今年は、昨年と違い、市内3スキー場に雪が多く、市街地にはあ
まりない、行政とすればありがたい年です。ただ、道路の除雪作業
をお願いしている事業者の皆さんにとってはどうなのでしょうか。
長野市では、オリンピックを開催した都市として、スポーツを大
いに盛り上げたいと考え、重点施策に「スポーツを軸としたまちづ
くりの推進」を据えて頑張っています。
1月30日から2月2日までの4日間、第30回全国中学校スケ
ート大会(全中スケート大会)が長野市で開催されます。この大会
は、(財)地域活性化センターが行っている「スポーツ拠点づくり
推進事業」の支援を受け、平成19年度から長野市で開催している
中学生のスピードスケートとフィギュアスケートの全国大会です。
「スポーツ拠点づくり推進事業」というプロジェクトは、小泉元
首相の発案だったそうですが、各種スポーツの全国大会を同じ場所
で継続的に開催することで、スポーツ種目ごとのメッカを全国各地
につくろうということで始まったものです。
スポーツ種目ごとのメッカ、すなわち、高校野球なら「甲子園」、
高校駅伝なら「京都」、高校ラグビーは「花園」・・・というよう
に、プロジェクトで目指しているのは、青少年があこがれ、目標と
するスポーツごとの拠点を各地に展開し、スポーツの振興と地域の
活性化を図ろうということです。そして、優れた大会には「総務大
臣・国民スポーツ杯」が授与されることになっています。
大会は、10年間継続して開催できることになっており、開催地
では、その間に「メッカ」として浸透、定着を図っていくというこ
とでしょう。
長野市では、エムウェーブやビッグハットというオリンピック資
産を生かすために、中学校のスケートのメッカになろうと決意し、
立候補、招致したのです。
今年の全中スケート大会には、以下のように、全国から376校、
1,100人余りの選手団の皆さんが参加することになっています。
・スピードスケート 男子232人、女子167人、計399人
・フィギュアスケート 男子42人、女子163人、計205人
・コーチ・監督 520人
そのほか、競技役員など120人、エムウェーブ友の会ボランテ
ィア80人といった方々にも大会運営にご参加いただきます。もち
ろん、選手は中学生ですから、大勢の保護者の方々にも長野市にお
いでいただけることでしょう。
市内の中学校からは、フィギュアスケートに1人、スピードスケ
ートに2人の選手が出場する予定です。この大会を長野市で開催す
るようになった3年前には、市内の選手がゼロだったのですから、
長野市にもスケート文化が育ってきていると言えるのでしょう。今
後がとても楽しみです。
中学生の冬季スポーツでもう一つ、犀陵中学校のアイスホッケー
部が2月4日から青森県八戸市で開催される全国大会に出場するこ
とになりました。11年連続の出場です。この快挙もオリンピック
を開催したことにより育っている長野市のスポーツ文化の一つだと
思っています。
長野市での全中スケート大会で課題になるのは、観戦者・応援団
の数です。なかなか観客席が満杯になりません。ただ、観客席は、
エムウェーブに6,500人分、ビッグハットに5,000人分も
あります。満杯にならないのは無理もないのですが、頑張っている
選手たちにたくさんの声援を送ってあげたいのです。ぜひ皆さんも
観戦、応援にお出掛けください。
ちなみに昨年の大会には、バンクーバーオリンピックのスピード
スケート日本代表に15歳で選ばれた中学3年生、高木美帆さんも
出場していました。女子1,500メートルに出場、記録は2分0
5秒83(大会新)で2位だったそうです。
昨年末、エムウェーブでバンクーバーオリンピックスピードスケ
ート日本代表選手選考競技会が開催されました。その最終日、私も
観戦させていただきましたが、高木選手が1,000メートルで優
勝した時の会場内のどよめきは、異様なものがありました。中学生
が優勝だ!ということですよね。
今回のオリンピックでは、「スーパー中学生」ということで彼女
への注目度が高くなっていますが、過去にもこの全中スケート大会
を制した多くの選手が世界の舞台で活躍しています。ジュニア選手
にとってこの大会は、まさに世界への登竜門と言えるのです。これ
からも出場選手の中から新たなスターが誕生していくのでしょう。
さて、そのオリンピックですが、今年は4年に一度の冬季オリン
ピック・イヤー・・・2月12日から28日までの17日間、カナ
