昭和30年代後半以降、日本の高度経済成長とそれに伴うモータリゼーションの進展によ
り、都市は郊外へ広がりました。道路が整備され、農業用地が宅地化され、工業団地、
流通団地そして住宅団地等が造成され、現在の都市形態が出来上がってきたということ
でしょう。団塊の世代の持ち家志向も大きく影響しているかもしれません。
より豊かな生活を求める市民の行動、自由な経済活動により切磋琢磨する企業活動、そ
して保護行政が仇となったのか、農林業関係産業の不振そして、グローバル社会の実現
による国境を越えた取引の増加・・・・加えて高齢化、少子化にともなって、私たちが
過去経験したことが無い人口減少社会が到来する・・・。難しい時代、あらゆる社会の
仕組みが変わらざるを得ない時代、都市形態についても当然、この時代の変化に影響さ
れざるを得ないと考えられます。
現在、長野市には、そのような流通形態の変化を積極的に取り込んでいこうということ
でしょうか、郊外に大型店が出店したいということで、地権者等に申し入れ、話し合っ
ています。その中には、事業者側の出店希望だけでなく、地権者側の誘致しているもの
もあるようです。
大型店の郊外出店問題
長野市は昨年度、「商業環境形成指針」を制定、今まで大型店が地権者との話合いだけ
で、進めてきた郊外型の大規模ショッピングセンターについて、あらかじめ届け出てい
ただき、市役所として個々に対応するのではなく、全庁挙げて検討することになりまし
た。この指針に基づいて、出店を希望する大型店の届け出を求めたところ、5ヶ所、店舗
面積はトータル133,476平方メートルの届が出てきました。この面積は従来の大型
店の売り場面積の合計に匹敵するほど、広いものです。
長野市はこの事態に対処するため、指針に基づいて庁内審査を行う一方で、その要綱に
より現在、土地利用委員会に付託し、将来の都市のあり方を含め検討していただいてい
ます。
そして賛成、反対の両陣営が、市長あるいは委員会に対して、意見を提出している段階
です。これはなかなか難しい問題ですので、市として結論を出す前に、外部の皆さんの
意見も充分お聞きし、判断を誤らないようにしたいと考えているからです。
市にそんな権限があるかという方がいらっしゃいますが、今出店を希望している場所は
ほとんど優良農地(いわゆる青地区域)です。当然、農用地域の解除や農地転用等の手
続きをしなくてはなりません。それは県、国(関東農政局)の権限ですが、許可申請が
提出された場合、市の意向を聴取されることは間違いありません。そして農用地域の解
除や農地転用等の手続きをする場合、市の意見が決定的に重要であると、考えています。
ですから、事前に調整をしたいということです。
逃げるわけではありませんが、市長としては、現段階、このことについて何らかの意見
を言うことは、審議に予断を与える恐れがあるが故に、避けさせていただきたいと考え
ています。委員会の審議にお任せしている段階ですし、担当課では庁内議論を行って審
議に必要な資料を作成し、お示ししています。最終的には長野市として決断しなくては
なりませんが、当面は避けさせていただきます。