昨年の12月26日、(株)エムウェーブの第6期決算・株主総
会が開催され、平成14年9月末で三期連続の黒字決算(今期分約
1200万円の経常利益)となりました。今回の黒字決算により累
積赤字が全て解消され、通算での利益を計上することが出来ました
ので、すでに始まっている第6期では、更に前進することを期待し
たいと考えているところです。
(株)エムウェーブは、長野冬季オリンピックの時のアイスアリ
ーナ“エムウェーブ”を民間活力の導入で経営・管理しようという
ことで、オリンピック終了後の1998年6月に資本金3億円で設
立された株式会社で、株主は長野市が50%、長野県が10%、あ
とは民間(前川製作所、長野都市経営研究所(NPO法人NUPRI)、
鹿島建物、八十二銀行、長野信金、JA、東京ガス)が出資した第
三セクターです(地方自治法の規定で、行政財産の管理を委託する
には、純粋な民間会社には委託できないのだそうです)。
第三セクターが全国的に赤字決算となっている状況の中で、黒字
を計上していることは、大変ありがたいことでして、大規模施設の
運営に工夫をこらして頑張っていただいている関係者の努力、そし
てエムウェーブに足を運んでいただいている市民の皆さん、ボラン
ティアのエムウェーブ友の会の皆さん、長野市スケート協会の皆さ
んに心から感謝したいと思います。
昨年、日韓共催でサッカーのワールドカップが開催され、日韓両
国のチームの健闘と、世界のスタープレーヤーの活躍により、日本
中が湧き上がりました。そして、この大会の実施に当たって、日本
中に大きなスタジアムがたくさん建設されました。しかし、あの大
スタジアムを造った自治体にとっては、これから大変な時期を迎え
るのではないかと余計な心配をしています。大スタジアムを満杯に
するイベントを開催することは、なかなか大変ですし、おそらく運
営経費の捻出に苦労されるのではないでしょうか。
私は、株式会社設立に際し、当時の塚田市長さんに依頼され、N
UPRIの代表として代表取締役副会長に就任し経営に携わってき
たのですが、最初の二期(約16か月)は、大変な赤字決算となり
ました。その背景には、長野のスケート人口の少なさ、オリンピッ
ク後の急激な景気低迷があり、夏季のイベント誘致も施設が大きす
ぎるが故になかなか難しいなど、当初の見込みが大きく狂ったから
です。
三期目も赤字になる可能性があるということが分かった時点で、
根本からやり直すことを決意し、大掛かりなリストラに取り組みま
した。関係者の皆さんには大変申し訳なく思っていますが、問題の
先送りをして赤字の垂れ流しをしていれば、いずれもっと大変なこ
とになることは必定でしたから、それこそ心を鬼にして取り組み、
ご協力をいただく中で何とか黒字に転換することが出来たのです。
正直に言って売上が増えて黒字になったわけではありません。リ
ストラによって経費を極端に削減したことで黒字になったのです
(これは、今苦しんでいる“しなの鉄道”と同じ境遇だと思います)。
ですから将来の明るい展望を見出しているわけではなく、まだまだ
厳しい状況は続いているのです。
ただ今回、(株)エムウェーブの社長に土橋専務が昇格しました。
彼は長野オリンピック当時のJTB長野支店長で、顧客のニーズを
つかむプロです。また、長野のことをよく理解していて人脈もあり
ますし、なによりも(株)エムウェーブ創立以来、営業担当として
苦労してこられた人です。私は最適の人事ということで、大いに期
待しています。
次週は、エムウェーブ活用の可能性や期待、そして、ウインター
スポーツの発信基地としての長野について書いてみたいと思います。