2006年9月28日木曜日

トイーゴ(TOiGO)がオープンしました


 9月22日(金)、待ちに待ったという表現がピッタリだと思う
のですが、長野市の中心市街地最大の再開発事業トイーゴが、完成
オープンしました。長野銀座A-1地区の市街地再開発事業として、
トイーゴ ウエスト(銀座棟)とトイーゴ SBC(SBC棟)、
また、昭和通りを挟んだ向かい側の長野銀座D-1地区の市街地再
開発事業としてトイーゴ・パーキングが、ほぼ時期を同じくしての
オープンです。

 トイーゴ ウエストの1~2階は商店街、3~4階は長野市生涯
学習センター
 トイーゴ SBCの1~2階は商店街、3階以上はSBC(信越
放送)本社およびスタジオ
 トイーゴ・パーキングの1階はスポーツクラブ、カラオケなどの
アミューズメント・スペースとビジネスコンビニエンスストア、
2~7階と屋上は430台のパーキング・スペース(駐車場)

 これで、新田町交差点(中央通りと昭和通りの交差点)南西の角
にある「もんぜんぷら座」や周辺の商店街も元気が出て、きっと新
しい街の顔になってくれると思っています。

 皆さん気が付いてくださったでしょうか?新田町交差点の横断歩
道が市役所方面に約20m伸びていることです。街の一体感、特に
トイーゴとトイーゴ・パーキングとの一体感を出すために、警察に
お願いしたところ、中心市街地の活性化のため、全国的にも珍しい
幅の広い横断歩道を実現していただきました。また、この場所は国
道19号ですから国道事務所にもお願いし、ご支援をしていただき
ました。感謝します。
 欲を言いますと、善光寺方面、長野駅方面も・・・と思っていま
すが、無理でしょうかネ!

 交差点の北東にできたトイーゴ広場に、速水史朗氏の野外彫刻を
配しました。そして再開発組合としては大型スクリーンを設置(ス
クリーンの発注を受けた会社の社長さんの話を聞きますと、新しい
工夫をして、価格を抑えて精密な画面を提供できたと自負しておら
れました)、街のにぎわいにきっと資するはずですし、トイーゴ・
パーキングの北東の角にも広場を作ることができました。市民の皆
さんが憩う場として、きっと気に入っていただけると思います。い
ずれここにも素晴らしい野外彫刻を設置したいですネ。

 県庁と市役所を結ぶ昭和通り、善光寺と長野駅を結ぶ中央通り、
その二つが交差する地点は、長野市の大切な場所ということは、か
ねてから主張してきたことです。オリンピックから8年以上かかっ
て、ようやく再生の兆しが見えてきました・・・ここを起爆剤にし
て、にぎわいが広がっていくと思うと本当に感無量です。

 そして、善光寺表参道の活気も長野市の象徴です。大門町に古い
土蔵を生かした「ぱてぃお大門」がオープンしています。セントラ
ルスクゥエアも、時間制の駐車場として常時満車状態ですから、そ
れだけ中心市街地に人が集まり始めたということでしょう。

 SBCさんにも、単なる本社ビルを造ることをお願いしただけで
はありません。東京のお台場とまではいかなくとも、TV局の機能
を最大限生かして街のにぎわいを演出していただきたいと思ってい
ます。

 そして、このA-1地区再開発に命をかけて頑張ってくれた銀座
商店街の故太田秀夫さんに感謝したいと思います。過去になんども
崩れかけた再開発のスキーム(計画)を立て直し、必死になって周
囲を説得し、SBCの進出が決定してからも、自ら再開発組合の副
理事長として、計画実現に向けて利害調整や説得に、必死になって
頑張っておられました。この再開発事業は太田さん抜きには考えら
れなかった・・・と私は思っています。そして工事が始まって、完
成することが確実になったとき、突然、不帰の人になってしまわれ
ました。あと数カ月・・・完成したトイーゴを一目見せてあげたか
った、私は心からそう思っています。ご冥福をお祈りします。

 このようにさまざまな思いを持ちながら、トイーゴグランドオー
プンのセレモニーの席上、私が皆さんに申し上げましたあいさつを
全文掲載させていただきます。

 「トイーゴのグランドオープンにあたり、一言ごあいさつを申し
上げます。

 かねてより整備を進めてまいりました「長野銀座A-1地区」と
「長野銀座D-1地区」の市街地再開発事業が完成し、「トイーゴ」
および「トイーゴ・パーキング」として、グランドオープンを迎え
る事ができましたことは、関係の皆様はもとより、長野市民にとっ
ても大変喜ばしい事であり、心よりお祝い申し上げます。