ダのバンクーバーで開催されます。長野、ソルトレーク、トリノ、
そしてバンクーバー。オリンピックは4年ごとの開催ですから、長
野オリンピックからもう12年もたってしまったのですね。
バンクーバーオリンピックへ出場する長野市関係者は、以下の7
人の方々です。ただ、長野市出身者だけでなく、長野市を拠点にし
てエムウェーブやスパイラルで練習している選手も含まれています。
・スノーボード 山岡聡子選手
(長野市出身 アネックス・スノーボードクラブ)
・スピードスケート 小平奈緒選手(相沢病院)
新谷志保美選手(竹村製作所)
・スケルトン 越和宏選手(システックス)
田山真輔選手(システックス)
・リュージュ 原田窓香選手(長野市出身 信州大学)
小口貴久選手(長野市出身 ホテルルーエ)
以上の方々は、長い間、厳しい練習に耐え、競技会などに出場し
て、ようやく日本代表という栄冠を勝ち得たのです。心から敬意を
表すると同時に、欲を言えば、ぜひオリンピックの表彰台に立って
ほしいなあと願っています。
私は、現地で応援することがかないませんので、テレビで応援し
ようと思っています。
オリンピックが終わると、3月12日から21日まで、バンクー
バーパラリンピックが開催されます。長野市関係の出場者は、アル
ペンスキーの青木辰子選手と狩野亮選手の2人です。メダル獲得を
狙ってしっかり調整していただきたいと思っています。
なお、1月19日から24日まで、ビッグハットでジャパンパラ
リンピック・アイススレッジホッケー競技大会が開催されました。
私は応援に行くことができなかったのですが、大会では、バンクー
バーパラリンピックに出場する日本、アメリカ、ノルウェー、チェ
コの強豪4チームが激闘を繰り広げたそうです。日本チームの結果
は、決勝でアメリカに敗れ、準優勝でした。バンクーバーでは、ぜ
ひ金メダルを獲得してもらいたいものです。
最後に、長野市としてちょっと困っている話題・・・。
もともとの計画通りではあるのですが、長野オリンピック終了後、
大会運営費の余剰金で創設された長野オリンピック記念基金による
助成事業が本年度で終了してしまうのです。
この基金は、当初40億円余りありました。余剰金とは言え、オ
リンピックでもうかったということではありません。県と長野市で
は、大会運営費として補助金を支出していましたので、当初、この
余剰金は県と市に返還すべきとの考えもありました。
しかし、大会運営費には、テレビ放映権料やスポンサー収入をは
じめ、民間企業、個人の皆さんなどから頂いた寄付、チケットの売
り上げ収入などもあったわけです。結局、長野オリンピック冬季競
技大会組織委員会では、県と市に返還するのではなく、この余剰金
でスポーツ振興のための基金を創設し、目的を持って使うことにし
ました。
ただ、基金とはいっても金利が安い時代ですから、金利だけでは
有効な使い道になりません。そこで、40億円余りを10年間で使
い切る、すなわち年間4億円程度をスポーツ振興のために使ってい
こうと決め、基金運営を目的に設立された長野オリンピックムーブ
メント推進協会を通じて、助成事業が行われてきたのです。
基金はこれまでに、県内を中心とした冬季スポーツの競技大会の
運営費、選手育成強化事業、長野五輪記念イベントの経費などに支
出されてきました。そのうち、長野市に関係する事業には、年間助
成額の約5割、2億円程度が振り向けられていたのです。
例えば本年度は、
・スケートなどの競技会7大会の運営経費:6,350万円
・選手育成強化事業としてスパイラルやビッグハットの製氷経費
:7,500万円
・長野マラソンの運営経費:3,500万円
・長野灯明まつりやオリンピックデーランなどのイベント運営経
費:2,750万円
といった具合です。
基金からの助成が無くなる来年度以降は、すべての事業をこれま
でと同規模で実施することは難しいと思われます。しかし、単純に
すべてを縮減することもできないことから、事業を実施する競技団
体などには、別財源の確保や経費の圧縮など、事業規模の見直しを
お願いせざるを得ません。また、記念大会などについては、市の負
担経費を多少増やすことも必要になりそうです。
あまり欲張ることはできませんが、オリンピック開催都市として、
これからもスポーツを盛り上げていきたいと考えています。
2010年1月28日木曜日
冬季スポーツのシーズン
2010年1月21日木曜日
無駄とは何か
