4月21日(土)、篠ノ井山布施地区の農業集落排水事業が完成
し、そのしゅん工式が地元で開催されました。既に4月1日から供
用開始されています。ひとえに地元建設促進委員会の酒井委員長を
はじめとする地元の皆様方の事業へのご協力、国および県など関係
機関のご援助とご指導のたまものであり、心から感謝申し上げます。
本来、水洗化は公共下水道で行うことが理想ではありますが、住
宅が連なっていない周辺部(農村部)では、全市的な下水道管をつ
なげていくことは極めて不経済、不効率ということから、その地域
だけで完結する(すなわち下水道管の設置と処理施設を公共下水道
とは切り離して、独自に建設する)農業集落排水事業として推進し
てきたものです。
農業集落排水事業は、平成3年から農村地域の住環境整備のため
の重点施策として推進し、予定した市内21地区の整備を順次行っ
てきましたが、この山布施地区がしゅん工したことで、一連の農業
集落排水事業の整備はすべて完了しました(合併町村については、
平成17年度に完了しました)。
これらの事業の目的は、地域のし尿や生活雑排水を集合処理し、
農業用水の水質保全、生活環境の改善、さらには公共用水域の水質
保全を進め、生産性の高い農業を実現することにあります。
下水道整備に当たってのもう一つの柱は、合併処理浄化槽事業で
す。一軒または数軒だけ離れた場所にお住まいの方々を対象に、あ
るいは技術的に下水道管をつなぐことが極めて困難な場所でも、個
別の浄化槽設置をお願いしています。また、この施策は下水道区域
内でも下水道管の敷設までに時間がかかる場所にお住まいの方々に
も、ご利用いただいています。
さて、この際ですので、下水道計画の中でも主たる公共下水道に
ついて、少しお話ししましょう。大変息の長い事業ですので、経緯
や仕組みを知らない方々が多いと思いますので・・・(私も市長に
なって、初めて知りました)。
長野市の公共下水道事業は、昭和28年から計画が始まっていま
す。朝鮮戦争直後くらいのことでしょう。記録によりますと、戦前、
昭和4年に都市計画事業の一環として計画されたことがあるようで
すが、諸般の事情により中止したとあります。昭和初期の大不況下、
あきらめざるを得なかったのでしょうか。
戦後になって昭和28年に、文化都市、観光都市としての発展を
期待し、JR長野駅から善光寺までの市街地中心部を対象に事業認
可を取得、分流式による公共下水道第一期計画に着手しました。こ
の分流式というのは、雨水と汚水を分けて処理する方式のことで、
合流式というのは、これを一緒に処理する方式をいうのだそうです
が、当時、長野市は分流式を採用しました。合流式を採用した都市
は今大変苦労しているそうで、分流式に改造を始めた所もあるとの
ことです。長野市の先輩方の将来を見通す選択眼には、本当に頭が
下がります。
昭和34年に、南部終末処理場が一部完成し、活性汚泥法による
高級処理が開始されたということで、下水道が実際に使われ始めた
ということです(もはや戦後ではないというようなことがいわれ、
現在の天皇陛下ご夫妻の皇太子さまと美智子さまのご婚儀があった
年です)。
その後、文化的で快適な生活を送るためには、また市内の水質良
化のためにも、全戸水洗化を早期に実現させることが急務となって
きました。そこで市街地周辺の急速な都市化とそれに伴う河川汚濁
に対処するために区域を広げた計画の認可を取得し、昭和56年に
は東部終末処理場が完成し、供用を開始しました。なお、南部終末
処理場は老朽化により平成9年に廃止して、処理地域を東部処理場
に統合し、効率的な処理が可能になりました。
さらに、県の主導により周辺市町村との共同事業として、千曲川
流域関連下水道が始まりました。下流処理区は長野市北部、東部、
若穂、松代の一部、豊野が対象地区で、処理場は平成4年に赤沼の
「クリーンピア千曲」が、上流処理区は篠ノ井、川中島、更北、松
代の一部が対象で処理場は平成8年に真島町川合の「アクアパル千
曲」が、それぞれ供用開始され、現在は一日も早く下水道が完成す
るようまだ下水道管が敷設されていない地域への拡張に努力してい
ます(下水道はその性質上、処理場からだんだん上流へ工事を行っ
ていくことが基本ですから、なかなか時間がかかっている地域もあ
り、ご迷惑をお掛けしています)。
また、公共下水道事業だけでは間に合わないし、非効率というよ
うな事情から、国の政策に併せ、農業集落排水事業、合併処理浄化
槽事業という三本柱で事業を推進してきました(公共下水道事業の
一環として、特定環境保全公共下水道という制度もあり、長野市で
は飯綱・若穂・松代・戸隠・鬼無里の一部で採用されています)。
その三本柱の一つ、農業集落排水事業は、このたび、山布施地区が
最後で、すべての予定地区が完了したわけです。
次回のメルマガでは、下水道事業を総括してみたいと思います。