1月18日に開催された長野市建設業協会の新年会にご招待いた
だきあいさつをさせていただきました。その際の私の入札差金に関
する発言に対し、反発の声が続出したという記事が、業界紙のコラ
ム欄に載っていました。
記事を読む限りでは、反発の内容は詳しくは分かりませんが、私
の発言内容の真意が必ずしも理解されていないと感じる部分もあり
ますので、書かせていただきます。
財政が厳しいことは、いずれの自治体も似たり寄ったりであると
思いますが、長野市でも平成18年度の予算を組む段階では、
約40億円の基金を取り崩して組まざるを得ませんでした。ただし、
基金にも限度がありますから、このような状況を長く続けることは
できません。従って予算執行段階においては、市の全部局に対し、
なるべく節約するように、要請しているところであり、今年の場合
はそんな努力もあり、取り崩し額は何とか20億円以下に圧縮でき
そうだということです。
そこまで圧縮できた理由ですが、国・県からの補助金・交付税な
どが予算編成段階より増えたり、企業収益が上がって税金が多少は
増えたり、不要になった予算もでたり・・・そんな中の一つの要素
に入札差金があるということは事実であります。私とすれば、建設
業界の皆さんはまちづくりに貢献されていますし、結果として長野
市の財政にも貢献していただいているということを、申し上げたつ
もりです。
もうひとつ、最低制限価格について、長野市は現在設計価格のお
よそ75%程度となっているのですが、85%にしてほしいと業界
の皆さんから陳情を頂いていることも話し、それは「難しい問題だ
と思うが・・・ただ数字を変えれば良いという問題ではないと思う」
と申し上げました。それは市長の独断で申し上げることでは無いと
思ったからです。
いずれにしろ、この問題は、実情を明らかにすることで、長野市
の財政の実態と業界の努力を広く知っていただくことが良いと思い、
お話したことです。
当日の話とは別に、この問題はいくつかの問題を含んでいると思
います。
(1)公共における入札制度については、建設土木業界の問題だけ
でなく、物品購入、ITソフト購入など、いろいろな業界に関係
がある話です。
(2)入札方法については、日本中が悩んでいる問題で、今のとこ
ろこれで良いという決定打はないと思っています。
(3)最近問題になっている知事の汚職・辞任、価格漏洩(ろうえ
い)事件、選挙に絡む金の問題・・・これらは全て同根の問題で
あり、人間社会において、昔から何度言われてもなくならない、
繰り返し起こる悲しい出来事ですね・・・。
(4)現段階、私のできることは、「正直に」「明らかに」するこ
とであろうと思っています。そして難しいのですが、最良の方策
を求めて努力することだと思っています。
「正直に」「明らかに」ということで、内部の話までしてしまっ
て反発を頂いたとすれば、私の不徳の致す所と思うよりほかにあ
りません。業界のことを思って話したつもりだったのですが仕方
ありません。
(5)市としては公共事業の積算基準となる基礎資料については、
国・県の基準によって行うしかないのが実情です。
(6)入札制度の最良の方策については、簡単ではありませんので、
いずれ稿を改めて、きっちり議論したいと思っていますが、先日
当選された宮崎県の東国原(そのまんま東)知事が記者会見で電
子入札について言及しておられました。また、指名競争入札をや
めて、全て一般競争入札にせよ、という意見もかなり説得力を得
てきているように思います。
私も先日の発言の最後に、全て(金額制限はつけるとしても)企
画・設計も含めた提案コンペ方式にしたらどうか・・・ということ
を私見として申し上げています。いずれにしろ長野市の入札制度研
究委員会などで十分検討していくべきテーマだと思っています。