 これもひとえに国土交通省および長野県のご指導ならびに関係機
関の皆様のご理解、ご協力のたまものと深く感謝申し上げます。

 この新田町交差点を中心とした長野中央地域は、昭和30年代か
ら50年代ごろまでは、長野市商業の中心としてにぎわってまいり
ました。しかし、モータリゼーション(自動車の大衆化)の進展と
郊外への沿道型大型店の進出や、居住人口の流出が進んだことなど
により、その求心力が低下し、活力が失われてしまいました。
 
 そのような中、地元の方々から、県都の中心地区にふさわしいま
ちづくりを進めようという機運が高まり、昭和60年度に長野銀座
地区の再開発基本計画を地域の方々と協働して長野市が策定し、ま
ちの再生に向け、その第一歩を踏み出しました。

 しかし、その後のバブルの崩壊、長引く経済活動の低迷などによ
り、なかなか前に進まずにいましたが、平成9年に関係の方々の熱
意により、事業化の合意形成が調い「長野銀座A-1地区」の都市
計画決定を行い、市街地再開発事業が動き始めました。

 しかしながら、事業計画を煮詰めている時に、「長野そごう」の
倒産、「ダイエー長野店」の撤退があり、周辺地域の商業環境が激
変するなどして、根本から再開発事業計画の見直しが必要となった
ため、再度、事業が停滞してしまいました。そのような中、平成
14年になり、信越放送様が「そごう」跡地への本社の移転を表明
され、「長野銀座A-1地区」と一体となって再開発事業を進める
こととなり、再開発準備組合を改組して、現在の計画により中心市
街地活性化に向け、新たに出発いたしました。

 その後、平成18年10月の地上波デジタル放送開始を目指し、
平成15年に都市計画決定の変更を行い、16年4月から「旧長野
そごう」の解体工事に着手し、17年1月には建設工事を開始し、
1年8カ月余りの工事期間を経て本日のグランドオープンを迎えた
わけでございます。

 また、「長野銀座D-1地区」につきましては、「トイーゴ」や
「もんぜんぷら座」の附置義務機能も備えた、中心市街地の基幹的
駐車場として整備するため、関係権利者の方々を中心として、再開
発事業を施行する「長野D-1再開発株式会社」を平成16年に設
立し、事業を進めていただきました。

 この間、地区内の方々の意向をとりまとめ、平成17年9月には
工事着工し、この9月1日に駐車場がオープンするなど、関係の皆
様のご努力により短期間で事業を完成させていただきました。

 本日を迎えるまでには、銀座地区の基本計画策定から20年もの
年月が経過する本当に長い道のりであり、関係の皆様方には筆舌に
尽くしがたいご苦労と苦難の日々がおありだったことと推察いたし
ます。

 思い起こせば、最初の立ち上げからこの事業に携わり、商業地権
者のリーダーとして不屈の精神力と卓越した指導力で数々の難題を
乗り越え、この事業に情熱と全精力を傾け、完成を目前にして無念
にも本年1月に急逝された、故太田秀夫様には、晴れがましいこの
席で、共に喜びを分かち合えなかったことは、誠に残念ではござい
ますが、太田様の傾けた情熱が見事に結実し、本日を迎えることが
できました。

 また、再開発組合の塩澤理事長様をはじめとして地権者の方々、
信越放送様など数多くの皆様方の、本日に至るまでの並々ならぬご
努力とご協力に対し、深く敬意を表すとともに心から感謝を申し上
げます。

 このトイーゴは、商業施設、放送局、長野市生涯学習センターや
広場が一体となっており、それぞれの機能が連携し、様々な目的を
持ったお年寄りからお子さんまで、男性・女性を問わずどなたにも
親しんでいただける施設であります。また、トイーゴ・パーキング
は駐車場としてだけではなく、1階の商業施設も併せてご利用いた
だけるように構成していただきました。

