「成人の日」の1月13日、市内2会場で成人式が開催されました。
長野市民会館で開催された、城山、芹田、小田切など市立10公民
館合同の成人式には、晴れ着やスーツ姿の新成人、約1,300人が
参加し、晴れて新成人として一歩を踏み出しました。
私からは、新成人の門出に際し、期待と激励の意味を込め、次の
とおり申し上げさせていただきました。
(新成人の皆様へ)
成人式を迎えられた皆さん、おめでとうございます。
成人となられた皆さんには、一人の社会人として多くの権利が与
えられますが、同時に様々な社会的義務も負うことになります。
今後は、それぞれの立場で責任を果たされ、地域社会、国、そして
国際社会の発展のためにご貢献いただけるものと大きな期待をいた
しております。
ただ、残念ながら、あるいは、時代の潮流の中でお気の毒という
ことかもしれませんが、皆さんがこれから船出する現在の社会は、
混迷と閉塞感が支配している、といっても言い過ぎではなく、社会
が皆さんの期待に全て報いてくれるかというと、大変厳しいものが
あるようにも思います。
しかし、こんな時こそ本当は凄いチャンスなのです。安定した社
会にはないチャンスがゴロゴロ転がっていると考えましょう。ピン
チの時こそチャンスという言葉があります。そのチャンスを引き寄
せられるかどうか、それは皆さんの努力次第だろうと考えます。
21世紀を迎え、世の中は改革の波が押し寄せています。これま
での制度や組織の改革はもとより、私達一人ひとりがこれまでの価
値観や生活習慣を見つめ直し、新たな方向性を見出す時期にさしか
かっております。そのような改革を推進するためには、皆さんの若
く柔軟な感性で物事を捉え判断する力と、若さ溢れるエネルギーが
必要であり、皆さんの熱意と行動力に大いに期待しております。
私達の世代の常識と皆さんの世代の常識は、生きてきた時代や経
験などから、必ずしも同じではないでしょう。そのため、皆さんが
主体性を発揮し改革に取り組もうとすれば、多分私達とぶつかるし、
意見の違いは当然表面化することは明らかでしょう。そういう意味
では、皆さん方から見れば、私達世代は抵抗勢力なのだろうと思っ
ています。しかし、私達は、皆さんの意見に耳を傾ける度量はもっ
ているつもりです。皆さんの行動を理解しようとする気持ちはもっ
ています。一緒に改革しようという気概はもっているつもりです。
気概をもって、一緒に社会の変革に取り組んでください。期待して
います。
私から、一つアドバイスをするとすれば、自分の信念をもって何
事にも対処して欲しい。それは、なんでも良いのです。
「嘘は言わない」、「人に迷惑はかけない」、「友達を大切にす
る」、「お父さんお母さんや家族を大切にする」・・・といった生
活上の信条でも良いと思いますし、「環境問題をテーマに、地球環
境を研究したい」、「医療・福祉の世界で一生の仕事を見つけよう」、
「海外に雄飛して世界の場で活躍しよう」、「企業を興して、会社
の社長になろう」、「政治の世界に進出して、首相になって日本を
動かそう」、「教師や学者になって、日本の未来を背負う子供達を
育てたい」・・・といった将来への夢でも良いと思います。
ただ、信念を実現するためには、不断の努力、何事にも負けない
パワーが必要だということだけは、憶えておいていただきたい。途
中挫折しても良いのです。その時はまたやり直せば良いのです。現
在の社会は、皆さんがたとえ失敗をしても、再起を受け入れる寛容
さが、少しずつ育まれていると私は思います。
皆さんの熱意と行動力に大いに期待をしております。
前途洋々たる皆さんの未来に向けての活躍を祈念して、お祝いの
言葉といたします。
以上が10公民館合同成人式において私が申し上げたことの概要
であります。
全国的に荒れる成人式が話題になっている中で、長野市において
も、例年、式典が始まっても着席せず、大変騒がしいなどの問題が
主催者を悩ませており、実行委員会としてもいろいろと改善が試み
られてきました。
このような中で、実行委員会では、今年の成人式の運営に当たり
新成人から意見を聞いたところ、「久しぶりに会う仲間とゆっくり
話がしたい」との意見が多かったため、これを受け、今年はアトラ
クションをやめ、式典の前に中学校時代の恩師を招き、出身中学ご
とに「恩師を囲むおしゃべり会」を設定したものです。
ひとしきり恩師や仲間との会話を終えた後であり、また、式典の
方も可能な限り短時間に設定したことで、ここ数年の中では初めて
というほどの和やかな雰囲気の中での成人式となりました。
社会人として第一歩を踏み出す記念すべき成人式の式典が、実行
委員会をはじめ関係の皆様のご尽力により、このように立派に開催
ができましたことに心より敬意を申し上げたいと思います。