(中高年のスキーは素晴らしい)
市長就任前、私は(株)エムウェーブの副会長としてスケートを
もっと盛んにしたい、長野をスケートのメッカにしようと各方面に
声をかけ、私自身も長野市スケート協会の会長に就任して、お手伝
いをさせていただいてきました。まだ成果というほどではありませ
んが、スケートの科学研究の第一人者である信州大学の結城助教授
の存在、スピード・スケートの新谷選手の出現、そしてスピード・
スケートやフィギュア・スケートの青少年のクラブ、あるいは沢山
のアイスホッケー・チーム等が生まれてきたことなど、オリンピッ
クの時点では全く無かったに等しい「長野市のスケート文化」が、
かなり育ってきているように思います。また、長野でのスケート環
境にあこがれて「長野へ行きたい」と言う学生さんも増えているよ
うです。現在の就職難時代の産物かもしれませんが、将来的には大
いに期待をもてる態勢が生まれてきているように思います。
話は変わって、スキーです。今シーズンになって、私は約10年
ぶりにスキーを始めました。昔からの友達から「時間を作って滑ろ
うよ、面白いぞ!」と勧められたことがきっかけです。
何も運動しないのは良くない、運動して身体を鍛えるべきだとも
言われ、それなら昔、楽しんだゴルフかスキーにしようと考え、ス
キーを選びました。スキーを選んだ理由の一つは、今、予定されて
いる市町村合併が実現すると、長野市には飯綱高原スキー場のほか
に大岡村の聖山パノラマスキー場、戸隠村の戸隠スキー場と3つの
スキー場が存在することになります。長野市はスキー、スケートな
ど冬季スポーツのメッカとなるかもしれないから、少し勉強してお
こう、そんな気持ちもありました。
昨年暮れから今日までに、飯綱、戸隠、大岡村など、市町村合併
に伴うスキー場は一通り行きましたし、野沢温泉、飯綱リゾート、
そして白馬へも行ってきました。スペシャルオリンピックスの長野
大会が開催された2月28日には競技の観戦を兼ねて飯綱高原、飯
綱リゾート、戸隠と3つのゲレンデを渡り歩きました。野沢温泉以
外は、1日ゆっくりスキーを楽しむことは難しかったので、土・日
の午前中に公務をこなし、昼から出かけました。シーズンの初め、
戸隠村の村長さんからお誘いを受け、加えて友達(中高年者)が熱
心に誘ってくれただけでなく、一緒に滑ってくれたこともよかった
のだと思います。時に「そり」で孫の相手をしたり、また、友達と
山の頂上まで登って快適な滑走を楽しむことができました。
天気が良い時、リフトの上から見る冬山の美しさ、私の表現力で
はとても分かっていただけないでしょうが、本当に綺麗です。戸隠
連山、高妻、火打、妙高、黒姫・・・雪を被った山々の美しさは、
見た人でなければ味わえない素晴らしさです。ただ、天気が悪く吹
雪かれると、我々シニア層は無理ですね。景色なんて全く見えない
し、寒いし、雪面の凹凸が分からないし、本当に泣きたくなります。
早く帰って一杯飲みたいという思いが先に立ってしまいます。
リフトは2人~4人乗りでスピードは速いし、ゴンドラリフトも
増えて、スキー場の近代化は急速に進んでおり、休日でもリフトを
待つ行列にはあまりお目にかからなくなりました。輸送力が向上し
たのにお客さんが減ってしまったということは、なんとも皮肉な現
象であり、温暖化による雪不足とあいまって、スキー場経営の根幹
を揺るがす事態になっているわけです。
ところで、カービングスキーの存在は知ってはいたのですが、実
際に使ってみてびっくりしました。同時に、これは中高年層にスキ
ーを普及させる素晴らしい手段だと思いました。本当に楽です。昔、
ボーゲン、シュテム・クリスチャニア、パラレル・クリスチャニア、
そしてウェーデルンと段階を追って習ったことが、なんと馬鹿バカ
しいことだったか。逆にこんなにスキーを簡単にしてしまって良い
のか!と言いたくなるほどで、上手・下手の差を一挙に解消してし
まったように感じました。ゲレンデを見回しても、私みたいな長い
スキー板を使っている人にはまずお目にかかりませんでした。慌て
て新しい板を購入しましたが、これは絶対にシニア層にお勧めです。
「なんだ、そんなことやっと知ったのか?お前は時代遅れだな」と
言われそうですが、でも私にはその素晴らしさが伝わっていなかっ
たのですから、スキー関係者の方が宣伝不足だったと思うのです。
そこで提案です。スキー場の営業政策としては、過去、スキーを
やっていて現在は遠ざかっている50歳から80歳ぐらいの方をタ
ーゲットにしたらどうでしょうか。彼らがカービングスキーを使え
ば、必ずはまります。私で実証済みです。
ゲレンデは休日のせいでしょうか、場所によっては予想より混ん
でいました。やはりボーダーが多く、小さな子どもたちまでスノー
ボードを楽しんでいる姿は、時代の変化を痛感させられました。た
だ、集団で雪の上にベタッと腰を下ろしている姿は、私達からみる
と異様です。そんなことを言うのは、私が年をとったせいかもしれ
ませんが・・・・・。
スキー人口が減っていることは、長野県にとって(もちろん長野
市にとっても)大変苦しい状況です。ですから、ボーダーの増加は
スキー場経営にとって有り難いことなのです。ただ、スキーヤーと
ボーダーを何らかの方法で分離する努力をしないと、スキーヤーは
逃げ出したくなるのではないでしょうか。でも、スキーヤーとボー
ダーが一緒に来てくださる場合もあるでしょうから、難しい問題で
しょうね。
もう一つは、ゲレンデの途中に喫茶室(ちゃんとした建物でなく
て、雪の上に椅子の代わりにビールケースのようなものを置いて、
雪でジュースを冷やす、あるいは魔法瓶に入れたコーヒーがある程
度)があれば、いちいちスキーを脱がないで一休みできて有り難い
ですね。中高年にとっては長いコースを滑ると疲れて座り込みたく
なる、あるいは若いボーダーも雪の上に座り込まなくても・・・・
そんな風にお客さんが気楽に楽しめれば・・・・スキーはもっと楽
しくなるのではないでしょうか・・・・・自分の趣味ばかりで言っ
て申し訳ありませんが、一つの提案としてお聞きください。
飯綱高原スキー場は北信のスキー場が軒並みお客さんが減少して
いる中で、唯一健闘しています。まだシーズンが終わったわけでは
ありませんが、対前年比120%の収入増だそうで、嬉しいかぎり
です。今年は「なんちゃってスノーパーク」を新設したり、雪合戦
大会を開催するなど、現場が工夫して民間の協力をいただいている
効果が生まれているのかもしれません。飯綱は市街地から車で30
分という全国的にも珍しい地理的有利性をもっているスキー場だと
思います。南斜面のため雪質が悪いことは欠点ですが、工夫次第で
何とか生き残れる可能性があるように感じています。
どうしたらスキーヤーが増えるか、みんなで知恵を絞りたいもの
です。一つの提案として、シニア層への働きかけ、それも昔スキー
を経験したことがある人への勧誘、それと簡易喫茶コーナー、加え
て差別化・・・今年の経験から得た私の提案です。
スケート、スキーなど、長野は冬季スポーツのメッカになれそう
です。