今年最後のメルマガですから、多少個人的な意見を交えて、あま
り趣旨一貫していないことを承知の上で、日ごろ感じていることを
雑談的に書かせていただきます。
私は本が大好きです。東京出張から帰る際、東京駅構内にある本
屋さんは、私の時間調整の場所であり、情報取得源の一つです。最
近は、時間が無いことを口実に、あまり厚い本は読みませんが、文
庫本や、新書判の本には随分お世話になっています。
前から、図書館は大切だと思っているのですが、実は、私自身は
あまり利用したことがありません。高校時代だったと思いますが、
何かの論文(まね事ですが)を書くとき、調べ物をするために旧県
立図書館(今の長野市立図書館の場所にあって、なかなか趣のある
建物でした)を利用したことが、唯一の思い出です。
この県立図書館が長野市に造られた代わりに、松本市には立派な
陸上競技場が造られたと言われていたことを思い出します。当時か
ら長野・松本のバランスが考えられていたのだろうと思いますが・
・・どちらが良かったのでしょうかね。
平成17年の豊野・戸隠・鬼無里・大岡との合併の折に、当時の
市川衛助役と「あまりお金の掛かることはできないが、合併によっ
て新たに長野市民になった人が、合併して良かったと即座に感じる
ことができる事業として何が良いだろうか」ということを話し合っ
たことがありました。結果は、移動図書館の事業を拡充し、新市域
に展開しよう、ということになりました。
結果が良かったかどうか分かりませんが、新長野市民の皆さんに
は喜んでいただけた事業だと信じています。多分、今回の信州新町
・中条村との合併でも、そんな形が求められると思います。
長野市にある図書館は、市立が二つ、県立が一つということで、
図書館の数自体は多いとは言えませんが、調べてみると、中核市の
中でも蔵書の数はかなり多いほうです。移動図書館車に積んでいる
本、それから、市立公民館にも南部図書館の分室ということで本を
配備していますので、市民の皆さんのご利用をお待ちしています。
話は変わります。
論理だけで人は、そして社会は動かないということを、最近痛切
に感じます。大事なことは、人間の善意であり、人間関係であり、
表現力だなあと感じています。仮に夫婦の間でも、悪口を言ってい
るだけでは、意思は相手に伝わっても、了解はしてくれないでしょ
う。議会の議論でも同じだと思います。
作家の童門冬二氏の作品に、「たとえどんな良いことでも、やは
り日本人の場合には、『人間関係』が大きくものを言う。誰を知っ
ているかということであり、そしてその誰が、肝心な場所でどれだ
け力を持っているか、ということが大きく左右する」という文章が
出てきます。このことは、コネや根回しなどの手法が大切だという
意味につながる可能性もありますが、現実に国会審議などを見てい
ると、そうだなあ!と感じることが多いと思いませんか?
最近、同窓会や同級会に出席する機会があります。われわれの年
代になりますと、社会の第一線で活躍している方は少なくなってい
ますが、昔からの仲間と酒を酌み交わしながら、話をするのは、楽
しいし、知らない話、それも良い話を聞かせていただくと、うれし
いものです。同窓会などに限らず、気の合った仲間と、わずらわし
い俗世間の話を超越して、酒を酌み交わしながら、自由に談論風発
していると、本当に至福の時と感じます。
また、話題が変わります。
「地頭力(じあたまりょく)」という言葉をご存じですか?NH
Kのテレビ番組で見て、不思議に思い、本を買って読んだのですが
・・・今、企業が一番欲しい力だということかもしれません。
「地頭力」とは何か。経営コンサルティング会社代表の小林英二
氏によると、頭が良い人には、優等生的な人と地頭の良い人という
二つのタイプがあって、「優等生的な頭が良い人とは、正解のある
問題に答えを出すことができる人であり、地頭が良い人とは、田中
角栄、松下幸之助(創業者タイプ)のような人で、正解のない問題
に答えを出す人」と定義しておられます。
少し理屈っぽく『地頭力を鍛える』という本を書かれた細谷功氏
の意見では、「仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象思考力、
具象化力、楽しさ創造力を駆使し、与えられた情報で仮説をつくり、
すぐ仕事に取り掛かる。その際、俯瞰(ふかん)した目で状況を把
握し、問題解決に向けた公式を考える。その公式を抽象的な話で終