この年末年始、本や新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどを
見ながら、メルマガの話題を少しゆっくり考える時間を持つことが
できました。政治向きのものは避けたいと思いつつも、結果的には
適当な話題が思い当たらなかったのですが・・・8年間市長を務め
させていただきますと、行政のことが頭から離れない、そんな自分
を痛感しています。“風雅の心”なんて遠い話です。
結局、休暇中も行政から離れられませんでした。ただ、普段の生
活で慌ただしく時間に追われている分、良い意味での余裕が市長職
には必要だということを学んだようにも思います。逆説的に言えば、
必要な“無駄”もあるということです。
“無駄”と言えば、以前、私の友人が言っていたことがすごく気
になっています。それは、歴史的に残っている文化とか美術品とか
建物とか、有名なモノ、名のあるモノは、多くは金持ちの道楽の結
果である・・・確かにそんな気もしますよね。
過去、ルーマニアやフィリピンの独裁者が倒れた時、その豪華な
暮らしぶりと国民の生活レベルの格差には、考えさせられるものが
ありました。為政者は、1億人から1人100円ずつ収奪すれば
100億円になる。しかし、すべての人に100円ずつ配ろうとす
れば100億円支出しなくてはならない・・・。独裁者というもの
は前者なのでしょう。
日本では、明治以降の中央集権社会までに、金持ちが道楽できる
社会は終焉(しゅうえん)したのだと思います。民主主義の社会、
税制による金持ちに対する嫉妬(しっと)の社会、結果として大金
持ちがいない社会・・・良し悪しは別として、私たちのつくってき
た社会には、歴史上の人物がしてきたような道楽をする余裕が無く
なっているのでしょう。
昨年の政権交代により、前政権の“無駄”を洗い出すために「事
業仕分け」が行われました。大いに注目を集めましたが、私とすれ
ば、その時の議論は必ずしも納得がいくものではありませんでした。
また、その後の展開を見ていても、大山鳴動して鼠(ねずみ)一匹
と感じているのは私だけではないでしょう。実務的には、一気には
変えられない、4年間かけようということでしょうか。
“無駄”というのは、先ほどの、金持ちの道楽が“無駄”かどう
か、みたいなもので、それぞれの人によって、あるいは立場によっ
て、そして時代によって随分違うものだとつくづく考えさせられて
います。
あの「事業仕分け」では、多くの事業が俎上(そじょう)に載せ
られました。しかし、すべての事業ではありません。私が問題と感
じているのは、どのような基準で対象になった事業が俎上に載った
のか・・・載らなかった事業に“無駄”はないのかということです。
私の考える最大の“無駄”は、税金で賄われている政治資金、す
なわち“政党交付金”だと思っています。なぜ、これが対象になら
なかったのか、大きな疑問です。
政治活動にはお金が掛かるから、企業や団体からの政治献金を無
くすことは難しい。しかし、それでは企業や団体と政治の癒着が無
くならない。何とか正常な民主主義社会をつくろうということで、
税金を使って政党へ政治資金を配る代わりに企業・団体献金を制限
しようということが、この交付金の趣旨だったはずです(企業・団
体が献金できるのは、政党および政党の政治資金団体のみで、政治
家個人などへの献金は一切禁止。献金できる金額なども制限されて
います)。
では、結果として企業・団体献金をめぐる問題は無くなったので
しょうか。
残念ながらNOです。あまりよくは知りませんが、禁止されてい
るはずの政治家個人への企業・団体献金にも抜け道があり、政党支
部を介して実質的に受け取ることができるようです。これでは制限
していることにはならないでしょう。
政党交付金を受け取ることができる政党とは、所属している国会
議員が5人以上、または直近の国政選挙での得票率が2%以上とい
う要件を満たす政治団体のことです。
つまり、このような政党に属さない人は、企業・団体献金、そし
て政党交付金も受けられないわけです。故に、新たに挑戦しようと
する人は資金的に圧倒的に不利で、既存政党におもねるより仕方な
いですよね。
いっそのこと企業・団体献金はすべて禁止して政党交付金も廃止、
選挙運動はすべて公営で行い、それ以外は行ってはいけない。違反
したら立候補禁止にする。これくらいにしないと駄目でしょう(政