 トイーゴ、トイーゴ・パーキングを大勢の市民の皆様にご利用い
ただき、もんぜんぷら座とも相まって、中心市街地のにぎわいの復
活が図られるものと期待しております。

 一つの事業の完了は、新しいまちづくりのスタートであります。
トイーゴとトイーゴ・パーキングが、中心市街地のにぎわい再生の
シンボルとして、多くの市民の皆様に末永く愛されるとともに、有
効に活用されますことを心からご祈念申し上げましてごあいさつと
いたします。

 本日はおめでとうございました。」

2006年9月21日木曜日

村井新県政への提言


 9月14日、私は村井知事にお会いして、長野市の立場でいろい
ろ提言させていただきました。本来は、県市長会を通すべきか、あ
るいは村井知事が提言しておられる「ボイス81」が出来るまで待
つべきか、若干迷ったのですが、長野市独自のテーマや、急を要す
る問題もありますので、時間をとっていただきました。
 新知事誕生後、長野市の庁内政策会議で提言すべきことを検討し、
20項目にまとめたものです。知事に提言させていただいた主な要
点を書かせていただきます。

提言1 県と長野市との調整事項(緊急を要する課題)
(1)浅川治水対策と北陸新幹線用地買収問題の解決(確認書問題)
 国、県、市の技術者レベルの論議と技術的検証が重要と考えてい
ます。政治家の好みの問題ではないし、市民の意見も出尽くしてい
ると思います。
(2)長野以北並行在来線問題
 (1)とも絡む問題ですが、これも長野以北の新幹線建設に当た
って、県が沿線市町村と交わした約束があります。いずれにしても、
並行在来線の経営のめどを付けることが重要で、それにはJR東日
本と話し合った上で、実現の可能性を検討し、新潟県との話し合い、
さらには篠ノ井―長野間の問題を解決することが肝要だと思います。
(3)県立高校再編問題
 地域ごとに賛成を得られたところは、新年度スタートで良いと思
いますが、反対の多いところは、急ぐ必要はないのではないでしょ
うか?長野市とすれば、長野南高校については人口増加地帯であり、
県教委の説明も十分でない状況では、統合される理由が分からない
し、納得できません(この件は9月15日の県議会で当面の解決
をみましたが、まだまだ安心はできません)。

提言2 県政運営の基本方針にかかわること
(1)廃棄物対策(一般廃棄物、産業廃棄物)について県の姿勢の
変更
 一般廃棄物処理については、廃棄物処理法で市町村の責任で行う
事業であって、県はそれについて技術的援助をすると決められてい
ます。法の権限を越える介入をやめて、市町村から要請があった場
合のみ、その問題について援助する、あるいは一緒に解決するとい
う姿勢を堅持すべきだと思います。県知事との事前協議を義務付け
る必要はないはずです。
 産業廃棄物等最終処分場の設置について、県は廃棄物処理事業団
を設置し事業を推進してきましたが、公的関与を見直し建設中止と
しています。県はもっと積極的に推進すべきであると考えます。
(2)市町村合併について県の姿勢の変更
 合併については、県が指導力を発揮し、促進すべきです。国が定
めた指針にのっとり、新合併特例法に基づいた合併構想をつくるべ
きです。また、県が約束した合併特例交付金の交付を保障し、合併
特例債の使用勝手も良くして、市町村のインフラ整備に協力してい
ただきたいと思います。
(3)県の審議会、検討委員会の委員について
 委員の主力は長野県内から選ぶべきではないでしょうか。まして
や大部分が東京在住ということで、東京で委員会を開くということ
は好ましい話ではないし、コストが掛かりすぎると思います。
 また、長野オリンピックは素晴らしい大会であり、有形無形の財
産を残しました。これまでマイナスイメージを持たせる行動ばかり
目立っていて県民益に反します。むしろ開催地として良いイメージ
を有効活用するよう考えるべきです。
(4)県と市町村の間の対話復活
 県と市町村の担当課同士が事務的に話し合うことが大切ですし、
広域連合単位ぐらいで知事と市町村長がざっくばらんに意見交換を
する会合を開くことも有意義だと思います。
 車座集会は、県は国と市町村の中間組織であることを考えると、
必ずしも適当ではないと思いますし、市町村が加わっていないこと
も問題があると思います。しかし、直接民主主義の流れからすると、
県施策の説明、あるいは反対意見を聞くことは大切だとは思います
が、反対者の意見を聞くことは、実際にはなかなか難しいと思いま
す。
(5)安全・安心の県土づくり
 安全重視の県土づくりをお願いします。基本的には、長野県の特
殊性に鑑み、土木事業(道路を含む)の充実を考えるべきと思いま
す。
(6)企業誘致施策の充実
 平成13年に比べると、県では事業所数や雇用が減っています。
企業を育てるには時間が掛かることから、雇用を増やしていくため
には当面は企業誘致だと思います。長野県は人件費が高いといった
問題もありますが、県に企業立地のための制度が少ないとか、対象
業種や対象地域が限定されているといったこともあるので、県にも
ぜひ企業誘致施策の充実を図っていただきたいと思います。

