6月21日、みどりの移動市長室で、篠ノ井西中学校の技術部エ
コラン班を訪問しました。エコランの意味は、私の推測ですが、
“エコ”は環境にやさしい(エコロジー)、“ラン”は走ると言う
意味だと思います。
篠ノ井西中では4年前から、エコカーの製作に挑戦しているのだ
そうですが、中学生にどこまで可能なのか関心がありましたので、
見せていただくことにしたものです。
エコカーとは少ない燃料でどのくらい長く走れるかを競う車で、
小さいエンジン(50CC)、軽い車体、風圧を避ける車体・・・
それを中学生が製作して、運転し、全国的な大会に出場したという
ことですから、びっくりです。
しかも車体はいろいろな廃材の寄せ集め、エンジンは最近HON
DA(ホンダ)から新品を一台寄贈してもらったそうですが、大部
分は自動車の解体屋さんからもらってきたものだそうで、まさにエ
コカーです。
中学生が骨組みのエコカーを囲んで火花を飛ばして電動やすりを
使ったり、ネジを切ったり、鉄を切ったり・・・多分はんだごてを
使ったりする作業もやるようですし、エンジンの調子を調整したり
・・・まさに“ものづくり”の現場でした。
それと、顧問の箕田先生もあまり細かい指示は出さず、グループ
のリーダー中心の自主的な活動を見守っているという感じで、ここ
まで成長させるのは、ご苦労だったろうなあ・・・と感心しました。
懇談の場では、先生の話だけでなく生徒の皆さんの話から“もの
づくり”の楽しさを知って、嬉しくてしかたないといったことが伝
わってきました。小学校のとき、兄がこのクラブに入っていて楽し
そうだったからとか、大会に出てちょっとしたミスで完走できなか
った悔しさを語ってくれた生徒もいました。援助をよろしくといっ
た話には、ギャフンでしたが・・・。
私は生徒の皆さんに次のような話をさせていただきました。
ある。
まず「環境」ですが、騒音や悪臭、水質汚濁といった身近な問題
から、地球温暖化など地球規模の問題までさまざまです。身近な問
題は昔に比べればかなり良くなっていると思っていますが、地球温
暖化については、良くなっているとは言えない状況でしょう。
社会全体では太陽光や木質バイオマスという、いわゆる「自然エ
ネルギー」の導入を促進しようという活動も行われていますが、皆
さんのようにエコカーに挑戦して化石燃料の消費を減らそうという
ことも重要な取り組みです。
もうひとつは「ものづくり」ですが、昨年信州大学工学部の敷地
内に「ものづくり支援センター」を造り、信州大学などの知識や技
術を活用し、企業と連携・交流をしながら、将来性のある技術・企
業の育成をしようとしています。
皆さんは箕田先生のご指導のもと、エコカーの製造、また全国的
な大会に出場するという、なかなかできない体験をしています。ぜ
ひこの活動の経験を生かし、長野を背負ってくれる人材になってい
ただきたい。
懇談の後、箕田先生や木藤校長先生からお聞きしたことですが、
中学での課外活動は、スポーツや芸術活動が中心で、ものづくりク
ラブは少ない。このクラブを作ったことで、スポーツ等が苦手の子
供たちが入ってきてパワーを発揮している。
父兄の皆さんの援助に加えて、地域企業の皆さんの支援がありが
たい、たとえば中古エンジンや廃材を提供してくださる、あるいは
試走のコースを貸してくださる、本当にありがたいことです・・・
とのことでした。
市でもぜひ特別に支援、特に1,000メートルぐらいの試走コ
ースを紹介していただければありがたい・・・そんな要望を受けて
しまいました。
県内でもエコカーに挑戦している学校・グループは増えているそ
うです。中学校が2校、高校が6~7校、大学・短大が3校、社会
人が2~3グループなど、合計17~18グループあるそうです。
ぜひ、県内の大会を長野市で開きたいとのことでした。市内で
1,000メートルのコースを探すとすれば、道路しかないように
感じますが・・・道路となるとさまざまな問題があり難しいのでは
ないかと思います。しかし、広くエコカーを知っていただくために
も歩行者天国や長野市で開催するイベント会場等で多くの方に見て
いただくなどすれば面白いイベントになるかもしれません。検討の
余地はありそうです。
最後に、エコカーで実際に走るところを見せていただいたのです
が、運転免許を持たない中学生がきちんと安全に運転している、そ
んな姿に感動しました。
ところで環境問題に対して総合的・計画的に取り組むために、長
野市では「環境基本条例」を制定し、その後「環境基本計画」及び
「アジェンダ21ながの-環境行動計画-」を策定して、望ましい
環境像の実現に向けて努力しています。
「広報ながの」でも紹介させていただいていますが、環境省が地
球温暖化防止への取り組みとして以下のことを示しています。
(1)エアコンの設定温度を冷房は28度、暖房は20度にしまし
ょう(冷暖房の設定温度を1度上げ下げすることで、一世帯当た
り年間約2千円の節約で二酸化炭素を約31kg削減できます)
(2)蛇口はこまめに閉めましょう
(3)アイドリングをなくしましょう
(4)エコ製品を選んで買いましょう
(5)過剰包装を断りましょう
(6)コンセントをこまめに抜きましょう
これらは「チーム・マイナス6%」の取り組みですが、いずれも
その気になれば誰でもできることですよね。地球温暖化防止という
「地球の生き残り」をかけた取り組みに市民一丸になって取り組み
ましょう。
市役所でも今年も6月1日からクールビズを始めました。やむを
えない場面を除き、ノーネクタイ、ノー上着を励行しています。
それと嬉しいニュースが飛び込みました。長野市が取り組んでい
る長野運動公園総合運動場でのESCO事業が国の補助を受けられ
ることになりました。
ESCO(Energy Service Company)事
業とは、ESCO事業者が顧客(今回の場合は長野市)に対し、省
エネルギーについてのサービスを包括的に提供するビジネスです。
たとえば、一つの施設でどの程度省エネルギー効果があるかを診断
し、より効果的な設備の設計・施工、導入後の設備の保守・運転管
理まで行ないます。
そしてなにより設備導入以前のエネルギー使用状況を維持しなが
ら、これだけは達成できるという省エネルギー効果を保証し、結果
として削減された光熱水費の中から経費を受け取ります。
つまり、ESCO事業にかかる経費等はすべて省エネルギーによ
る経費削減分でまかなうことから、顧客(市)には一切出費は無く、
契約期間中は経費として支払った削減分の残りを利益として受け取
り、契約期間満了後はすべて顧客(市)の利益になる・・・なんだ
か夢みたいな話です。
もちろん、経済産業省の補助事業の一環で、独立行政法人NED
O(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)がESC
O事業者に補助をしているために、より事業効果が上がるものだと
は思いますが、国の環境政策への意気込み、併せて事業者である地
方公共団体の省エネルギーを促す意味が大きいと感じており、あり
がたい事業だと思います。
長野運動公園総合運動場を選んだ理由は、施設建設の時期、省エ
ネ効果の大きさ、費用の回収年数、工事費等の診断をした上で、一
番効果があがりそうな施設として選定したものです。上手くいった
ら、当然のことですが、他の施設でも取り組みたいと感じています。
これから夏本番、暑い季節になります。エアコンの設定温度を少
しだけ控える。こんな身近なこと、小さなことから皆さんも一緒に
省エネに取り組みましょう。