治活動と選挙運動の違いについても分かりにくい話ですが・・・)。
この制度では、地方議員や首長のことはまったく考慮されていま
せん。私は長野市長選で「市民党」を名乗りました。これは、思想
・信条・政策はもちろん、資金の面でも個人の皆さんによって支え
ていただいているとの宣言なのです。特定の政党の公認があれば選
挙運動で応援していただけるでしょうから、人的にも資金的にも楽
になるのだとは思いますが・・・。
ただ、たとえ政党に属していなくても、国・県の施策に合わせて
いかなくてはならないことは、地方自治体の宿命です。地方の場合
は、市民の皆さんとじかに接するわけですから、特定の政党に偏っ
てしまうよりは、政党を超えてより幅広く支持していただける「市
民党」の方が良いと私は信じています。
確か、政党要件を満たすために議員が移籍・・・なんてこともあ
りました。政党の所属国会議員数や選挙での得票率が基準を下回る
と、政党交付金を受けられなくなってしまいます。そこで、人数が
減って政党要件を満たさなくなった政党に、他党が議員を貸し出し、
その政党の資金確保に協力したということでしょうが、想定外、問
題外の話です。
そして、配られた政党交付金の監査が行われていないことは、最
大の問題です。この交付金は何に使っても良く、1件5万円未満の
支出は領収書も不要なのだそうです。ですから監査は行わないので
しょうが、民間企業を経営していた私とすれば、そんなことは考え
られません。ほぼ毎年税務監査を受け、随分きつい、そして面倒な
思いをしてきました(企業の利益も税金に関係するわけですから、
監査があるのは当然です)。
行政の首長になってからは、会計検査院の検査が怖いですね。怖
いというのは、何も悪いことをしているという意味ではなく、解釈
の違いなどによって、いろいろと指摘されることがあるからです。
税金の使われ方をチェックすることは大切だと思います。ただ、
我々とすれば、国民や市民の皆さんに納めていただいた税金を市政
のために有効に活用しようとしているだけなのですが、非常に細か
な検査が実施され、あたかも無駄遣いをしているように指摘される
のです。大きな視点で見れば、もっと大切なことがあるのではない
かと何度も感じています。
何に使っても追及されない、勝手にどうぞということは、本当は
恐ろしいことです。監査があるからこそ適切に処理され、秩序が保
たれている面があると私は信じています。
ちなみに、長野市議会の各会派に交付される政務調査費は、すべ
ての支出に領収書などの証拠書類の添付が義務付けられています。
政治資金に絡んだ問題でよく耳にするのですが、「秘書がやった
ことで、私は知りません。私には責任はありません」という政治家
の発言もいかがなものでしょうか。
以前、宮沢元首相(当時は大蔵大臣)がリクルート事件に絡んだ
国会答弁で、「秘書が」「秘書が」と連発してひんしゅくを買った
ことを記憶しておられる方も多いでしょう。秘書が行ったことは、
本人が行ったことと同じだと思っていましたが・・・(この事件を
きっかけに内閣は総辞職。以後「政治改革」が重要な政治テーマと
なりました。政党交付金ができたのはこの改革の一環だったようで
す。政治が流動化するようになったのもこのころからでしょうか)。
確かに何人もいる秘書のすべての行動を監督することは難しいの
でしょうが・・・鳩山首相の場合、税金を6億円も払ったというこ
とですから、手続き的には許されるのかもしれません。でも、脱税
との意見もありますから、道義的な責任の有無は難しい問題です。
政治資金のことではありませんが、私も、秘書課の支援なしに市
長の仕事すべてに対応することはできません。ただ、もし秘書課が
間違った対応をしてしまったとしたら、たとえ私の知らないことで
も責任は取る覚悟です。当たり前の常識でしょう。
“井戸塀政治家”という言葉をご存じでしょうか。意味は、政治
に熱心なあまり自分の家まで失い、残ったのは井戸と塀だけ・・・
この言葉には、その政治家を小ばかにしたようなニュアンスがある
と思っていましたが、最近ではまったく逆です。このようなことが
期待できない政治家像ばかりになってしまい、残念に思っています。
私の知る範囲でこういう政治家の代表は、昭和30年代に活躍さ
れた藤山愛一郎さんです。私の記憶が間違っていなければ、藤山さ
んは、昭和20年代の三白景気(砂糖・肥料・セメント)と言われ
た時代に大製糖会社を興され、昭和30年代に入って政治の道に入
