1月20日(火)、もんぜんぷら座にある「じゃん・けん・ぽん」
を訪問しました。移動市長室ということで、運営委託しているNPO
法人のスタッフの皆さんやお子さんを連れておいでになっている
お母さん方から、いろいろなお話をお聞きしました。
2階のこども広場の運営については、民間の方に運営をお願いし
たいと考え公募をしたところ、NPO法人「ながのこどもの城いき
いきプロジェクト」が手を挙げてくださいました。他に競合する団
体の応募がなく、いろいろ調査させていただいた結果、適当と判断
し、お願いすることになりました。
このNPO法人は長野市がもんぜんぷら座を取得する前から、
「こどもの城」の必要性を行政に提案し、是非つくって欲しいと陳
情されていました。スタッフもかなり充実していて、小児科のお医
者さん、看護師、保育士、ボランティア等、多くの専門家が関係し
ておられ、運営方針もしっかりしていました。名称は公募によって
「じゃん・けん・ぽん」という可愛い名称に決まり、スタートをいた
しました。
さて、「じゃん・けん・ぽん」がスタートして約8ヶ月が経過し
ましたが、評判はなかなか良いと評価しています。スタッフの皆さ
んは明るく親切ですし、手作りの遊具や本を用意して子どもが楽し
く過せるような配慮を充分して下さっているように感じます。現状
では、行政がやるよりはるかに低コストで、市民満足度を上げてく
ださっていると感じています。月間の来場者も予想を上回る
5,000人以上ということで、市民の皆さんの評価も大変高いよ
うです。私個人とすれば、こんなに需要があったことに正直びっく
りしているというのが本音です。運営面で子育て教室を開いたり、
相談コーナーを設けたり、また、いろいろなイベントを開催するな
ど、適切な工夫をしていることも、子育て支援施設としての役目を
果たしていただいていると思いました。
移動市長室では、まず運営スタッフの皆さんのご意見をお聞きし
ました。利用されているお母さん方から言われていることとして、
1.素晴らしい場所に素晴らしい施設が出来て感謝している
2.託児所をやって欲しい
3.いろいろな年代の子どもがいるので、それぞれに合うプログ
ラムが欲しい
4.大人のトイレが足りない、等の意見がありました。
駐車料金を無料にして欲しいという意見もあるようです。また、
長野市がやっているファミリー・サポート・センター(勤労者女性
会館しなのき内)の機能をこの場所に移したらどうか、という興味
深い提案もありました。
引き続いて、子ども達が遊んでいる場所で、お母さん方のご意見
もお聞きしました。やはり多かったのは、託児機能が欲しいという
ことでした。お孫さんを連れてきておられたお祖父さんは、寒い日
にはこういう場所が大変ありがたいとおっしゃっておられました。
全てを満足させることは難しいのですが、一番多かった託児機能
が欲しい、ということについて私の考えを述べさせていただきます。
確かに保護者の皆さんが、この場所にお子さんを預けて、近所で買
い物をしたり、美容院へ行ったり、ちょっとした息抜きをしたいと
いうお気持ちはよく分かりますし、そのことはこの地域の賑わいを
つくりたいという最初の趣旨にも合っていると思います。場所の確
保は可能だろうと思いますし、有料でやるとすれば、特にコスト的
には問題は無さそうです。
ただ、調整をしないとまずいのは、既存の保育所に一時保育とい
うことで、お子さんを預かるシステムをお願いしていることです。
保育所や幼稚園と競合することになってしまっては本末転倒ですし、
結果としてお子さんとのコミュニケーションを減らしてしまうこと
になることも心配です。新しい施設ですから、新しいことを始める
とすれば、関係機関と充分調整をしてから結論を出したいと考えて
います。
「じゃん・けん・ぽん」に限ったことではありませんが、行政サ
ービスを行う場合、民間の経営を圧迫することは最小限にしなくて
はいけない、と常に考えています。あわせて、無料のサービスとい
うことも最小限にすべきではないか、とも思っています。全てのサ
ービスにはお金がかかっています。どこまで無料にすべきか、難し
い問題です。
もんぜんぷら座の経緯については、メールマガジン第60号にも掲
載しておりますので、バックナンバーをご覧ください。
https://wwws.city.nagano.nagano.jp/mail-mgz/backno/2003/0605095557.html
もんぜんぷら座の情報は、http://www.monzen-plaza.com/ に掲載さ
れています。
2004年1月29日木曜日
「じゃん・けん・ぽん」での移動市長室
2004年1月22日木曜日
周辺町村との合併、そして都市内分権について(その2)
