このコンテストで長野市は、総合第2位の表彰を受けました。長
野市の参加は、第2回、第6回に続き、今回3度目でしたが、部門
別、都市規模別の第1位を含め、総合第2位という成績は、大変う
れしい結果です。
これまでの応募時に比べ、長野市として特に目新しい施策が加わ
ったわけではありませんので、本市における継続的な環境への取り
組みが総合的に評価されたものと受け止めています。これにより、
これまで進めてきた本市の環境施策の方向性について、今年1月の
「ISO14001自己適合宣言」も含め、自信を持って取り組ん
でいける基盤ができたと思っています。
「環境首都コンテスト」について、若干説明させていただきます。
このコンテストは、平成4年の地球サミット以来の「持続可能な
社会」という国際社会のキーワードに対して、それを推進する主役
である自治体の取り組みを支持・支援するとともに、取り組みをさ
らに加速させる仕組みとして、国内の複数のNPO・NGOが共同
でつくり上げたとのこと。コンテスト形式ですから、自治体間で切
磋琢磨(せっさたくま)することや、NGOと自治体、自治体間相
互で、環境問題に関する情報交換の場にしようという意味合いもあ
るようです。
コンテストは、平成13年から始まり、年1回、全10回の計画
で実施されており、これまでに、延べ581自治体が参加。今回の
第8回には、全国67の自治体から応募があったそうです。
環境首都とは何かというと、「環境保全とともに経済活動が安定
して発展し、福祉や人権などの社会的公正が増進する、持続可能な
地域社会と呼ぶにふさわしいまち」と定義されています。若干、面
はゆい思いもありますが、長野市の総合力が評価されたということ
で、素直に喜びたいと思います。
なお、このコンテストを主催している「環境首都コンテスト全国
ネットワーク」は、全国の環境NPO・NGO12団体の集合体で、
幹事団体は、特定非営利活動法人環境市民ということです。つまり、
このコンテストは、国やその外郭団体など、いわゆる“公的組織”
によるものではなく、民間、非営利の市民組織が担う“公的活動”
として実施されているのです(ただ、このコンテストを実施するた
めの資金については、国の外郭団体の助成も受けているようです)。
そして、主催が“公的組織”でないということからも、このコン
テストで主に評価されるのは、法律に基づいた仕事ではなく、自治
体が独自に取り組む環境施策やそれに対する自治体の姿勢というこ
となのでしょう。
コンテストでは、まず、主催者が作成した質問票に対し、自治体
が資料を付けて回答します。主催者は、その回答内容を精査するた
めに、自治体に電話およびメールでの確認、訪問ヒアリングを行い、
回答を修正、確定した上で、専門知識、経験を有したネットワーク
メンバーが独自の基準で採点するそうです。
今回、長野市では、以下の17項目の質問に対して回答しました
(正直に申し上げて、採点基準やネットワークの皆さんの目の付け
どころなど、少し分からない点もあります。NGOの皆さんが考え
ている環境に関する関心がどんな点にあるか、市民の皆さんにも知
っていただく意味で、全質問を書かせていただきました)。
A ローカルアジェンダ21・環境基本条例・環境基本計画
B 環境マネジメントシステム
C 住民とともにチェックする仕組み・情報公開
D 自治体内部における環境基本行動
E 自治体との交流
F 職員の資質・政策能力の向上、総合的な行政推進と予算編成
G 住民のエンパワーメントとパートナーシップ
H 環境学習
I 自然環境の保全と回復
J 健全な水循環
K 風土を活(い)かした風景づくり
L 持続可能なまちづくりと一体化した交通政策
M 地球温暖化防止・エネルギー政策
N ごみの減量化
O 環境に配慮した産業の推進
自由記述
先進事例
長野市の評価が高かった分野は、以下の項目です(カッコ内は長
野市の取り組み)。
D 自治体内部における環境基本行動(ごみの管理、紙・事務用
品の購入における環境への配慮など)
I 自然環境の保全と回復(飯綱高原の自然環境保全地域の指定、
実験林の設定など)
K 風土を活かした風景づくり(景観条例の制定、善光寺地区・
松代地区における街並み環境整備の実施など)
O 環境に配慮した産業の推進(産業振興ビジョンにおける環境
への配慮、地産地消やエコツーリズムの実施など)
一方、評価の低かった分野は、以下のとおりです。
C 住民とともにチェックする仕組み・情報公開
E 自治体との交流
F 職員の資質・政策能力の向上、総合的な行政推進と予算編成
H 環境学習
表彰式では、次のような賞状を頂きました。
・総合・・・第2位
・規模別・分野別表彰「第5群(政令指定都市を除く人口30万
人以上)」
地球温暖化防止部門・・・第1位
住民参画部門・・・第1位
人口規模別・・・第1位
・質問分野別表彰
「風土を活かした風景づくり」・・・第1位
環境分野は、極めて幅が広く、考え方もいろいろです。また、技
術革新も行われていることから変化が激しく、行政としての対応は
なかなか難しい面があります。しかしながら長野市では、今年1月
の「ISO14001自己適合宣言」に続いて、4月からは新たに
地球温暖化対策室を設置するなど、より焦点を絞り、積極的な取り
組みを開始しています。
さらに、環境分野以外にも中山間地域の活性化や新たな産業振興、
雇用創出など、長野市にはさまざまな課題があります。環境政策は、
これらを貫く軸という意味でも重要性が増していると考えており、
今回の受賞は、そういった方向性を確認する上でも大変良い機会に
なりました。
今後は、受賞者に課せられた使命として、先に申し上げた課題の
解決を含め、より具体的な取り組みをしていくことが重要であると
感じています。