前回は「エムウェーブ」と「スパイラル」がナショナルトレーニ
ングセンターに指定をしていただいた話を書きましたが、今回は、
長野市中心市街地活性化基本計画が、新しい中心市街地活性化法に
基づく認定を受け、5月31日に新装成った首相官邸での認定書授
与式で、内閣総理大臣の認定書を頂いたことについて報告します。
従来の中心市街地活性化法では、市町村が基本計画を作成するだ
けにとどまり、意欲的な取り組みを国が集中的に支援する仕組みと
なっていないこと、国の窓口も多くの府省庁にわたっているなど政
府が一丸となって取り組む体制となっていないことなど多くの課題
がありました。
そうした中ではありますが、長野市では、従来の法律に基づき、
長野駅から善光寺を中心とする長野地区、篠ノ井地区、松代地区の
三カ所を中心市街地に指定し、基本計画を策定した上でさまざまな
取り組みを行ってきたところです。
特に、長野地区における、もんぜんぷら座、トイーゴ、ぱてぃお
大門の取り組みなどは、まちの皆さんが大いに力を発揮した事業と
して、国からも高く評価していただいているようです。また、市と
してもバブル崩壊、長野オリンピックの後、二つの大型店が倒産・
撤退するなど空洞化が深刻となっていた中心市街地の活性化に、大
きく寄与した事業であったと自負しています。
昨年度改正された法律では、内閣に中心市街地活性化本部を設置
し、政府が一丸となって中心市街地の活性化策を推進するとともに、
やる気のある市町村の基本計画を内閣総理大臣が認定し、さまざま
な支援策を重点的に講じるという形になりました。
これを受け、長野市では、さらなる中心市街地の活性化を目指し、
昨年度から、市民の代表者の皆さんと、中心市街地活性化基本計画
策定委員会を設置し、議論を重ねてきました。そして長野地区に限
定した新たな基本計画を策定し、中心市街地の活性化計画として
49の事業を位置付け、国へ申請したものです。この認定について
は、全国的には富山市と青森市が第一陣として今年2月に認定され
ており、早い者勝ちみたいなところがありましたので、第二陣には
何としても認定を受けたいと考えていました。今回一緒に認定され
た市は11市ですから、全国で合計13市が認定を受けたことにな
ります。
今回の基本計画の特徴としては、旧基本計画は主として「点」と
しての拠点整備を進めるものでありましたが、新基本計画では、
「点」として整備されてきた各拠点を、善光寺表参道を軸に「線」
として結び、さらに「線」から「面」へとまちをはぐくむことを目
的としたこと、今後の人口減少、超高齢社会を見据え、歩くまちへ
の意識を強くしたこと、区域も「中心」という意味を強調するため
に少し狭くなったこと・・・などでしょうか。
そして最大の特徴としては、内閣総理大臣の認定制度がとられた
ことでしょう。総理大臣認定の冠が付いたことで、中心市街地の活
性化は国の大プロジェクトであることを公にし、今まで以上に国が
支援をする、と約束してくれたものと解釈しています。もちろん、
相応の市の覚悟も必要となりますが・・・。
中心市街地活性化は、私が市長就任以来、最も進めたかった事業
として、市政運営の中心に据えてきたテーマです。中心市街地は都
市の顔であり、先人が艱難(かんなん)辛苦して築き上げてきた結
晶であり、都市の魅力がぎっしり詰まっている地域だと信じていま
す。この地域の活性化は、将来の長野市に必ず大きな役割を果たす
はずです。
なお、都市にはいろいろな顔があります。地域ごとの特色といっ
てもよいと思います。
特に長野市には、長野地区以外にも二カ所の中心市街地がありま
すし、副都心と想定されている地域もあります。また、静かな住宅
街、官庁街、商店街、文教地区、工業地区・・・スポーツ・レクリ
エーション地区、田園地帯(農村地帯)、森林地帯・・・数え上げ
れば切りがありません。市域の70%を占める中山間地域も、長野
市にとって重要な役割があると思っています。
中心市街地だけが、長野市ではないという声があることも承知し
ています。それぞれの地域ごとにそれぞれ役割分担があるわけで、
それぞれの地域が、その役割に応じて光り輝くように、行政として
は誘導していきたいと考えています。
