今年最後のメルマガですから、多少個人的な意見を交えて、あま
り趣旨一貫していないことを承知の上で、日ごろ感じていることを
雑談的に書かせていただきます。
私は本が大好きです。東京出張から帰る際、東京駅構内にある本
屋さんは、私の時間調整の場所であり、情報取得源の一つです。最
近は、時間が無いことを口実に、あまり厚い本は読みませんが、文
庫本や、新書判の本には随分お世話になっています。
前から、図書館は大切だと思っているのですが、実は、私自身は
あまり利用したことがありません。高校時代だったと思いますが、
何かの論文(まね事ですが)を書くとき、調べ物をするために旧県
立図書館(今の長野市立図書館の場所にあって、なかなか趣のある
建物でした)を利用したことが、唯一の思い出です。
この県立図書館が長野市に造られた代わりに、松本市には立派な
陸上競技場が造られたと言われていたことを思い出します。当時か
ら長野・松本のバランスが考えられていたのだろうと思いますが・
・・どちらが良かったのでしょうかね。
平成17年の豊野・戸隠・鬼無里・大岡との合併の折に、当時の
市川衛助役と「あまりお金の掛かることはできないが、合併によっ
て新たに長野市民になった人が、合併して良かったと即座に感じる
ことができる事業として何が良いだろうか」ということを話し合っ
たことがありました。結果は、移動図書館の事業を拡充し、新市域
に展開しよう、ということになりました。
結果が良かったかどうか分かりませんが、新長野市民の皆さんに
は喜んでいただけた事業だと信じています。多分、今回の信州新町
・中条村との合併でも、そんな形が求められると思います。
長野市にある図書館は、市立が二つ、県立が一つということで、
図書館の数自体は多いとは言えませんが、調べてみると、中核市の
中でも蔵書の数はかなり多いほうです。移動図書館車に積んでいる
本、それから、市立公民館にも南部図書館の分室ということで本を
配備していますので、市民の皆さんのご利用をお待ちしています。
話は変わります。
論理だけで人は、そして社会は動かないということを、最近痛切
に感じます。大事なことは、人間の善意であり、人間関係であり、
表現力だなあと感じています。仮に夫婦の間でも、悪口を言ってい
るだけでは、意思は相手に伝わっても、了解はしてくれないでしょ
う。議会の議論でも同じだと思います。
作家の童門冬二氏の作品に、「たとえどんな良いことでも、やは
り日本人の場合には、『人間関係』が大きくものを言う。誰を知っ
ているかということであり、そしてその誰が、肝心な場所でどれだ
け力を持っているか、ということが大きく左右する」という文章が
出てきます。このことは、コネや根回しなどの手法が大切だという
意味につながる可能性もありますが、現実に国会審議などを見てい
ると、そうだなあ!と感じることが多いと思いませんか?
最近、同窓会や同級会に出席する機会があります。われわれの年
代になりますと、社会の第一線で活躍している方は少なくなってい
ますが、昔からの仲間と酒を酌み交わしながら、話をするのは、楽
しいし、知らない話、それも良い話を聞かせていただくと、うれし
いものです。同窓会などに限らず、気の合った仲間と、わずらわし
い俗世間の話を超越して、酒を酌み交わしながら、自由に談論風発
していると、本当に至福の時と感じます。
また、話題が変わります。
「地頭力(じあたまりょく)」という言葉をご存じですか?NH
Kのテレビ番組で見て、不思議に思い、本を買って読んだのですが
・・・今、企業が一番欲しい力だということかもしれません。
「地頭力」とは何か。経営コンサルティング会社代表の小林英二
氏によると、頭が良い人には、優等生的な人と地頭の良い人という
二つのタイプがあって、「優等生的な頭が良い人とは、正解のある
問題に答えを出すことができる人であり、地頭が良い人とは、田中
角栄、松下幸之助(創業者タイプ)のような人で、正解のない問題
に答えを出す人」と定義しておられます。
少し理屈っぽく『地頭力を鍛える』という本を書かれた細谷功氏
の意見では、「仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象思考力、
具象化力、楽しさ創造力を駆使し、与えられた情報で仮説をつくり、
すぐ仕事に取り掛かる。その際、俯瞰(ふかん)した目で状況を把
握し、問題解決に向けた公式を考える。その公式を抽象的な話で終
わらせずに、関係者と具体的に話を詰めていく。これら一連の作業
を楽しそうに、イキイキとこなしていく」力なのだそうです。
