市の存在感を高めるためには、さまざまな方法があると思います。
今、いろいろ議論が起きていますが、今回は、長野市の存在感をさ
らに高めるために取り組んでいる施策について、ハード・ソフトの
両面からアトランダムに書いてみました。ただ、善光寺や松代など、
すでに一定の軌道に乗っていると私が感じていることについては、
割愛させていただきました。
まず、「ふるさとNAGANO応援団」ですが、これについては
先週のメルマガで書かせていただいたとおりです。
「ながの御穀膳」は、長野市の食文化をアピールできる名物メニ
ューを創出しようと商工会議所が中心になって研究し、その趣旨に
賛同していただいた飲食店が長野の代表的な食に育てようと取り組
んでいる事業です。健康にも良く、そば・おやき・リンゴと並ぶ長
野の食に成長することを期待しています。
来年の善光寺御開帳を前にして、長野市の土産品の充実にも取り
組んでいます。前回の合併を記念して行った推奨土産品の選定でグ
ランプリに選ばれた鬼無里の「えごまクッキー」は、現在も売れて
いるそうです。食だけではなく、違う産品も生み出したいですよね。
こちらも善光寺御開帳を前にして、来年3月の完成を目指してい
るのですが、表参道である中央通りに全部で48基の灯籠(とうろ
う)を復元する事業が、「善光寺表参道に灯籠を復元建立する会」
により進められています。この事業により、灯籠が立ち並ぶように
なれば、門前町としての中心市街地の新たなシンボルになりそうで
す。灯籠には、それぞれ別々の灯(あか)り絵がはめ込まれていま
すから、長野駅から灯籠を楽しみながら善光寺参りをすることもで
きるようになります。
直接的な土産品とは違うかもしれませんが、長野市農業公社が
「ながのいのち」という特産品のブランド化事業を今年の秋から開
始しました。皆さんは、長野県の平均寿命が、男性が全国1位、女
性が全国5位だということはお聞きになったことがあると思うので
すが、長野市の平均寿命が男女共に長野県を上回っている、という
ことをご存じでしょうか。「ながのいのち」という名は、長野市が
長寿の都市であることを売り物にしていこう、ということで決まっ
たブランド名です。
この事業は、このブランド名と「いのちちゃん」というキャラク
ターを使って、包装紙や宣伝広告などを統一しながら、マーケティ
ング面を強化し、地域の農業で頑張っている皆さんと農業の活性化
を図ろう、農業でもうけようというものです。地産地消ということ
で、まず、地元でこのブランドの基盤をつくることを目指していき
ますが、長野の土産品としても有名になればと期待しています。
平成になってから2度目の合併協議が、信州新町・中条村との間
で順調に進んでいます。まだ協議中ですので正式決定ではありませ
んが、これまでに、長野市への編入合併とすること、合併の期日を
平成22年1月1日とすることなどが決まりました。この合併は、
将来の長野市にとって、平成17年1月に合併した豊野・戸隠・鬼
無里・大岡と共に、大切な財産になるであろうと考えています。
それぞれの地域の特性を生かし、いかに長野市の魅力を向上させ
ていくか、新市の一体感をどう醸成していくか・・・合併した後が
大切です。両町村が持っている資源は限りなく大きいと思っていま
す。
17人の委員さんにより、市役所第一庁舎と長野市民会館の在り
方を検討していただいてきた「在り方懇話会」から、12月1日
(月)、市役所第一庁舎の建設を急ぐべき、との報告書をいただき
ました。現在の第一庁舎は、昭和41年の大合併の前年に完成した
建物ですから、かなり古いことは事実です。震度5でも倒壊する可
能性があると言われると、大勢の市民の皆さんが来庁されるわけで
すし、職員も仕事をしていますので、早い機会に建て替えなくては
いけないと思っています。
基本的には、建物を造るというハードの話ですが、その場合には、
100年は使える、そして長野市の象徴的な建物にしたいと思って
いますが、皆さんはどう思われますか?まちなか観光の名所となる
ような建物であっても良いと思うのですが・・・。
併せて、財政状況をよく考えた上で、長野市民会館も建て替える
べきとのご指摘もいただきました。現在の市民会館は、市民の皆さ
んに多様な目的で使っていただいており、無くてはならないものと
思っています。しかし、この建物は第一庁舎より4年古く、構造的
には大きなドームが主体の柱が少ない建物ですから、第一庁舎より
も危険度は高いのではと感じているのも事実です。
報告書では、現在の長野市民会館を壊して、そこに市役所第一庁
舎を建て、市民会館は別の場所に建て替えるべきとのことでした。
