2004年6月3日木曜日

まつしろ遊食プロジェクト


 「エコール・ド・まつしろ」は、まずまず順調に滑り出しました。
「松代城復元春まつり」が始まった4月17日から連休最終日の5
月5日までの間は、約20万人のお客様が松代を訪れていただいた
とのことで、年間80万人の訪問客誘致の目標に向けてまずまずの
成果です。

 さて、この「エコール」という言葉(フランス語で学校の意)が、
分かりにくいというご批判が若干あるようですが、なかなか良いで
はないかとのご意見もたくさんあり、私も気に入っています。そし
て「学校」という意味にはいろいろな思いが込められており、私は
段々に進歩する、すなわち1年きりの事業ではなく、2年、3年・・・
と長く続いていくことは当然ですが、その間いろいろな工夫がなさ
れ、松代自体が変化していく、大人になっていく・・・・そんな願
いを込めています。

 そのためにも、「城下町・松代の食」は、これから進化してほしい
分野のひとつです。

 その松代で、長野青年会議所(長野JC)の皆さんが中心となっ
て、エコール・ド・まつしろ2004実行委員会と共催で「遊食プ
ロジェクト」に取り組んでいます。4月29日(みどりの日)、松
代のサンホール・マツシロで公開シンポジウムが開催され、
約250名の皆さんが参加されました。

 第一部は有名な料理研究家の山本麗子氏の基調講演で、名物料理
と観光都市の関係、具体的な各都市の取り組み、そして新しい食の
創造と住民意識の変化などについての大変有意義なお話でした。

 第二部の遊食目安箱アンケートの発表では、長野JCメンバーと
松代料飲組合有志の皆さんから、善光寺周辺と松代で行ったアンケ
ートの内容・結果が報告されました。結論は、

1.観光客は観光地での名産物・名物料理を楽しみにしている 
2.その地でしか味わえない食・食材が重要! 
3.松代の名産である長芋を生かし、ブランドイメージを確立する 
4.観光地での昼食予算は高めの設定でも満足してもらえる。ただ
  し、良し悪しによって満足度への影響が大きい! 
5.全国に発信できる「長芋」に続く「松代でしか味わえない食・
  食材」が必要なのではないか。

 第三部はプロジェクトからの構想提案ということで、新たな食材
として「地鶏」の生産をしたらどうか、との提言がなされました。
松代から地鶏生産者を発掘し、地鶏生産のノウハウを提供し、その
生産物を商店をとおして消費者に提供する。そして生ゴミ・肥料は
農家へ堆肥として提供し、また地鶏生産者も使うという循環型コミ
ュニティ・サイクルを構築し、ゼロエミッション(汚染物の排出を
ゼロにする試み)、そして地産地消のコミュニティ・ビジネスとし
て、魅力ある食材「遊学城下町・松代」の地鶏として全国に発信し
ようという提言でした。生産があまり難しくないという話は魅力的
でした。

 第四部のパネル・ディスカッションは、放送作家の加瀬清志氏が
コーディネーターを務められ、基調講演をされた山本麗子氏、松代
料飲組合の金子敏之組合長、そして私がパネリストとして、長野
JCの提言を基にそれぞれの立場から議論しました。

 私は、料理に関しては全くの素人ですので、どんなメニューが必
要かというような点は他の方々にお任せし、次のような意見を申し
上げました。

1.松代の食は、大切な要素。時間がかかっても素晴らしい名物料
  理を開発してほしい。
2.ただ、名物料理は、お土産と同様、地元に支持されないもので
  は成り立たない。
3.長野JCの提案、すなわち地鶏を食材にしようということに
  ついては、単なる理念だけでなく、具体的な提案で素晴らしい。
  実際に生産してみようという人も居るようだし、売値やコスト
  の見通しや競合関係の調査もしてあるようで、大変面白いし、
  実現性が高いと思う。
4.ぜひ儲かる商売を考えてください。格好良く、お洒落な雰囲気、
  そして顔が見える商売が必要ではないか。
5.松代は城下町、本来素晴らしい食文化があるはず、それを掘り
  起こしましょう。
6.ひとつの提案ですが、地鶏生産と福祉工場(授産所)との組み
  合わせが可能かどうか検討してほしい。そうすれば行政もお手
  伝いしやすくなる。

 私はこんなお話をさせていただきましたが、長野JCの計画では
この夏には生産を開始し、松代城の秋祭りには地鶏弁当を提供する
ということで、大変な張り切りようです。大いに期待しましょう。
そして松代が、食通の町として有名になることを期待したいもので
す。