このような能力がある人のことを「地頭力」のある人というので
しょうが、現代社会には必要なことであると、私は常々感じていま
す。市の職員と話していても、優等生的な人が多く、突拍子もない
意見が出てこない・・・。先ほどのNHKのテレビ番組で紹介され
ていたのは、ある外資系企業で出された「地頭力」を試すための試
験問題で、「富士山を取り除くには?」という問題だったように記
憶しています。
また、話題を変えます。
フランス革命の時の旗印は“自由”“平等”“博愛”であり、こ
れが中世封建社会を打ち破る原理となり、その後“人権”という概
念も加わって、現代社会の基本原則になったということは、よく言
われています。そして、当然の権利として普及してきたわけです。
でも、最近、“自由”と“平等”という概念は全く反対の概念だ
なあ!と、つくづく思います。“自由”を尊ぶ・・・これを突き詰
めていくと“平等”は実現できない、逆もまた真でしょう。
中国社会は毛沢東(もうたくとう)国家主席の共産主義の時代、
彼が“平等”を求めたが故に、“自由”な社会とはほど遠かった。
でも、トウ(「登」に「おおざと」)小平(しょうへい)氏が出現
して、「白いネコでも黒いネコでも、ネズミを捕るのは良いネコだ」
と言って、自由主義・資本主義を掲げたら、貧富の差が拡大し、中
国社会は平等社会から大きく離れてしまったように見えます。
アメリカ合衆国は、常に“自由”を国是(こくぜ)として掲げて
発展してきたわけですが、新自由主義的な政策を実施し始めたら、
格差があまりにも広がり過ぎて、低所得層の不満が渦巻いているよ
うにも見えます。
“自由”と“平等”は、同時に求めることが理想ですが、相反す
る概念に見えますから、難しい調整、妥協が常に必要であると感じ
ています。
ただ、理念は違っても、具体的政策となると、それほど大きな違
いはなくなると感じています。話し合いさえきちんとすれば、そし
て、相手を立てるという気持ちが双方にあれば、大した言い争いに
もならず、穏やかに済みそうなことばかりです。
衆参両院のねじれ現象の故かもしれませんが、議会などで、話し
合いの必要性が大変増えているように思います。話し合いでは、ガ
チンコ勝負などと、余計な悪口まで言ってしまうと、まとまるもの
もまとまらなくなると、いつも感じています。
世界的な景気後退が本格的になってきて、企業のリストラも大変
な勢いで進んでいると感じています。世界的に物が売れない時代、
皆が萎縮(いしゅく)してしまっているようで、信用収縮が起きて、
1930年代にあったような世界大恐慌になるのではないかとの心
配も広がっています。
期間従業員や派遣社員を中心に大リストラに踏み出した日本の大
企業、ホンダがF1(フォーミュラ・ワン)から撤退、ソニーが全
世界で1万6,000人解雇、トヨタですら相当のリストラに踏み
込んでいるのですから、心配も無理はないとは思うのですが・・・。
企業が、不況で、文化活動やスポーツへの力も入らなくなってき
ています。新聞などで大きく報道されましたが、ホンダに限らず、
自動車業界は急激な売り上げ減少から、費用負担に耐えられずに、
スポーツ界からの撤退が進んでいる。長野にとっても、西武がアイ
スホッケー部を廃部するというニュースがありましたから心配です。
スポーツに限らず、文化活動も大ピンチになっている。無理もない
と言えばその通りと言わざるを得ないのですが・・・。
読売新聞の「編集手帳」欄にあった話ですが、旭化成の社長・会
長だった故宮崎輝氏の言葉に「企業は実力の範囲内で健全な赤字部
門を持たねばならない」という言葉があるそうです。「健全な赤字
部門」とは、企業の文化活動やスポーツ、あるいは新規事業の開発
部門のことでしょうが、企業精神を支える「健全な赤字部門」を抱
える余力は限界に近づいているのかもしれません。
このように改めて考えてきますと、経済は大切ですね。不況にな
ると、世の中でいろいろな不満が渦巻き、世相も暗くなり、社会が
不安定になる。そんな中で、明るい話題、例えば、スポーツで郷土
の選手が大活躍するニュースはうれしいものです。
迎える新年は、明るく希望に満ちた年となることを期待したいと
思います。
皆さまには、くれぐれもご健康に留意され、ご健勝で輝かしい新
年を迎えられますことを祈念しております。
2008年12月25日木曜日
本年の最終メルマガ
2008年12月18日木曜日
今年一年を振り返って
少子高齢化の進展や地方分権改革などによる社会構造の変化、国・
地方の厳しい財政状況を見据える中で、「市民が主役」であるとい