提言3 県政への事業提案(すぐにできることではないかもしれま
せんが、検討していただきたい事項)
(1)市町村の広域連合と県の現地機関等の統合
 実現できたら県と市町村の協力体制の象徴になりますし、地域住
民に直結する行政サービスを一元的に提供する組織体制の構築・行
政組織の簡素化等が実現できるのではないでしょうか。
 県の現地機関事務等の抜本的な見直しを行い、県から移譲できる
権限、市町村から移譲できる権限を検討し、広域連合等に権限・財
源を移譲して組織体制を整備したらどうでしょうか?法律的にでき
ないこともあるとは思いますが、少なくとも広域連合に県が参加す
ることは法的に可能なはずです。そのために、県と広域市町村の間
で話し合う場(協議会)をもつことを提言します。
 ただし、この提案は長野広域連合内での検討はしていません。現
段階ではあくまで長野市の意見です。
(2)県立短期大学の4年制移行
 長野市にある県立短大は長い歴史があります。そして過去、卒業
生を中心に、ぜひ4年制へ移行したいという願望が強く出されてい
ました。現在、短大は専門学校に押されてあまり元気がないとも言
われています。そして長野市とすれば、“大学を”ということは故
夏目市長の頃からの悲願であり、そのための準備基金として僅かで
すが、積み立てをしてきております。財政が厳しい時期ではありま
すが、地方独立行政法人としてやるなら可能性があるのではないで
しょうか。長野のレベルアップのために、長野の若年人口を増やす
ためにも、ぜひお願いしたい、長野市としても協力させていただき
ます。
(3)公共交通機関の再生
 高齢社会になって、移動の手段を確保することは、大切です。し
かし市町村がそれぞれで取り組むことには限界があります。市町村
の垣根を越えていくためには、県の取り組みがぜひ必要です。

提言4 その他諸課題について
 長くなりましたので、あとは項目のみ並べさせていただきます。
30人規模学級の協力金について、コモンズ支援金について、広域
消防のあり方について、看護師養成学校について、長野県勤労者福
祉センターについて、長野養護学校について、県道改良・県営中山
間地域総合整備事業の進ちょくについて、長野県青少年保護育成条
例(仮称)の制定についてで、全部で20項目になります。

 以上、村井知事に申し上げたことの概略です。提言したいことは
まだたくさんあるのですが、長野市独自の陳情と思われるものは極
力はずし、県全体を考えた提言にさせていただきました。もちろん
財政厳しき時代ですから、いくら村井知事でもすぐできるとは思っ
ていませんが、長野市も一緒になって、民間活力を利用しながらい
ろいろ工夫すれば、不可能ではないと考えています。一日も早く、
県組織がフル回転をしていただくことを期待して、記念写真を撮ら
せていただいて退出しました。

新県政への提言要旨をPDF形式で掲載しています。
http://www.city.nagano.nagano.jp/ikka/hisyo/teigen.pdf

2006年9月14日木曜日

9.11から5年目


 アメリカ合衆国で、前代未聞の航空機によるテロが起きてから、
もう5年になります。
 5年前のその日、私は9月の初めに市長選立候補の意思表示をさ
せていただいて、選挙の準備を始めたばかり、この日も、朝から晩
まで関係者との打ち合わせや、自分の政策づくりで飛び歩いて、夜
遅くなって帰宅、妻と二人でテレビを見ながら食事をしている最中
でした(日本時間は、午後9時46分だったそうです)。

