2010年8月26日木曜日

新たなスポーツ基金について


 長野オリンピック記念基金からの助成が平成21年度で終了した
ことは、以前も報告させていただきましたが、長野市ではこの基金
に替わる新たな基金の創設を考えています。今回は、このことにつ
いて書かせていただきます。

 長野市では、第四次総合計画において、「スポーツを軸としたま
ちづくりの推進」を重点施策の一つに掲げ、オリンピックを契機に
得たスポーツに関する豊富な資源を生かし、国際大会や全国大会な
どのスポーツ大会を開催するとともに、市民が気軽にスポーツを楽
しめる環境づくりを推進しています。

 中でも、オリンピック開催都市として、長野オリンピックの歴史
を後世に伝え、子どもたちに夢と希望を与えるためにも、また、エ
ムウェーブ・スパイラルの両施設がナショナルトレーニングセンタ
ー(NTC)に再指定されたことからも、両施設をはじめとするオ
リンピック施設を活用して、自他共に認める“ウインタースポーツ
の拠点”を目指したいと考えています。そのためには、新たな基金
の創設が必要だと思っています。

 長野オリンピック記念基金は、オリンピック開催によって生じた
剰余金46億8,422万円を長野県の基金として積み立てて運営
されてきたもので、長野オリンピックを記念した事業の実施や冬季
スポーツ競技大会の開催への助成など、スポーツの振興に重要な役
割を果たしてきました。
 この基金の運営に当たってきたのは、平成10年12月に設立さ
れた長野オリンピックムーブメント推進協会です。協会では、基金
から毎年4億円程度を補助金として受け、それを活用して長野市や
長野県内をはじめ、北海道や青森県で開催された競技大会などへ助
成してきました。

 長野市関連では、おおむね毎年2億円程度の助成金を頂いてきま
した。これまでの主な活用実績としては、スピードスケートワール
ドカップや世界フィギュアスケート選手権など冬季スポーツを中心
とする競技大会開催のほか、長野オリンピック記念長野マラソン、
長野灯明まつり、オリンピックデーラン長野大会など、オリンピッ
クムーブメントの普及事業の実施、スパイラル・ビッグハットを使
用した選手強化育成事業などがあります。

 しかし、長野オリンピック記念基金の残高が少なくなったことか
ら、平成21年度をもって基金からの助成事業は終了となってしま
いました。

 一方、NTC指定により、アイスリンクの製氷費用や施設維持に
かかわる光熱水費、トレーニング機能にかかわる費用、選手強化に
かかわる人件費などが国から助成されることになります。しかしな
がら、施設維持費全額というわけにはいきません。長野市の負担も
かなりの金額になっています。

 “ウインタースポーツの拠点”を目指すために、長野市が行って
きた主な取り組みは、大きく次の3点です。
(1)全国中学校スケート大会の10年間継続開催
   平成19年度から10年間、全国中学校スケート大会を長野
  市で開催することになっています。これにより、スケート競技
  の普及と選手強化を図る予定です。
   この大会は、現在、日本のトップアスリートとして活躍して
  いる多くの選手が、中学生時代に出場して優勝した大会であり、
  長野市内のジュニアの選手たちも、この大会への出場を目標に
  してもらいたいと思っています。
   そして、長野市出身の強い選手を生み出すこと、さらには、
  大会中エムウェーブやビッグハットをお客さんでいっぱいにす
  ることができれば、素晴らしいのですが・・・。

(2)国内外トップレベルの大会の計画的な誘致・開催
   今後も国内外トップレベルの大会を計画的に誘致・開催して、
  青少年が間近で観戦できるようにしたいと考えています。これ
  により、冬季スポーツへの関心を高め、国際感覚を養い、豊か
  な心をはぐくむ環境を提供するとともに、大会運営への積極的
  な市民参加を目指し、スポーツボランティアの育成を図ってい
  きます。