うことを常に念頭に置き、市民の皆さまとのパートナーシップによ
り、今年も元気なまちづくりを進めてまいりました。しかし、サブ
プライムローン問題に端を発した経済環境の激変、不況の深刻化に
よって、日本中、いや世界中のすべてが変わってしまった・・・今、
そんな思いに襲われています。
年末恒例の一年を振り返る時期になったのですが、特に10月以
降の景気の悪化が大きな圧力になっていて、春から夏ごろまでのこ
とは、随分昔のことのようであまり思い出せない・・・そんな中で
はありますが、私として印象に残ったことを書かせていただきます。
今年は、スポーツに関するさまざまな話題に沸いた年であったと
思っています。
まず、長野冬季オリンピック・パラリンピックの開催から10周
年を迎え、1月から4月にかけて、さまざまな記念事業が開催され
ました。これらの事業によって、みんなの心にあの感動がよみがえ
り、将来の長野市のまちづくりを進めていくための力が生まれると
いうことを実感しました。有形・無形の素晴らしい財産を残してく
れたオリンピック・パラリンピックを振り返ることは、とても大切
なことだと改めて思っています。
1月には、「長野かがやき国体」のスケート競技会が、2月には、
全国中学校スケート大会が開催されました。全国中学校スケート大
会は、長野市で10年間継続して開催することになっている大会で、
今年がその1年目でした。長野市が「スケートのメッカ」となるこ
とを目指して、これからどんどん盛り上げていきたいと思っていま
す。
春の選抜高校野球大会で「長野日大高校」が県勢として17年ぶ
りにベスト8入りを果たしたことや、北京オリンピックに、本市出
身である男子バレーボールの松本選手、自転車の宮沢選手が出場さ
れたこともうれしい話題でした。
サッカーの「AC長野パルセイロ」の大活躍も印象に残っていま
す。今シーズンは、北信越フットボールリーグ1部優勝、全国社会
人サッカー選手権大会も初優勝し、11月の全国地域サッカーリー
グ決勝大会に進み、あと一歩のところで決勝ラウンドへの進出を逃
しましたが、大健闘でした。来シーズンに向けて頑張っていただき
たいと思います。
4月には北京オリンピックの聖火リレーも行われました。世界中
から注目される中、無事に聖火を韓国へ引き継ぐことができたと思
っています。でも、あまり話題にはなりませんでしたが・・・あの
とき、地元市長としてのあいさつの苦労を知っていただきたい、実
は、次のような事情もあり、大変難しかったのです。
(1)あのような形で世界中の注目を集めることになるとは、聖火
リレーをお引き受けした時には、全く想定外のことであった。
(2)聖火リレーが始まったら、ロンドンやパリなどでの騒動が大
きく取り上げられだした。
(3)長野での聖火リレーには、駐日中国大使が出席することにな
っていたことに加え、中国の胡錦濤(こきんとう)国家主席が
来日される直前だった。
(4)チベット問題に直接的に触れることは難しい、でも、人権問
題に対しては長野市としても何らかの姿勢を示したい。
(5)善光寺さんも、チベット問題への対応として、出発式の会場
を辞退された。
このような中で、長野市長として、どうすれば良いか・・・聖火
リレーを担当していた教育委員会との議論の末、国連の人権宣言に
思いが至りました。この宣言は、日本はもちろん、中国も認めてい
る文章でしたので、私のあいさつでは、あえて、うまくはなかった
のですが英語で世界人権宣言を読み上げさせていただきました。今、
思い起こしてみても、これで良かったのではないかと思っています。
ただ、駐日中国大使からは、多少、気にしておられたような発言も
ありましたが・・・。
このほか、今年も長野マラソンへ大勢の皆さんにご参加いただき
ましたし、全日本フロアホッケー競技大会をはじめ、数々の大会を
長野市で開催していただきました。そして、12月になり、ショー
トトラックとスピードスケートのワールドカップも相次いで開催さ
れました。さらに、来週25日(木)からは、全日本フィギュアス
ケート選手権大会も長野市で開催されることになっています。こち
らには、今、注目の浅田真央選手も出場されるようです。
また、先日、あいさつに来てくださったのですが、21日(日)
に京都市で開催される全国高等学校駅伝大会に長野東高校陸上部の
女子駅伝チームの皆さんが出場されます。これまで励んでこられた
練習の成果を発揮して、ぜひ上位に食い込んできてもらいたいと思
っています。
このように、この一年、さまざまなスポーツ大会の開催により、
