2005年1月27日木曜日

スペシャルオリンピックス冬季世界大会がもうすぐ始まります


 今回は、2月26日から行われる2005年スペシャルオリンピ
ックス(SO)冬季世界大会について、開催に至る経過を中心に説
明させていただきます。オリンピック・パラリンピックにも引けを
取らない素晴らしい大会と言われていますが、準備期間や宣伝期間
が短かったせいでしょうか、現段階でもうひとつ盛り上がりが足り
ないように感じます。でも、この大会によって、長野の歴史に新し
い1ページが刻まれます。

 長野オリンピック・パラリンピック冬季競技大会が終了した後、
NPO法人SO日本の理事長である細川佳代子さん(細川元首相の
夫人)が長野市を訪れ、「オリンピック・パラリンピックを開催し
た場所でスペシャルオリンピックスを開催したいので力を貸してほ
しい」という申し入れを当時の塚田市長さんにされました。

 そして、スペシャルオリンピックス国際本部(SOI)で「20
05年長野開催」が決定し、2003年アイルランドで開催された
夏の大会で、知事が次の開催地としてSOの旗を受け取って来られ
たことは、ご存知の方も多いと思います。

 2004年2月にプレ大会として、SO国内大会が長野市を中心
に開催され、私も参加させていただきました。細川さんからは、
「障害のある子は“かわいそう”なのではない。“優しさを運んで
くれる神様の贈り物”なのです。」と教えていただきました。知的
発達障害のある皆さんの純真さ、一生懸命頑張る姿、そしてSOに
よってみんなが元気に活躍し、社会的な存在として頑張っている姿、
本当に感動的な大会でした。

 しかし、課題も残りました。それは2005年の世界大会まであ
と1年しかないというのに、組織的な動きが出来ず、資金のめども
どうなっているのか分からない。国際的な大会をやる体制になって
いない・・・・簡単に言えばそういうことでした。

 長野市から派遣した職員からも、同じような報告があり、大変心
配になりました。しかし、この世界大会は、すでに長野開催が決定
されており、世界的には大変評価の高い大会ですので「出来ません」
で許されることではありません。長野オリンピックは(財)長野オ
リンピック冬季競技大会組織委員会(NAOC)が行いましたが、
それを支えたのは、実質的には行政の力が大きかったと思います。
しかし、今回のSOはNPOが運営の中心になるべきということが
主張され、行政の出番は表面的には小さくすべきであると言われま
した。

 そこで、とにかく大会成功に向け中心になっていただく方をお願
いし、その方のもとで、組織を作るより仕方ないということになり、
衆目の一致するところ、エプソンの安川会長さん(長野県経営者協
会会長)に白羽の矢が立ちました。県が動いてお願いしたものです。
最初は固辞しておられたようですが、最後は事の重要性をご理解い
ただき、ご就任いただくことになったわけで、私はこの時点で大会
は成功できると確信をもちました。

 以降、安川会長の指導のもと、SO長野(SONA)が組織され、
資金的にはゼロックスの小林会長さんが中心になって寄付を募って
いただくことになり、いろいろ心配はありましたが、中央財界や長
野県財界からも寄付をいただけることになりました。また、公的資
金援助としては国8億円、長野県6億円、長野市2億円が決まりま
したし、県や市町村からの職員の派遣、そして、ボランティアの皆
さんも順調に集まってきていますので、大会成功に向けた大枠は決
まったと申し上げて間違いはありません。

 大会準備と並行して行われたのが、SO日本が中心になって全国
で行われている「500万人トーチラン」です。熊本の阿蘇山で採
火された聖火が日本中をリレーされ、SOへの理解と関心を深めな
がら、開催機運の高揚を図ってきました。SOアスリートと市民が
一緒に走るこのトーチランは、長野市でもいろいろな所で行われま
したので参加された方も多かったと思います。この後、アテネで採
火され日本に運ばれる「スペシャルオリンピックス聖火リレー」の
聖火と統火され、県内2ルートに分かれ、長野市まで運ばれること
でさらに大会気分を盛り上げてくれます。

 アスリートが長野に来て最初のプログラムは「ホストタウンプロ
グラム」です。県内外の地域がそれぞれ参加国を受け持って、アス
リートをその地域に招き、大会開催前に数日間の宿泊を伴いながら
時差調整や本番に向けての練習を行うとともに、住民との交流を図
るプログラムです。長野市は唯一、複数の11か国、約480名の
選手団を受け入れることになっています。過去の大会でも、多くの
アスリートがホストタウンプログラムで受け入れてくれた地域の皆
さんに温かく迎えられ、親切にされたことが、競技以上に印象に残
っているようです。ですから、このプログラムが競技より大切とい
う意見もあるくらい大変重要なプログラムになっています。SOは
スポーツ大会ですが、ノンスポーツプログラムも大変重視されてい
るように思います。

 競技種目は、スキー、スノーボード、スケート、フロアホッケー
など、7競技79種目とたくさんあって、とてもすべてを紹介でき
ませんが、長野市内では開・閉会式会場のエムウェーブをはじめ、
ビッグハットやホワイトリングで競技が行われます。そのほか白馬
村、山ノ内町、野沢温泉村、牟礼村が競技会場となります。

 また、もんぜんぷら座、JAアクティーホール、長野駅周辺では
交流施設(SOタウン長野)が設けられます。志賀や白馬にもSO
タウンが設置されるようで、きっと楽しい交流がありますよ。参加
者は、アスリート、コーチ、ファミリー、一般参加者ということで
すから、多くの皆さんが参加できます。アスリートの皆さんは長野
市内のホテルをはじめ各会場の町村に分宿されます。今回のSOで
は86の国と地域から約2700人の選手団をはじめ、アスリート
の家族、役員、ボランティアなど大勢の皆様が長野を訪れます。き
っとオリンピック時を髣髴(ほうふつ)させるようなにぎわいにな
るでしょう。期待しましょう。

 また、新聞報道等によりますと、このSO開会式に皇太子ご夫妻
が出席される方向で検討を始めたということです。ご出席いただけ
れば、この大会も更に盛り上がると思いますので、大変に喜ばしい
ことです。

 障害者に対するバリアフリーを推進し、障害者と健常者が分け隔
てなく生活できる社会を実現する上で、SOの精神がもたらす効果
は計り知れないものがあります。大会成功のキーワードは「市民の
参加と交流」です。多くのボランティアに支えられて、素晴らしい
大会になるように、長野市も全力をあげて応援します。どうか皆様
のご支援・ご声援をいただきますようお願いします。

スペシャルオリンピックスホームページ
http://www.2005sowwg.com/