最近、企業の役員が何人か並んで記者会見し、事情説明をしてか
ら「申し訳ありませんでした」とそろって頭を下げる姿が多くなっ
たように感じておられる方が多いのではないでしょうか。
食品メーカー、保険等の金融会社、自動車メーカー、家電メーカ
ー、湯沸かし器メーカー、建設会社・・・数え上げればきりがあり
ませんが「エッ!あの企業まで・・・」ということを感じておられ
る方も多いのではないでしょうか。
企業のコンプライアンス(法令遵守)ということが強調され、間
違ったことを放置すると大変なことになるということが浸透してき
た結果であり、一面では企業社会がひところに比べ健全になってき
た証ではありますが、これほど多いとうんざりですね。
3月のメルマガ(203号)でライブドアの問題について、世の
中の監査制度が正しく機能していないことが問題点であると指摘さ
せていただきました。その後、村上ファンドの問題が明らかになっ
て、批判されています。今回はこの問題について述べてみたいと思
います。
村上ファンドが物言わぬ株主に寄りかかって安穏としている上場
企業に対し、警鐘を鳴らしてきたことは、すごくよく分かります。
ただ最初の素晴らしい動機が、多分儲かり過ぎたがゆえに、狂って
しまったのでしょうか。彼がテレビの会見で、あの大きな目を見開
彼は本当の意味の資本主義の精神、日本人の良識を踏み外してしま
ったと感じたのは私だけでしょうか。
証券取引法上のインサイダー取引という、ある意味では彼は知ら
なかったということで軽い罪で済むと思っているのでしょう。法的
にはそうかもしれませんが、それは違います。資本主義の本来のあ
り方について、みんなが一生懸命働くことを、つまらないと感じさ
せたという点で、罪は大きいのです。日本社会の良い点をつぶした
という意味で、歴史上有名にはなるでしょう。
もし、彼が最初の動機、それは福井日銀総裁までが若い志を応援
しようと思わせるだけの素晴らしい動機をそのまま維持していたら、
多分日本資本主義の救世主になっていたのかもしれません。でも儲
かり過ぎたがゆえに、最初の動機、志から逸れていってしまったと
言うことではないでしょうか。結局、彼は成り上がり者に過ぎなか
ったという評価を世論から受けてしまうのではないでしょうか。
100億円の資金を集めて年間2割の成果配分を出せても、40
倍の資金でも同じことができると考えた、いや、やらなければなら
なかった・・・だから無理をした、だましや詐欺まがいのこともせ
ざるを得なかった・・・。
日銀総裁の責任が云々されていますが、道義的責任は免れないと
思います。銀行預金の金利がここまで下げられた、大衆の銀行預金
の金利を下げることによって、銀行に利益を与え、銀行の不良債権
を片付け、日本経済の再生を果たした(言い方を変えれば、国民の
受け取るべき金利分を銀行のために使ったとも言えるかもしれませ
ん)、金融の総元締めの日銀総裁とすれば、やむを得ない選択であ
ったと思いますし、不人気な政策をやり通したという意味で立派だ
と思いますが、その裏で数年で倍以上になる投資をしていたことは、
国民感情を逆なでする話だと思います。公人というのは、間違いが
あってはならない、あった場合はきちんと非を認めることが必要で
す。
革命を目指す素晴らしいアイデアの持ち主が活躍する、そして時
代の寵児ともてはやされる、そのもてはやされた時に、きちんと対
応できるかがその人の価値でしょう。私たちも時代に流されず、き
ちんとした目を持っていたいものですよね。
ライブドア、村上ファンドなどの問題で、「お金を儲けること」
イコール「悪」というイメージが社会に浸透してしまった、そして
真面目に額に汗して働くことが、なんとなく馬鹿馬鹿しいといった
風潮を生み出してしまったと思います。
しかし、果たしてそうでしょうか。企業というのは利益を上げる
ことによって成長し、社会に貢献しているのです。企業がその活動
によって付加価値を上げ、人件費を払ったり、法人税等を支払って
くれるから、社会は成り立っているのです。
税金がなければ、福祉も教育も不可能でしょう。あるいは道路や
橋の建設、市役所だって成り立たないのは自明の理です。その意味
では村上さんの言うとおり、儲けることは悪ではない、善なのです。
言葉を換えれば赤字は悪なのです。
ただ儲けるために何をやってもよいかということになれば、それ