まちのにぎわいも生み出していただきましたし、地元チームや選手
の皆さんの活躍により、大いに元気づけていただきました。
また、今年は長野市立長野高等学校(略称「市立長野(いちりつ
ながの)」)が、男女共学の単位制総合学科の高校として開校した
年でもありました。4月の開校後、市立長野では、信州大学教育学
部や清泉女学院大学・短期大学、産業界などのご協力をいただく中
で、生徒が自らの進路の学習を深めるために、大学訪問やインター
ンシップなどを行うなど、市立長野ならではの特色が出せているよ
うです。部活動では、新たに設立したスピードスケート部が活動を
開始しており、今月開催された長野県高等学校総合体育大会スケー
ト競技会に公式戦初参加を果たしました。今後の活躍が楽しみです。
観光の話題では、「1200万人観光交流推進プラン」の3年目
として、今年は、「飯綱高原」と「善光寺界隈(かいわい)」で集
中的な観光キャンペーンを展開しました。善光寺では、山門の大修
理が終わり、山門へ登楼して内部を参拝することができるようにな
りました。歴史的な建物ですから、バリアフリーというわけにはい
かなかったのですが、違った視点で長野市の門前町を見ることがで
きる素晴らしいスポットになったと思っています。
また、飯綱高原でもさまざまなイベントが開催され、大勢の人に
訪れていただきました。
11月には、信越本線開業120周年を記念して、蒸気機関車D
51がJR長野駅と黒姫駅の間を走りました。郷愁を感じさせる汽
笛の音や、石炭を燃した煙のにおい。懐かしく往時を思い出したひ
とときでした。
市内30の地区で地区ごとに設立をお願いしている住民自治協議
会ですが、今年は、新たに、戸隠、更北、七二会、吉田、若穂、篠
ノ井、芋井、柳原、芹田、信更、三輪の11地区で立ち上げていた
だきました。住民自治協議会は、市が「都市内分権」を進める上で
欠かせない組織として、平成18年度から設立をお願いしており、
これまでに22地区で設立していただいています。残りの8地区に
ついても来年3月までの設立を予定されているとのことで、大変う
れしく思っています。
信州新町、中条村との合併協議も進みました。2月に両町村から
合併協議の申し入れがあった後、事務レベルでの調査研究を経て、
市民会議などで市民の皆さまからご意見をお伺いしてきました。9
月には、合併協議会の設置について市議会の議決をいただき、10
月に3市町村による合併協議会を設立しました。現在は、まだ協議
を進めているところですが、これまでに、合併期日を平成22年1
月1日とすることなどが決まっています。
これらのほか、1月に長沼地区で北陸新幹線の設計協議が整った
ことにより、年末までに市内ルート全線で工事が始まったこと、長
野市版放課後子どもプランがスタートしたこと、もんぜんぷら座の
全館利用が始まったこと、戸隠地質化石博物館がオープンしたこと、
市農業公社により「ながのいのち」ブランド事業が始まったことな
ども印象に残っています。
しかし、うれしいことばかりではありませんでした。「中国・四
川大地震」「岩手・宮城内陸地震」などの大地震、事故米・汚染米
の不正転売や相次ぐ食品偽装など、暮らしの安全・安心を脅かす大
きな災害や事件もありました。そして、ガソリン税などの暫定税率
の失効に代表される政局の混乱、サブプライムローン問題に端を発
したアメリカ発の世界規模の金融危機、原油・原材料の高騰、さら
に円高。日本経済を大幅な後退局面へと向かわせる大変な年となっ
てしまいました。
100年に一度の大不況を何とか吹き飛ばしたい、そんな思いを
強く感じた年末です。内需拡大、新しい経済秩序の確立に全力を挙
げたいと考えています。
私が市長に就任してから7年余が経過し、任期も残すところ1年
を切りました。来年も、私の行政経営の「核」とも言うべき5つの
原則、「入りを量りて出ずるを為す」「市民とのパートナーシップ」
「簡素で分かりやすい行政」「民間活力の導入」「職員の意識改革
を図り、きちんとした行政を遂行すること」を基本として、長野の
将来を思う心を抱き、第四次長野市総合計画の目標である「善光寺
平に結ばれる~人と地域がきらめくまち“ながの”」の実現に向け、
元気なまちづくりを進めていきたいと決意を新たにしている今日こ
のごろです。
2008年12月11日木曜日
長野市の存在感を高めるために
市の存在感を高めるためには、さまざまな方法があると思います。
今、いろいろ議論が起きていますが、今回は、長野市の存在感をさ
らに高めるために取り組んでいる施策について、ハード・ソフトの
