農業・農村を取り巻く情勢は、グローバル化、高齢化の進展など
に伴って、厳しさを増してきていることは、今や日本全体の問題で
あります。
そんな情勢の中で、長野市は平成17年1月1日、周辺4町村と
の合併により、市域が1.8倍に広がり、そのうち中山間地域が7
割を占める状況になっていること、また農業の担い手不足や遊休農
地の増大などが深刻になるなど、いろいろな課題が増えてきている
ことは、皆さんご承知のとおりです。
それらの課題に対処するため、農業公社をつくったらどうかとの
議論が沸き上がり、その必要性や役割、行政と農業協同組合(農協)
の役割分担、農業者と消費者や商工業者など異業種との連携などに
ついて、調査・検討を行ってきました。
そして昨年12月に「長野市農業公社設立検討委員会」から設立
に向けての提言を頂き、以後、JAグリーン長野、JAながのの2
農協、長野市農業委員会および長野市が設立に向けて協議を重ねて
まいりました。
5月24日、25日に両農協の総代会で、農業公社への参加が決
議され、同時に長野市農業委員会でもその必要性が合意されました。
5月30日、長野市、JAグリーン長野、JAながの、長野市水田
農業振興協議会の4者により、発起人会を立ち上げることができま
した。
このことは、長野市が行政として、農協をはじめ農業関係者、そ
して商工関係者と一緒に、長野市農業の再生に全力を挙げる決意の
表明といっても良いと思います。
そして7月3日、すべての準備が完了、「社団法人長野市農業公
社」設立総会が開かれ、大勢の来賓、立会人の参加の下、公社の基
本事項として定款の制定、役員の選任、事務局体制、2年分の事業
計画と収支予算等を審議決定していただきました。長野市農業公社
が、長野市農業・農村の活性化のため、その使命を十分果たせるよ
う、全力を挙げて頑張ります。皆さんのご協力をよろしくお願いし
ます。
今回、決定した事項の主なことを報告します。
初代の理事長は、私(市長)が務めさせていただくことになりま
した。自論として当て職の就任は避けるべきということを、常々申
し上げてきたことに反するわけですが、今回は初めてのことであり、
ルール作り、レールを敷くことが大切で、行政の姿勢を示すべきと
のことから、市長自ら取り組むことにしたものです。
副理事長・理事・監事には、両農協の関係者、農業委員会の代表、
そして長野商工会議所、長野市商工会、長野卸売市場協同組合、長
野市職員が就任しました。
現段階で予定している事業は、農作業の受委託や農業機械の貸し
付け、農地保有合理化、担い手の育成・・・など直接、農業再生へ
の活動のほか、都市と農村の交流促進、特産品の加工・開発、市民
菜園・農園の管理運営や農業情報の受発信に関することとしていま
すが、今後さらに仕事は増えていくであろうと思っています。
また、責任を明確にするため、今回は社団法人の正会員を、長野
市、2農協、長野市水田農業振興協議会の4者とし、今後、正会員、
賛助会員として農業関係者、食品関係者、流通事業者、商工関係者、
観光事業者等の入会を、働き掛けていくことにしました。
当面の事務局体制は、
・事務局長(常務理事)の長野市派遣職員をトップに、
・総務部長(総務、都市と農村の交流担当)に長野市派遣職員
・農作業支援部長(農作業受託、農作業斡旋(あっせん)担当)に
JAグリーン長野派遣職員
・担い手育成部長(農地流動化、担い手育成担当)にJAながの派
遣職員が当たるものとし、
職員体制は、長野市派遣職員4人、JAグリーン長野2人、JAな
がの2人、長野県農業開発公社1人の計9人の体制でスタート、業
務の進展に合わせて充実していくことになりました。
長野市内の関係者が知恵を絞って、従来の政策を発展させながら、
その枠組みを越えて活動分野を広げていきたい、そして長野市農業
の再生に全力を挙げてまいります。力を貸してください。
話は変わりますが、市民の皆さんと一緒に策定してまいりました
第四次総合計画が、3月市議会で議決され、4月からいよいよスタ
ートしましたが、計画を作ったからには、それを実行して着実に成
果を上げ、市民の皆さんに分かりやすい形で継続的にアピールして
いく必要があります(前段で述べた農業公社も、未来に向けた農業
の再生・振興への取り組みとして位置付けています)。
そこで第四次総合計画(平成19年~28年度の10年計画)の
中で、今後5年間に集中的に取り組むことを決めている重点施策
10項目を積極的に推進していく体制を整えようということで、市
長を本部長とする「重点施策推進本部会議」を設置しました。
この推進本部設置の目的は、重要施策に関する全庁的な「情報の
共有」と「意識付け」、また縦のラインだけでは解決するのに限界
がある各種の特定課題について、各部局の横の連携の中で、今まで
と違ったアプローチにより対策を講じ、成果につなげていくことを
目指しています。当然のことながら、施策重点化方針の決定や、予
算重点ヒアリングなども、位置付けていく予定であります。部局長
がそれぞれの立場だけでなく、市の役員という意識で、長野市をど
う経営していくのかを判断しながら、会議に参加し、実行していく
ことが重要であります。あわせて、部局横断的にマトリックス型の
プロジェクト組織(複数の目標を同時に実現するための組織形態で、
異なる組織構造をミックスし、指揮命令系統を多次元的にデザイン
した組織のこと)を編成し、課題解決に取り組んでまいります。
ちなみに、重点施策10項目(基本施策)は次のとおりです。
(1)多様な観光交流の推進
(2)多彩な文化の創造と文化遺産の継承
(3)スポーツを軸としたまちづくりの推進
(4)コンパクトなまちづくりの推進
(5)中山間地域の活性化
(6)省資源・資源循環の促進
(7)魅力ある教育の推進
(8)産業の集積と工業の活性化
(9)子育ち・子育て環境の整備
(10)防災対策の推進
項目だけではなかなかご理解が進まないとは思いますが、長野市
のホームページにすべて載せてありますので、ぜひご参照ください。
http://www.city.nagano.nagano.jp/upload/1/kikaku_dai4jisogokeikaku_03keikaku_1jutensesaku.pdf
いずれにしろ、この重点施策の実現を最初の5年間でどこまで実
行できるか、真価を問われることになると思っています。