今、市制110年の節目の事業として、「地域の魅力再発見事業」
を実施しています。
これは、それぞれの特色ある自然環境や歴史・文化にはぐくまれ
た市内各地域のお宝や地区の魅力を地域の皆さん自身に再発見して
いただこうというものです。古いもの、新しいもの、どちらでも良
いのです。市として保存する価値があれば大いに結構ですが、一般
的な価値が無くても構わない、地域の皆さんがこれを将来の子ども
たちに残したい、このまちの存在意義だ・・・そんな魅力やお宝と
呼べるものを出していただきたいとお願いいたしまして、昨年度中
に市内30地区から選考・推薦いただきました。
現在は、地区の皆さんにご協力いただきながら取材や撮影を進め
ており、110周年記念式典等において写真パネルや映像でご紹介
する予定です。各地域のさまざまな魅力や特色、地域資源を再認識
していただくとともに、ふるさとに対する愛着や理解を深めていた
だく機会になればと考えています。
都市内分権の話し合いの中でも、きっと将来も地域の大切な宝と
して受け継いでいこう、地域資源として活用していこうと地域の皆
さんの思いが一致するものがあるはずです。今回の事業をきっかけ
に、今後も住民自治協議会や公民館活動等を通じて地域の魅力を磨
き、大いに輝かせていただくことで、コミュニティの絆(きずな)
がさらに深まり地域が活性化していくことに、期待をしています。
もう一つ、うれしいニュースです。
丹波島子ども会育成会の皆さんが、6月2日に皇太子ご夫妻もご
出席された第18回全国「みどりの愛護」のつどいにおいて、みど
りの愛護功労者国土交通大臣表彰を受けられたことです。育成会の
皆さんは10年以上にわたり資源回収を行い、その補助金を資金源
にして花壇作りなどを行うなど、花と緑の愛護に特に著しい功績が
認められ今回の受賞となったそうです。育成会の皆さんだけでなく、
地域の支援が結実したもので、ほんとうにうれしい出来事です。
2007年6月28日木曜日
長野市中心市街地活性化基本計画が認定を受けました
2007年6月21日木曜日
ナショナルトレーニングセンターの認定を受けました
5月末、長野市の「エムウェーブ」と「スパイラル」が、文部科
学省から、ナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化
拠点として国からの認定を受けました。
また、「長野市中心市街地活性化基本計画」が総理大臣の認定を
受けました。これについては次週報告させていただくとして、今週
はナショナルトレーニングセンターについて報告をさせていただき
ます。
エムウェーブは言うまでもなく、長野オリンピック最大の資産で
あり、国内唯一のスピードスケート室内ダブルトラック・リンクで
す。設置者は長野市で、オリンピック終了後に、第三セクターの
「株式会社エムウェーブ」を設立し、指定管理者として管理・運営
を委託しています。スパイラルは国内、いや東洋唯一の国際的なそ
り競技施設で、長野市が、今日まで運営をしてきました。
しかしオリンピックの招致段階から、施設はたくさんできるので、
一つぐらいは国の施設(すなわちNTC)にしてもらいたい、とい
う思いは関係者の胸に常にあったわけです。
NTCになれば何が違うかですが、それは長野市の自由裁量の余
地は減るでしょうが、国の大きな予算の中で運営されるわけですか
ら、市が単独で行うよりはるかに大きなお金を掛けてもらえる、そ
れによる活性化は著しいものになるであろうということです。
1964年の東京オリンピックの時、東京には国立競技場をはじ
めたくさんの施設ができましたが、すべて「国立」です。以来今日
まで、運営はすべて文部科学省の外郭団体が、国の予算で運営して
います。1972年の札幌オリンピックの競技施設は北海道と札幌
市の予算で運営されています。
東京、札幌の両オリンピックは日本の国威発揚期のイベントで、
何が何でも成功させなければという国家プロジェクトであったが故
に、国が大きく関与したわけです。
しかしながら、長野オリンピックの場合は、長野がIOC(国際
オリンピック委員会)に1998年冬季オリンピックの開催地とし
て立候補した際の閣議了解によって、施設整備費は国が二分の一、