(3)世界レベルで戦えるアスリートの育成・強化
   経験・実績のある指導者を市職員として採用し、エムウェー
  ブスケートクラブや市立長野高校スピードスケート部の指導を
  行っています。ジュニア期からそれぞれの段階に応じた的確な
  トレーニングを実施することにより、将来的に世界レベルで戦
  えるアスリートを育成・強化することを目指しています。
   また、AC長野パルセイロのアイスホッケーチームの子ども
  たちも頑張っています。

 長野オリンピック記念基金からの助成が終了してからも、安定的
にこれらの取り組みを継続していくためには、どうしても新たな仕
組みが必要です。そこで、新たな基金として、「長野市冬季競技振
興基金」(愛称「ながの夢応援基金」)を創設することにしました。

 この基金は、長野オリンピック記念基金の残余金からの配分金1
億4,000万円余を原資に、長野市からも5年分として3億円を
積み立て、さらに企業や個人の皆さんにも寄附金のご協力をお願い
して創設したいと考えています。
 また、基金の目的や基金への協力を広くアピールするなど、この
基金を応援・サポートしていただくために、「ゆめ舞台応援プロジ
ェクト・ながの」を8月22日に立ち上げました。このプロジェク
トには、バンクーバーオリンピックスピードスケート競技のメダリ
ストである長島圭一郎さんや加藤条治さんなど、冬季競技の選手や
競技連盟の皆さんにも参加していただいています。

 「ながの夢応援基金」の活用先として現在考えている具体的な取
り組みは、以下のとおりです。
(1)全日本スピードスケート距離別選手権大会、全国中学校スケ
  ート大会、長野オリンピック記念長野マラソン大会など、市内
  で開催される競技大会への助成
(2)冬季競技の選手育成・強化、指導者の育成・確保につながる
  事業への助成
(3)長野灯明まつりやオリンピックデーラン長野大会など、長野
  オリンピック記念イベントへの助成

 「ながの夢応援基金」の創設により、長野オリンピック開催で開
いた世界への扉をさらに大きく開き、オリンピックレベルで活躍で
きる長野市出身選手を育成するとともに、冬季オリンピック開催都
市としての存在感を示していきたいと考えています。そして、オリ
ンピック開催都市として、さらに輝き続けるために、これからもオ
リンピック資産を大切にしていく決意です。

 関係する条例や補正予算案などは、市議会9月定例会に提案する
ことにしており、現在準備を進めています。議決いただけましたら、
今後、企業や市民の皆さん、あるいは、長野市以外にお住まいで長
野を応援していただける方々にも、広く基金への協力をお願いして
いく予定です。その際は、ぜひともよろしくお願いします。

 ところで、今シーズン、AC長野パルセイロが好調です。北信越
フットボールリーグ一部で、今季の優勝が事実上確定し、11月に
開催される全国地域リーグ決勝大会への切符をほぼ手中にしたので
す。また、全国社会人サッカー選手権大会北信越大会でも優勝し、
全国大会への出場権も確保しました。
 次は、天皇杯へ続く長野県サッカー選手権大会の決勝で、宿敵、
松本山雅FCとの信州ダービーです。

 現段階で、AC長野パルセイロへの支援については、この「なが
の夢応援基金」とは別だと考えています。理由は、長野オリンピッ
クと直接的な関係が無いからです。
 ただ、12チームで戦う全国地域リーグ決勝大会を勝ち抜くと、
来年はJFL(日本フットボールリーグ)への昇格、そしてさらに
J2、J1への階段を目指していくことになるわけで、市民の皆さ
んの大きな応援が必要になります。行政としても、スタジアム整備
などで支援する必要がありそうです。そのときは、また考えましょ
う。
 具体的な支援については、以前、周辺自治体のご協力を頂いて
「ホームタウンながの推進協議会」という組織を立ち上げています
ので、この組織の出番になりそうです。

