本日、11月11日で、私の市長任期はあと3年になりました。
任期いっぱい、皆さんにお約束したマニフェストの実現を目指し
て全力を挙げることは当然ですが、私としてはそのほかの施策も含
め、さらに具体化した目標を持ってきちんとやることが必要だと思
っています。そこで今回は、現段階で今後3年間にめどを付けなけ
ればならないと考えている課題を整理してみました。
(1)コミュニティーの再生、新しい住民自治の確立
まずは、都市内分権の仕組みの充実と住民自治協議会の活動を
軌道に乗せることです。そして、コミュニティーの再生に向け、
住民自治協議会中心の仕組みを確立していきたいと思っています。
コミュニティーの再生は、私にとって市長就任時からの重要施策
であり、40年来の念願です。住民自治協議会の取り組みは、始
まったばかりですから最終形はまだ分かりませんが、戦後、社会
が失った大きなものを再生していきたいと思っています。今後、
若者や企業の参加の可能性を探っていく必要がありそうです。
併せて、市域の4分の3を占める中山間地域を、生活の場とし
て、環境保全の場として、中山間地域ならではの付加価値を加え
る場として、活性化することにも努力したいと考えています。
(2)公共交通の活性化・再生と長野市地球温暖化対策地域推進計
画の目標達成
車社会の進展により、良くなったこともたくさんありますが、
課題も生じています。マイカーの便利さを追求するだけではなく、
バス交通や長野電鉄屋代線など、利用者の減少が続く公共交通を
再生させることも重要です。自転車の積極的な活用促進も検討し
ていかなくてはいけません。
同時に、車社会を見直すことで温室効果ガスの排出削減を実現
し、環境問題にも貢献したいと考えています。
(3)ごみ問題、特に焼却施設の建設・最終処分場の確保と産業廃
棄物問題の解決
現在、近隣市町村と力を合わせて進めている、ごみ焼却施設の
建設と最終処分場の確保については、どうしても実現する必要が
あります。特に、清掃センターの建て替えは、地元の皆さんのご
理解の下、やり遂げなくてはならない政策です。併せて、産業廃
棄物問題を解決することも避けては通れません。
(4)長野市民会館・市役所第一庁舎の建設
合併特例債を活用して、耐震対策を行うとともに市民サービス
の向上と質の高い文化芸術拠点の整備を目指します。併せて、I
T市役所の実現と、IT技術を活用したミュージアム構想も検討
したいと考えています。中心市街地を活性化する視点も重要です。
(5)学校の耐震化
安心・快適な学習環境を整えるため、市立小・中学校81校の
耐震補強、老朽施設の改築を計画的に進めています。
(6)斎場の整備
施設の老朽化と高齢化の進展に伴う今後の火葬需要増加に対応
するためには、施設の更新整備が必要です。
(7)長野市民病院の黒字化
安全で質の高い医療を継続的に提供するためには、健全な経営
が必須条件です。
(8)4年制大学の誘致
地域での人材育成、若者の流出防止などの観点から、必要な政
策だと考えています。
(9)企業誘致、既存地元企業への支援(税収アップ)
企業に元気がなければ、まちの元気も出てきません。
(10)いいとき観光エリアの資源活用
まずは、戸隠スキー場・キャンプ場・牧場などの基盤整備を進
め、癒やしの場としての存在感を高めたいと思っています。
(「いいとき」=飯・戸・鬼=飯綱・戸隠・鬼無里の頭文字)
(11)茶臼山地域の活性化
茶臼山動物園開園から間もなく30年。老朽施設更新の時期を
迎えた茶臼山エリアの活性化構想を策定し、一帯を順次再整備し
ていきます。これに併せて、ぜひ、遊園地を新設したいと思って
いるのですが・・・。
(12)オリンピック選手の輩出
本年度創設した「ながの夢応援基金」を最大限活用し、長野の
子どもたちが夢にチャレンジできる環境を作りたいと思っていま
す。スケート選手育成のためには、通年利用できるリンクが必要
かもしれません。また、オリンピック資産を生かすためにも、オ
リンピックを再招致しようという声も聞こえてきています。当面
はユースオリンピック、冬季アジア大会などを視野に入れてはど
うでしょうか。
(13)スポーツによる市民の求心力の創出
市民が心を一つにして盛り上がることができるものをつくりた
いと考えています。サッカー、野球などが候補として思い浮かび
ますが、サッカーが有力だと言えるでしょう。そのためには、グ
ラウンド整備を含む環境整備も重要な要素となります。
(14)国際性の涵養(かんよう)
姉妹都市・友好都市との交流、長野オリンピックを契機とした
一校一国運動などで培ってきた国際性を、もう一段高い位置に押
し上げることは、長野市の将来にとって大きな力になるでしょう。
以上14項目、現在の長野市、将来の長野市にとって必要なこと、
プラスに働くであろうことを市民の皆さんと共有していくことが大
切だと考え、あえて整理してみました。「欲張り過ぎだ」というご
批判は甘んじて受けましょう。もちろん、3年間ですべて実現でき
るとは考えていません。しかし、めどだけは付けたいと思っていま
す。
ただ、このように整理してみますと、すでに手を付けているテー
マが大部分であり、新鮮味に欠ける面もあるかもしれません。そし
て、市民の皆さんの意見をまとめ、財政的にもめどを付け、実現に
結び付けていくことは、容易なことではないとも感じています。
このほか、理念的なことも加えれば、市民すべてが豊かで幸福を
感じる社会、子どもが夢を持てる社会、お年寄りが豊かに生活でき
る社会、働く場がたくさんある社会、音楽や絵画を気軽に楽しめる
社会、スポーツを楽しめる社会、格差が少ない社会、自然を大切に
する社会、歴史文化を大切にする社会・・・まだまだ数え切れない
ほどありそうです。人口が増える、子どもが増えることも理想でし
ょう。
重要性については、人それぞれ考えが違うはずです。また、現実
の話として優先順位も考えなくていけませんし、時間の経過ととも
に、さらに新しいテーマが出てくることもあると思います。長野市
の存在感をさらに高めるために、オリンピックに替わる「新しい旗」
は何だろうかと、私は真剣に考えています。
1998年の長野冬季オリンピック開催に当たって大きな投資を
したことにより、長野市の借金がかなり増えたことは事実ですが、
その反面、長野市のステータスは確実に上がっていると思います。
雌伏13年。努力のかいもあり、当時の借金も順調に減少し、財
政の健全性も維持しています。6町村との合併もあり、長野市の存
在感は一段と上がっていると感じています。現在の長野市には、
14項目すべてのめどを付けるだけの十分な財政力があると思って
います。
ただし、これまでに、国が地方に約束してきた財源、例えば市債
の交付税措置、耐震化工事への補助金、ごみ焼却施設に対する交付
金などの支出がきちんと守られることが前提です。
民主党政権の主張する「地域主権」、「一括交付金」の中身がい
まひとつはっきりしないことから若干の心配はありますが、地域主
権を掲げておられる以上、大丈夫だと私は信じています。
もう一つ付け加えるとすれば、14項目の中には、民間活力を活
用できる事業、あるいは行政と民間が共同で行える事業もありそう
です。いや、むしろその方が多いようにも感じています。
行政がすべてをやる時代ではない・・・ということは、私が以前
から申し上げてきていることです。指定管理者制度の導入は随分進
んだと感じていますが、一方で、完全民営化が進んでいないという
ことも、現段階での私の反省事項です。