両面からアトランダムに書いてみました。ただ、善光寺や松代など、
すでに一定の軌道に乗っていると私が感じていることについては、
割愛させていただきました。
まず、「ふるさとNAGANO応援団」ですが、これについては
先週のメルマガで書かせていただいたとおりです。
「ながの御穀膳」は、長野市の食文化をアピールできる名物メニ
ューを創出しようと商工会議所が中心になって研究し、その趣旨に
賛同していただいた飲食店が長野の代表的な食に育てようと取り組
んでいる事業です。健康にも良く、そば・おやき・リンゴと並ぶ長
野の食に成長することを期待しています。
来年の善光寺御開帳を前にして、長野市の土産品の充実にも取り
組んでいます。前回の合併を記念して行った推奨土産品の選定でグ
ランプリに選ばれた鬼無里の「えごまクッキー」は、現在も売れて
いるそうです。食だけではなく、違う産品も生み出したいですよね。
こちらも善光寺御開帳を前にして、来年3月の完成を目指してい
るのですが、表参道である中央通りに全部で48基の灯籠(とうろ
う)を復元する事業が、「善光寺表参道に灯籠を復元建立する会」
により進められています。この事業により、灯籠が立ち並ぶように
なれば、門前町としての中心市街地の新たなシンボルになりそうで
す。灯籠には、それぞれ別々の灯(あか)り絵がはめ込まれていま
すから、長野駅から灯籠を楽しみながら善光寺参りをすることもで
きるようになります。
直接的な土産品とは違うかもしれませんが、長野市農業公社が
「ながのいのち」という特産品のブランド化事業を今年の秋から開
始しました。皆さんは、長野県の平均寿命が、男性が全国1位、女
性が全国5位だということはお聞きになったことがあると思うので
すが、長野市の平均寿命が男女共に長野県を上回っている、という
ことをご存じでしょうか。「ながのいのち」という名は、長野市が
長寿の都市であることを売り物にしていこう、ということで決まっ
たブランド名です。
この事業は、このブランド名と「いのちちゃん」というキャラク
ターを使って、包装紙や宣伝広告などを統一しながら、マーケティ
ング面を強化し、地域の農業で頑張っている皆さんと農業の活性化
を図ろう、農業でもうけようというものです。地産地消ということ
で、まず、地元でこのブランドの基盤をつくることを目指していき
ますが、長野の土産品としても有名になればと期待しています。
平成になってから2度目の合併協議が、信州新町・中条村との間
で順調に進んでいます。まだ協議中ですので正式決定ではありませ
んが、これまでに、長野市への編入合併とすること、合併の期日を
平成22年1月1日とすることなどが決まりました。この合併は、
将来の長野市にとって、平成17年1月に合併した豊野・戸隠・鬼
無里・大岡と共に、大切な財産になるであろうと考えています。
それぞれの地域の特性を生かし、いかに長野市の魅力を向上させ
ていくか、新市の一体感をどう醸成していくか・・・合併した後が
大切です。両町村が持っている資源は限りなく大きいと思っていま
す。
17人の委員さんにより、市役所第一庁舎と長野市民会館の在り
方を検討していただいてきた「在り方懇話会」から、12月1日
(月)、市役所第一庁舎の建設を急ぐべき、との報告書をいただき
ました。現在の第一庁舎は、昭和41年の大合併の前年に完成した
建物ですから、かなり古いことは事実です。震度5でも倒壊する可
能性があると言われると、大勢の市民の皆さんが来庁されるわけで
すし、職員も仕事をしていますので、早い機会に建て替えなくては
いけないと思っています。
基本的には、建物を造るというハードの話ですが、その場合には、
100年は使える、そして長野市の象徴的な建物にしたいと思って
いますが、皆さんはどう思われますか?まちなか観光の名所となる
ような建物であっても良いと思うのですが・・・。
併せて、財政状況をよく考えた上で、長野市民会館も建て替える
べきとのご指摘もいただきました。現在の市民会館は、市民の皆さ
んに多様な目的で使っていただいており、無くてはならないものと
思っています。しかし、この建物は第一庁舎より4年古く、構造的
には大きなドームが主体の柱が少ない建物ですから、第一庁舎より
も危険度は高いのではと感じているのも事実です。
報告書では、現在の長野市民会館を壊して、そこに市役所第一庁
舎を建て、市民会館は別の場所に建て替えるべきとのことでした。
この市民会館も、長野市の存在感を高めるための建物の一つにした
いと思っています。
長野駅の善光寺口をどうするべきか、ということについても検討
