エコール・ド・まつしろ事業の一環として、松代藩文武学校の槍
術所で、中学生の剣道大会が開催されました。雨が降る天気の悪い
日でしたが、近代的な体育館での大会ではなく、古式ゆかしい江戸
時代の藩校での大会が、素晴らしい雰囲気の中で行われました。
今回の大会は、関東・北信越を中心に遠くは三重県など、県外か
ら640人をお迎えし、総勢約1,000人の中学生剣士の参加に
よる記念すべき第1回大会でした。
松代は剣道が盛んな土地柄だそうですが、特に昨今、松代中学校
剣道部は、監督の加瀬先生が教士七段の方で熱心に指導し、鍛えて
いただいているため、全国でも有数の強豪校ということです。
文武学校の槍術所は、残念ながらあまり広い場所ではないので、
予選等は松代小学校・中学校の体育館で行い、文武学校では、男女
団体の決勝戦のみが行われました。雨にもかかわらず、会場には入
りきれないほどの観客が押しかけ、元気の良い対戦を観戦していま
した。
江戸時代の藩校を使っての大会ということで、私も観戦しました
が、その雰囲気は上々でした。
板張りの道場は、足が少し滑るということですが、これは、藩校
時代にわざと床を滑りやすくしたようで、基本に忠実であれば滑り
やすくても影響がないという鍛錬上の配慮だそうです。ただ、道場
の広さは、大勢の観客を入れるには無理がありますし、会場の明る
さも天気が悪いこともあって充分とはいえず、急きょ仮設のライト
を付けるというようなこともありました。しかし、若干の不都合が
あったとしても、この場所で剣道をやる雰囲気は、それらの欠点を
補って余りあると感じました。
試合は、5人ずつの団体戦でした。最初は女子団体の決勝戦、松
代中学校と新潟県の燕中学校の対戦が行われました。4人目までが
引き分けで、最後の大将戦で松代中学校が勝って、1-0で優勝し
ました。女性剣士が凄い気合で戦う様は素晴らしいし、その素早さ
は傍で見ていても気持ちの良いものでした。
次は男子団体の決勝戦。松代中学校は残念ながら準決勝で敗れ、
この文武学校の晴れ舞台には出場できませんでした。でも3位は立
派です。松代中学校を破った千葉県の逆井中学校が、決勝戦では新
潟県の刈谷田中学校を圧倒的大差で破って優勝しましたので、松代
中学校の実力も証明されたものと思いました。
私は表彰式で、優勝校に優勝旗を渡す名誉な役割をさせていただ
きましたが、本当に礼儀正しく、気持ちの良い生徒さん達でした。
ただ私には勝負のつき方が、早すぎるせいか、どちらが勝ったのか、
よく分からないことが多かったという印象があります。私と松代商
工会議所会頭の春原さんが座った間に、大会の役員さんがいて、説
明してくださったのですが、私の目で見れば、相手を打っていると
思っても、不十分といった判定があって、どうもよく分からないと
いうのが実感でした。
いずれにしろ、第1回の大会は、関係者の皆様のご努力、そして
中学生諸君の健闘で、素晴らしい成果を上げていただいたと思いま
す。
「エコール・ド・まつしろ」の理念は、生涯学習や趣味の遊学客
を誘致し松代を舞台に全国の同好の士との好縁を広げること、また
文化財は使って護るという新しい発想をもつ事業であり、文化的資
産を生かしたイベントを今後も継続してまいります。その一つとし
て、多くの有能な人材を近代日本に輩出した歴史の舞台で開催され
るこの剣道大会が、現代においても多くの若手剣士の鍛錬の場に活
用されますよう来年以降もぜひ続け、権威ある大会にしたいもので
す。
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