市長就任以来、1年5か月が経ちました。今日は平成14年度を
終えるに当たって、今年度いろいろあった中から、その主なこと7
項目について、私がどんな意図でその仕事に取り組んだのかという
ことを、お話してみたいと思います。
(1)広報広聴制度の改革
最初に取り組んだことは、広報広聴制度の改革です。特に重
要視したことは、情報の公開、市民・地域の意見の聴取、透明
性の確保、分かりやすい行政、そして説明責任であろうと考え
ました。従来のみどりのはがき、広報ながの等の更なる充実は
当然として、メールマガジンを創刊し、パソコン映像を使った
地区市民会議や移動市長室、地域横断的市民会議などにおいて
は、分かりやすさを目指して取り組んでまいりました。
(2)中心市街地の活性化
もんぜんぷら座の開設に向けては、少し強引かなと思いなが
らも一日も早くやりたい、と考え、ダイエー長野店が撤退した後
のビル買収、そして自己破産したそごう跡地へSBCの進出を
お願いし、長野銀座A-1地区再開発の目途をたてることがで
きました。当然のことながら、もんぜんぷら座が起爆剤になって、
中央通りを含む中心市街地の元気に繋がることを期待していま
す。
(3)元気なまちを目指す各地の取り組みを支援
(ア)エコール・ド・まつしろ2004への取り組み
(イ)恵まれた長野の自然を生かし、人々の健康志向にもあやかり、
加えて中山間地域の活性化に少しでも資するため、トレッキ
ング構想を発表し、七二会地区の陣場平を歩きました。いず
れ善光寺平一周トレッキングコースを造りたいと考えていま
す。
(ウ)中山間地の信更地区で、早稲田大学の研究とタイアップして
中山間居住地域づくり支援分科会における研究をやってきま
した。動機付けとしてはなかなか面白い研究が出来ているよ
うに思います。
(4)公共交通機関の再生への試み
長野県の人口一人当たりの自家用車保有率が全国2位という
話は有名ですが、裏返せば、いかに公共交通機関が不十分であ
るかということでしょう。高齢化が進行する長野市で、路線バス
がない!というのは、車の運転が難しくなったお年寄りには切
実な問題です。なんとかしなくては・・・・・。高齢者の生活
の足を確保するということは、古い言葉ですが、シビルミニマ
ム(注)といえるでしょう。
(注)シビルミニマム=住民のための必要最小限の生活環境
条件で、自治体が目標とする行政基準
しかし、篠ノ井地区で塩崎線・共和線、若穂地区で綿内線
の三路線で昨年8月から今年3月まで行った路線バスの試験
運行は、残念ながら利用者が伸びず、結果として失敗に終わ
ってしまいました。需要がない、PR不足、路線の組み方のミ
ス・・・・。いずれにしろ今回の反省を生かし、新年度は何が
何でも仕切り直しをしなくてはならない話です。
(5)市町村合併の動きが加速
合併特例法の制定や国の指導・誘導もあって、全国的にみて
市町村合併の動きは加速しています。日本全国を見渡すと、西
日本では積極的に合併協議が進められているというように「西
高東低」の傾向が見受けられますが、長野市周辺では豊野町、
大岡村、戸隠村、鬼無里村、の4町村から、任意合併協議会設
置の申し込みをいただき、現在協議・調整中です。長野市の姿
勢としては、今回、国が進める合併は、それぞれの市町村の自
主判断によるものとされていますので、周辺の中で一番大きな
都市である長野市は、自らは動かず、それぞれの周辺自治体が
自主的に判断していただくことが大切と考えました。まだどう
なるか分かりませんが、昭和41年以来の大合併になるかも知
れません。市民の皆さんには、任意合併協議会の審議内容をな
るべく素早く、詳細にお知らせし、ご意見をお聴きする予定で
す。
市町村合併と並行して都市内分権というものを、今後進めて
いきたいと思っています。このことについては、別の機会にご
説明をしなくてはいけないと思っています。
(6)職員の意識改革への努力
市長就任前、私は民間企業の経営者でありましたが、数千人
という大きな組織を動かした経験はありませんでした。市長と
なった今、長野市のような大きな行政組織は、一人で動かそう
としてもそれは無理。上から力で引っ張ろうとしても、表面的
には従っても本当の意味での一致協力体制は出来ない・・・。
私は就任2か月後、それを悟って意識改革に取り組む決意をし
ました。
まず、予算査定や議会質問の答弁などの検討会(ヒアリング)
に際しては、なるべく多くの職員と議論し、時間をかけました。
市長の意見は絶対ではない、自分の経験からそれではうまくい
かないという職員からの意見が、どんどん出てくることを期待
しました。
もう一つは、若手職員(40歳前後の係長クラス)との懇談
会です。12人を一つのグループとして4回ずつ懇談会を開き、
1年間で約100人と懇談し、最終日の夜には会費制で酒を飲
むなど、私にとっても、とても有意義な勉強の場になりました。
(7)平成14年度はPLAN(計画)の年
長野市には長期計画(第三次長野市総合計画)があります。
これは市の憲法みたいなもので、市はその計画に従って事業を
推進していくわけですが、オリンピック終了後、あまりにも大
きく社会の流れが変わってしまったが故に、根本を変えない限
り無理があると思いました。そこで総合計画の後期基本計画の
見直しを始め、併せて、長野市行政改革大綱の策定、男女共同
参画社会推進条例の制定など、21世紀前半の長野市の骨格に
なると思われる政策の根本となるPLANを作ってきました。
平成15年度はいよいよDO(実行)の年です。総論賛成各
論反対は世の常です。具体的な改革に取り組めば反対の動きは
必ず起きてくることが予想されます。その際には、きちんと説
明責任を果たしながら「元気なまち」を実現するための施策・
事業を総合的かつ計画的に推進してまいります。
以上、今年度の主なことについて、その時私が何を考えて取り組
んできたか、書かせていただき、年度の締めくくりにさせていただ
きます。今年度、下手な文章に付き合っていただいた方々に心から
感謝しています。次年度も頑張って書く予定ですので、お付き合い
ください。