6月25日、市議会6月定例会が終わりました。この定例会で論
点になったことのうち、3点について、現段階の課題、今後の方針
という側面から報告します。
1点目は、権堂地区の再開発についてです。定例会中の6月17
日、株式会社イトーヨーカ堂から本市に対して、「権堂B-1地区
市街地再開発事業への参加は困難であり、現在の店舗での営業継続
を前向きに検討する」という方針が示されました。
この再開発事業は、権堂地区にとどまらない中心市街地の活性化、
新たな都市拠点づくりを目指すものであり、そのためにもイトーヨ
ーカドー長野店の存在は、長野市民会館と並んで必要不可欠な要素
であると考え、その「存続」を第一に交渉を進めてきました。本市
を含め、全国的に大型店の撤退と中心市街地の空洞化が深刻化する
中で、今回示された「営業継続」の方針は大変喜ばしく、長野駅前
と並ぶ「中心市街地の核」となる大型店の存続に安堵(あんど)し
ているところです。
再開発事業そのものに参画していただけないことは残念ですが、
イトーヨーカ堂からは、現店舗を使って営業を行い、長野大通りを
挟んだ東側の区域で市民会館などの計画が実現した際には、連携を
強化して街の活性化に協力したい、との回答も頂いています。商業
施設と市民会館の相乗効果によって街の活性化を図りたいとする思
いは、地元の皆さんや本市の思いと同じであり、大いに心強く感じ
た次第です。
そうした中、7月2日に再開発準備組合の代表者が市役所にお越
しになり、権堂地区の活性化のために、西側の既存商業施設を生か
しつつ、再開発の必要性が高い東側の区域で市民会館を含めた再開
発事業を実施したいので、支援してほしい旨の要望を頂きました。
今後、その具体的な変更計画案が示された後、市として十分検証す
るとともに、市民の皆さんや市議会議員の皆さんのご意見を十分に
お聴きし、方針を決めていきたいと考えています。
2点目は、「地域やる気支援補助金」についてです。この補助金
の選考結果については、先日のメルマガでもご報告させていただき
ましたが、事業開始初年度とすれば、まずまずのスタートを切れた
と思っています。ただ、選考方法や予算額についてさまざまなご意
見やご要望を頂いていることも事実であり、今後さらに検討する必
要があることを改めて感じています。
いずれにしても、地域の皆さんの「やる気」が一層高まるような
配慮が大切です。将来にわたって連綿と続く住民自治活動をしっか
りと支援していくためにも、まずは、本年度の課題や効果などを十
分に検証したいと思っています。そして、市議会で頂いたさまざま
なご意見を参考にするとともに、住民自治協議会の皆さんのご意見
をよくお聴きし、地域の「やる気」と「熱意」に応えることができ
る、より良い制度となるよう改善を図っていきたいと考えています。
3点目は、スポーツに関する諸課題です。
オリンピックと並び、スポーツ界最大の祭典とも言われるサッカ
ーのワールドカップが、南アフリカ共和国で開催されています。わ
が日本代表チームは、決勝トーナメント1回戦で惜しくも敗れてし
まいました。
しかし、海外でのワールドカップ初勝利に始まり、強豪国との激
戦を経て決勝トーナメント進出を決めたその戦いぶりは、多くの国
民に勇気と感動を与えてくれたと思っています。ワールドカップは、
いつの時代もサポーターの祖国に対する熱い思いと愛情に満ちた姿
が印象的です。スポーツの持つ素晴らしさを改めて実感しています。
世界のステージではありませんが、今シーズンの後半戦に入った
サッカーの北信越フットボールリーグでは、現在、AC長野パルセ
イロがトップを快走中です。
今年こそJFL(日本フットボールリーグ)への昇格を果たして
ほしいという思いはもちろんのこと、いずれはJリーグへの階段を
も駆け上がり、わがまちのチームからも日本代表選手を送り出す日
が来ることを願っています。
冬季スポーツでは、長野市が熱望していたエムウェーブとスパイ
ラルのナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点
施設の指定について、念願がかないました。6月1日、それぞれ再
指定していただくことができたのです。
両施設のNTC指定期間はバンクーバーオリンピックまでという
ことで、今年の3月末で切れていました。その後、再指定していた
だけるか気をもんでいましたので、正直ホッとしています。今回の
指定期間は、ソチオリンピックが開催される平成25年度までです。
長野市ではこれまで、エムウェーブとスパイラルを拠点として、
国内トップレベルの競技者の国際競争力の向上を目指し、選手強化
を図ってきました。その結果、スピードスケートでは、バンクーバ
ーオリンピックでメダルを獲得することができたわけです。
今後も、競技連盟とも連携して施設を有効に活用し、日本選手が
世界大会において上位入賞を狙えるよう選手強化を図っていきたい
と思っています。
ただ、課題があることも事実です。
まず、スピードスケートについてですが、今回のNTCには、前
回と同様にエムウェーブと北海道帯広市のリンクが同時に指定され
ました。両拠点の利用形態としては、7月から9月中旬までは帯広
市のリンク、9月下旬から3月まではエムウェーブを使用していた
だきたいと考えていますが、それには日本スケート連盟との調整が
必要になります。
ボブスレー・リュージュでは、スパイラルの維持・運営の難しさ
が課題です。氷を維持するのに費用が掛かるだけでなく、危険を伴
うことから選手が一人で気軽に練習することができません。常に監
視員・製氷員が必要で、短い期間しか使えないという悩みを抱えて
います。
長野オリンピック記念基金からの助成が終了したことも課題です。
長野市では、長野冬季オリンピック開催後、スポーツを軸とした
まちづくりの推進を掲げ、スポーツの振興に取り組んできました。
今後、自他共に認めるウインタースポーツのメッカとなるためには、
行政だけでなく、何よりも大勢の皆さんの熱意と支援が欠かせない
と思っています。現在、基金の趣旨を引き継ぐ新たな仕組みを検討
しており、近いうちにご提案できそうです。その際は、大勢の皆さ
んのご理解とご協力をお願いします。
ウインタースポーツのメッカを目指すためにも、今後とも冬季競
技大会の開催や選手の育成・強化に取り組んでいきたいと考えてい
ます。それには、指導者やジュニア選手の育成をはじめ、幼少のこ
ろからスケートやアイスホッケー、ボブスレー・リュージュなどに
慣れ親しんでいるという、精神的なスポーツ文化の醸成も必要でし
ょう。そして、できれば通年で氷を張ることができる施設が欲しい
ものだとも思っています。
以上、今後の市政にとって重要な点についてまとめてみました。