 何かと市民の皆さんの応援をお願いすることが多く恐縮ですが、
私も頑張ります。長野市の政策、「スポーツを軸としたまちづくり」
に向けて全力を挙げていきます。

2010年8月19日木曜日

県知事選挙が終わりました


36万票余を獲得して当選。2位の腰原愛正前副知事とは、約5,
000票差という、まれに見る大接戦でした。

 選挙運動期間中のことですが、松本候補を応援するインターネッ
トのホームページを読んでいたところ、「残念ながら松本候補は勝
てそうもない。阿部候補に票を移そう」という意味の文章がありま
した。こうした動き、コメントは、真剣に戦っている候補に対して
も大変失礼なことです。
 ましてや、これがどの程度効果があったかは分かりませんが、イ
ンターネット利用の選挙運動については、法整備を早くしないと、
真面目な候補ほど不利だなあと痛感しています(まあ、利用方法を
良く知らない面があることも、自覚しているのですが・・・)。

 以下は、選挙前にメルマガに書こうと思って書きかけた“望まし
い知事像”に関する文章の一部です(結局、選挙前には書ききれま
せんでした)。
**********
 まずは、市民の皆さんに、一人一人の生活が懸かっている県知事
選挙に関心を持っていただき、投票所に足を運んでいただきたいと
思っています。
 次に、地方行政を進める上でパートナーとなる県知事像について、
私としての若干の所見を申し上げさせていただきますと・・・

 よく「出たい人より、出したい人を」ということを言いますが、
さまざまな面で県政運営が難しい今日ほど、経験豊富で安定感のあ
る方が求められている時代はないように思うのです。

 県政においては、村井知事のご努力により、あの混乱と不信の時
代から抜け出し、厳しい中にも明かりが見えつつあると言っていい
のでしょう。この流れを継続していただくことが長野県の将来にと
って、何よりも必要なことと考えています。
 そして、市民の皆さんの暮らしに直結する、待ったなしの案件が
めじろ押しの中で、思い付きでない、現実的で確かな判断を下せる
知事の誕生を切に願っています。

 そのための1つ目の要件は、行政経験が豊富なこと。残念ながら、
これから行政のことを勉強して・・・ということを許すだけのゆと
りはありません。
 2つ目が、郷土・信州にしっかりと根を張り、長野県のことをよ
く理解していること。良い意味での信州人に期待したいのです。
 3つ目が人柄。見た目の派手さではなく、県民の声にきちんと耳
を傾け、市町村長とスムーズな連携を図りながら県政を進められる
方が求められていると思っています。

 現在のような、変革期と呼ばれ、閉塞感のある時代には、とかく、
これまでの流れを変えさえすれば、何か良いことが起こるだろうと
考えられがちですが、結果は失望と混乱のみということは、過去の
多くの事例が証明していることです。
 繰り返しになりますが、村井県政が耕し、種付けした畑にきれい
な花が咲くように、新たに選ばれた知事さんには、これまでの流れ
を大切にしてほしいと思っています。
**********

 投票日の翌日、阿部守一さんから市役所にいた私に電話がありま
した。「今後よろしく」ということでした。私も素直に祝意を表し
ました。
 私は、アメリカの大統領選挙が選挙の理想だと思っています。選
挙はお祭り、陽気に騒いで、楽しむべきなのです。日本のように深
刻なものでなく、勝負がついた時、負けた人が勝った人に電話で祝
意を述べる(もしかすると反対かもしれません)、そんなことを聞
いたことがあります。
 アメリカ大統領選挙をみならって、選挙が終ればノーサイド。市
民の皆さんのためになるよう、阿部新知事とは力を合わせていかな
くてはなりません。

 4年前のことになりますが、私は、知事に就任されたばかりの村
井さんに、長野市として次のような提言を申し上げました。全部で
20項目ありますので、少し長くなります。

提言1 県と長野市との調整事項(緊急を要する課題)
(1)浅川治水対策と北陸新幹線用地買収問題の解決(確認書問題)
   国、県、市の技術者レベルの論議と技術的検証が重要と考え
  ています。政治家の好みの問題ではないし、市民の意見も出尽
  くしていると思います。
(2)長野以北並行在来線問題
   (1)とも絡む問題ですが、これも長野以北の新幹線建設に
  当たって、県が沿線市町村と交わした約束があります。いずれ
  にしても、並行在来線の経営のめどを付けることが重要で、そ
  れにはJR東日本と話し合った上で、実現の可能性を検討し、
  新潟県との話し合い、さらには篠ノ井-長野間の問題を解決す
  ることが肝要だと思います。
(3)県立高校再編問題
   地域ごとに賛成を得られた所は、新年度スタートで良いと思
  いますが、反対の多い所は、急ぐ必要はないのではないでしょ
  うか?長野市とすれば、長野南高校は人口増加地帯にあり、県
  教委の説明も十分でない状況では、統合される理由が分かりま
  せんし、納得できません。