られて、外務大臣も務められたり、自民党の総裁選にも何度か挑戦
されたりもしました。
しかし、結果的には会社も含めすべてを失い、首相になれなかっ
た当時、“絹のハンカチが泥にまみれた”と評された方でした。今
となっては、その清廉潔白な姿が懐かしく思い出されます。
2010年1月14日木曜日
第一庁舎および市民会館の基本構想(案)について
長い期間いろいろと議論し、検討してきた「市役所第一庁舎およ
び長野市民会館の基本構想(案)」がまとまりましたので、発表さ
せていただきました。
・1月6日 関係地域への説明
・1月7日 市議会各会派への説明(1月中に各会派の見解を頂け
るよう要請)
・1月8日 記者会見で発表
このたびの発表は、1月4日の仕事始めの日に「長野市民会館建
設検討委員会」から「提言書」を頂いたことを受け、直ちに庁内の
会議を招集し、長野市の原案を固めたことから行ったものです。
市役所第一庁舎・長野市民会館の問題は、「耐震基準を満たして
いない両施設をどうするのか」という耐震対策に端を発しており、
昨年4月に「両施設とも建て替え」とする市の考え方をお示しし、
多くのご意見を頂く中で検討してきました。
長野市民会館については、昨年8月に有識者や公募委員などによ
る検討組織「長野市民会館建設検討委員会」を設置し、市民会館の
必要性、規模・機能、財政計画などについてご議論いただいてきま
した。その成果が1月4日に頂いた「提言書」です。
昨年11月には、両施設の建て替えの是非を含めて議論する「市
民会議」を開催し、あらためて市民の皆さんから建て替えに反対の
理由、賛成とする根拠など、さまざまなご意見を直接お聴きするこ
とも行いました。
この「市民会議」でのご意見を含め、12月20日までに、両施
設に対して延べ373人の市民の皆さんから1,244件のご意見
を頂いています。今までいろいろなパブリックコメントを実施して
きましたが、これだけ多くの皆さんからご意見を頂いたことは、私
の記憶する限り初めてのことです。
頂いたご意見については、耐震対策や財政計画などのテーマごと
に、558項目に集約して分析・検討を行い、『市民意見の内容と
長野市の考え方』としてまとめました。この分析・検討結果は、
「建設検討委員会」でもご確認いただいています。
まとめたものは、非常に分量が多いことから、このメルマガでご
紹介することができません。市のホームページにすべて掲載してい
ますので、ご覧いただけますと幸いです。
市の『基本構想(案)』は、このような「建設検討委員会」から
の提言、市民意見の分析のほか、市議会での議論、庁内での議論な
どを総合的に判断し、市としての考え方をまとめたものです。
以下にその概略を説明させていただきます。
(1)市役所第一庁舎基本構想(案)の概要
新しい市役所第一庁舎では、防災拠点としての機能を確立するこ
と、総合窓口の設置やユニバーサルデザインへの配慮など市民サー
ビスを充実すること、また、温室効果ガスの排出量を最大限抑制す
ることなど、地球環境に配慮した「22世紀の市民につなぐ“環境
みらい型庁舎”」の実現を目指します。
基本構想案
・耐震対策は、「建て替え」とする。
・建設場所は、現在の長野市民会館を解体した跡地とする。
・規模は、現第一庁舎の延べ床面積1万2,000平方メートルを
基準とする。
・建て替えの時期は、平成26年4月供用開始とする。
・事業費は、約50億3,000万円とする。
・財源は、庁舎整備基金、補助金のほか、合併特例債を活用する。
(2)長野市民会館基本構想(案)の概要
現在の長野市民会館は、主催者・観客の双方にとって使いにくい
施設となっています。
新しい市民会館では、文化芸術との出会いの場や子どもたちの育
成の場、また、にぎわいと交流の拠点として「人と環境にやさしい
“文化芸術創造のステージ”」の実現を目指します。
基本構想案
・耐震対策は、「建て替え」とする。
・建設場所は、現時点では権堂B地区が適していると判断する。
・施設構成として、
「メインホール」は、1,300~1,500席規模の音楽ホー
ル、「サブホール」は、300席規模の演劇ホールとする。
付属施設として「リハーサル室」、「練習室」などを設ける。
・建て替えの時期は、平成27年4月供用開始とする。
・事業費は、約77億~80億円とする。
・財源は、市制90周年記念文化施設建設基金、補助金のほか、合
併特例債を活用する。