は“NO”でしょう。お金だけで動く、自分の商売だけを考えてい
る経営者には高い社会的評価は与えられない。法律違反をするなど
ということはまったく想定されていませんし、自分のでき得る範囲
内で、社会に貢献する精神が経営者に求められるものだと思ってい
ます。
村上氏の強調している株主価値の向上、これは上場会社とすれば
当たり前とも言えますが、会社は株主のものだけではありません。
株主、経営者、労働者、そして会社を取り巻くすべてのステークホ
ルダー(注)のためにあり、社会に貢献することが大切であり、継
続が最大の責務(ゴーイングコンサーン)であると私自身は教わっ
てきました。
藤原正彦氏著「国家の品格」から前にも引用した文章ですが、
『どんな論理であれ、論理的に正しいからといってそれを徹底して
いくと、人間社会はほぼ必然的に破綻に至ります。言うまでもなく、
論理は重要です。しかし、論理だけではダメなのです。どの論理が
正しくて、どの論理が間違っているかということでもありません。
これは日常用いられるすべての論理に共通した性質です。』まさに
この文章の通りですね。
ちょっと観点は異なりますが、私は民間活力の導入を公約として、
市長に就任させていただきました。民間活力の導入とは、簡単に言
えば、行政部門を民営化していこう、小さな政府をつくろうという
ことです。
ただ、それは単にコスト削減によって厳しい行政の財政を補う、
あるいは効率化を目指すということだけが目的ではありません。行
政が行ってきた事業を民間事業者が行うことで、民間に新たな仕事
が生まれ、雇用が発生する、ゆえに地域も元気になってくる、そし
て競争原理によって行政が行うよりサービスも良くなる、さらに工
夫によって新しい産業に発展する可能性もある、行政側としても税
収が確保でき新たな行政サービスを展開できるという好循環となる
・・・等などを狙っているのです。
民営化した部門を担当する企業に対しては「企業武士道」といい
ますか、「コンプライアンス」重視を要求することは当然ですし、
民間活力の導入を新たな産業が起きる起爆剤にしていきたいと考え
ています。それには、きちんと利益を上げ、発展性、継続性をはか
っていただきたいと考えています。
(注)「利害関係者」のこと。企業活動と関係するあらゆる関係者
を指します。
2006年7月27日木曜日
金儲けは悪いことですか?
2006年7月20日木曜日
コミュニケーションの欠如
先週は、6月県議会において、北陸新幹線が大変なことになって
いるということについて書きました。
他にも、特に市町村が県とのコミュニケーションがとれなくてど
うにも解決できない、困っている問題はたくさんあります。直面し
ている問題だけに限って話したいと思います。
(1)先週書きました北陸新幹線問題と深い関係がある長野以北並
行在来線問題です。北陸新幹線問題についての詳細は先週書いてい
ますので、避けさせて頂きますが、長野以北並行在来線問題も県が
責任をもって解決するということで、県内沿線市町と約束していま
す。
(2)次にごみ問題です。
ごみ焼却施設の建設地や最終処分場の問題は、現在の市町村にと
って最も難しい、住民の皆さんにご理解願わなくてはならないテー
マであり、しかも法律的には市町村事務ということで市町村に実施
の責務があるということは皆さんご存じの通りです。地域の皆さん
と何年もかけて話し合い、地域の皆さんもどうしても必要なものな
のだから自分のまちの為ならとようやく合意点を見つけ出してきて
いるテーマです。
しかし国から施設建設等に必要な交付金を受けるには「循環型社
会形成推進地域計画書」を県を通して国に提出していかなくてはな
らない規定となっています。そこで、飯山市などで構成している岳
北広域行政組合が、規定に従い書類を県に上げたのですが、県は国
への手続きを進めてくれないのです。
岳北広域行政組合が地元の皆さんと何年もかけて話し合い、やっ
と合意に達した努力に対し、県は誠意のある対応をすべきではない
でしょうか。
確かに焼却施設や最終処分場の建設については、住民全員が賛成
ということは困難です。しかし絶対に必要な施設なのですから、地
域の多くの方のご理解をいただいて作った計画に、一部反対がある
からと言って、岳北広域行政組合の説明に聞く耳をもたないことは
理解できません。
県の廃棄物処理の基本的な考え方の中に“できるだけ燃やさない、