 突然、ニューヨーク世界貿易センタービル・ツインタワーから煙
が出ている映像が出て、何かと思っているうちに、もう一機の飛行
機が現れて、ビルの陰に入ったと思ったら、そこからも煙が上がり
ました。何が起きたのか、正直に言ってよく分からなかったのです
が、異常なことが起きたことだけは、直感的に分かりました。

 あれがテロだったということがどの時点で分かったのかは、記憶
にないのですが(この時点では多くのメディアが航空機事故として
報じていました)、いずれにしろ、大変なことが起こった、市長選
なんて吹っ飛んでしまうのではないか・・・そんな思いに駆られた
ことを今、思い出しています。

 あれだけの大事件にもかかわらず、市長選は平常通りに行われ、
その時点では、市民生活に特段の変化はなかったという記憶があり
ます。選挙の結果にも影響はなかったのではないかと思いますが、
でも一生忘れられない強烈な印象になっています。そして4年たっ
た昨年は、あの事件の影響が何事もないかのように、私にとっての
二度目の選挙も済んでしまいました。

 しかし、そのことが世界中、また日本社会に与えた影響は、徐々
にではありますが、本当に大きなものがあったと感じています。
 世界の紛争を対岸の火事として見ているわけにはいかない。世界
の平和に貢献するためには、単にお金を出すだけでは駄目、人的支
援を含めて具体的な行動が求められるということで、結局特別法
(注)が作られて自衛隊がイラクへ・・・。
 日米安保の同盟国論、憲法改正、集団的自衛権など、少し前なら
ちょっとしゃべっただけで大臣を辞職するような事例がありました
が、世論においても現実性を持って語られる時代になり、テロや弾
道ミサイル等の新たな脅威や緊急事態に対する有事法制の一つとし
て国民保護法が整備され、長野市もそれに伴って条例を整備し、国
民保護計画を策定する状況になっています。韓国・中国・ロシアと
の領土問題や資源問題についても現状ではなかなか交渉にならない、
ある程度の実行力が必要という議論がまことしやかにされています。

 国において不断の外交努力を行っていくことは言うまでもないこ
とでありますが、長野市という地方自治体がこういう流れにどう対
処すべきか・・・難しい立場に置かれていると思います。戦争は絶
対にいやです、そんな当たり前のことを言っても何の解決にもなり
ません。こう言ってはなんですが、地方自治体にとっては、切実感
が、あるいは自分のこととしてとらえる感性を持つことが難しいの
です。

 国の外交や国家の安全・防衛に関することについて、地方自治体
が自由な意見を主張することは、国論の統一には邪魔になるばかり
と私は思っています。それではいけないと言う方々もいますが、国
の専権事項にどこまで意見を言うことができるのか、また意見は決
して同一にはならないのですから、かえって混乱を引き起こすだけ
だと思っています。
 北朝鮮の拉致問題についても、北信越の市長会では、北陸4県は
直接的な拉致被害者が身近にいたこともあり、政府に対して拉致問
題を早期解決するよう意見を採択しました。でも、県内の市にとっ
ては切実感に差があるかもしれないとも感じましたが・・・。

 9・11以後、アフガニスタン戦争、イラク戦争、アルカイーダ、
ヒズボラ・・・イギリスでのテロ事件・・・街にあふれるカメラに
よる監視社会・・・最近ではレバノンをめぐるイスラエルとパレス
チナ(PLOが選挙で敗れてハマスが政権掌握、混乱が続いている
ようです)の関係・・・たった5年間ですが、随分いろいろな事件、
紛争が起きています。根本に横たわる問題は、キリスト教とイスラ
ム教の対立と言う方もいますが、世界の動き、特に中東の動きはマ
スコミの報道で知るだけで、分かりません。

 9月11日前後の新聞には5年目という節目のせいでしょう。い
ろいろな解説記事が載っていますが、ではどうすればよいかという
ことは、書かれていないように思います。

 しかしながら、現実の社会は確実に変わっています。アメリカの
空港での検査の厳しさは私たちが直接感じることですが・・・日本
は入国審査が厳しいから大丈夫なんて言っていられないのではない
か、国内にもそんなことをもくろんでいる人間がいるのではないか、
テロ事件の報道がこれだけ多くなると、日本でも「もしかすると」
と考えざるを得ない状況が生まれていると思うのです。日本人は平
和ボケで、何か起こるまで対応が出来ない民族だといわれています。
起こってから慌てることがないように・・・でも何を?どうするの
か?長野市でも国民保護法に基づく長野市国民保護計画を策定中で
ありますが・・・でも私も含め切実感は薄いのでは、もっと危機意
識を持つべきとは感じていますが。