『基本構想(案)』、『市民意見の内容と長野市の考え方』は、
市のホームページや支所・市立公民館などの市有施設でご覧いただ
くことができます。また、『基本構想(案)』の概要を広報ながの
2月1日号と併せて全世帯にお配りする予定です。
市では、『基本構想(案)』に対するご意見をあらためてお聴き
したいと考えています。どうぞ、皆さんのお考えをお寄せください。
最終的には、市議会議員の皆さんのご見解や市民の皆さんのご意
見などを総合的に考慮して、2月中に市としての基本構想を決定し
たいと考えています。
なお、1月8日の記者会見で以上のことを発表した際に、幾つか
質問が出されました。ご参考までに、主な内容を記しておきます。
(1)市長選挙の時点で、市長は長野市民会館を造るか否かについ
て、白紙と言っていたのはおかしいのではないか。
(2)1月4日に検討委員会から提言書が提出され、すぐに方針決
定というのはおかしいのではないか。
(3)佐久市では、総合文化センターを造るか否かについて住民投
票を実施するとのことだが、長野市ではなぜ実施しないのか。
(4)政権交代したが、合併特例債をこれまでどおり見込んでも大
丈夫なのか。市の負担がさらに増えた場合には、どうするのか。
一部分のみを取り上げた報道もあったようです。質問への回答を
含め、記者会見の内容は市のホームページに掲載していますので、
ご確認いただけますと幸いです。
記者会見:
http://www.city.nagano.nagano.jp/pcp_portal/contents?CONTENTS_ID=19195
長野市民会館と市役所第一庁舎の基本構想(案):
http://www.city.nagano.nagano.jp/pcp_portal/contents?CONTENTS_ID=19180
2010年1月7日木曜日
新年に当たって
明けましておめでとうございます。
皆さんそれぞれに良いお正月を迎えられたことと思います。今年
も気持ちを新たに、皆さんと共に頑張っていきたいと思います。ど
うぞ、よろしくお願いします。
まず、1月1日、新年の幕開けとともに、信州新町・中条村との
合併により、人口38万9千人、市域834.85平方キロメート
ルの新たな長野市がスタートしました。
大みそかの夜から元日にかけては、TOiGO前広場で合併を記
念するカウントダウンイベント、そして、仕事始めの4日には、信
州新町支所と中条支所の開所式を行いましたので、今は何となくお
祝いムードになっています。しかし、重要なのはこれからです。新
たに長野市民になられた皆さんには、一日も早く長野市に慣れ親し
んでいただき、共により良いまちづくりを進めていきたいと思って
います。
今年は、私の市長3期目の実質的なスタートとなる年です。今後
4年間に向けた一歩を着実に踏み出さなければならない極めて重要
な年だと思っています。そこで、仕事始めに当たり、職員に以下の
ことを伝えました。
(1)マニフェストの実現に全力を
まず、話をしたのは、私が3期目の市政を預かるに当たり、市民
の皆さんに約束したマニフェストの実現に全力を尽くしてもらいた
い、ということです。
マニフェストには、以下の5つの基本政策を掲げています。
(ア)世界に誇れる「カーボンニュートラルシティ・ナガノ」の実
現に向け、すべての政策に「環境」の屋根を架ける
(イ)「少子化対策」として、子育ち・子育て環境の充実を図る
(ウ)高齢者や障害のある方が、安心して健やかに暮らせる社会を
維持していくために「福祉・健康」の視点から、暮らしのセー
フティーネットの充実を図る
(エ)個性を尊重した教育は、一人一人が人間らしく、自分らしく
生きていくための基本として教育環境の充実を図る
(オ)地方分権の流れの中、自立・自尊の都市経営を目指すために、
産業の強化・育成および雇用と税収の確保を図る
加えて、本市にとって重要で喫緊に取り組む必要がある17の約
束も掲げています。中でも、「中山間地域の活性化」と「公共交通
機関の活性化」は、3期目の大きな目標です。
私は、自ら先頭に立って、このマニフェストの実現に全力を挙げ
る決意ですが、私と一緒になってこれらの施策の着実な推進に全力
を傾けるよう、職員にあらためて指示をしました。
(2)スピード感を持った対応を
二つ目は、スピード感を持って施策を進めてほしいということで
す。社会・経済は絶えず大きく変化しており、現在はまさに激動の
