長野市では昨年、上越市と第1号となる「集客プロモーションパ
ートナー都市協定」を結びました。上越市と長野市は古くからさま
ざまな「縁」がありましたので、都市間の市民の往来および交流を
促進することにより、さらに地域経済の活性化を図ることを目的と
したパートナーになったということです。この協定は、パートナー
都市において実施される観光イベント等に関する情報を積極的に市
民の皆さんに提供するためのプロモーション活動を相互に支援・協
力することを定めたものです。
この第1号の協定は昨年10月14日、上越市長に長野市にお越
しいただき、調印したものです。このころは私が対象になる市長選
挙の直前だったこともあると思いますが(上越市の木浦市長も私と
同日の選挙でした)、皆さんの記憶にあまり残っていないかもしれ
ません。
人口減少時代を迎えつつある現在、「旅行客」「観光客」という
名の交流人口拡大が都市活性化のキーポイントの1つになっていま
す。旅の形態も、かつて隆盛を誇った団体旅行が激減し、趣味など
テーマを持った個人・グループ旅行が主流になりつつあります。こ
の個人の関心をどうとらえるか、そのためには“旅へのきっかけづ
くり”としての情報を、できるだけ身近なところへ継続的に発信し
ていくことが大切と考えました。
これらのことから、市庁舎はじめ公民館、図書館など市民生活に
密着した市有施設に観光・イベントポスターを張り出したり、市発
行の広報紙やホームページも利用しあっていこうというものです。
上越市からは、市内の小・中学生及び幼稚園・保育園児を対象に、
夏休み期間に使用できる水族館や屋内プールの無料招待券をご好意
によりいただくなど、これまでも海と山をテーマに親交を深めてき
ています。また、両市の商工会議所が、昔から連携していることも
あり、この協定によりさらに市民交流が活発になることが期待され
ます。
既に実施したことですが、昨年12月には長野市の灯明まつりの
チラシ1,500部を上越市内38施設に置いていただき、今年3
月には上越市の高田城100万人観桜会のチラシ1,500部を長
野市内57施設に置きました。また、長野市のホームページから、
上越市のホームページにアクセスできるようになっており、私もア
クセスしてみましたが、なかなか魅力的なホームページです。
今後もこの協定を広げ、他の都市とも協定を締結していこうと考
えています。
協定の話とは違いますが、長野市では観光を一大産業に育てよう
ということでいろいろなことに取り組んでいます。
善光寺発信州北回廊プロジェクトのことは、以前にメルマガでも
書きましたが、参加している各自治体が、JR東日本長野支社など
の交通機関等と連携して、今年から本格的に首都圏へ向けてプロモ
ーション活動を開始しています。
市内では、今年「歩く」をテーマとした観光キャンペーンを展開
しており、秋には川中島古戦場・松代を舞台としたツーデイウオー
クが予定されているほか、市内各地でさまざまなウオーキングイベ
ントが計画されていますので皆さんも是非参加してみてください。
また、来年のNHK大河ドラマに井上靖原作の「風林火山」が決
定し、出演者の方々も決まってきましたので大いに活用していきた
いと考えています。
ドラマでは武田・上杉の川中島の戦いが後半のハイライトでしょ
うが、長野市にはこの戦いにゆかりのある名所・旧跡がたくさんあ
ります。川中島古戦場、今回のドラマの主人公となる武田方の軍師
山本勘助が造営したともいわれる海津城と彼のお墓、上杉勢が陣を
敷いた妻女山(さいじょざん)、武田信玄の弟信繁のお墓がある典
厩寺(てんきゅうじ)、信玄の側近で海津城の初代城主高坂弾正(
こうさかだんじょう)のお墓がある明徳寺、南長野運動公園にある
勘助宮跡地(かんすけのみやのあとち)の碑、頼山陽(らいさんよ
う)の詩で有名な「鞭声粛々(べんせいしゅくしゅく)・・・」の
雨宮の渡し・・・など、ほとんどすべての場所を視察してみました。
いずれもネットワークを組んで素晴らしい観光資源にしたいもの
です。
中でも先日お伺いした松代町豊栄の明徳寺は、曹洞宗のお寺で、
ここには高坂弾正のお墓があります。ご住職の話では、昔から墓石
を削って持ち帰る人が多いとのことで、墓石はかなり削られていま
した。
境内には太平洋戦争の時、硫黄島で玉砕された栗林中将(松代出
身の方で、墓石は大将になっていました)のお墓もあり、また「酒
呑弥勒菩薩(さけのみみろくぼさつ)」という仏のお堂があって、
この寺の鎮守仏と書いてありました。“酒呑み”の仏さんがお寺の
守り仏という寓話(ぐうわ)は、なんともおかしく、また楽しい話
です。また蛙合戦で有名な池もあり、毎年春桜の満開の頃、遠近の
蛙が大挙して境内に集まり、あたかも合戦の様子を呈すのだそうで
す。この池は明徳寺のヒキガエル産卵池として市の天然記念物に指
定されています。
松代地区にはお寺が多いですね。それぞれの歴史があって、それ
ぞれの物語があるわけですから、工夫すればすごい観光資源です。
仏教関係の方からすれば「静かな信仰のお寺ですから・・・」との
声も聞こえてきそうですが・・・。
松代といえば、先日松代藩文武学校で開催されました「御前上覧
演武会」に招待されました。真田会の皆さんが中心となり、真田家
14代当主の真田幸俊氏(慶応義塾大学助教授)の御前で、剣士の
方々が羽織、袴姿で真剣を使って型を見せるもので、居合術、荒試
し、抜刀術、刀術を見事な気合で演じておられました。凛とした雰
囲気が場内にピーンと張り詰め、剣士の方々の緊張感が伝わりまし
た。
いずれにしろ長野市南部方面は、南長野運動公園、八幡原史跡公
園、茶臼山動物園等も含め、魅力一杯の地域です。「風林火山」を
きっかけに、大きなスポットライトが当たるそんな予感がしていま
す。