市が提案してきた市民会館の建設地や在り方に対しては、市民の
皆さんの意見のほか、市議会、長野市民会館建設検討委員会、長野
市民会館市民ワークショップなど、昨年来、さまざまな立場の多く
の皆さんからご意見を頂いてまいりました。これらを踏まえた上で、
先日、現段階における考え方の方向性について市としての結論を出
し、発表させていただいたところです。
今日は、これまでに頂いた市民会館の建設地についての主な意見
をご報告し、次の段階に移るに当たってのまとめとしたいと思いま
す。
(1)市民の皆さんからの意見
権堂B-1地区東街区案・現在地案それぞれに対する意見が
あります。
○東街区案に賛成
・文化・芸術の発信拠点は、街の中心、交通の便の良い所にあ
るべき。
・少子高齢化、人口減少の今、大型施設は市街地へ集中させる
必要がある。
・周辺の映画館や北野文芸座などとの連携を図ってほしい。
・権堂地区なら、高齢者も公共交通機関で行くことができ、商
店街の活性化にもつながる。
○現在地案に賛成
・商店街の活性化と一緒に考えるべきでない。
・権堂地区は建設地にふさわしくない。
・現在地は市の土地であり公平性がある。
・現在地は駐車場を庁舎と共用できるが、権堂は交通渋滞が心
配。
(2)市議会の意見
東街区案に反対(市役所第一庁舎及び長野市民会館調査検討
特別委員会)。
現在地とすべき(4会派31人)、対震改修により継続使用
すべき(1会派6人)、東街区案に賛成(無所属議員2人)、
機能を分けて両地区に建設すべき(無所属議員1人)。
(3)建設検討委員会からの意見
東街区で建設する場合の意見(権堂周辺の環境整備や活性化
計画の策定など)を付した上で容認する。
(4)市民ワークショップの提言
勤労者女性会館しなのき、映画館、大型店など、集客施設が
隣接し、北野文芸座などとの文化ゾーン形成も期待でき、東街
区案がより適している。
結果的には、それぞれの立場や考え方で、さまざまな意見があり、
東街区案、現在地案のどちらか一方が優れているとする明確な根拠
は見いだし難いように思われると結論付けました。
市議会議員の皆さんからは、建設地を「東街区」に変更した進め
方についてもご指摘を頂きました。市としては、同じ権堂B-1地
区の中であり、当初「権堂」とした建設地の考え方や効果は同じで
あることから提案したものでしたが、議員の皆さんにとっては違和
感があったようです。市としての説明に、不足があったとすれば、
申し訳なく感じています。
ただ、最終的に市議会の意見と市側の意見が一致しないと、行政
は混乱してしまいます。市民会館の場所を権堂B-1地区東街区と
する案について、市議会の賛同を得られなかったことは残念ですが、
市議会の意見を重く受け止め、市民会館は、第一庁舎と一緒に現在
地を中心に検討を開始することとしました。
今後についてですが、すべての意見を満足させることは困難であ
り、要件を絞って検討する必要があると考えています。ただ、市民
会館と第一庁舎を建て替えることは、市議会3月定例会で関連予算
を認めていただいたことにより決定しているわけで、また、合併特
例債の活用も財源確保の面では欠かせないことから、基本構想に沿
って建設を進めていくことには変わりありません。
市としては、これまでの経過や、市としての説明継続性の面から、
以下の5つの基本的な考え方を踏まえて市民会館・第一庁舎の整備
を検討していきます。
(1)当然のことながら、市民会館は、基本構想に沿って文化芸術
振興が図れる施設とすること。併せて、第一庁舎は使い勝手の
良さを追求すること。
(2)市民会館および第一庁舎の建設地は現在地を中心とすること。
(3)中心市街地の活性化のために、権堂B-1地区の再開発事業
は実現していくこと。
(4)合併特例債を活用して平成26年度までに建設すること。
(5)市役所南部方面への相互通行化を見据え、将来の都市構造に
配慮した道路整備が可能な配置とすること。
以上の5点を主な要件として踏まえながら、市議会と十分に相談
し、お互いに意見を出し合う中で成案とし、12月中旬には決定し
たいと考えています。
基本的な考え方について、少し補足させていただきます。平成
26年度までに建設するとしていることについてですが、これは、
それまでに完成させないと合併特例債そのものが使えなくなってし
まうという事情からです。
また、権堂B-1地区の再開発事業を実現することについては、
この再開発計画は地域の皆さんと時間をかけて検討してきている案
件で、ほぼ全地権者の同意を得ていること、さらには、権堂商店街
や大型商業施設イトーヨーカドーとのコラボレーションによる相乗
効果が期待できること、長野市の都市構造を考えると、欠くことが
できない拠点の一つである、ということなどが主な理由になります。
市民会館と第一庁舎の建て替えの成案については、現在の場所で、
両施設をどんな配置にすべきか、規模はどうするか、将来の道路構
造をどうすべきか等々について、関係機関と話し合いを進めていま
す。
併せて権堂B-1地区の再開発事業についても検討を進めていま
す。また、権堂B-1地区のみならず、権堂アーケード通り、権堂
A地区再開発計画、権堂C地区再開発計画、さらには既に動き始め
た中央通りの歩行者優先道路化も含めた地区全体の将来構想につい
ても、地元の皆さんと連携して策定したいと考えています。そうす
ることで、将来の中心市街地活性化の方向性を、点から線へ、さら
には面の開発へ、構想を広げていけるものと思っています。
詳細については、検討する余地がまだまだありますので、皆さん
からの積極的なご意見をお待ちしています。