6月1日~4日まで、台湾を訪問しました。
この台湾訪問の目的は二つありました。
一つは、長野青年会議所(以下長野JC)から「2009年の
ASPAC(アスパック)大会を、長野市に誘致したいので、地元
市長として出席して、誘致の応援をしてほしい」という依頼を受け
たことです。
二つは、青年会議所の北陸信越地区長野ブロック協議会が中心に
なって、大勢のASPAC誘致応援団を組織し、松本空港(愛称・
信州まつもと空港)からチャーター機を飛ばしたい、すなわち青年
会議所として松本空港の応援をしたいので長野市長にもぜひ乗って
ほしいということでした。
ASPACについて少し説明しますと、国際青年会議所(JCI)
は、活動地域をエリアA(アフリカ)、エリアB(アジア・太平洋)
エリアC(北米・ラテンアメリカ)、エリアD(ヨーロッパ)の4
つのエリアに分けています。国際青年会議所では毎年10月~11
月ころに世界会議を行うほか、エリアごとにそれぞれ開催地を変え
てエリア会議を行っています。日本が所属するエリアBで開催され
る会議はアジア太平洋地域会議“Asia Pacific Ar
ea Conference”といい、ASPAC(アスパック)
の略称で呼ばれています。
このアスパックを長野JCとして長野市に誘致したいということ
が、今回の訪台の主目的でした。長野県の腰原副知事も出席してい
ただけるということで、万全の体制で臨んだわけです。
大会を開催する直接的な目的としては、国際青年会議所の運動指
針の推進、会員相互の国際交流、セミナー等による自己啓発、将来
の事業の企画立案などを行うことですが、アジア太平洋地域から
1万人(海外参加者2,000人、国内参加者8,000人)が集
う機会を生かし、オリンピック施設の活用やさまざまな分野におけ
る国際交流の機会を地域に提供し、教育、文化や産業経済振興への
効果など、総合的な地域社会の発展に寄与しようということでした。
長野はオリンピック・パラリンピック・スペシャルオリンピック
スの三大会の開催を通じて、ホスピタリティーの精神と国際化への
意識が芽生え、人種の違いや障害の有無に影響されず、お互いに自
立してかかわりを持っていくことを学びました。しかしながらこう
した運動は絶えず連続して新たな機会を地域内外に求め、推進して
いかなければ一過性のもの、あるいはマンネリズムに陥り、オリン
ピックでの資産も風化してしまう危険性を常に持ち合わせています。
その意味では若い人たちが情熱を沸かせ、熱中できるテーマができ
ることは、素晴らしい意義があると思います。
現地での誘致活動は、開催期間中を通じて、さまざまな会議、あ
るいは交流を通して行われました。そして最終日の総会で、立候補
都市のプレゼンテーションが行われ、JC出身の腰原副知事(大町
JC)、私・市長(長野JC)も、現役のJCメンバーに混じって、
英語でスピーチをして、熱心に長野市への誘致を訴えました。
最終的にはNAGANO(長野市)のみの立候補となり(これは
NAGANOが“ビッグネーム”として認知されている証しかもし
れません)、全会一致で長野市が選ばれました。オリンピック、パ
ラリンピック、スペシャルオリンピックスを開催した国際都市とし
て、長野市は常に注目されていることを、実感した瞬間でした。
開催時期は2009年の6月、すなわち善光寺の御開帳直後で費
用総額は過去の大会実績から約3億5千万円を想定しているとのこ
とです。
私が今回応援に駆け付けた理由は、一つには私自身が(腰原副知
事も含め)JC出身であり、若い諸君の熱意に感激したことは事実
ですが、もう一つ応援をしたかったことは、この国際会議の誘致を
通じて、長野市の国際化への流れをもう一段高めようという気持ち
を持ったことにあります。
オリンピック・パラリンピック・スペシャルオリンピックスの三
大会を開催した唯一の都市として、スポーツの世界大会や学術会議
等が、盛んに行われている長野市ですが、どうしてもイベント中心
であり、地に足が付いた国際交流運動に必ずしもなっていないので
はないかとの思いがあるのです。
もちろん、姉妹都市・友好都市としてクリアウォーター市や石家
庄市との交流がありますし、一校一国運動も長野が出発点となって、
北京オリンピックまでつながっていますし、インバウンド(外国人
の訪日旅行、日本滞在)のお客さんも少しずつではありますが増え
ています。また、長野市の企業の海外進出も始まっているように思
いますが、何かもう一つ市民レベルの国際的視野・交流を高める手
段が無いものか・・・長野国際親善クラブ、長野JC、そのほか国
際化に取り組んでいる諸団体・・・いろいろな方々と今後相談して
みたいと考えています。
1996年以降、ASPACを開催した日本の都市は、金沢、仙
台、高松で、長野は4番目になります。
もう一つ、私が今回の誘致を応援しようとした思いの最大のもの
は、日本JCが展開している「OMOIYARI(思いやり)」運
動です。現在世界各地が抱えている紛争を危惧(きぐ)して、許容
性豊かで利他の心にあふれる運動として、日本JCが推進している
とのことですが、今回の誘致活動でも大きな影響力がありました。
長野にとっては、宗派に関係なくすべての人を受け入れる善光寺
の7年に一度の御開帳の年に展開することの意義は大変大きいと感
じています。マータイさんの「もったいない」運動が環境への切り
口とすれば、「OMOIYARI」は、人類平和の象徴の言葉であ
り、日本語としてこの二つを世界に発信できれば、素晴らしいメッ
セージになると思います。
松本空港への応援メッセージとしての長野ブロック協議会の心意
気も、今回行こうと決心した理由の一つです。少し前、日本航空が
松本からの札幌便の廃止を提案し、村井知事を中心に何とかしてほ
しいということで、交渉が行われ、かろうじて存続が決定したわけ
ですが、安心しているわけにはいかない状況でしょう。
今回は、長野ブロック協議会が結束して、松本空港からチャータ
ー便を飛ばそうということで、メンバーを募集し、成立させたもの
です。いろいろ課題はあるようですが、空港利用率を少しでも上げ
ていくことが、応援になるであろうと感じています。今回はチャイ
ナエアラインでボーイング737-800という機種でした。往復
とも、快適な空の旅ができました。