2010年1月28日木曜日

冬季スポーツのシーズン


 今年は、昨年と違い、市内3スキー場に雪が多く、市街地にはあ
まりない、行政とすればありがたい年です。ただ、道路の除雪作業
をお願いしている事業者の皆さんにとってはどうなのでしょうか。
 長野市では、オリンピックを開催した都市として、スポーツを大
いに盛り上げたいと考え、重点施策に「スポーツを軸としたまちづ
くりの推進」を据えて頑張っています。

 1月30日から2月2日までの4日間、第30回全国中学校スケ
ート大会(全中スケート大会)が長野市で開催されます。この大会
は、(財)地域活性化センターが行っている「スポーツ拠点づくり
推進事業」の支援を受け、平成19年度から長野市で開催している
中学生のスピードスケートとフィギュアスケートの全国大会です。
 「スポーツ拠点づくり推進事業」というプロジェクトは、小泉元
首相の発案だったそうですが、各種スポーツの全国大会を同じ場所
で継続的に開催することで、スポーツ種目ごとのメッカを全国各地
につくろうということで始まったものです。

 スポーツ種目ごとのメッカ、すなわち、高校野球なら「甲子園」、
高校駅伝なら「京都」、高校ラグビーは「花園」・・・というよう
に、プロジェクトで目指しているのは、青少年があこがれ、目標と
するスポーツごとの拠点を各地に展開し、スポーツの振興と地域の
活性化を図ろうということです。そして、優れた大会には「総務大
臣・国民スポーツ杯」が授与されることになっています。
 大会は、10年間継続して開催できることになっており、開催地
では、その間に「メッカ」として浸透、定着を図っていくというこ
とでしょう。
 長野市では、エムウェーブやビッグハットというオリンピック資
産を生かすために、中学校のスケートのメッカになろうと決意し、
立候補、招致したのです。

 今年の全中スケート大会には、以下のように、全国から376校、
1,100人余りの選手団の皆さんが参加することになっています。
 ・スピードスケート 男子232人、女子167人、計399人
 ・フィギュアスケート 男子42人、女子163人、計205人
 ・コーチ・監督 520人
 そのほか、競技役員など120人、エムウェーブ友の会ボランテ
ィア80人といった方々にも大会運営にご参加いただきます。もち
ろん、選手は中学生ですから、大勢の保護者の方々にも長野市にお
いでいただけることでしょう。

 市内の中学校からは、フィギュアスケートに1人、スピードスケ
ートに2人の選手が出場する予定です。この大会を長野市で開催す
るようになった3年前には、市内の選手がゼロだったのですから、
長野市にもスケート文化が育ってきていると言えるのでしょう。今
後がとても楽しみです。

 中学生の冬季スポーツでもう一つ、犀陵中学校のアイスホッケー
部が2月4日から青森県八戸市で開催される全国大会に出場するこ
とになりました。11年連続の出場です。この快挙もオリンピック
を開催したことにより育っている長野市のスポーツ文化の一つだと
思っています。

 長野市での全中スケート大会で課題になるのは、観戦者・応援団
の数です。なかなか観客席が満杯になりません。ただ、観客席は、
エムウェーブに6,500人分、ビッグハットに5,000人分も
あります。満杯にならないのは無理もないのですが、頑張っている
選手たちにたくさんの声援を送ってあげたいのです。ぜひ皆さんも
観戦、応援にお出掛けください。

 ちなみに昨年の大会には、バンクーバーオリンピックのスピード
スケート日本代表に15歳で選ばれた中学3年生、高木美帆さんも
出場していました。女子1,500メートルに出場、記録は2分0
5秒83(大会新)で2位だったそうです。
 昨年末、エムウェーブでバンクーバーオリンピックスピードスケ
ート日本代表選手選考競技会が開催されました。その最終日、私も
観戦させていただきましたが、高木選手が1,000メートルで優
勝した時の会場内のどよめきは、異様なものがありました。中学生
が優勝だ!ということですよね。

 今回のオリンピックでは、「スーパー中学生」ということで彼女
への注目度が高くなっていますが、過去にもこの全中スケート大会
を制した多くの選手が世界の舞台で活躍しています。ジュニア選手
にとってこの大会は、まさに世界への登竜門と言えるのです。これ
からも出場選手の中から新たなスターが誕生していくのでしょう。