先週号では、長野市における法定合併協議会に至るまでの経過に
ついて述べさせていただきましたが、今週号では現在、全国的に進
んでいる市町村合併の背景と長野市として検討を進めている都市内
分権について申し上げたいと思います。
国は、「真の地方自治実現」あるいは「三位一体の改革」などと
いろいろ理由をつけてはいますが、厳しい財政状況のもと、「地方
へ今までどおりのお金は回せないよ」ということが現在の政策の根
本にあるように思います。
確かに国も地方も借金だらけであり、大リストラをしなくてはな
らないことは、誰の目から見ても明らかですから、公共事業の見直
し等もあるとは思いますが、一つの方策が地方自治体の合併推進な
のです。
地方自治体のコストを下げなくては、国から地方への金の流れを
減らすことはできません。最小でも人口1万人を目途にするという
方針のようですが、健全な財政規模の地方自治体をつくるという目
的のためには、まだまだ甘いのかもしれません。
過去、地方交付税、補助金、譲与税・・・・名目はいろいろです
が、国は地方に金を回してきました。特に小さな町村に対し、過疎
債等の名目で人口の割合から考えれば優遇してきたことは事実で
しょう。あれもこれもと要求してきた地方の姿勢も問題ですが、それ
に応えてきた国の姿勢も、正にバブルの発想だったということでし
ょう。そのバブルが崩壊したわけですから、国も地方もそれなりに
リストラを含め努力しなくては成り立たないのは、自然の理でしょ
う。
さて、長野市と周辺町村の合併の話です。全体の行政コストを
下げることが大切であることはお分りいただけると思います。ただ
それだけでは、「お金のためだけですか?」と言われると返答がで
きません。行政コストを下げながら、市域が広くなって人口が増え
ても、市民が自主性をもって市政に参加し、長野に住むことに誇り
をもてるかどうか、住みやすいまちと感じていただけるかどうか、
生まれてくる子ども達に、我々は自信をもって引き継いでいけるか
どうか・・・・・。それらが大切なことであって、そのためにこれ
から議論し、実践していかなくてはなりません。
今回の合併論議の中で、周辺町村長さんのご意見を聞いていて、
合併とは直接的な関係はないのですが、昨年11月に発表した
「長野市版都市内分権」に対する期待が大きいことが分かりました。
このことについては、市の職員による庁内プロジェクトチームが、
約1年かけてまとめた「長野市都市内分権調査・研究報告書(中間
報告)」をもとに市内各地で説明会を行っている段階です。
今後、市民会議やパブリック・コメント、あるいはみどりのはがき
などでいただいた意見を加味しながら、最終報告を作成する予定
です。また、正式な審議会に諮問し答申を得ていきたいと考えてい
るプロジェクトです。
「長野市版都市内分権」は、長野市という地方自治体の一体性を
確保しながら、行政をできるだけ市民の皆さんの目線に近いところ
で市民の皆さんと協力して行う、すなわち、本当の地方分権を実現
するための手段であると考えています。現段階までの議論では、総
論的には皆さんの反対は多くないと感じていますが、今後、各論に
入っていくと、なかなか難しい議論・対立も出てきそうな予感もあ
ります。例えば、地域の負担が増えるという意見をいただいていま
すが、自分達のことは自分達で決める「分権」とはそういうもので
す、とお答えすることにしています。
この長野市版都市内分権が出てきた背景には今回の合併論議が
あったことは事実です。すなわち、国は合併する自治体には、一定
の期間、地域審議会を設けることができるとしており、現在、一定の
自治を認めるよう法改正の準備をしています。ところが長野市の場
合、4町村にだけ自治を認めるということは、大多数の市内の方か
らすれば不公平という意見が出てくる可能性があります。それなら、
合併地域も含めて都市内での地域自治を考えたらどうか、もともと
長野市は合併によって大きくなった多軸都市なのですから・・・・。
もう一つの背景は、行政のタテ割りシステムを打ち破って、横軸
が一本通った社会をつくりたい、そんな想いも込められています。
元気なまちづくり市民会議等、長野市内あちこちで皆さんの話をお
聞きしてみて、行政のタテ割りシステムが、どうもうまく機能して
いないと感じていました。確かにタテ割りシステムは役割分担や責
任体制がはっきりするし、効率を上げるという意味では素晴らしい
のですが、同じようなことを部署が違うが故に別々にやったり、
矛盾したことをやらざるを得なかったり(企業なら利益をあげると
いう一点で、統合できるのですが)、セクト主義も良い意味の競争
になっていないと感じ、それを打ち破るシステムとして横軸システ
ムを考えようと言っているうちに、都市内分権という言葉に出会った
のです。
