少し前になりますが、長野市民会館で「長野市幼稚園・保育所職
員研修会」を開催しました。
幼稚園と保育園(所)の統合は、国でも前から言われていること
ですが、最近では両者を統合する形の「認定こども園」と呼ばれる
制度もできたことにより、かえって複雑になってしまいました。
幼稚園の根拠法は学校教育法で、必要な資格は「幼稚園教諭」、
保育園は児童福祉法で「保育士」というように、両者は基づく法律
や必要な資格が違います。ただ、実際に幼稚園や保育園を見学させ
ていただくと、基本的に子どもを育てるということでは同じではな
いか・・・と私には考えられるのです。
今後、本当の意味での統合に向けた検討が国で始まるようですが、
私は一足先に合同で研修会を行うことを主張し、それまでの保育園
職員に幼稚園職員を加えた研修会を平成18年度から開催してきま
した。
いずれにしても、就学前の子どもたちの保育と教育を充実させ、
すべての子育て世帯への支援を充実するためには、幼稚園・保育園、
公立・私立の連携が大変重要です。事業の推進に当たっては、今後
も一緒になって取り組んでいきたいと考えています。
就学後の施策の一つとして、平成20年度から長野市版放課後子
どもプランを無料で実施しています(ただし、おやつ代などの実費
負担があります)。
放課後子どもプランというのは、核家族化、共働き世帯の増加な
どを受け、希望する児童に安全・安心な放課後などの居場所を確保
するとともに、遊びや学びの場などを提供している事業です。有料
にすべきかどうか、市の負担も考えると判断が難しかったのですが、
昨年の市長選の時に市民の皆さんからの強い要望を受け、思い切っ
て無料のままとすることにしました。
この事業では、希望する全児童を受け入れるために、これまでの
児童館・児童センターに加えて、小学校の施設も活用しています。
そのため、事業の実施には、学校施設を使用することが必須条件と
なります。また、事業の運営には地域の皆さんのご協力が欠かせま
せん。
しかし、これらの事情は、小学校区によって異なることから、準
備が整った所から順次実施することにしており、これまでに開設で
きたのは、対象学年を限定しているところも含めて34校区です。
来年度以降は毎年10校区程度の開設を目指し、できるだけ早く全
56校区で全学年を対象に実施できるようにしたいと考えています。
国の補助事業として実施しており、本年度の予算額は約5億4,
480万円です。このうち施設運営人件費などが補助対象となり、
その3分の1を補助金として支出していただける予定です。
このほか、子育ち・子育て支援施策を講じるには、とても幅広い
取り組みが必要で、関係事業の本年度当初予算総額は113億22
0万円余りです。以下、一部ではありますが、長野市が実施してい
る施策を紹介させていただきます。
(1)おひさま広場
こども広場“じゃん・けん・ぽん”と“このゆびとまれ”、市
内14カ所の子育て支援センターだけでなく、身近な地域で子育
て支援を受けられるようにするために、本年度から拡大させた事
業です。
これまでは、公立保育園を中心に、一部の私立保育園・幼稚園
で園開放や育児相談などを行ってきましたが、本年度からは“お
ひさま広場”として市内すべての幼稚園・保育園で実施できるよ
うにしたいと考えています。まだ実施していない園もありますが、
今後さらに充実させていく予定ですので、お気軽にお近くの幼稚
園・保育園にお出掛けください。
本年度の予算額は約2,260万円で、全額市費で賄う予定で
す。
(2)はじめまして!赤ちゃん事業
生後3カ月までの乳児のいる世帯全戸を市の助産師・保健師が
訪問して、子育ての不安や悩みをお聴きし、相談に応じる事業で、
平成20年度から始めています。子育てに強い不安や孤立感を感
じる人には、継続的に相談に応じたり、訪問したりして、乳児の
健全な育成環境の確保を図っています。
本年度の予算額は約1,140万円で、出生数に応じて交付さ
れる国の交付金で賄う予定です。
(3)妊婦健診の公費助成の拡大
これまでも妊婦の定期健診費用の一部を公費で負担してきまし
たが、国(県)の補助制度を活用することで、平成21年度から
公費で負担する回数をこれまでの5回から14回に拡大しました。
さらに本年度からは、公費で負担する検査内容、超音波検査の
対象者・回数を拡大しています。
本年度の予算額は約3億8,080万円、うち約4分の1を補
助金として支出していただける予定です。
(4)乳幼児等の福祉医療費給付制度
この制度は、乳幼児等、障害児や障害者、母子・父子家庭の母
子・父子などを対象に、病院、薬局などで支払った保険診療費の
自己負担分の一部を市が給付する制度です。
この制度の対象のうち、これまで小学校就学前としていた乳幼
児を、今年の4月から小学校3年生まで拡大しています(入院の
み。通院も含めて拡大するのは10月診療分からです)。
県の補助事業として実施しており、本年度の予算額は約17億
7,750万円、市が独自に給付している対象分などを除き、給
付額の2分の1を補助金として支出していただける予定です。
(5)子ども手当
従来の児童手当に代わり、本年度から支給が始まりました。子
ども手当の対象者は、中学校修了前までの子どもを養育している
人で、所得に制限はなく、支給額は子ども1人当たり月額1万3,
000円です。
児童手当に比べて1人当たりの支給額が増えましたし、支給年
齢が中学生まで引き上げられ、対象者数も大きく増えましたので、
本年度の予算額は約81億1,480万円に膨らみました。この
額は、児童手当を支給していた昨年度の約3倍です。必要な費用
は国が支出することが基本ですが、県と市で約1割ずつ負担して
います。
来年度以降、この手当がどうなるかはまだ決まっていません。
今後、国会などで検討されることになっています。
(6)公立保育園の民営化
これは、施策というより方針ですが、市では、公立保育園を順
次民営化していきたいと考えています。長野市には現在88の保
育園があり、うち公立が46園で在園児が3,277人、私立は
42園(うち2園は休園中)で在園児が4,705人です。今後
も引き続き、すべての公立保育園を対象に、民営化の可能性を検
討していくことにしています。
いずれにしても、公立・私立どちらも国の保育指針や基準によ
って運営していますし、すべての保育園に対する指導・監督は市
の責務です。ご心配される向きがあるようですが、民営化によっ
て保育の質が低下するというようなことは一切ないことを付記し
ておきます。
子育ち・子育て支援施策には、「子ども手当」のように国の政策
に左右される事業もあり、難しいことが多いのも事実ですが、今後
とも積極的に事業を展開していきたいと考えています。