 さて、そのオリンピックですが、今年は4年に一度の冬季オリン
ピック・イヤー・・・2月12日から28日までの17日間、カナ
ダのバンクーバーで開催されます。長野、ソルトレーク、トリノ、
そしてバンクーバー。オリンピックは4年ごとの開催ですから、長
野オリンピックからもう12年もたってしまったのですね。

 バンクーバーオリンピックへ出場する長野市関係者は、以下の7
人の方々です。ただ、長野市出身者だけでなく、長野市を拠点にし
てエムウェーブやスパイラルで練習している選手も含まれています。
 ・スノーボード 山岡聡子選手
        (長野市出身 アネックス・スノーボードクラブ)

 ・スピードスケート 小平奈緒選手(相沢病院)
           新谷志保美選手(竹村製作所)

 ・スケルトン  越和宏選手(システックス)
         田山真輔選手(システックス)

 ・リュージュ  原田窓香選手(長野市出身 信州大学)
         小口貴久選手(長野市出身 ホテルルーエ)

 以上の方々は、長い間、厳しい練習に耐え、競技会などに出場し
て、ようやく日本代表という栄冠を勝ち得たのです。心から敬意を
表すると同時に、欲を言えば、ぜひオリンピックの表彰台に立って
ほしいなあと願っています。
 私は、現地で応援することがかないませんので、テレビで応援し
ようと思っています。

 オリンピックが終わると、3月12日から21日まで、バンクー
バーパラリンピックが開催されます。長野市関係の出場者は、アル
ペンスキーの青木辰子選手と狩野亮選手の2人です。メダル獲得を
狙ってしっかり調整していただきたいと思っています。

 なお、1月19日から24日まで、ビッグハットでジャパンパラ
リンピック・アイススレッジホッケー競技大会が開催されました。
私は応援に行くことができなかったのですが、大会では、バンクー
バーパラリンピックに出場する日本、アメリカ、ノルウェー、チェ
コの強豪4チームが激闘を繰り広げたそうです。日本チームの結果
は、決勝でアメリカに敗れ、準優勝でした。バンクーバーでは、ぜ
ひ金メダルを獲得してもらいたいものです。

 最後に、長野市としてちょっと困っている話題・・・。
 もともとの計画通りではあるのですが、長野オリンピック終了後、
大会運営費の余剰金で創設された長野オリンピック記念基金による
助成事業が本年度で終了してしまうのです。

 この基金は、当初40億円余りありました。余剰金とは言え、オ
リンピックでもうかったということではありません。県と長野市で
は、大会運営費として補助金を支出していましたので、当初、この
余剰金は県と市に返還すべきとの考えもありました。
 しかし、大会運営費には、テレビ放映権料やスポンサー収入をは
じめ、民間企業、個人の皆さんなどから頂いた寄付、チケットの売
り上げ収入などもあったわけです。結局、長野オリンピック冬季競
技大会組織委員会では、県と市に返還するのではなく、この余剰金
でスポーツ振興のための基金を創設し、目的を持って使うことにし
ました。

 ただ、基金とはいっても金利が安い時代ですから、金利だけでは
有効な使い道になりません。そこで、40億円余りを10年間で使
い切る、すなわち年間4億円程度をスポーツ振興のために使ってい
こうと決め、基金運営を目的に設立された長野オリンピックムーブ
メント推進協会を通じて、助成事業が行われてきたのです。

 基金はこれまでに、県内を中心とした冬季スポーツの競技大会の
運営費、選手育成強化事業、長野五輪記念イベントの経費などに支
出されてきました。そのうち、長野市に関係する事業には、年間助
成額の約5割、2億円程度が振り向けられていたのです。
 例えば本年度は、
 ・スケートなどの競技会7大会の運営経費:6,350万円
 ・選手育成強化事業としてスパイラルやビッグハットの製氷経費
  :7,500万円
 ・長野マラソンの運営経費:3,500万円
 ・長野灯明まつりやオリンピックデーランなどのイベント運営経
  費:2,750万円
といった具合です。

 基金からの助成が無くなる来年度以降は、すべての事業をこれま
でと同規模で実施することは難しいと思われます。しかし、単純に
すべてを縮減することもできないことから、事業を実施する競技団
体などには、別財源の確保や経費の圧縮など、事業規模の見直しを
お願いせざるを得ません。また、記念大会などについては、市の負
担経費を多少増やすことも必要になりそうです。
 あまり欲張ることはできませんが、オリンピック開催都市として、
これからもスポーツを盛り上げていきたいと考えています。