提言2 県政運営の基本方針にかかわること
(1)廃棄物対策(一般廃棄物、産業廃棄物)について県の姿勢の
  変更
   一般廃棄物処理については、廃棄物処理法で市町村の責任で
  行う事業であって、県はそれについて技術的援助をすると決め
  られています。県で制定を検討している条例は、法の権限を越
  える内容であり、市町村から要請があった場合のみ、その問題
  について援助する、あるいは一緒に解決するという姿勢を堅持
  すべきだと思います。県知事との事前協議を義務付ける必要は
  ないはずです。
   産業廃棄物等最終処分場の設置について、県は廃棄物処理事
  業団を設置し事業を推進してきましたが、公的関与を見直し建
  設中止としています。県はもっと積極的に推進すべきであると
  考えます。
(2)市町村合併について県の姿勢の変更
   合併については、県が指導力を発揮し、促進すべきです。国
  が定めた指針にのっとり、新合併特例法に基づいた合併構想を
  つくるべきです。また、県が約束した合併特例交付金の交付を
  保障し、合併特例債の使い勝手も良くして、市町村のインフラ
  整備に協力していただきたいと思います。
(3)県の審議会、検討委員会の委員について
   「長野県調査委員会」など、特別な事案を検討する委員会に
  関し、県外委員の選出や都内での開催の傾向が見られますが、
  委員の主力は長野県内から選ぶべきではないでしょうか。まし
  てや大部分が東京在住ということで、東京で委員会を開くとい
  うことは好ましい話ではないし、コストが掛かり過ぎると思い
  ます。
   また、長野オリンピックは素晴らしい大会であり、有形無形
  の財産を残しました。これまでマイナスイメージを持たせる行
  動ばかり目立っていて県民益に反します。むしろ開催地として
  良いイメージを有効活用するよう考えるべきです。
(4)県と市町村の間の対話復活
   県と市町村の担当課同士が事務的に話し合うことが大切です
  し、広域連合単位ぐらいで知事と市町村長がざっくばらんに意
  見交換をする会合を開くことも有意義だと思います。
   車座集会は、県は国と市町村の中間組織であることを考える
  と、必ずしも適当ではないと思いますし、市町村が加わってい
  ないことも問題があると思います。しかし、直接民主主義の流
  れからすると、県施策の説明、あるいは反対意見を聴くことは
  大切だとは思いますが、反対者の意見を聴くことは、実際には
  なかなか難しいと思います。
(5)安全・安心の県土づくり
   安全重視の県土づくりをお願いします。基本的には、長野県
  の特殊性にかんがみ、土木事業(道路を含む)の充実を考える
  べきだと思います。
(6)企業誘致施策の充実
   平成13年に比べると、県内では事業所数や雇用が減ってい
  ます。企業を育てるには時間がかかることから、雇用を増やし
  ていくためには当面は企業誘致だと思います。長野県は人件費
  が高いといった問題もありますが、県に企業立地のための制度
  が少ないとか、対象業種や対象地域が限定されているといった
  こともあるので、県にもぜひ企業誘致施策の充実を図っていた
  だきたいと思います。

