先週号では、こういう不況時代ですから、継続を前提としたイベ
ントを企画する場合、主催者は組織力と工夫、そして、何よりも情
熱が必要だということをお伝えしました。
今週は、もう一つの大きな課題である資金集めについて、私の考
えを書いてみたいと思います。
イベントの活動資金を集めるということは、確かに誰でも簡単に
出来る仕事ではありません。そのため、資金集めをイベント企画会
社にお願いした場合には、委託料を支払うことになりますが、行政
が絡んだイベントの場合、リベートと見られるようなことに行政が
関与することはあってはならないことです。ましてや選挙の後援会
に絡む方の場合は、癒着と言われる危険性があると思います。
そういう意味では、県議会の議論の中で、インフィオラータの資
金集めに関する知事の関わり方について「疑惑がある」という話に
より、そのイメージが随分ダウンしてしまって、関係企業に敬遠さ
れたのではないかと心配しています。
新聞報道で知る限りであり、真偽のことは分かりませんが、知事
支援の政治団体の前代表が社長を務める東京都内のイベント企画会
社に、スポンサー契約の取りまとめなどの委託料として、約390
万円を支払っていたということですが、純粋な気持ちであの花びら
を並べてくれた子供達やボランティアの皆さんの気持ちを考えると、
どうも納得がいかないという気持ちになるのは私だけでしょうか。
話は違いますが、長野オリンピック招致委員会の帳簿紛失問題に
ついて、我々は既に決着がついたものと思っていますが、知事が調
査するとおっしゃって、いまだに尾を引いているようであり、これ
もあの素晴らしいオリンピックのイメージを落とす話で、市民にと
って気になる話です。
オリンピック(今の時代、インフィオラータもそうかも知れませ
ん)のような地域の中だけでは解決できない大型イベントの場合、
全国的あるいは世界的にお願いして歩き、あの手この手でお金を集
めたことによって大成功したことは事実です。純粋に宣伝効果を計
算し、スポンサーとなった企業もあるでしょうが、義理を立て、あ
るいは長野のために仕方ないと考えてスポンサーになってくださっ
た企業もあるはずです。
個人的なことで恐縮ですが、私も市長就任前は長野商工会議所の
副会頭という立場で、色々な寄付金集めに携わってきました。オリ
ンピック前で、まだ景気が良かった時代ではありましたが、いくつ
ものプロジェクトを抱え、辛かったことを思い出します。ある時期、
友人の会社社長にアポイントを入れたら「今度は何の金集めかね?」
と言われたこともありました。
オリンピック招致段階の資金集め、セントラルスクゥエアの表彰
式会場づくりのためのタイルによる資金集め、オリンピック文化プ
ログラム(全てではありません)実行のための資金集めのような一
時的な資金集めのほか、アスペン音楽祭のように10年間続けたも
のもありました。長野びんずるやえびす講煙火、あるいは町のお祭
りのように長い間の伝統に支えられた寄付集めもあります。数え上
げたら切りが無いのですが・・・・・概して一時的な資金集めより、
毎年お願いしていく方が大変だったように思います。
もちろん私一人でやったのではありません。街の活性化を担う皆
さんが例えば「えびす講煙火」「ニコニコお祝い花火」「びんずる」
「ながの歳時記」等のビッグイベントをはじめ、地域のお祭り等で
も頭を下げて歩き、頑張っていただいています。これらの皆さんの
努力が無ければ、街は火が消えたように寂しいものになってしまう
と思います。
そして自信をもって申し上げられることは、その間にリベート等
に類するものは一切無かったこと。資金使途は明確に報告され、疑
念が生じないこと。加えてお金を集める人は自分がまず出すのが当
たり前ということです(出さなければ他人は応じないでしょう)。
「税外税だ」と批判される方はいるでしょうが、それがあるから、
市民社会は運営されていくし、コミュニティが保たれていくのだと
思います。
インフィオラータは残念ながら来年は休止です。でも市民の皆さ
んが素晴らしい経験をしたが故に、永久に止めです、とはなかなか
言えるものではないと思います。このプロジェクトをどうすべきか、
議論して可能性を検討したいものです。
長野市とすれば引き続き応援していきたいとは考えていますが、
企業の動向や県の動向いかんでしょう。今回の休止発表はイベント
を企画する場合において、一回だけなのか、長期にやることを目指
すのか、後のことを考え、多くの人と良く話し合ってから実行に移
すべきだということを、学ばせてもらいました。