参議院議員選挙は、7月12日公示、7月29日が投票日で、候
補者、党首などのテレビ出演、街頭演説が盛んに行われています。
今回は参議院の与野党の勢力が、均衡しており、場合によっては、
与野党が逆転するかもしれないということで、注目を集めているよ
うです。
ただ、初日の各党首の演説を聞いていて、年金問題が大きな焦点
となってしまっていると感じています。そしてニュアンスの違いは
あるけれど、皆さん同じことを言っていらっしゃる。何か、選挙の
焦点が矮小(わいしょう)化してしまっているのではないか・・・
私の正直な印象です。
年金問題は、社会保険庁の年金記録不備が引き起こした問題で、
いずれにしろ消えた年金を調べて国民に正当な給付をすべきという
ことは当たり前で、それをどうやるか、いつまでにやるか、という
ことでしょう。
(1)社会保険庁の年金記録不備は、日本の官庁は常に正しいとい
うのは神話に等しいということを、国民に示したこと(これは官
僚システムを指揮してきた政府、そしてチェック機能を発揮でき
なかった野党を含むすべての国会議員の責任)。
(2)だんだんと分かってきたことですが、官公労の労働組合(自
治労)が自分たちの権利を極端に主張し、国民への奉仕者として
の視点を忘れていたこと。
(3)もうひとつは年金改革の折、すべての国民に社会保険番号を
付けようという主張があったとき「国民総背番号制」は絶対に反
対と主張した当時の野党の勢力でしょう。
いずれにしろこの問題の解決は、政権等を含め、政党ではできま
せん。国民監視のもと、官僚機構が贖罪(しょくざい)の気持ちで、
徹底的に、時間をかけて、公明正大に行う、しかもある程度税金を
つぎ込むことを覚悟する以外、誰もできないのではないか・・・。
従って選挙では各党首が同じことを主張するばかりで、焦点・論
点にはならないだろうと思うのです。
選挙への一般の関心はかなり高いといわれています。景気は回復
してきたといわれながら、相変わらず問題山積みのこの時期、国民
の国政に対する問題意識は、かなり高いといわれていますが、どん
な投票行動に結び付くのか・・・私は注目しています。
先日東京駅で電車の待ち時間に、常識『日本の論点』という本が
目につきました。平成14年9月発行「日本の論点」編集部編とい
う文春新書です。あの厚い「日本の論点」の縮刷版なのでしょう。
それを読んでみて、評論家の論点ですので、実務面とは違います
が「5年経っても、日本は変わってないなあ!」というのが、感想
です。一読して、その論点の中から、独断ですが、今回の選挙で議
論してみたいと感じた項目をアトランダムに列挙してみます(書い
てあったすべてではありません)。
「資本主義は絶対の原理なのか」、「日本憲法は押しつけか」、
「自衛隊は軍隊なのか」、「自民党一党支配はいつまでつづくか」、
「日本の戦争責任はどこまでつづくか」、「大きな政府か小さな政
府か」、「教科書検定制度は必要か」、「日本社会の差別とは何か」
「言論の自由か人権侵害か」、「少子化は何が原因か」、「いじめ
はいつまでつづくか」、「管理教育か自由教育か」、「消費税中心
か所得税中心か」、「民意を反映する選挙制度とは」、「中央集権
か地方分権か」、「官僚支配のどこが問題か」、「公的年金は破綻
(たん)するか」、「日本的経営は時代後れか」、「安楽死は罪悪
か」、「脳死・臓器移植は日本に定着するか」、「世界の人口爆発
を防げるか」、「地球環境はどこまで守れるか」、「原発はやめて
も電力はまかなえるか」、「天皇はどんな役割を果たしているか」、
「日本の領土はどこまでか」、「核武装はどこが悪いか」、「対中
外交のスタンスはどうあるべきか」、「宗教は政治に介入している
か」、「学校行事に国旗・国歌は必要か」など
以上、大きな問題も小さな問題も含め、論点はいろいろあるものだ
と痛感させられます。
私なりに、あの本に無かった論点をさらに付け加えてみますと、
「日本の財政再建をどうするのか」
「地方財政の破たんは防げるか」
「大都市一極集中と限界集落をどうするのか」
「人口減時代の日本経営の指針はどうあるべきか」
「あらゆる格差をどうすべきなのか」
「民主主義はどこへ行くのか」
「政治と金の問題について」
などがあるように思います。そしていずれも公の場で十分なる議論
が必要なテーマであろうと思います。
報告を一つ。
7月24日に上越市の木浦市長が、16日に発生した新潟県中越
沖地震による風評被害に見舞われているとのことで、観光面での安
全性をPRするためにお越しになりました。上越市では一部地域で
の被害はあるようですが、海水浴場や観光施設はすべて営業を続け
ており安心してレジャーや観光を楽しむことができるとのことです。
皆さんには正しい情報をきちんと見極めて、風評には惑わされず、
本格的な夏を楽しんでほしいと思います。