2003年12月4日木曜日

イベント企画と資金集めについて(その1)


 長野の新しい春の名物になることが期待されていた花の祭典、
「インフィオラータ・イン・NAGANO」について、長野商工会議所
が来年は一時的に休止すると発表したことが新聞に掲載されました。
2年間、素晴らしい企画のもとで、小学生を含む大勢のボランティ
アの皆さんが一生懸命に頑張り、“花の芸術”といってもよい、素晴
らしい花のじゅうたんを作っていただき、多くの観客を集め、長野
の名を高めていただいたイベントが一時的ではあるとしても、休止
されることは誠に残念です。しかしながら、不況の時代、資金集め
が難しいようであり、仕方がないものと感じています。

 いつの時代も同じことなのでしょうが、何かを作るとか、何かイ
ベントをやるとかという場合、どうしてもお金が必要であり、その
企画者・責任者にとってお金の工面は一番頭が痛い問題です。特に
現在のような不況の時代、行政が全てやることは無理ですし、個人
が出せるお金には限界があります。企業も最終的には利益をあげる
ことが目的ですから、費用対効果を考えてなかなか渋い。したがっ
て趣旨を理解してくださる企業は本当にありがたいわけですし、大
いに宣伝してあげるからよろしくと申し上げたいのですが、なかな
か企業が見つからないのが現実です。
   
 個人が自分の家を造る場合には、自分の責任でお金を用意するわ
けで、自分のお金だけでは足りない場合、親・兄弟・知人に頼み、
それでも足りなければ金融機関から借金してローンを組むのは当た
り前であり、当然のことながら自己責任で返済することになります。

 行政においても原理は同じです。例えば市民会館を造る場合、長
野市の場合には、いずれ造ろうということで先輩の皆さんが基金を
つくってくださっていますが、足りなければあらためて予算を組ん
で、市議会の了解を得なくてはなりません。国や県から補助金をい
ただける場合もあるでしょうが、市民会館の場合は無理でしょう。
足りない場合は借金(市債)することになりますが、返済をしなく
てはならないことは当然です。

 最近はまず無いと思いますが、例えば学校のプールを造るような
場合、昔は行政も貧乏な時代ですから、地元負担ということで、寄
付金を、生徒の保護者、卒業した同窓生、あるいは地元企業などに
お願いすることは普通に行われており、また地域の皆さんも自分達
の学校ということで、渋々であってもなんとか出してくださったわけ
です(最近は、PTAが行う家庭の不要品バザーについても、抗議
の電話がくる場合があるとのことで、お金集めは極めて難しく慎重
にならざるを得ないようです)。

 そこで、インフィオラータの件です。このイベントは田中知事さん
の発案で2年続けて行われました。長野市としては、長野商店会
連合会が中心となって行われている「善光寺花回廊」に併せて資金
的な応援(2千万円)を行っています。

 全国に発信できるイベントとして考えた場合、あの発想と企画力
は、普通の者では無理でしょう。知事の発想力と度胸が、今岡氏と
いう凄い発信力を持ったプロデューサーを連れてきた、そのことに
は敬意を表しますし、ボランティアが大勢参加し、新しい長野の風
物詩をつくったといえると思います。

 しかし、問題は2つあると思います。(1)2日間のイベントと
しては費用が多額すぎる、もっと節約できないか。(2)資金面を
クリアするためには、どうしても企業協賛が必要であり、それも地
域の企業だけではこの不況の時代には困難であり、ナショナルブラ
ンド企業の応援がどうしても必要なのですが、安定的なお願いは無
理だった、ということでしょう。

 時代は違いますが、例えば長野びんずるをつくった当時の過程に
比べると、突然出てきたお金がかかるイベントだけに、継続性を考
えた組織づくりが充分ではなかったと感じます。

 最近では、今年2月に行われた善光寺のライトアップ(善光寺ゆめ
常夜灯)があります。青年会議所(JC)と商店街の皆さんが熱心
に取り組んでくださいましたが、あのイベントは、石井さんという
素晴らしい照明デザイナーをJCの皆さんが熱心に口説いてくれた
おかげで破格の費用でやっていただき、費用対効果は極めて良かっ
た。夜の行事ですから小学生のボランティアには参加していただけ
ませんでしたが、商店街や若い人に支えられた素晴らしいイベント
でした。市民の皆さんの意見にもよりますが、次年度以降も継続す
る可能性が高いと思います。