県が四分の一、長野市が四分の一を負担すること、施設運営費につ
いては基本的に長野市営(すなわち長野市負担)と定められた経緯
があります。
今は国威発揚の時期ではない、地方の責任でやりなさい、国は応
援はするよ、ということかと思います。
第三セクターの(株)エムウェーブの経営は、社長以下懸命の努
力をしていますが、市からの補助金が無くてはまだまだ無理な話で
すし、スパイラルは市から離れたらそれこそ成り立たないことは明
らかです。特にスパイラルは、市の財政構造改革懇話会から、長野
オリンピック記念基金(長野オリンピック終了時の剰余金)からの
補助が無くなったら(二年後ぐらいの予定)、廃止も視野に検討す
べきであるとの意見を頂いており、かなり苦しい状況でした。
そこへ、今回、文部科学省から両施設をNTCに認定するという
朗報を頂いたわけですから、大変ありがたいと思っています。文部
科学省、JOC(日本オリンピック委員会)、各競技連盟のご協力、
そして小坂前文部科学大臣のご理解に心から、感謝しております。
ただ、まだ詳細が決まったわけではなく、文部科学省と長野市教
育委員会の話し合いが重要になりますが・・・持続的な運営に向け
て一つのハードルを越えたことは事実です。
NTCとして、どんな高機能な設備を備えるのか、どのような選
手育成条件を満たしてオリンピック選手を輩出していくのか、どの
時期から氷を張るのか、地域の応援体制をどのように整備するのか、
市民・子どもたちのスケート会場としての機能は・・・などなど、
まさにこれからが、正念場です。スケートを選手も含めて職とする
人、企業も集まってほしいものと感じています。
全国中学生スケート大会が今後10年間、毎年エムウェーブで開
催されることも決定しました。また、本年度の冬季国体の開催も決
定しています。スケートのメッカとして、オリンピックを開催した
都市として、立派なNTCにしていきたいと考えています。
話は変わりますが、6月13日、本年度市県民税の納税通知書を
発送させていただきました。毎年のことですが、なぜ本年だけ、特
に私がメルマガで取り上げさせていただいたかですが、二点につい
て理解していただきたいと感じたからです。
(1)地方自治体をはじめ、前から望んでいたことですが、国から
地方へ税源移譲が行われました。すなわち、国税である所得税が
減り、その分が市県民税で増えました。権限委譲をするには税源
移譲が伴わなくては意味がないと地方が主張してきたことを、国
は認めたということで、真の地方分権への一歩であると感じてい
ます。
このことは、制度設計の上では、増税と減税が同じ金額になる
ようになっていますので、市県民税が増額になった分は所得税が
減額になっており、しかも所得税の減額は本年1月分から既に始
まっています。個人ベースで考えると、増税ではないことをご理
解願います。
(2)バブル崩壊で景気が悪かった時期、何とか景気を良くしよう
ということで、国は一時的な減税を行いました。定率減税という
ことで、ここ数年間皆さんの可処分所得は間違いなく増えていた
はずです。国は景気は良くなったと判断し、その減税分を昨年
(18年度)半分廃止し、本年(19年度)残りの半分を廃止し
ました。暫定的な減税分の恩恵が無くなったということです。こ
のこともご理解いただきたいことです。
6月13日に納税通知書が発送されてから、市の窓口には市民の
皆さんから、問い合わせが増えることが予想されましたので、財政
部職員を中心に、臨時に経験のある職員等を動員して、市民の皆さ
んへの説明に努めています。
事前に、市報でのお知らせ、市ホームページなどでもご理解いた
だく努力をしてまいりましたし、私もいろいろな会合に出席させて
いただいた折のあいさつでもPRさせていただいていましたが、ぜ
ひスムーズな納税をお願いします。
2007年6月14日木曜日
葛巻町と小岩井農場を視察しました
4月25・26日、岩手県の葛巻(くずまき)町と小岩井農場を
視察してきました。葛巻町は、新エネルギーの町として、また小岩
井農場は、日本一の民間総合農場の経営をしているという評判でし
たので、以前から一度訪ねてみたいと思っていました。
私が長野市の重要課題として今考えていることの一つは、市域の