できるだけ埋め立てない方向への転換” があります。「脱焼却」、
「脱埋め立て」の推進は、脱ダム宣言と同じですね。市町村にして
も技術的に、そして具体的に可能な方策があるならば焼却はしたく
ないのです。でも、最終処分場のことを考えると、集めた可燃ごみ
を劇的に減らすには、現時点では焼却が一番有効な手法なのです
(焼却すると、残る灰の量は約10分の1以下になりますし、その
灰を溶融することで再利用の道も開けてきます)。
ごみ処理は世界中が悩んでいるテーマであり、今のところ技術的
にも、コスト的にも、焼却を否定すると、どうすればよいのか、ま
ったく困ってしまうのです。
それだけ難しい。でもごみは365日毎日出てくる、何とかする
責務は市町村にある・・・すべてを県が処理してくれるならありが
たいのですが、評論家みたいに「脱焼却」とおっしゃることはやめ
ていただきたいと思うのです。
そういえば市町村の一般ごみだけでなく、産業廃棄物の処分場に
ついても、今までは県廃棄物処理事業団を設立し最終処分場建設を
推進して来ましたが、本年度に入って突如最終処分場の建設中止を
表明、公的関与を見直し民間企業の参入を促すとしている、行政の
責任をどう果たすか。これから大変だと思います。
(3)次は県立高等学校の再編問題です。
本年3月に長野県高等学校改革プラン実施計画が策定されました。
少子化の時代、私も県内を見渡し、高校全体の問題として考えれ
ば再編は必要だと思います。しかし、何故長野南高校が対象となる
のでしょうか?市内唯一、いや県内唯一かもしれませんが、人口増
加地帯であり、定員割れを起こしている学校でもありません。ここ
を廃校にする理由はどうしても見つからないのです。県教委の説明
も全く納得のいくものではありませんでした。第一通学区の高校再
編について検討を一任された第一通学区高校改革プラン推進委員会
でも、大枠は認めたものの、「長野南高校と松代高校はすぐにも再
編・統合が必要な状況ではない」との判断が示されています。
そこで、本市は5月中旬に「長野南高校の再編については平成
19年度一斉実施にこだわらず、推進委員会からの報告を尊重し、
段階的に実施していただくよう」県議会へ陳情を行ったのですが、
県教委は、議会の議決を必要としない「募集停止」に踏み切ろうと
しました。教育の独立性を優先して、説明責任・説得責任をあえて
無視する県教委の姿勢がうかがえるのではないでしょうか。
その後、先般の6月県議会において、高校再編の一斉実施に反対
する多数の県会議員の賛同を得て、「高校を統合または廃止する場
合は、当該校の生徒募集を決定する前に議会の同意を得なければな
らない」とする議員提案による条例改正案が可決されました。本当
は県教委の独立性を保つためには条例など、作らないほうが良いと
私は思いますが・・・ただ、県教委の一方的とも思われる行為を変
えてもらうには仕方ないことかもしれません。
今後、県教委の動向を注視してまいりますが、この問題は、全県
一律に考えるべきものではなく、地域の実情をよく見極め、了解を
得られた地域から統合を進めればよいと考えています。また、仮に
了解が得られなくとも、生徒数が極端に減って学校の教育効果が上
がらない場合は統合も必要となってくるものと考えますが、全県一
律に考えるべきではないと思います。
長野南高校については、このまま募集停止から廃校に追い込まれ
ることがないよう、今回の条例改正を受けて、改めて関係方面へ要
請していく必要があると考えています。
以上、当面の困っている問題を三つ取り上げました。特に(1)
(2)の問題は、このまま推移すれば、間違いなく長野市だけでな
く長野県が壊れてしまうような大きな問題です。皆さんにぜひ理解
していただきたいと考えています。
2006年7月13日木曜日
北陸新幹線の状況について
長野県議会6月定例会における田中知事の発言内容の中で、どう
しても県民・市民の皆さんに実態を知っていただかなくてはならな
いと考えることがあります。
県議会の一般質問で、浅川治水問題について、西沢正隆氏、小林
実氏のお二人が取り上げられましたが、それに対する知事の答弁が
まったく理解に苦しむ、事実を曲解したものであり、地域住民のこ
とをまったく考えていない内容なのです。細かい点を挙げればたく
さんありますが、ここでは2点だけ申し上げます。
まずひとつは、平成5年の確認書は「虚偽」だと発言したことで