合併の背景には、もちろん地方自治体が直面している厳しい財政
問題があります。小さな自治体の自立が大切という意見もあります。
その両方を成り立たせる方法は何か、私は「都市内分権」によって
この矛盾したテーマを解決できると考えています。行政は効率を求
め、スリムな自治体をつくる必要性があります。生活圏が行政の壁
を越えて広がってきている現実もあります。広域行政も進んでいま
す。多様化する住民要望に応える体制づくりも必要で、それには一
定の規模がいるのではないでしょうか。
そして、私達が忘れてはいけないことは、合併は目的ではありま
せん。手段です。同じように自立も目的ではないと思います。目的
は「住民の幸せ」、「住み良いまちづくり」であり、個々人の主体
性が発揮できるまちをつくれるかどうか、そんなまちづくりを今問
われているように思います。
2004年1月15日木曜日
周辺町村との合併、そして都市内分権について(その1)
昨年12月、長野市・豊野町・大岡村・戸隠村及び鬼無里村は、
それぞれの市町村議会の議決を経て、法定合併協議会を設置しまし
た。
ここに至るまでの1年間、2つの任意合併協議会を立ち上げ、合
併する場合の条件整備(事務事業の調整、新市建設計画の策定等)
をしてきましたが、基本的な合意ができましたので、いよいよ地方
自治法と合併特例法に基づく法定合併協議会に舞台を移して、本格
的な合併協議を行うことになったものです。
任意合併協議会の運営については、事務局は各市町村から選ばれ
た職員が集まって、協議会に諮る原案を調整しました。協議会のメ
ンバーには議員さん、各種民間団体の代表の方、行政の理事者、外
郭団体の代表、そして附属機関の新市建設委員会には、公募の委員
さんもお願いして検討をしてきました。会議内容を全て公開したこ
とはもちろんですが、住民の皆さんの認識や理解を深めるために、
ホームページを開設したり、広報紙を全戸配布したり、あるいは地
域懇談会や市民会議の開催、11月には合併シンポジウムを開催す
る等、できる限りの努力をしてまいりました。
当然のことながら、市町村合併に疑問をもっておられる方々から
反対意見が出されましたし、賛成者の中にも、長野市は政令指定都
市を目指し、もっと積極的に周辺自治体に呼びかけるべきである、
といったご意見もいただきました。
もっと積極的に、というご意見に対しては、
1)今回の合併は、それぞれの自治体があくまで自主的に判断す
べきこと
2)長野市との合併は、自治体の規模が違いすぎるが故に、原則
的には新設合併は無理で、編入合併にならざるを得ないこと。
また、当時18市町村が長野広域連合をつくっていろいろな
広域行政に取り組んでいる状況の中で、長野市の圧力と思わ
れる行動は慎むべきであったこと
3)私が市長就任当時、長野広域連合の中では、当時の更埴市、
戸倉町、上山田町が数年前から合併の話し合いが進んでおり
(現在千曲市として発足)、長野広域連合全体を範囲とした
合併を提唱することは、すでに準備が進んでいる自治体合併
の邪魔をすることになること
4)それぞれの自治体の判断で、長野市と合併することが良いと
判断され、申し入れをいただいた場合は、真摯に検討するこ
と
この4つが長野市の基本的なスタンスでした。
反対意見については、それぞれの自治体で対処しましたが、長野
市の場合は、ほとんどなかったと認識しております。任意合併協議
会終了後、住民投票を行ったり、あるいは住民意向を調査するため
のアンケート調査を行った町村もありました。そして、それぞれ合
併賛成が多数という結果を得て、法定協議会への移行を議決したわ
けです。
長野市内では、確かに2,500項目以上の事務事業の調整内容
を市民の皆さん一人ひとりに全て理解していただくことは難しいと
は感じていましたが、過去の市議会の議論、市民アンケート、市民
会議・シンポジウム等に出された意見を参考にしながら、市民にと
ってはそれほど大きな変化はないと判断し、12月の市議会で全会
派一致の議決を得て、法定協議会への移行を決めたものです。現時
点までは順調に進んでいる、と考えています。
ただ、敢えて申し上げておきますが、合併の議論はまだ「合併決
定」ではありません。結婚の過程に例えれば、恋愛期間を過ぎて結
納を結んだ、そんな状況でしょう。破談になる可能性はありますし、
現に法定合併協議会を設置した後、協議の枠組みから離脱した市町
村の例はいくつも報道されています。合併調印が済んで、それぞれ
の議会が議決するまでは分からない、努力してまいりましょうとい
う事です。
以上、法定合併協議会に至るまでの経過について述べさせていた
だきました。来週は、合併論議の中で併行して考えるべき課題であ
る「都市内分権」という考え方について、お話しさせていただきた
いと思います。