70%を占めている中山間地域の活性化です。その地域の農林業
(畜産も含む)は基幹産業だけれど元気がない、二酸化炭素削減に
向けて、何とかならないか・・・これらが共存できる政策を模索し
たい、そんな観点で視察してきました。
岩手県葛巻町は、長野からは新幹線を乗り継ぎ、盛岡を過ぎて沼
宮内(ぬまくない)という駅で降りて、車で約30分、人口8千人
余りの町です。
「北緯40度 ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」のキ
ャッチコピーのとおり、酪農(ミルク)と林業(ワイン)を産業と
して確立し、自然エネルギー導入にも積極的に取り組んでいます。
この町がすごいのは、これらを開発公社など第三セクターで進め、
開発公社と町役場が一体となり、開発公社主導で第一次産業を商売
として成立させ、開発公社は利益を上げ、町の雇用に大きく貢献し、
利益を町へ寄付もしているということです。
(1)まず牧場。人口8千人の町で、飼育している乳牛が1万4千
頭、人口よりはるかに多いのです。牧草を育て、乳業が成り立っ
ていること、預かり牛の預かり料は一日当たり一頭500円(長
野市の戸隠牧場では180円(市外から来る場合は250円))
です。高くても預ける人がいるということは、それだけ預ける側
にメリットがあるということでしょう。
(2)山ブドウを育て、自前のワイン工場をつくって、営業活動を
して、大変なブランドに成長している。しかも何より雇用を生み、
利益を上げて税金を払っていること。
(3)クリーンエネルギーということで、行政と民間とで果敢に挑
戦。大型風力発電の設置に取り組み、さらに、牛ふん・生ごみの
バイオガスや端材などの木質バイオマスによる発電施設の整備な
ど、町内には10の新エネルギー施設を有し、現在、町全体が消
費しているエネルギーに対して自給率は78%で100%を目指
していること・・・すなわちクリーンエネルギーが産業として確
立しつつあること。
(4)山の上の牧場の一部に、観光施設・宿泊施設を造って視察や
観光に来るお客さんを泊めていること。私たちもそこのホテルに
泊めていただきましたが、とても瀟洒(しょうしゃ)な宿泊施設
でした。隣接して売店や食堂、そしてバンガローを高級にした戸
建ての宿泊施設も整備されていました。町には年間50万人ぐら
いの方が訪れるそうで、十分もうかっている施設と拝見しました。
第一次産業である酪農・林業の基盤の上に、乳製品やくずまきワ
インの第二次産業、そして交流・宿泊拠点となるホテルやコテージ
などの第三次産業を結び付けて、開発公社など主要な第三セクター
は黒字で経営しています。
でも一番すごいのは、町民・職員の意識改革かも知れません。葛
巻は何も無い、どうしようもないというあきらめの心境だった町民
を、徐々に奮い立たせ、葛巻町民であることを、誇りに思える町に
したことは、時間もかかったでしょうが、その辛抱強さ、ぶれない
信念、そしてアイデア・・・大変な努力だなあと感心しました。
町長は、町の職員になって、町営牧場担当から開発公社に出向、
前町長の意向を受けて20年以上も開発公社の仕事に従事、専務と
して開発公社の運営を軌道にのせて、町長に転身した方でした。そ
して後任の現在の専務は、ワイン造りの修行に派遣され、ワイン造
りに没頭した後、さらに開発公社を発展させている、「公社経営」
の鬼みたいな人と思いました。そして町民が、その活動を支持して
いること、ここまでくるには、歴代町長の苦しみ、それを支援して
きた町民の心意気・・・それにしてもすさまじい活力です。
国や県の応援もあるのでしょうが、素晴らしい自立した町、そし
て酪農と林業とエネルギー産業で、まちづくりを行っている見本を
見せていただきました。
翌日、小岩井農場を視察させていただきました。ここは、明治
24年に開設された農場で、共同創始者である小野義真(おのぎし
ん・日本鉄道会社副社長)氏、岩崎彌之助(いわさきやのすけ・三
菱社社長)氏、井上勝(いのうえまさる・鉄道庁長官)氏の三名の
頭文字をとって「小岩井(こいわい)」と命名されたとのこと、当
時は貴族が各地で牧場を開設した例は多いのだそうですが、必ずし
も成功しなかった、その中で、小岩井農場は三菱社の岩崎久彌氏が