委員会での検討が始まりました。これも大切な事業です。併せてこ
の検討委員会では、善光寺口と東口との一体性の確保や機能分担に
ついても検討していただくことにしています。現在の駅周辺の姿は、
長野新幹線の開業や長野オリンピック開催を目前にして、大急ぎで、
暫定的に整備したものです。長野駅は長野市の顔ですから、いずれ
は何とかしなくてはいけないと思っていました。
でも、長野市が単独でできることではありませんし、地域の皆さ
んの考え方、とりわけJR東日本さんの考えも重要です。新幹線の
延伸を前にして、JR東日本さんもやる気になっていただいていま
すので、この際、無理をしてでも何らかの解決策を考えなくてはい
けないと感じています。
駅の外観については、新幹線が来る前の仏閣型駅舎に郷愁を覚え
ていらっしゃる方もかなり多いようで、市民の皆さんからいろいろ
なご意見をいただいています。検討委員会でどんな議論がなされる
のか、じっくりお聴きするつもりです。
茶臼山動物園も長野市の存在感を高めるための大切な施設です。
開園以来25年を経過し、施設の老朽化や動物の飼育・繁殖スペー
スの不足、ユニバーサルデザイン化などのことを考えますと、そろ
そろリフォームが必要な時期になってきたと言えます。また、隣接
する自然植物園や恐竜公園などとの一体的な利用にも課題がありま
すので、茶臼山一帯が、市内外からお越しいただく皆さんにもっと
楽しんでいただけるエリアとなるよう、再整備に向けて準備を進め
ていきたいと考えています。
11月20日(木)、石川県金沢市で「北陸新幹線沿線都市観光
サミット」が開催されました。集まった市は、新幹線に沿って東京
方面から記しますと、高崎、長野、上越、富山、高岡、金沢の6市
で、将来的には佐久、上田、糸魚川など、もっと増やしていく必要
があると思っています。
いずれの市も、単なる通過地にはなりたくない、ストロー現象で
お客さんを取られては困る、都市の魅力を高めようと一生懸命です。
“連携”が大切ということは当たり前ですが、具体的にどんな事業
を生み出せるか、アイデア勝負になると思います。
長野市とすれば「単なる通過地にならないような努力」は当たり
前ですが、逆に北陸地方からお客さんを呼び込みたい、もう一歩踏
み込んで北陸と縁が深い関西圏のお客さんにも来ていただきたい、
そんな積極的な姿勢が大切です。長野市には、毎年1,000万人
もの観光客にお越しいただいていますが、市ではこれを2割増の
1,200万人にしたいと考えています。長野市にとって、「2割
程度ぐらい・・・」と受け止められているかもしれませんが、
1,000万人という数自体は大変な数字であることを、ぜひ理解
していただき、さらにおもてなしの心を大切にし、多くの方が長野
に“再遊”したい、もう一度行きたい・・・と思っていただける、
そんな都市になりたいものです。
話は変わりますが、市職員の政策形成能力の養成を図るために、
毎年、職員研修所が中心になって、「政策課題研修」を実施してい
ます。この研修では、若手職員が4~5人でチームを作り、自由な
研究をすることになっており、半年間、他都市の視察や勉強をした
り、議論を積み重ねたりして、アイデアをまとめ、秋に発表会を行
っています。
今年は、4つのチームが次のような発表をしてくれました。
Aチーム「救急救命体制の強化 15万人のおたすけ隊を目指
して」
Bチーム「2030年問題を解決せよ やる気の出る人事制度
を目指して」
Cチーム「自転車が地球を救う! 自転車のまちNAGANO
を目指して」
Dチーム「おやきNow On Sale!! 販売促進NA
GANOモデルの構築」
テーマを見ていただいただけでは、理解が難しいと思いますが、
ご想像ください。いずれも半年間の研究成果の発表で、なかなかの
ものでした。
これらは、必ずしも採用されるとは限らないのですが・・・例え
ば「おやきの販売促進」については、長野市農業公社でも取り組み
テーマとして、すでに検討が始まっているようですし、「自転車の
まちを目指す」というテーマは、交通政策課や環境管理課、体育課、
あるいは観光課あたりでも、取り組んでみたら面白いと思っていま
す。救急体制や人事制度の件も、当然検討されているはずです。
いずれにしろ長野市の存在感を高める事業として、取り組んでみ
たいテーマだと思いますし、実現に向けて担当者が頭をひねってく
れていることでしょう。いずれ事業計画案として出てくることを、
私は楽しみにしています。
2008年12月4日木曜日
ふるさとNAGANO応援団、来長