時代の真っただ中にあります。その変化に即応できる柔軟で大胆な
発想を持ち、スピーディーに対応していくことは極めて重要であり、
職員にはそのことが求められているわけです。
例えば、公共交通機関の活性化対策、新たな産業の強化・育成、
さらには国のさまざまな経済対策に関連して必要となる事業などは、
速やかに取り組まなくてはいけません。
そのためには、市民目線、市民感覚を忘れることなく、常にアン
テナを張り巡らし、本市を取り巻く状況の変化、国・県などの動向
も的確に把握していくことが重要です。そして、時代の流れをしっ
かりくみ取り、時期を逸することがないよう、実効性のある施策を
速やかに、そして積極果敢に実行してほしいと思っています。
(3)みんなの声が「ながの」をつくる
三つ目は、市民の皆さんとの対話を通じ、信頼関係を構築するこ
とがとても大切になるということです。
これまでも、さまざまな手段で広報活動、広聴活動を行い、市民
の皆さんとの情報共有、市民意見・要望の的確な把握に努めてきま
した。
しかし、市民の皆さんが情報を得やすく、行政をもっと身近に感
じていただくためには、ホームページなど市の広報媒体はどうある
べきなのか。また、市民会議などについても、市民の皆さんとの対
話をさらに深める方法がないのか。まだまだ工夫する余地があると
感じています。
今年は、住民自治協議会の活動が本格化する年です。あらためて
互いの信頼関係を構築しつつ、住民自治協議会、そして市民の皆さ
んと力を合わせ、市政を取り巻く課題に立ち向かっていくためには、
あらゆる場面で「みんなの声が『ながの』をつくる」ということを
意識しながら取り組む必要があると考えています。
具体的な事項についても幾つか話しました。
(4)市役所第一庁舎と長野市民会館について
建て替えの有無も含め、来月には、市役所第一庁舎と長野市民会
館の基本構想を決定したいと考えています。
なお、長野市民会館については、「建設検討委員会」において、
基本理念や必要な規模・機能、建設場所などに関して協議を重ねて
いただきました。そして、仕事始めの日の朝には、それらをまとめ
た「提言書」を頂いたところです。これを受け、市では基本構想の
案を作成しました。今後、市議会議員の皆さん、市民の皆さんのご
意見をお聴きし、基本構想を決定していくことにしています。
基本構想の案については、明日の定例記者会見で説明させていた
だく予定です。
(5)住民自治協議会について
今年から住民自治協議会の本格的な活動が開始されます。活動の
目指すところは、「市民と行政のパートナーシップ」であり、「地
域コミュニティーの再生」です。新年度には、「地域いきいき運営
交付金」、「やまざと支援交付金」、「地域やる気支援補助金」な
ど、新たな支援策が始動する予定です。住民自治協議会の活動が円
滑に進み、地区ごとのまちづくりが活発に展開されるよう、全職員
が連携・協力し、取り組んでもらいたいと思っています。
(6)中山間地域の活性化と公共交通機関の活性化について
中山間地域の活性化では、農業法人化支援の拡充、新たな産業づ
くりに向けた「薬草産地づくり」、バイオマスエネルギーの産業化
などに積極的に取り組みたいと考えています。
公共交通機関の活性化では、まず、バス交通と長野電鉄屋代線の
活性化・再生に向けた「総合連携計画」をきちんと策定することが
重要です。そして、その計画に従って各種事業を確実に実行してい
きたいと考えています。
ただ、私とすれば、現時点でこの2つの課題に対する施策には、
発想不足の面があると感じていることも事実です。柔軟な発想で、
さらにアイデアを出し合っていきたいと思っています。
このほか、昨年策定した「長野市地球温暖化対策地域推進計画」
に基づいて施策を実行し、長野の地から地球環境を守る運動を推進
していきたいということ、「1200万人観光交流推進プラン」の
最終年度として、平成16年度の「エコール・ド・まつしろ200
4」以来の「松代イヤー」になることなどについても触れました。
一部その後の経過も含んでいますが、仕事始めに当たり、私から
職員へ伝えた主な内容は以上のとおりです。
景気の沈滞が続き、なかなか光明を見いだすことができません。
しかし、このようなときだからこそ、前向きな気持ちで夢と希望、
そして勇気を持ち、道を切り開いていきたいと思っています。今年
も市政運営に全力を注ぐ所存です。何とぞ、皆さんのご協力をお願
いします。