失われた10年、あるいは平成大不況を経て(現在まだ真っ只中と言う意見もあります)、
現在の状況を考えてみると、日本が再び活力を取り戻すためには、まだまだ前途多難を
思わせることが沢山あります。
戦後60年、「今まで機能してきたシステムが制度疲労を起こしている」と言うのは簡単
ですが、それではどうすればよいか・・・。今のところまだ混沌としているというのが
正解でしょう。
国内問題に限って考えた場合、危機的な状況であった金融危機を脱却した現在、解決し
なくてはならない国内プロジェクトは、評論家的な表現で申し訳ありませんが、以下の
通りだと考えています。
少子化問題 日本の人口が減少し始める、正に将来の日本がどうなるか、大変心配です。
人口が減ってもかまわないという意見もありますが、やはり日本の活力が低下すること
は間違いないと思います。少なくとも「子供を持つことが、幸せだ」と思える社会を創
る必要があります。
年金問題 年金は国民の最後のセーフティーネットです。この制度は何としても維持し
なくてはなりません。年金制度の再生のために消費税を増税することは、やむを得ない
のではないでしょうか。同時に国民が平等・公正と感じることそして最低限の生活が出
来る金額を保証することが、大切でしょう。
環境問題 京都議定書が発効しました。地球環境が良くなっているのか、悪くなってい
るのか、説はいろいろあるようですが、地球の温暖化が進んでいることは事実のようで
あり、CO2の削減が根本的な問題のようです。サステイナブル(持続可能な)社会を創
るために何をやるべきかが今問われています。
民営化問題 行政改革の必要性は異論がない。そしてその最大の効果は、行政コストを
下げる、サービスを良くする・・・。そのための大きな要素が民間活力の導入、あるい
は民営化です。ただこの改革はまだスタートしたばかりですので、かなり異論もありま
す。方向性については間違いないと思いますが、国民に対し、粘り強い説得が必要な分
野です。その典型的な例が郵政民営化かもしれません。
この四つの問題以外でも、国家100年の大計といわれる教育問題、憲法や教育基本法の改
正問題、三位一体の構造改革、景気浮揚、地方分権・・・・数えればきりがありません。
一挙に解決するのは無理でしょうし、どれが重要かという順位付けも、難しそうです。
一人ひとりの考え方によって違うと思います。加えて、国内問題と言いながら、当然国
際的な絡みもでてくるわけですから、日本的な解決だけでは済まないこともあるでしょ
う。
小泉さんの郵政民営化の主張は、の中の一つの問題であり、大切な問題ではありますが、
それだけでは無いと私は思っています。
問題解決に当たっては、結局お金の問題に行き着くのですが、現在の財政状況との関連
で考えれば、いずれ増税は避けて通れないテーマだと思います。小泉首相が、自分の任
期中は消費税を上げないと宣言したことが、議論そのものを封じ込んでしまったという
意味で、失策だと私は思っています。
それでは、前述の4つの諸問題について、地方自治体(あるいは長野市は)レベルでは
どう対処しようとしているのか、概略述べてみます。
少子化問題は、根本は諸外国の例をみてもお金のことに行き着くと思います。子供を育
てるにはお金がかかる、共働きの収入を減らしたくない、子育てと働く環境が両立して
いない・・・・確かにその通りです。ただこの問題を解決するためには、莫大なお金が
かかるがゆえに、国の政策転換がないと難しいテーマです。
地方自治体ができる範囲のことは、私としても最大限の努力は惜しまないつもりですが、
それだけでは決定打にはならないと思います。
福祉施策は、全体として行政の重点課題ですが、いろいろな施策がある中で、子育て環
境の整備に力点を移す必要を感じています。
年金問題も国の問題です。逃げるわけではありませんが、地方自治体では全く手の打ち
ようがありません。社会全体の若さを失わないようにしながら、65歳~70歳まで生きが
いをもって働ける社会を創ることが、地方自治体の責務と考えて努力します。
環境問題は、一般論で言えば、京都議定書の発効を受けて、その実現に向けて、国が漸
く動き出そうとしている時期であり、当然長野市としても、目標値を設定して努力がは
じまるところです。現段階、長野市として取り組むべき課題は、環境保護のための具体
策(長野市でいえば、環境パートナーシップ会議での提案)を実行することと、「ゴミ
を減らす」こと、併せて清掃センターや最終処分地を整備することと認識しています。
民営化問題は、長野市においては、聖域なく実行しています。委託、民営化、PFI、人材
派遣等々あらゆる手法を検討しています。特に地方自治法の改正で、指定管理者制度の
導入が可能になったことから、大きく進展しそうです。全てを民営化することは無理か
もしれませんし、紆余曲折はあると思いますが、私の民営化三原則(サービスの質、競
争条件、コスト削減)を基本に、雇用問題にも配慮しながら、聖域なく進めてまいりま
す。
市町村レベルで諸課題の解決を目指す場合、民営化問題は規制緩和が一番大切ですが、
その外の三つは、どうしても財政問題に突き当たります。
景気が良くなって税収が上がるなら、一番良いと思います。新しい産業の育成、既存企
業の再生、そして雇用の拡大、新規投資・・・・株式会社や有限会社だけでなく、NPO,
SPC,LLC・・・新しい形態も生まれてきています。
8月1日から、LLPという新しいシステムも導入されました。新しい産業がこれによって
可能になると私は期待しています。産業の誘致、起業は社会の活性化のため、今後とも
大切な手法になると思います。
それだけでは不可能かもしれません。国レベルでの増税は避けて通れないと思いますが、
国の財政構造改革が進む中で、地方も住民に税等の負担増をお願いせざるを得ないと感
じています。その場合、目的をはっきりさせて理解を求めていくことが大切でしょう。
具体的に目的税あるいは料金値上げとして考えられるものとして、森林環境税、次世代
子供育成税、ゴミ処理費、水道料・・・が考えられます。事業体に係る税金も所得税的
なものより、消費税、あるいは外形課税が主力にならざるを得ないと考えています。