長野市は、姉妹都市クリアウォーター市及び友好都市石家庄市と
教育、文化、経済等さまざまな分野における交流活動を行っていま
す。今年は、米国フロリダ州のクリアウォーター市との姉妹都市提
携が、45周年を迎えるということから、ブライアン・アングスト
市長をはじめ、コミッショナー(議員)、職員、そして市民等50
名を超す皆さんが、長野市を訪問されました。
この姉妹都市提携は昭和34年(1959年)、当時の倉島市長
の主導で提携されたようです。アングスト市長にお聞きしますと、
倉島市長が国際親善に大変熱心で意欲をもっておられたこと、海と
山の違いはあるけれど、観光を大切にしている都市ということ、
そして当時両市とも人口が年々増えつつある発展的な街であると
いうことで提携が決まったようです。
当時日本では、まだ高度経済成長が始まる前で「戦後は終わった
か?」といった議論が盛んに行われていました。私たちの世代に
とっては、今になれば思い出とも言える「1960年・安保の年」
の前年です。また、長野市は、いわゆる大合併(昭和41年)の前
で、人口も現在の半分以下の15万7,000人ぐらいでした。
そんな時代に国際親善を考え、姉妹都市提携をした倉島市長の決
断と、その後、お互いにその提携を尊重して45年間交流を続けて
きた両市の努力、それは大変なものだったと思います。私も2002年
に、冬季オリンピック開催地であるソルトレークシティーを訪問し、
両市の間でオリンピック開催都市として友好関係を築いていく確認
をいたしましたが、クリアウォーター市とは違い、その後は必ずし
も交流を継続しているとは言えません。いつの日か、この関係を生
かす時機もあるかもしれませんが・・・。
今までに本市からクリアウォーター市を訪問した使節団は、親善
訪問団をはじめとする交換英語教師や交換学生など延べ71団
559人に及び、ホームステイを体験させていただく中で、生活習
慣や文化の違いを肌で感じるとともに、国際人としての資質を高め
ることができました。
一方、クリアウォーター市からは54団323人の皆様をお迎え
していますが、中でも外国語英語指導助手としてお迎えする英語教
師の方々には、英語の指導にとどまらず、子供達の国際理解教育や
市民の国際感覚の醸成に大きな貢献を果たしていただいております。
私が平成14年(2002年)2月にクリアウォーター市を訪問
した際は、短期間ではありましたが、アングスト市長はじめ、
クリアウォーター市民の心温まる歓迎を受け、これまでの40年余
にわたる友好親善の輪が、着実に育まれてきた成果であることを確
信いたしました。
今回訪長したのは、市長はじめ、City―Group18人、Citizens-Group
23人、School-Group12人の合計53名の皆さんでした。長野へ
来る前に東京・京都・大阪等を視察して来た方もいらっしゃいまし
た。長野での宿泊はホテルを利用した方、ホームステイを楽しんだ
方、両方を併用された方、いろいろでした。ホームステイにご協力
いただいた皆さん、本当に有難うございました。我が家でも、アン
グスト市長に2日間泊まっていただきました。短い時間でしたが、
大変楽しく、有意義な時間を過ごせたと思います。
個人的には、水野美術館の横山大観展、川中島古戦場の博物館で
の川中島合戦展や常設展、そして南長野運動公園の聖火台やオリン
ピック・スタジアム(野球場)をご案内しました。
「エコール・ド・まつしろ」が行われている松代での市民交流会
では、合唱、おりがみ、着物の着付け、弓道、剣道等の実演、講習
や施設見学が行われ、大いに楽しんでいただきました。
5月31日からは公式行事となり、市役所玄関棟での歓迎式典で
は、博愛保育園の皆さんの可愛い歌声でお迎えしました。市長部局、
教育委員会で対応した交流についての懇談会では、従来の交流を継
続すること、今年から中学生の受け入れを行うことなどが話し合わ
れました。また、答礼の意味もあって来年4~5月頃長野市側が訪問
することを伝え、クリアウォーター市側からは、経済交流や文化交流
の可能性についての話がありました。観光には特に重点を置いてお
られることを感じました。
びっくりしたのは、来年、長野市側が訪問する頃には、アングスト
市長は既に市長を退任しているそうで、新しい市長が私たちを迎
えるという話でした。クリアウォーター市では市長の任期は3年で
2期までと決まっていて、来年の早い時期に2期目が終わるそうです。
長野商工会議所の仁科会頭、長野県経営者協会の塚田長野支部長、
そして長野青年会議所の倉石理事長にもご出席いただいた経済・観
光懇談会では、長野市の産業振興部長がプロジェクターを使って長
野市の状況を説明したあと、中心市街地(ダウンタウン)の活性化策
について活発な意見交換がありました。クリアウォーター市でもダウン
タウンの衰退は問題になっているようです。
その夜開催された「姉妹都市提携45周年記念パーティー」は、
国際親善クラブ、ホストファミリー、市議会議員等々が参加しての
大変賑やかなパーティーでした。また、茶道や琴、太々神楽の皆さん
にもご出演いただき、華やかな雰囲気を演出していただきました。
アメリカ人のパーティー好きはいつも感じることですが、彼らは本当
に楽しむのが上手です。
その他、グループごとに市内いろいろな場所で交流事業が行われ
ました。柳町中学校や七二会中学校の訪問、市内施設見学、善光寺
参拝、戸隠森林学習館等の見学、さらには松本・白馬方面を視察さ
れた方もいらっしゃったようです。
6月1日は、長野市議会の全員協議会が開催されました。三井副
議長の先導でアングスト市長はじめ6名の代表が入場し、町田議長、
私(長野市長)、アングスト市長がそれぞれ挨拶をした後、議会と
クリアウォーター市の記念品を交換し、友好を深めました。
以上が姉妹都市クリアウォーター市との一連の親善行事の経過で
す。国際親善は息の長い取り組み、相互の努力、そして双方がメリ
ットを認め合うことが大切だと思います。