提言3 県政への事業提案(すぐにできることではないかもしれま
  せんが、検討していただきたい事項)
(1)市町村の広域連合と県の現地機関等の統合
   実現できたら県と市町村の協力体制の象徴になりますし、地
  域住民に直結する行政サービスを一元的に提供する組織体制の
  構築・行政組織の簡素化などが実現できるのではないでしょう
  か。
   ただし、この提案は長野広域連合内での検討はしていません。
  現段階ではあくまで長野市の意見です。
(2)県立短期大学の4年制移行
   長野市にある県立短大は長い歴史があります。そして過去、
  卒業生を中心に、ぜひ4年制へ移行したいという願望が強く出
  されていました。現在、短大は専門学校に押されてあまり元気
  がないとも言われています。そして、“長野市に大学を”とい
  うことは故夏目市長のころからの悲願であり、そのための準備
  基金としてわずかですが、積み立てをしてきています。財政が
  厳しい時期ではありますが、地方独立行政法人としてやるなら
  可能性があるのではないでしょうか。長野のレベルアップのた
  めに、長野の若年人口を増やすためにも、ぜひお願いしたい、
  長野市としても協力させていただきます。
(3)公共交通機関の再生
   高齢社会になって、移動手段を確保することが大切です。し
  かし、市町村が、それぞれで取り組むことには限界があります。
  市町村の垣根を越えていくためには、県の取り組みがぜひ必要
  です。

提言4 その他諸課題について
   30人規模学級の協力金について、コモンズ支援金について、
  広域消防の在り方について、看護師養成学校について、長野県
  勤労者福祉センターについて、長野養護学校について、県道改
  良・県営中山間地域総合整備事業の進ちょくについて、長野県
  青少年保護育成条例(仮称)の制定について

 以上が、4年前に村井知事に申し上げたことの概略です。これら
の中には、すでに実現したり、方向が決まったりしたこともありま
すし、まだ課題として残っていることもありますが、復習の意味で
あらためて書き出してみました。ただ、4年間で事情が変わったこ
とも事実ですので、再度検討してみる必要もありそうです。
 いずれにしても、長野市が抱えている課題について、新知事にも
ご理解いただきたいと考えています。

2010年8月12日木曜日

合併記念特別展


 現在、信州新町美術館・化石博物館では、長野市・信州新町・中
条村合併記念の特別展として「横井弘三童心画展」と「化石特別巡
回展」を開催しています。少し前のことになりますが、7月24日
にそのオープニング式典を行いました。

 式典ではまず、中条虫倉太鼓の皆さんに、勇壮な響きの素晴らし
い太鼓の演奏を披露していただきました。長野市にはたくさんの太
鼓グループがありますが、また一つ新しいグループが仲間入りした
ということでしょうか。
 本年の1月1日に3市町村が合併し、はや7カ月。少しずつ旧市
町村の枠を越えた交流が進んできているように感じています。

 信州新町と縁の深い横井弘三は、明治22年に飯田市で生まれ、
26歳の時に二科展で樗牛(ちょぎゅう)賞を受賞して華々しくデ
ビューした画家です。翌年には二科賞を受賞するなど“日本のアン
リ・ルソー”と言われて評判となったそうです。

 その後、社会に作品が受け入れられないなど、苦難の時代もあっ
たようですが、晩年に信州新町に滞在した際に描いた作品30点が
当時の水内小学校に寄贈され、これらが現在の信州新町美術館に収
蔵されています。
 そのほかにも、市内にはたくさんの作品が残されており、今回の
特別展は、公立の施設に寄贈された作品や資料など約100点を集
め、展示しているものです。塚田前長野市長さんも立派な作品をお
持ちになっており、今回、この特別展のためにお借りしました。
 普段お目にかかることのない作品をご覧いただける貴重な機会で
す。どうぞごゆっくりご鑑賞ください。

 次に、「化石特別巡回展」についてです。善光寺平西部の西山地
域一帯は、400万年から500万年前は海であったことが、地層
の調査などから分かっています。特に中条地区では、貴重な化石が
たくさん見つかっています。
 例えば、昭和45年に裏沢(うらさわ)の沢筋で発見されたシン
シュウゾウの上顎(うわあご)化石は県内最古のゾウ化石だそうで
す。また、平成7年に同じ裏沢から発見されたセイウチの祖先の化
石も極めて貴重な物とのことです。
 さらに、昨年8月には土尻川でダイカイギュウの肋骨(ろっこつ)
の化石が2本見つかり、県内最古のダイカイギュウ化石として話題
を呼びました。