2004年1月8日木曜日
新年にあたって考えたこと
新年明けましておめでとうございます。皆様には、お健やかに新
年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
年末から年始にかけて、過去2年間を振り返り、新しい年に何を
やらなくてはならないか整理してみました。市政は総合行政ですか
ら、全てを考えることは当然ですが、そうなるとどうしても総花的
になってしまいます。それでは皆さんに私の意図が理解していただ
けないと考え、誤解を恐れず敢えて絞り込み、箇条書きで書かせて
いただくことにしました。
3年目の市政運営
(Ⅰ)必要な視点(私達の考え方)
1)市民と行政のパートナーシップ(公益を支えるのは両者の
協働)
2)厳しい財政状況の認識(入りを計りて、出ずるを制す)
3)市職員・市民の意識改革(CS(市民満足)精神と自立の
心構え)
4)透明性・公開性・説明責任・説得責任(企画段階や負の情
報をどこまで)
(Ⅱ)具体的な基本政策
1)市町村合併と都市内分権(平成16年度中の合併実現と都
市内分権への理解)
2)行政改革の継続と民間活力の導入(聖域なき改革)
3)ごみ問題の解決(長野広域連合での合意に基づき、市内に
焼却施設を建設)
4)公共交通機関の再生(都市のインフラとしての位置付け)
5)教育問題に係る合意作り(小学校統廃合と皐月高校の市民
合意)
(Ⅲ)方向性はほぼ決まっていて、やり遂げなくてはならない政策
1)最大産業としての観光業の育成(当面の景気回復策、エコ
ール・ド・まつしろ)
2)コンピュータ・システム、通信回線の整備(電子市役所の実現)
3)入札制度の改革(公平・公正そして地域産業の育成)
4)スポーツを軸としたまちづくり(底辺拡大とアスリートの
養成)
5)自然を生かしたまちづくり(自然志向、健康ブーム、合併、
森の育成)
6)中心市街地の活性化(新しい都市の核づくり)
7)障害者ネット(障害者向けのインターネット利用通報シス
テム)の整備
8)次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定
9)基幹及び生活道路の整備(公共事業の振興策)
10)上下水道事業の整備(下水道普及率100%)
11)広報・広聴制度の充実(分かりやすい行政)
危機管理も大切です。地震対策を考えるだけでも建物の耐震工事
を急ぐ必要性や緊急備蓄の充実や自主防災組織の拡充も重要ですし、
消防や救命活動の充実も求められています。国民健康保険、生活保
護、老人介護、医療体制の充実などのセーフティーネットの整備と
いう意味で重要だと思います。
(Ⅳ)手段が分からないけれど、やらねばならぬ政策
1)景気をよくしたい
2)健常者と障害者が一緒に生活できるなど、混在した社会を
つくりたい
3)65歳まで(可能なら70歳まで)働ける環境を作りたい
4)「モノ作り」「新産業」をどのように応援するか
5)農・林業の自立(産業として自立する方策。森林レンジャ
ー制度を作りたい)
6)次世代育成推進基本法への対応(少子化の流れを食い止め
るための行動計画)
(Ⅴ)県との協議により解決しなくてはならないテーマ
1)浅川治水問題を含む県管理の河川の安全対策
2)住基ネット問題を解決して、有効利用の促進
3)長野県知事の泰阜村住民票異動問題
4)35人学級問題
5)審議会・委員会の公正・公平な人選ルールの確立
6)スペシャルオリンピックス(SO)の成功
7)景気対策の必要性への認識格差の是正
その他、廃棄物対策について検討されている県の条例は、大きな
問題を含んでいる。一般廃棄物の処理責任のある市町村にとっては、
ごみ処理行政の行き詰まりを招きかねない問題であり、県には市町
村や広域連合と充分な調整をもつことを要望してまいりたいと考え
ています。
(Ⅵ)市職員の意識改革と組織問題
1)職員を取り巻く環境の変化(公務員制度の改革、成果主義
・能力主義の導入)
2)CS精神の涵養
3)市民を信頼し、協働(コラボレーション)の精神
4)従来の慣習・前例を打破して挑戦する姿勢
5)横軸社会を目指した組織の組替えの検討
6)合併・都市内分権を前提にした組織の検討
7)経営管理室の創設(地域社会に必要な企業の育成)
以上、3年目の市政運営として、早急に対策を取らなくてはなら
ないと感じている事項を並べてみました。
今年は、市町村合併という本市にとって重要な転機を迎えようと
している年であります。市民の皆様と行政との協働により「元気な
まち ながの」を目指し、今直面しているこれらの諸課題を解決す
るため、全力で舵を取ってまいります。
本年も皆様の温かいご支援をお願い申し上げますとともに、皆様
が更に飛躍され、意義ある年となりますよう祈念申し上げます。