昨年、“ふるさと長野市”を応援してほしいとの思いから、首都
圏で活躍されていらっしゃる長野市にご縁のある方々27人にお願
いして、「ふるさとNAGANO応援団」を結成していただいたこ
とは、既にご存じのことと思います。
ご就任いただいた方々は、次の通りです(五十音順)。長野市ご
出身の方が主体ですが、何らかのご縁があるということでお入りい
ただいた方もいらっしゃいます。
青木擴憲さん(株式会社AOKIホールディングス代表取締役社
長/長野市出身)
荒井寿光さん(東京中小企業投資育成株式会社代表取締役社長/
市内の高校出身)
井浦秀夫さん(漫画家/市内の高校出身)
猪瀬直樹さん(作家、東京都副知事/長野市出身)
碓井光明さん(明治大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教
授/長野市出身)
金井政明さん(株式会社良品計画代表取締役社長/長野市出身)
北村晴男さん(弁護士/市内の高校出身)
小島秀康さん(国立極地研究所教授/長野市出身)
齋藤宣彦さん(医師/長野市出身)
眞田幸俊さん(慶應義塾大学理工学部准教授/松代藩主眞田家第
14代当主)
島田博文さん(コムシスホールディングス株式会社代表取締役会
長/元NTT信越支社長)
鈴木善統さん(日本電子計算機株式会社常務取締役/長野市出身)
高野 登さん(ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日
本支社長/長野市出身)
田中信義さん(キヤノン株式会社専務取締役/長野市出身)
鶴田康則さん(日本OTC医薬品協会理事長/長野市出身)
童門冬二さん(作家/小説「幕末の明星佐久間象山」著者)
飛田紀久子さん(広報アドバイザー、「千曲川草誌」編集・発行
/市内の高校出身)
中村 健さん(信越化学工業株式会社取締役/長野市出身)
夏目雄平さん(千葉大学大学院理学研究科教授/長野市出身)
服部信孝さん(順天堂大学医学部脳神経内科教授/長野市出身)
花岡信昭さん(ジャーナリスト/長野市出身)
飛田和緒さん(料理家/市内の高校出身)
松木則夫さん(東京大学大学院薬学系研究科教授/長野市出身)
丸田義晴さん(財団法人全国法人会総連合事務局長/長野市出身)
持田澄子さん(東京医科大学教授/市内の高校出身)
山田真美さん(作家/長野市出身)
依田 巽さん(株式会社ティーワイリミテッド代表取締役会長/
市内の高校出身)
“応援”とは何かということですが、ほかの都市では“○○観光
大使”といった名刺を持っていただき、観光PRへの期待をかけて
いることが多いようです。長野市ではもう少し幅を広げ、メンバー
の方々の高度な専門知識、豊かな経験、広い人脈を基に、市政に対
する提言、観光および名産品や特産品のPRなど、長野市の魅力の
情報発信、企業誘致やコンベンション(学会・シンポジウムなど)
の誘致に関する情報の提供をはじめとして、市政全般を応援してい
ただき、長野市の存在感をもう一回り大きくしたい、その一翼を担
っていただきたい、と欲張っています。
昨年は、都内で意見交換会を開催させていただき、メンバーの方
々の長野市への思いをお聴きしたり、市政についてアドバイスをい
ただいたりしました。ただ、メンバーの皆さんのお話をお伺いして
いますと、最近の長野市の様子をあまりご存じでない方もいらっし
ゃるということでしたので、今年は、長野市へお招きすることにな
ったものです。
11月1日(土)の午前10時30分に長野駅に集合していただ
き、マイクロバスで市内視察に出発。市の部長の案内により、中心
市街地と善光寺、松代をご覧いただき、そして“ながの御穀膳”を
ご賞味いただきました。本当はもっと自然豊かな田舎の風景に親し
んでいただこうかとも考えたのですが、長野市へお招きする1回目
の会でしたので、ばっちり“おのぼりさんスタイル”で実施させて
いただきました。
中心市街地では、車中からもんぜんぷら座やトイーゴを、徒歩で
ぱてぃお大門を案内させていただき、そのまま歩いて善光寺参拝へ。
善光寺では、昨年度末に修復工事が終わった善光寺山門にも登楼し
ていただきました。松代では、松代荘で“ながの御穀膳”を味わっ
ていただいた後、文武学校や山寺常山邸、象山地下壕(ごう)など
をご覧いただき、長野駅までお送りして解散となりました。
この日、お越しいただいた皆さんには、今まで知らなかった長野
市を知ることができたということで、おおむねご好評をいただきま
した。中心市街地のことはご存じの方も多かったのですが、ぱてぃ