 そのほかにも、信州新町、鬼無里、戸隠、七二会など、各地区で
貴重な化石が多数産出しており、この巡回展を通して夢とロマンに
あふれた太古に戻ることができると感じています。
 今回の展示でこれらの化石をご覧いただき、この地が海であった
こと、さまざまな海の生物がこの地を泳ぎ回っていたことなどに思
いをはせてみてください。そして、この地が形成されてきた歴史も
学んでいただきたいと思います。これらも、長野市の大きな財産で
す。
 合併を契機として、西山地域は、昔から地層も風土もつながって
いたことがきっとご理解いただける、そんな展覧会になりそうです。

 信州新町での展示は8月29日までですが、その後、9月から
12月にかけて、中条公民館、戸隠地質化石博物館、生涯学習セン
ター、市立博物館を巡回する予定です。
 さらに、この期間中には地層観察バスツアーや講演会、シンポジ
ウム、ギャラリーツアーなど、盛りだくさんな内容を計画していま
す。大勢の市民の皆さんや県内外の皆さんに足を運んでいただき、
長野市が海だったことを実感していただきたいと思います。

画しており、11月3日から信州新町美術館と有島生馬記念館で行
うことにしています。
 皆さんご存じだと思いますが、有島生馬は、兄が小説家の有島武
郎(たけお)、弟が同じく小説家の里見〓(とん)(注)という家
に育った洋画家・文学者です。信州新町には8回も来訪されており、
犀川のダム湖を琅鶴湖(ろうかくこ)と命名するなど、信州新町と
は深い縁があります。
 こうしたことから、鎌倉にあった生馬の邸宅が取り壊されること
になった際、住民の寄付により、この地に移転改築されたのが有島
生馬記念館だそうです。「有島生馬展」では、生馬と関係の深かっ
た「一水会(いっすいかい)」の作家を中心に、知友作家(ちゆう
さっか)の作品の展示を予定しています。

 また、生涯学習センターと市立博物館で行う巡回展では、生馬の
代表的な油彩画や家族の作品、生馬の遺品などを展示し、生馬が残
した偉大な業績を紹介する予定です。
 この展覧会を通して有島生馬の人となりを紹介すると同時に、有
島生馬記念館の存在も全国にアピールしたいと思っています。こち
らもぜひ、ご覧ください。

 最後に、皆さんに知っておいていただきたいことが一つあります。
実は、長野市は、市立美術館を持っていませんでした。ただ、市内
に美術館が無いわけではありません。公立では長野県信濃美術館・
東山魁夷館、そして民間には、北野美術館、水野美術館などなど、
立派な館があるのですが、「市立」美術館は無かったのです。北信
美術会などの文化芸術団体の皆さんからは、ぜひ市立美術館を造っ
てほしいとの陳情を頂いていましたが、なかなかその段階になりま
せんでした。
 信州新町美術館は合併前、信州新町立でしたので、合併で長野市
立となったわけです。これにより、初めて「長野市立美術館」がで
きたことになります。みんなで盛り上げていただきたいと思ってい
ます。

 今回の特別展開催の目的は、信州新町地区と中条地区の資源やお
宝を知っていただくことです。また、併せて地域間の交流や文化の
伝承などにも貢献できればありがたいと思っています。この特別展
をきっかけに、新たな交流の輪が広がることを期待し、特別展開催
にご協力いただいた皆さんに感謝し、この展覧会が盛会であること
を祈念して、私の報告とします。

(注)「とん」の漢字は、弓ヘンに享

2010年8月5日木曜日

UFO長野ものづくりサロン


州大学工学部の敷地内にある「UFO長野」(長野市ものづくり支
援センター)で盛大に開催されました。
 出席されていたのは、各企業の経営者、研究者、大学の先生方の
ほか、長野のものづくりに向けて、“産・学”連携や“産・産”連
携の促進、そして地域の発展のためにご尽力いただいている皆さん
です。

 長野市では、平成17年に「UFO長野」を設置して、信州大学
などの学術機関の知識を活用し、“産・学・行(官)”の連携・交
流を通じた地域企業の新技術・新製品の研究開発活動や、ベンチャ
ー企業の育成などを積極的に支援しています。
 また、「UFO長野」という研究施設の提供による支援だけでな
く、資金面の支援として「ものづくり研究開発事業補助金」、「新
産業創出ワークショップ支援事業補助金」の制度も用意しています。
昨年度末までに、これらの補助制度で採択した事業は16件です。