す。
この確認書は、当時の長沼地区北陸新幹線対策委員会と鉄道建設
公団(現在の鉄道・運輸機構)、長野県、長野市の間で、新幹線車
両基地を造るに当たって取り交わしたものです。「虚偽」の理由は、
確認書において県はダムを4年半で造るとしているが、はなから不
可能なことを約束しているという主張です。
この発言内容は理解に苦しみます。4年半という言葉はどこにも
ありません、当時の交渉過程を調べてみると、県は用地買収が完了
次第、付け替え道路から着手し、ダムの完成は「平成12年頃をめ
どとしておりますが、当地域の諸状況を勘案し、早期完成に努めて
いく」ということで合意しています。さらに後になって完成は平成
19年(浅川ダム本体工事契約)に変更ということになっています。
4年半というのは多分、新幹線の営業開始時期を念頭に入れての例
の思い付き発言とは思いますが、それにしても、「虚偽」とは耳を
疑う発言です。
いずれにしろ、4年半後に造るとは県は約束していません。以後
の県のHPやマスコミ報道等で、平成19年3月の完成であると地
元は理解していたようですし、“当時の県”は事態の進展に応じ、
地元ときちんと交渉していたようです。
さらに田中知事は「地元住民らにはきちんとお伝えしている」と
発言していますが、「期限まで(4年半で)の完成は不可能で虚偽
の約束をした」という話は、これまで一度も対策委員会としては受
けていないそうです。それだけでなく、ダムをやめるに当たって、
「ある」と称した代替案もまったく提示されず、「きちんと説明し
た」というのは、何を指して言っているのか、昨年12月に知事は
一度だけ地元に入ったけれど、単なるお詫びだけ・・・
もう1点は、北陸新幹線の工事についての発言で、「長沼地区の
一部については、鉄道・運輸機構は用地測量を3月に終了、その後、
物件調査、付け替え用水路や道路等の詳細設計をしており、地元の
了解を得て9月末までに用地測量を終了する予定で、18年度末ま
での事業用地取得は問題ない」との認識を示したことです。
事実を申し上げます。用地交渉に先立つ用地測量は、本来地域の
皆さんの要望事項が将来に渡って履行が確約され、設計協議終了後
に新たな確認書の交換の後、地元自治体が了解してから行われるも
のです。したがって、確認事項である浅川治水がきちんと履行され
るという担保がなければ、地元は用地測量を絶対に認めないとおっ
しゃる、したがって長野市も認めない。要は両者の了解なしで行う
ことは不可能なのです。
ただ地元の皆さんは新幹線については賛成しており、促進したい、
けれど確認書の内容が担保されなくては、協力し難い・・・そこで
長野市が間に入り、工事を担当する鉄道・運輸機構と地元で「公式
である最終的な設計協議の同意はできないけれど、準備だけは進め
よう。すなわち、県がきちんと浅川治水を考え、国の認可がとれる
計画を整備し、地元の皆さんが了解したらその翌日にも設計協議完
了、土地買収完了という手続きが進められるように、県を当てにせ
ず準備作業をどんどん進めましょう」という地元の皆さんの善意に
よる同意の下で、取り組んでいただいてきたものです。
したがって鉄道・運輸機構さんに確認していただければ分かるこ
とですが、測量は確かに9月には終了するようですが、現段階でで
きることはそこまで・・・のはずです。地元の了解、地元市長の了
解が無い限り、公式な設計協議は終わらないのですから、用地買収
はできず、新幹線は北陸へはつながらない可能性があるのです。
地元の皆さんが善意で事業の促進に協力しているのに、さも自分
がやったようにおっしゃって、しかも県議会議員さんに誤解(北陸
新幹線の土地買収は大丈夫と思わせる)を与えるような発言をされ
ることは、本当に許されないことであるということは、地域の皆さ
んと私の現在の心境です。
この件については、発言の翌日、怒った地元の皆さんが「公開質
問状」を提出していますが、6日に届いた返事は、当時の県の姿勢
を批判したものと、公開された場を持って話をしたことを確認書の
当事者である地元の皆さんに話をしたことにしている、一般的な社
会常識からは考えられないものです。また、7日には県議会の総務
委員会に参考人として地元対策協議会の皆さんが出向き、県の対応
の不備について指摘しております。
地元の皆さんからは、鉄道・運輸機構さんには申し訳ないが、県