お大門は興味深く見ていただきました。修復成った善光寺山門への
登楼は、私も子どものころ以来で感激でしたが、皆さんはおそらく
初めてでしたから、きっと印象に残ったことと思いますし、松代荘
の“ながの御穀膳”については、1,000円という価格を聞いて
「安い!今日は応援団が来たので特別メニューですか」といった質
問もあり、「そんなことはありません」という支配人の話に感心し
ておられました。
応援団の皆さんには、このような機会にご意見やご提言をいただ
いているほか、さまざまな形で長野市を応援していただいています。
AOKIホールディングス社長の青木擴憲さんからは、「長野か
ら総理大臣を出そう」プロジェクトの提案をいただきました。教育
委員会が事務局を引き受け、私も含めた選考委員会を開き、4人の
高校生や中学生を選抜させていただきました。選抜された皆さんは、
すでに1年間の研修に入っています。
青木社長さんのこのご提案は、一見突拍子もないご提案ですし、
出していただくお金も半端ではありません。しかし、今の時代、こ
のような発想も必要ですし、何よりも長野の子どもたちにとっては、
素晴らしいプレゼントだと思っています。
ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日本支社長の高野
登さん、良品計画社長の金井政明さんには、長野市の管理職研修の
講師を務めていただき、職員に感銘を与えていただきました。私は
講演をお聴きできなかったのですが、金井社長さんとは、昼食を食
べながら、景気動向や良品計画の会社経営の神髄を少し聞かせてい
ただきました。
また、慶應義塾大学准教授の眞田幸俊さんには、眞田家第14代
当主として真田十万石まつりにご参加いただいていますし、千葉大
学教授の夏目雄平さんには、生涯学習センターで「子どもの科学」
と題してご講演いただいたり、出版された著書の中で長野市をご紹
介いただいたりしています。
弁護士の北村晴男さんには、今年3月に横浜市で開催した「おい
でよ長野」キャンペーンの際に、トークセッションへご参加いただ
きましたし、広報アドバイザーの飛田紀久子さんには、市の長野駅
善光寺口整備計画検討委員会の委員にご就任いただいています。東
京都副知事の猪瀬直樹さんには、「広報ながの」に掲載する特集記
事のためのインタビューに応じていただき、長野への応援メッセー
ジを発信していただきました。
さらに、東京大学教授の松木則夫さんには、ご自身のホームペー
ジから長野市のホームページへのリンクを設定していただいたり、
そのほかメンバーの方々のホームページやブログなどで長野市との
かかわりを取り上げていただいたり・・・というように、枚挙にい
とまがありません。
応援団の皆さんにこのような活動をしていただくことは大変あり
がたいことです。とにかく影響力のある方々ですから、これからも
さまざまな機会で長野市をPRしていただけるとうれしく思います。
今後についてですが、応援団の範囲を首都圏に限らず、中京圏、
関西圏などに広げること、活躍されている分野も広げていけたら
・・・そんなことも考えています。
応援団の話とは別ですが、サッカーのAC長野パルセイロが、福
岡県で行われた全国地域サッカーリーグ決勝大会の一次リーグに出
場し、4チームでのリーグ戦に臨むことになったということは、先
月のメルマガでもお知らせしました。
結果は、大健闘したのですが、2勝1敗で、残念ながら優勝を逃
してしまいました。勝負に“たら”“れば”は禁句ですが、本当に
あともう一歩のところだったと思っています。惜しい逸機が幾つか
あり、特に最終戦バンディオンセ加古川との試合は、前半2点のリ
ードを守りきれませんでした。勝てると思って、硬くなってしまっ
たのでしょうか・・・「負けた」というメールをもらったときは、
がっくりして何もする気になれませんでした。本当に残念です。
ですが、サポーターの皆さんは熱心に応援してくださったとのこ
とです。チームが募集した応援ツアーの参加者は30人ぐらいだっ
たそうですが、自家用車などでさらに50人ぐらいの応援団が駆け
付けてくださり、4チームの中では圧倒的に遠距離なのに、応援団
の数は一番多かったとのこと、頭が下がります。
今年は、絶対にJFL(日本フットボールリーグ)に昇格できる
と信じ、最後まで頑張って、勝てる寸前までいっただけに、後遺症
が心配です。今後、来期に向けてどういう体制をつくるか、選手・
スタッフの気力が盛り上がるか、応援態勢も大丈夫か・・・チーム
も正念場を迎えることになりますが、何とか気力を振り起こしてほ
しいものです。