 ただ、地方自治体の危機管理ということでは、震災対策、風水害
対策、火災予防、防犯、そして学校の安全や子供の通学路の安全、
冬の雪害対策、最近では熊やサル、イノシシ・・・さらには環境保
全、水道水の安定確保、そして、感染症対策など、市民の皆さんの
生活により身近なことを、何よりもまず考えなければいけないのが
実情です。


(注)イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実
 施に関する特別措置法

2006年9月7日木曜日

立つ鳥跡を濁さず


 9月1日、村井新知事が初登庁されました。村井知事は決して地
位に固執され時間を空費される方ではない、自分の利益を考えない、
無私の心で、きちんとした政治を必ずやってくださると私は信じて
います。長野県の再建に力を発揮していただき、さらに本当の意味
での改革を進めていただきたい、大いに期待しています。

 前日の8月31日、田中氏の知事最後の日・・・ガラス張り知事
室を見たいということで、大勢の方が県庁を訪れたとのことです。
ここは、田中前知事の象徴のような場所で全国的にも有名になった
ところです。

 それはいいのですが、田中前知事がやり残していったことで、私
にはどうにも理解できない、皆さんも首を傾げるのでは、と思える
ことがあります。
 一つは、任期最終日に、職員に昇任の辞令を渡したことです。こ
れは何のためにやったのでしょうか?やるならなぜもっと早くやら
なかったか?最終日にやることは法的には、この日まで任命権者は
知事ですから、可能なのだそうですが、ご自身で責任をもてない人
事行為には疑問を持たざるを得ないのです。
 辞令をもらった職員も苦しんだのではないでしょうか。そのよう
な思いをさせる人事行為は、組織としてはマイナスにしかならない
し、もらった職員のためにならないと思うのですが・・・。

 もう一つは、県が法的に設置しなくてはならない審議会、委員会
の委員に、自身の後援会役員や親交のある方を任命してしまったこ
とです。今までの委員は多分任期がきていたのでしょうが、いった
ん任命されれば任期があるわけですから、村井知事が自分の責任で
委員を選ぶことができなくなる。こんな審議会を作りたい・・・と
思っても多分難しくなるでしょうね。これも法的にはできるのだそ
うですが、しかし村井知事が自分の施策を行うために置く委員会や
審議会について、足かせとなるような行為はいかがなものか、もっ
と配慮があってもよかったのではないでしょうか。

豊富ですよね、この言葉を知らないはずは無いと思います。次に就
任される方がやりやすいように、それが無理ならば影響が出ないよ
うに、配慮することが当たり前と私は常識的に思っていましたが、
まったくの期待外れでした。
 願わくば、委員の方々がいったん辞任され、村井知事としても委
員として適任だと思われる方に、再度任命をできるような方法論が
あればよいと思うのですが、どうでしょうか。それとも新知事が前
知事の行った行為を取り消すことができるならば、簡単なのですが
・・・。

 村井新知事の前途は洋々です。多くの方の支持を受けたのですか
ら、自由に発想して県政に携わっていただきたい。前任者が、後任
者にそれなりの敬意を表すなら、後任者もそれなりに前任者を思い
やることは必要ですが・・・。

 「談合は悪」です。確かに公共事業の受注に際して、業者があら
かじめ「談合」し、落札者を決めてから入札に臨むというのは「悪
」です。断固排除すべきことです。ただ、すべての事前調整さえも
「悪」とする風潮があります。本当に悪いことでしょうか?私はそ
うは思いません。
 先日、国連の安保理事会で北朝鮮の拉致問題で日本が決議案を提
出し、中国、ロシアが反対・・・結局話し合いを行って全会一致の
決議になりましたが、あの話し合いも事前調整でしょう。県議会に
大事な人事案や条例を提出する場合、スムーズに可決してもらうた
めに、事前調整を行う・・・オープンな話し合いまで止めるのは間
違いではないでしょうか。

 話し合い重視の村井知事の姿勢、大いにやっていただきたいと思
います。これこそ知事と県議会、知事と市町村、知事と県民、そし
て知事と国の関係を正常に戻す根本であると考えるからです。