この市民会館も、長野市の存在感を高めるための建物の一つにした
いと思っています。
長野駅の善光寺口をどうするべきか、ということについても検討
委員会での検討が始まりました。これも大切な事業です。併せてこ
の検討委員会では、善光寺口と東口との一体性の確保や機能分担に
ついても検討していただくことにしています。現在の駅周辺の姿は、
長野新幹線の開業や長野オリンピック開催を目前にして、大急ぎで、
暫定的に整備したものです。長野駅は長野市の顔ですから、いずれ
は何とかしなくてはいけないと思っていました。
でも、長野市が単独でできることではありませんし、地域の皆さ
んの考え方、とりわけJR東日本さんの考えも重要です。新幹線の
延伸を前にして、JR東日本さんもやる気になっていただいていま
すので、この際、無理をしてでも何らかの解決策を考えなくてはい
けないと感じています。
駅の外観については、新幹線が来る前の仏閣型駅舎に郷愁を覚え
ていらっしゃる方もかなり多いようで、市民の皆さんからいろいろ
なご意見をいただいています。検討委員会でどんな議論がなされる
のか、じっくりお聴きするつもりです。
茶臼山動物園も長野市の存在感を高めるための大切な施設です。
開園以来25年を経過し、施設の老朽化や動物の飼育・繁殖スペー
スの不足、ユニバーサルデザイン化などのことを考えますと、そろ
そろリフォームが必要な時期になってきたと言えます。また、隣接
する自然植物園や恐竜公園などとの一体的な利用にも課題がありま
すので、茶臼山一帯が、市内外からお越しいただく皆さんにもっと
楽しんでいただけるエリアとなるよう、再整備に向けて準備を進め
ていきたいと考えています。
11月20日(木)、石川県金沢市で「北陸新幹線沿線都市観光
サミット」が開催されました。集まった市は、新幹線に沿って東京
方面から記しますと、高崎、長野、上越、富山、高岡、金沢の6市
で、将来的には佐久、上田、糸魚川など、もっと増やしていく必要
があると思っています。
いずれの市も、単なる通過地にはなりたくない、ストロー現象で
お客さんを取られては困る、都市の魅力を高めようと一生懸命です。
“連携”が大切ということは当たり前ですが、具体的にどんな事業
を生み出せるか、アイデア勝負になると思います。
長野市とすれば「単なる通過地にならないような努力」は当たり
前ですが、逆に北陸地方からお客さんを呼び込みたい、もう一歩踏
み込んで北陸と縁が深い関西圏のお客さんにも来ていただきたい、
そんな積極的な姿勢が大切です。長野市には、毎年1,000万人
もの観光客にお越しいただいていますが、市ではこれを2割増の
1,200万人にしたいと考えています。長野市にとって、「2割
程度ぐらい・・・」と受け止められているかもしれませんが、
1,000万人という数自体は大変な数字であることを、ぜひ理解
していただき、さらにおもてなしの心を大切にし、多くの方が長野
に“再遊”したい、もう一度行きたい・・・と思っていただける、
そんな都市になりたいものです。
話は変わりますが、市職員の政策形成能力の養成を図るために、
毎年、職員研修所が中心になって、「政策課題研修」を実施してい
ます。この研修では、若手職員が4~5人でチームを作り、自由な
研究をすることになっており、半年間、他都市の視察や勉強をした
り、議論を積み重ねたりして、アイデアをまとめ、秋に発表会を行
っています。
今年は、4つのチームが次のような発表をしてくれました。
Aチーム「救急救命体制の強化 15万人のおたすけ隊を目指
して」
Bチーム「2030年問題を解決せよ やる気の出る人事制度
を目指して」
Cチーム「自転車が地球を救う! 自転車のまちNAGANO
を目指して」
Dチーム「おやきNow On Sale!! 販売促進NA
GANOモデルの構築」
テーマを見ていただいただけでは、理解が難しいと思いますが、
ご想像ください。いずれも半年間の研究成果の発表で、なかなかの
ものでした。
これらは、必ずしも採用されるとは限らないのですが・・・例え
ば「おやきの販売促進」については、長野市農業公社でも取り組み
テーマとして、すでに検討が始まっているようですし、「自転車の
まちを目指す」というテーマは、交通政策課や環境管理課、体育課、
あるいは観光課あたりでも、取り組んでみたら面白いと思っていま
す。救急体制や人事制度の件も、当然検討されているはずです。
いずれにしろ長野市の存在感を高める事業として、取り組んでみ
たいテーマだと思いますし、実現に向けて担当者が頭をひねってく
れていることでしょう。いずれ事業計画案として出てくることを、
私は楽しみにしています。