うため、多くの方々が本当に
求めているものに対して財源を重点配分していくことが、私の責務
だと考えます。
さらに、全国的に合併の動きが活発ですが、本市も昨年豊野町か
ら合併協議の申し入れを受けました。今後、住民の皆様の意向を十
分踏まえた上で、市の将来のビジョンを描いてまいります。併せて、
市内各地域それぞれの特色と個性が伸びる、そんな施策の展開を図
ってまいりたいと考えております。
現在、21世紀前半を念頭に置いた市の将来像やまちづくりの方
向を定める「第三次総合計画後期基本計画」の策定に取り組んでお
ります。また、行政改革大綱、市民公益活動のための基本方針、男
女共同参画社会に向けての条例制定、新あんしんいきいきプラン21、
子育て支援計画などは、将来の長野市の骨格となる重要な政策であ
り、パブリックコメントなどにより市民の皆様のご意見をお聴きし
ながら計画の策定をしております。
昨年は、Plan(計画)の年、本年はDo(実行)の年として、
計画を実行するため全力を挙げてまいりたいと考えております。
本年は、善光寺の御開帳がございます。長野市が元気みなぎるま
ちになるよう実現に向け気持ちを膨らませております。
本年が、皆様にとりまして、明るく輝ける年になりますようご祈