が現状を正しく認識するよう現時点で同意を取り消し、きちんと設
計協議の同意をしてからでなくては測量ができないことを世間の皆
さんにも分かるようにすべきだ、という意見が台頭してきているた
め、今まで善意により進めてきた作業についても中断することを視
野に入れ、鉄道・運輸機構から委託を受け用地買収を行う県に対す
る「真摯(しんし)たる対応」の指導と、北陸新幹線整備の遅れと
いう影響を受ける事業主体として県に対して意見具申をするよう、
鉄道・運輸機構に12日付の文書で要請したようです。鉄道・運輸
機構と県の対応いかんでは、測量どころか、地元との話し合いにも
応じていただけない状況に陥ることが予想されます。
どうしてあんな発言をしたのか、その意図はよく分かりませんが、
知事は「私はいじめられています」ということを一般の方に表現し
たいのかもしれませんが・・・どうも理解できません。いずれにし
てもこのまま推移すれば北陸新幹線は開通できず、長野以北の皆さ
んにご迷惑を、もっと言うと多大な損害が出る事態になりかねない
のです。そのような状況を皆さんにもぜひ理解していただきたいと
思います。
2006年7月6日木曜日
「環境」と「ものづくり」
6月21日、みどりの移動市長室で、篠ノ井西中学校の技術部エ
コラン班を訪問しました。エコランの意味は、私の推測ですが、
“エコ”は環境にやさしい(エコロジー)、“ラン”は走ると言う
意味だと思います。
篠ノ井西中では4年前から、エコカーの製作に挑戦しているのだ
そうですが、中学生にどこまで可能なのか関心がありましたので、
見せていただくことにしたものです。
エコカーとは少ない燃料でどのくらい長く走れるかを競う車で、
小さいエンジン(50CC)、軽い車体、風圧を避ける車体・・・
それを中学生が製作して、運転し、全国的な大会に出場したという
ことですから、びっくりです。
しかも車体はいろいろな廃材の寄せ集め、エンジンは最近HON
DA(ホンダ)から新品を一台寄贈してもらったそうですが、大部
分は自動車の解体屋さんからもらってきたものだそうで、まさにエ
コカーです。
中学生が骨組みのエコカーを囲んで火花を飛ばして電動やすりを
使ったり、ネジを切ったり、鉄を切ったり・・・多分はんだごてを
使ったりする作業もやるようですし、エンジンの調子を調整したり
・・・まさに“ものづくり”の現場でした。
それと、顧問の箕田先生もあまり細かい指示は出さず、グループ
のリーダー中心の自主的な活動を見守っているという感じで、ここ
まで成長させるのは、ご苦労だったろうなあ・・・と感心しました。
懇談の場では、先生の話だけでなく生徒の皆さんの話から“もの
づくり”の楽しさを知って、嬉しくてしかたないといったことが伝
わってきました。小学校のとき、兄がこのクラブに入っていて楽し
そうだったからとか、大会に出てちょっとしたミスで完走できなか
った悔しさを語ってくれた生徒もいました。援助をよろしくといっ
た話には、ギャフンでしたが・・・。
私は生徒の皆さんに次のような話をさせていただきました。
ある。
まず「環境」ですが、騒音や悪臭、水質汚濁といった身近な問題
から、地球温暖化など地球規模の問題までさまざまです。身近な問
題は昔に比べればかなり良くなっていると思っていますが、地球温
暖化については、良くなっているとは言えない状況でしょう。
社会全体では太陽光や木質バイオマスという、いわゆる「自然エ
ネルギー」の導入を促進しようという活動も行われていますが、皆
さんのようにエコカーに挑戦して化石燃料の消費を減らそうという
ことも重要な取り組みです。
もうひとつは「ものづくり」ですが、昨年信州大学工学部の敷地
内に「ものづくり支援センター」を造り、信州大学などの知識や技
術を活用し、企業と連携・交流をしながら、将来性のある技術・企
業の育成をしようとしています。
皆さんは箕田先生のご指導のもと、エコカーの製造、また全国的
な大会に出場するという、なかなかできない体験をしています。ぜ
ひこの活動の経験を生かし、長野を背負ってくれる人材になってい
ただきたい。
懇談の後、箕田先生や木藤校長先生からお聞きしたことですが、
中学での課外活動は、スポーツや芸術活動が中心で、ものづくりク
ラブは少ない。このクラブを作ったことで、スポーツ等が苦手の子
供たちが入ってきてパワーを発揮している。