経営を引き継ぎ、以来100年以上営々と経営を引き継いで今日の
隆盛を築いてきているとのことです。
葛巻町の牧場も、創業期には小岩井農場から二代続けて専務理事
を迎え、その牧場経営の神髄を学んだとのことでした。
小岩井農場は岩手山の南麓(なんろく)にあり、面積3千ヘクタ
ール(約900万坪)の広い敷地で、その3分の2が山林、700
ヘクタールが耕作地で、中央部の40ヘクタールほどを「まきば園」
として一般客に開放し、残りの部分が施設用地になっているとのこ
とです。
事業案内をみると、酪農事業、種鶏事業、たまご事業、山林事業、
環境緑化事業、農場商品販売事業、観光事業、技術研究・品質保証
・環境対応などで、農林畜産業を基軸に時代の要請に挑戦と書いて
ありました。
一番感心したのは、山林事業です。1千平方メートルを毎年植林
し、翌年はその隣に植林していく、法正林(ほうせいりん)という
手法だそうですが、それを100年繰り返し、100年たったら最
初に植林した木を伐採し、また、そこへ植林する計画とのことでし
た。広大な土地があるからできることでしょうが、そのスケールの
大きさにすっかり魅せられてしまいました。
それぞれの内容はとても語りつくせませんが、牧場経営から派生
していろいろな産業に手を伸ばしている、まさに21世紀型の産業
と感じました。例えば、酪農事業といっても、牛づくり、乳製品を
つくるだけでなく、バイオマスによる「自然エネルギー」すなわち
畜産バイオマス発電に取り組んで、メタン発酵発電施設を造るなど、
循環型社会に向けて挑戦していました。
以上、駆け足で葛巻町と小岩井農場を訪問した報告ですが、後者
については、我々の想像を絶する規模と歴史をもった農場でしたの
で、参考にすることは難しそうですが、葛巻町の取り組みについて
は、長野の中山間地域経営の参考になる素晴らしい取り組みと思い
ました。
2007年6月7日木曜日
映画「不都合な真実」を見て
4月21日、環境保全協会にいる友達から薦められて、久しぶり
に映画を見ました。環境問題、なかんずく地球温暖化阻止に向けて
二酸化炭素削減の重要性を強調した映画「不都合な真実」で、アメ
リカ合衆国のアル・ゴア元副大統領が、正面からこの問題に取り組
み、世界中に警告を発するという内容でした。
そして真実を明らかにすることは、為政者にとって(もちろん一
般市民にとっても)不都合であるが故に、あえて「不都合な真実」
という題名で世に問うた映画で、私には、特に京都議定書から離脱
しているアメリカの政治家・世論に対し警鐘を鳴らしているドキュ
メンタリー映画と感じました。
「人類唯一の故郷(ふるさと)、それが今、危機に瀕(ひん)し
ているのです。それは人道的な問題なのです。それを解決するのは
あなたです。」「世界貿易センターの記念碑が建てられる場所は、
やがて水底に沈む。世界の問題はテロだけではありません。」
為政者が問題を先送りしているが、もうそれは許されないという
ことでしょうか。
そしてパンフレットには「私にできる10の事」が書いてありま
した。
(1)省エネルギー型の電化製品や電球に交換しましょう。
(2)停車中は、エンジンを切り、エコ・ドライブしましょう。
(3)リサイクル製品を積極的に、利用しましょう。
(4)タイヤの空気圧をチェックしましょう。
車の燃料基準を上げれば、無駄なエネルギー消費を防げます。
(5)こまめに蛇口をしめましょう。
水道の送水に使用されるエネルギーを削減することが出来
ます。
(6)過剰包装、レジ袋を断りましょう。
買い物は、このリサイクル・エコ・バッグを使いましょう。
(7)エアコンの設定温度を変えて、冷暖房のエネルギー削減をし
ましょう。
(8)たくさんの木を植えましょう。
一本の木は、その生育中に1トン以上の二酸化炭素を吸収す
ることが出来ます。
(9)環境危機について、もっと学びましょう。そして学んだ知識
を行動に移しましょう。
子供たちは、地球をこわさないで、と両親に言いましょう。
に勧めましょう。
「人類唯一の故郷うんぬん・・・」の文章と「私にできる10の
事」の内容の差に、若干の戸惑いを感じていますが、地球は危機状
態にある、しかし私たちにとっては、一つ一つの小さなことの積み