 この日は、昨年度に採択した補助事業4件の成果について、各企
業の皆さんから発表していただきました。
 私は、専門家ではありませんが、分かりやすく、なかなか立派な
発表だったと思っています。中には、商品化に成功してすでに販売
を始めている製品もあるそうです。これらの発表が、来年度以降の
補助金活用の参考になればいいと思っていますし、“産・学・行”
連携の拡充や、応用分野への展開などに向けた企業活動の足掛かり
になることも期待しています。

 このほか、新潟県の上越地域の異業種交流グループである「上越
技術研究会」の皆さんにも遠路はるばるご参加いただき、上越地域
の“産・学”連携の取り組みについて発表していただきました。

 “産・学・行”連携による付加価値の高いものづくりが行われる
ことは、これからの地域産業の魅力と活力を引き出す上でとても重
要だと考えています。そして、ものづくりに性急に結果を求めるこ
とは難しく、ある意味、気長にやっていくことが必要だとも思って
います。効果が薄いという理由により、事業仕分けなどで事業を否
定することは、長い目で見れば発展の芽を摘んでしまうことになる
のでしょう。私はそんな思いを持っています。
 長野市では、引き続き「UFO長野」を中心に“産・学・行”の
交流の輪を広げ、産業の発展を期待したいと思っています。

 話は変わりますが、7月14日、東京ビッグサイト(東京国際展
示場)で開催された「企業誘致フェア2010」に参加してきまし
た。
 景気のせいでしょうか、今年は参加企業、参加自治体共にかなり
減ったようです。しかし、私は、継続して長野市の魅力を宣伝して
いくことが大切だと考えていますので、昨年に続いて今年も出展し、
プレゼンテーションもさせていただきました。

 私のプレゼンテーションの内容は、おおむね以下のとおりです。
(1)間もなく北陸新幹線が金沢まで延伸し、太平洋側と日本海側
  をつなぐ素晴らしい交通環境が生まれること。
(2)自然環境、景色、文化、歴史、そしてスポーツ環境の素晴ら
  しさもさることながら、清浄な空気、快適な生活環境があり、
  災害も少ないこと。
(3)新たな産業用地と大変有利な助成制度などを用意して、企業
  の皆さんをお待ちしていること。
(4)「UFO長野」を整備しており、大学・研究機関、他企業な
  どとの連携が可能であること。

 (3)について少し補足させていただきます。
 長野市では、新たな産業用地として「川合新田産業用地」と「第
二東部工業団地」の2カ所の分譲を今年の5月から開始しています。
 分譲に当たっては、分譲価格の30%を助成する制度や土地代金
の分割払いを可能にする制度、土地をリースする制度、固定資産税
相当額を3年間助成する制度、新たな雇用を行った際の助成制度な
ど、企業の皆さんに進出していただきやすくするためのさまざまな
支援制度も用意しました。
 なお、第二東部工業団地には、新たな消防分署の設置を計画して
いますので、将来的には地域防災の拠点としての機能も加わる予定
です。

 6月末までの一次募集では、2カ所の産業用地に8社から延べ2.
7ヘクタール(分譲予定地の約47%)の入居申し込みを頂きまし
た。
 ただ、両用地とも、入居企業の要望に応じて区画を整備するオー
ダーメード方式を採っており、今後、造成工事を行う必要がありま
す。実際に、入居企業へ引き渡しできるのは、早い所で来年の10
月ごろになる予定です。

 これまでには、このような景気の中で産業用地の分譲なんて本当
に大丈夫かと、ご心配いただいた向きもありました。しかし、現在
の状況を見る限り、順調にお申し込みを頂いていると言ってもいい
のでしょう。
 ただ、まだ用地には余裕があることも事実です。8月中旬以降か
ら二次募集を行いますので、企業の皆さん、ぜひ、長野市での企業
立地をご検討ください。お申し込みをお待ちしています。