父兄の皆さんの援助に加えて、地域企業の皆さんの支援がありが
たい、たとえば中古エンジンや廃材を提供してくださる、あるいは
試走のコースを貸してくださる、本当にありがたいことです・・・
とのことでした。
市でもぜひ特別に支援、特に1,000メートルぐらいの試走コ
ースを紹介していただければありがたい・・・そんな要望を受けて
しまいました。
県内でもエコカーに挑戦している学校・グループは増えているそ
うです。中学校が2校、高校が6~7校、大学・短大が3校、社会
人が2~3グループなど、合計17~18グループあるそうです。
ぜひ、県内の大会を長野市で開きたいとのことでした。市内で
1,000メートルのコースを探すとすれば、道路しかないように
感じますが・・・道路となるとさまざまな問題があり難しいのでは
ないかと思います。しかし、広くエコカーを知っていただくために
も歩行者天国や長野市で開催するイベント会場等で多くの方に見て
いただくなどすれば面白いイベントになるかもしれません。検討の
余地はありそうです。
最後に、エコカーで実際に走るところを見せていただいたのです
が、運転免許を持たない中学生がきちんと安全に運転している、そ
んな姿に感動しました。
ところで環境問題に対して総合的・計画的に取り組むために、長
野市では「環境基本条例」を制定し、その後「環境基本計画」及び
「アジェンダ21ながの-環境行動計画-」を策定して、望ましい
環境像の実現に向けて努力しています。
「広報ながの」でも紹介させていただいていますが、環境省が地
球温暖化防止への取り組みとして以下のことを示しています。
(1)エアコンの設定温度を冷房は28度、暖房は20度にしまし
ょう(冷暖房の設定温度を1度上げ下げすることで、一世帯当た
り年間約2千円の節約で二酸化炭素を約31kg削減できます)
(2)蛇口はこまめに閉めましょう
(3)アイドリングをなくしましょう
(4)エコ製品を選んで買いましょう
(5)過剰包装を断りましょう
(6)コンセントをこまめに抜きましょう
これらは「チーム・マイナス6%」の取り組みですが、いずれも
その気になれば誰でもできることですよね。地球温暖化防止という
「地球の生き残り」をかけた取り組みに市民一丸になって取り組み
ましょう。
市役所でも今年も6月1日からクールビズを始めました。やむを
えない場面を除き、ノーネクタイ、ノー上着を励行しています。
それと嬉しいニュースが飛び込みました。長野市が取り組んでい
る長野運動公園総合運動場でのESCO事業が国の補助を受けられ
ることになりました。
ESCO(Energy Service Company)事
業とは、ESCO事業者が顧客(今回の場合は長野市)に対し、省
エネルギーについてのサービスを包括的に提供するビジネスです。
たとえば、一つの施設でどの程度省エネルギー効果があるかを診断
し、より効果的な設備の設計・施工、導入後の設備の保守・運転管
理まで行ないます。
そしてなにより設備導入以前のエネルギー使用状況を維持しなが
ら、これだけは達成できるという省エネルギー効果を保証し、結果
として削減された光熱水費の中から経費を受け取ります。
つまり、ESCO事業にかかる経費等はすべて省エネルギーによ
る経費削減分でまかなうことから、顧客(市)には一切出費は無く、
契約期間中は経費として支払った削減分の残りを利益として受け取
り、契約期間満了後はすべて顧客(市)の利益になる・・・なんだ
か夢みたいな話です。
もちろん、経済産業省の補助事業の一環で、独立行政法人NED
O(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)がESC
O事業者に補助をしているために、より事業効果が上がるものだと
は思いますが、国の環境政策への意気込み、併せて事業者である地
方公共団体の省エネルギーを促す意味が大きいと感じており、あり
がたい事業だと思います。
長野運動公園総合運動場を選んだ理由は、施設建設の時期、省エ
ネ効果の大きさ、費用の回収年数、工事費等の診断をした上で、一
番効果があがりそうな施設として選定したものです。上手くいった
ら、当然のことですが、他の施設でも取り組みたいと感じています。
これから夏本番、暑い季節になります。エアコンの設定温度を少
しだけ控える。こんな身近なこと、小さなことから皆さんも一緒に
省エネに取り組みましょう。