重ねが重要なんだ、ということを主張しているのだろうと感じてい
ます(ただ、ゴア元副大統領が警鐘を鳴らすのなら、もう少し大き
な・・・例えば戦争をやめようとか、環境重視の「持続可能な経済」
にシフトしようとか、化石燃料を減らすための具体的な大きな政策
を打ち出してほしかったという感じなのですが・・・・)。
アメリカが、なぜ京都議定書から離脱したのか・・・アメリカ経
済に悪い影響があるということだそうですが、ゴア元副大統領はそ
れではいけないと言っているのでしょう。
そのことは、日本にとって、あるいは長野市にとっても同じこと
が言えると思います。経済を犠牲にしても地球を救わなくてはなら
ない、この映画はそんなことを主張しているのだと思いました。第
79回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞と歌曲賞の2部
門を受賞したとのことです。
行政として地球温暖化対策を考えると、省エネルギーを進めるこ
とや、化石燃料に替わる太陽光や風力、水力、バイオマスエネルギ
ーなどの新エネルギーを積極的に活用していくこと、この二つを両
輪とした施策を推進する必要があります。
具体的には、以前に第219号のメルマガでも紹介しましたが、
長野市では民間のノウハウや資金を活用し、省エネルギー化を実現
しようとする「ESCO事業」を長野運動公園総合運動場で導入し
ています。年間800トン余りの二酸化炭素の削減を見込んでおり、
これは、約570人の長野市民が1年間に家庭(自家用車を除く)
で排出する量に相当します。
ここでの導入効果を見極めながら、ほかの公共施設への導入を推
進していきたいと考えています。また、効果をPRすることで、民
間のビルや工場などへも普及してほしいと期待しています。
新エネルギーの活用では、既存の砂防ダム放流管を利用した小水
力発電施設の事業化を進めています。モデル事業として、発電電力
を小・中学校へ供給するとともに、環境教育の場としても活用を考
えています。公共施設にも、施設ごとに、どういった新エネルギー
設備を導入することが可能なのか、具体的な調査・検討も始めます。
全国で、NPO法人などが主体となり市民ファンドを活用した風
力発電や太陽光発電などの新エネルギー設備設置の活動も起きてお
り、地球環境保全の意識も高まってきているのではないでしょうか。
ただ、環境問題で有名なレスター・ブラウン博士は、バイオ燃料、
特にバイオエタノールをガソリンの代替品として使うことは(ブラ
ジルをはじめ、日本でも首都圏で使われ始めています)、現に食料
価格の高騰を招いており、より大きな問題を引き起こしかねないと
警告していました。
また、風力発電について長野県内でも、景観上あるいは渡り鳥な
どへの影響から反対の動きもあります。
化石燃料を減らす取り組みもすべてがうまくいくとは限らないこ
とを示しているのでしょう(市長就任前のことですが、アメリカの
サンフランシスコからヨセミテ国立公園へ行く途中、見渡す限りの
大草原で、数え切れないほどの風力発電の風車が稼働していた景色
を思い出します)。
最近、日本の安倍首相は、2050年までに二酸化炭素などの温
室効果ガスを現在の半分にしようと国際社会に提案していますが、
世界中が歩調を合わせ、自国の利害を抜きにして取り組む必要を感
じています。
先ほども触れましたが、「世界市民の一人」という気持ちをもっ
て、いかに二酸化炭素の排出を減らすか、エネルギー消費量を減ら
すか、経済活動や生活習慣を徹底して変えることは、現実にはなか
なか難しいことかと思いますが、できることから協力していく「自
発的協力」の積み重ねが大切だろうと思います。
長野市でもこの6月1日から4カ月間、夏の軽装いわゆるクール
ビズが始まりました。今年で3年目を迎えたクールビズですが、年
々浸透してきていると感じています。ささいなことかもしれません
が、ライフスタイルを変えていくきっかけとして定着させていきた
いと思っています。
今後も、エネルギー消費の抑制や二酸化炭素の排出削減に向けた
施策を推進し、本市の消費エネルギーを2010年までに1990
年レベルに戻すという目標に少しでも近づけるよう取り組んで参り
ます。