わらせずに、関係者と具体的に話を詰めていく。これら一連の作業
を楽しそうに、イキイキとこなしていく」力なのだそうです。
このような能力がある人のことを「地頭力」のある人というので
しょうが、現代社会には必要なことであると、私は常々感じていま
す。市の職員と話していても、優等生的な人が多く、突拍子もない
意見が出てこない・・・。先ほどのNHKのテレビ番組で紹介され
ていたのは、ある外資系企業で出された「地頭力」を試すための試
験問題で、「富士山を取り除くには?」という問題だったように記
憶しています。
また、話題を変えます。
フランス革命の時の旗印は“自由”“平等”“博愛”であり、こ
れが中世封建社会を打ち破る原理となり、その後“人権”という概
念も加わって、現代社会の基本原則になったということは、よく言
われています。そして、当然の権利として普及してきたわけです。
でも、最近、“自由”と“平等”という概念は全く反対の概念だ
なあ!と、つくづく思います。“自由”を尊ぶ・・・これを突き詰
めていくと“平等”は実現できない、逆もまた真でしょう。
中国社会は毛沢東(もうたくとう)国家主席の共産主義の時代、
彼が“平等”を求めたが故に、“自由”な社会とはほど遠かった。
でも、トウ(「登」に「おおざと」)小平(しょうへい)氏が出現
して、「白いネコでも黒いネコでも、ネズミを捕るのは良いネコだ」
と言って、自由主義・資本主義を掲げたら、貧富の差が拡大し、中
国社会は平等社会から大きく離れてしまったように見えます。
アメリカ合衆国は、常に“自由”を国是(こくぜ)として掲げて
発展してきたわけですが、新自由主義的な政策を実施し始めたら、
格差があまりにも広がり過ぎて、低所得層の不満が渦巻いているよ
うにも見えます。
“自由”と“平等”は、同時に求めることが理想ですが、相反す
る概念に見えますから、難しい調整、妥協が常に必要であると感じ
ています。
ただ、理念は違っても、具体的政策となると、それほど大きな違
いはなくなると感じています。話し合いさえきちんとすれば、そし
て、相手を立てるという気持ちが双方にあれば、大した言い争いに
もならず、穏やかに済みそうなことばかりです。
衆参両院のねじれ現象の故かもしれませんが、議会などで、話し
合いの必要性が大変増えているように思います。話し合いでは、ガ
チンコ勝負などと、余計な悪口まで言ってしまうと、まとまるもの
もまとまらなくなると、いつも感じています。
世界的な景気後退が本格的になってきて、企業のリストラも大変
な勢いで進んでいると感じています。世界的に物が売れない時代、
皆が萎縮(いしゅく)してしまっているようで、信用収縮が起きて、
1930年代にあったような世界大恐慌になるのではないかとの心
配も広がっています。
期間従業員や派遣社員を中心に大リストラに踏み出した日本の大
企業、ホンダがF1(フォーミュラ・ワン)から撤退、ソニーが全
世界で1万6,000人解雇、トヨタですら相当のリストラに踏み
込んでいるのですから、心配も無理はないとは思うのですが・・・。
企業が、不況で、文化活動やスポーツへの力も入らなくなってき
ています。新聞などで大きく報道されましたが、ホンダに限らず、
自動車業界は急激な売り上げ減少から、費用負担に耐えられずに、
スポーツ界からの撤退が進んでいる。長野にとっても、西武がアイ
スホッケー部を廃部するというニュースがありましたから心配です。
スポーツに限らず、文化活動も大ピンチになっている。無理もない
と言えばその通りと言わざるを得ないのですが・・・。
読売新聞の「編集手帳」欄にあった話ですが、旭化成の社長・会
長だった故宮崎輝氏の言葉に「企業は実力の範囲内で健全な赤字部
門を持たねばならない」という言葉があるそうです。「健全な赤字
部門」とは、企業の文化活動やスポーツ、あるいは新規事業の開発
部門のことでしょうが、企業精神を支える「健全な赤字部門」を抱
える余力は限界に近づいているのかもしれません。
このように改めて考えてきますと、経済は大切ですね。不況にな
ると、世の中でいろいろな不満が渦巻き、世相も暗くなり、社会が
不安定になる。そんな中で、明るい話題、例えば、スポーツで郷土
の選手が大活躍するニュースはうれしいものです。
迎える新年は、明るく希望に満ちた年となることを期待したいと
思います。
皆さまには、くれぐれもご健康に留意され、ご健勝で輝かしい新
年を迎えられますことを祈念しております。